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1.  終の信託 《ネタバレ》 
日本映画の古典を思わせる重厚な作り。検事の尋問の前に、主人公の行動は前半で全て明かされているので、これはサスペンスではない。大沢たかおが憎々しげな悪役を見事に演じているが、見方によってはこの検事の言い分の方が筋が通っているように思えるのが、この作品のポイント。被疑者を自白させるまでの尋問の汚い手口は、周防監督は例によってリサーチが入念で、かなり真実味があった。世評で言われるほどは悪くないと思った。
[映画館(邦画)] 7点(2012-12-09 06:49:04)
2.  この空の花 長岡花火物語 《ネタバレ》 
巷では大変に評判の良い本作。真摯な思いに満ちあふれた充実作だとは思うが、この今さらながらの空想平和主義には根本で乗れず。平和というのは、悲惨な被害のおそろしさを後世に伝えていくことで実現できるものだろうか。現在日本が平和なのは、アメリカの強大な武力に守られている(と、思われている)からであって、日本が武器を棄てたからではない。武器を完全に棄てれば平和は揺らぐ。その根本の矛盾にこの映画は全く答えてはいない。
[映画館(邦画)] 7点(2012-09-07 05:32:45)
3.  ヘルタースケルター(2012)
蜷川監督は映像作家として才能があるのだろうか?奇麗に整っているだけでコマーシャルフィルム以上のものは感じられない。原作をすでに知っているものとしてはそこを超えるものが何もないので意外に退屈だった。セックスシーンや、幻覚を見て錯乱するシーンとか、そういう派手な場面はともかく、大森南朋演じる検事との静かだが重要な対決シーンなどになると、本当にアイディアが何もなくて、底の浅さが露呈する。映画とは派手な見せ場があればいいというものではなく、シーンとシーン、シークエンスとシークエンスの有機的な結びつきが映画だと思うのだが、そこにかんしても「段取り」以外はなにもない。ただのPVの寄せ集めにしか見えないのだ。たとえば「ブラックスワン」と比較してみれば、どんな素人にでも、これが映画として、りりこの肉体と同じ、「まがい物」でしかないと分かられてしまうと思う。
[映画館(邦画)] 4点(2012-07-15 06:35:56)
4.  風が強く吹いている
私は年間映画100本くらいは見ていますが、この映画はまぎれもなく高水準の傑作だと思いましたよ。とにかくランナー達の走る肉体の小気味よさがそのまま映画的快感に直結しているのが見事だと思いました。この新人監督、大森寿美男という名前は覚えておくべきではないでしょうか。箱根駅伝のモブシーンなども、嘘っぽさがなく、そんなに予算をかけた映画とも思えないのですが、うまいなあと感心しました。邦画では個人的に今年のベストです。
[映画館(邦画)] 9点(2009-11-07 13:10:06)
5.  男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 《ネタバレ》 
「俺と所帯を持つか」という寅の言葉を、故意に冗談にして受け流すりりー、お互いあんなに惹かれあっているのに…。「寅さんみたいに自由に生きたいなあ」などという人は多いけど、彼ら(寅とリリー)がその自由と引き換えにしているものをその時観客は目の前に突きつけられるんですね。 最後のシーンはものすごく救われるいいシーン。やっぱり名作です。
[DVD(邦画)] 7点(2006-06-17 21:54:48)
6.  オルゴール
長渕いやだな。世間には勘違いした自己中心的なやつというのは多いけど、こいつほど不快な勘違い男もいないよ。こういう人間に権力もたせちゃだめだよ。 
1点(2004-09-21 14:50:05)
7.  アイデン&ティティ
ボブ・ディラン、ほんものが出てくれば、もっとよかったと思う。 「ハイ・フィデリティ」にはほんもののブルース・スプリングスティーンが出てきた。 それから、この映画もう30分短くてもいいと思う。だらだら長すぎる印象があるのは編集があまりうまくいってないためか。 
5点(2004-08-27 01:18:14)
8.  ウォータームーン
この映画、30人のレビュワーが揃って規定さえクリアすれば、確実に「平均点ワーストランキング」上位に躍り出るでしょう。ま、とんでもない映画です。 監督名、工藤栄一というクレジットになっていますが、じつはこの映画、実質的な監督は長渕なのです。長渕のあまりの傍若無人なわがまま放題に工藤監督はさじを投げ途中で降りてしまったのでした。それで、後半はほとんど映画としての体をなしていません。そのトンデモぶりはきっとそれなりに笑えるものだと思いますので、そういう映画が大好きな方は暇なときにでもどうぞ。 
0点(2004-07-15 23:12:58)(良:1票)
9.  わが青春に悔なし
黒澤の映画はまず、どうしても伝えたいことがあり、それは言葉だけでは伝えきれないという狂おしいまでの渇望があり、その伝えたいことをどうしたらもっともインパクト強く伝えられるか、ということのためにあらゆる技術が総動員されてる気がする。映画であれ何であれこれが表現の基本で、とくべつ撮りたいことがなにもないのに、ただ映画が好きだから映画が撮りたいなどという人は、見せられる方が迷惑なので映画など撮るのをやめてください。 黒澤の映画はすごくシンプルで、てらいがないし、ストレートで、つよい。その光はあまりにもぎらぎらとつよすぎて、目をそむけたくなるほどだ。だから日本人に黒澤アレルギーの人が多いのもなんとなくわかる気がする。 それから黒澤映画はひとつひとつの絵の構図がとにかく完璧です。
9点(2004-06-06 02:11:06)
10.  キル・ビル Vol.1(日本版)
タランティーノって、語り口の上手さで見せるウェルメイドの職人だと思ってたけど、その得意手を封じ込めて、シナリオもなにもなく徹底的にハチャメチャやっているのが、すごいというか、なんかキレちゃってるというか、わけがわからなかった。 『ジャッキー・ブラウン』なんて、ほんとうに上質な哀感のあるいい映画でしたけど、『キル・ビル』はなあ~。 スプラッターが嫌いな人、悪趣味が嫌いな人、ナンセンスが嫌いな人は見ないほうがいいです。とにかくまあ徹底してますから。 ルーシー・リューのやくざの女親分はなかなかイカしてたです。決闘の時彼女のテーマソングが流れるんですけど、それが梶芽衣子の『修羅の花』なの(笑)梶芽衣子もさぞかし驚いたことでしょう。 ルーシー親分の部下の女子高生栗山千明ちゃんも、光ってましたね。とにかく女性はアジア系に限りますね。この映画はひどい日本語ばかりで満載なんですけど、彼女が喋るところだけは安心して見られました。 日本語といえば日本人同士の会話がなぜかいつもキーキーと不自然に怒鳴りあってるというのが、笑えました。この映画は亡き深作欣二監督に捧げられているのですが、たしかに深作監督の映画って、登場人物が喋るときいつも怒鳴りあってるような印象があって、それがものすごいテンションを生んでましたからね。ああいうの、言葉がわからない向こうの人が見ると、すごく異様に見えて、おもしろいのでしょうね。 それと、この映画、途中でなぜかアニメーションが入るですけど、これが良くできてた!押井守のスタッフが作ったそうですが、このジャパンアニメの部分が一番よくできてたんじゃないかな?(笑)感動しました。
7点(2003-10-26 08:36:28)(良:1票)
11.  新・仁義なき戦い。(2000) 《ネタバレ》 
『キルビル』のカッコイイテーマソング(?)は、もともとこの作品の音楽。 脚本はよく練られているので、権力抗争劇としてはおもしろい。 まったくヤル気がなくリーダーの器量もない岸部一徳が、その無能ぶりのせいで部下たちの死屍累々の山を築くのだが、最後は結局棚からぼたもちで、最高権力者の座を手に入れるという展開は皮肉でおもしろい。実際のサラリーマン社会でもありえそう。 しかし演出はだるく、へたくそ。これではとても深作さんの跡目は継げない。アクションものとしての期待はまったくしないほうがいいです。(基本的にアクションものではない)布袋寅泰の存在感はなかなかなもの。
5点(2003-10-21 08:03:29)
12.  突入せよ! あさま山荘事件
実在の人物、しかも今現在存命している人物を、映画の登場人物として描くのは無理があります。まるで陰影のないのっぺらぼうの優等生にしか描きようがない。 この映画、監督は自分では意表をついた視点でおもしろいことやってるつもりなんだろうけど、アイディア倒れだと思う。 連合赤軍映画は長谷川和彦監督の本命はいつ見られるんだろう・・・。
2点(2003-10-18 10:51:44)
13.  座頭市(2003)
壮絶な殺陣、タップ、復讐姉妹のあでやかな舞い、そのアイディアの卓抜さ、豊穣さ、絵の美しさ、編集のうまさ、いずれもまさに映画的で舌を巻くほど素晴らしい。 ただし、ガタルカナル・タカを使った一連のコメディ・シークエンス。これらがいずれも凡庸でまるでおもしろくない。市のまぶたに目玉の絵を書いて笑いを取るなんて、そんな安手のTVコントみたいなシーンは必要だったのだろうか。満員の映画館もせいぜい「クスリ」というくらいで、ギャグというギャグは明らかにすべっていた。 でもたけし映画ってどれもそういう傾向ない?天才北野武の映画における唯一のウィークポイントが「笑い」というのがおもしろい。
9点(2003-10-16 22:58:20)
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