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プロフィール
コメント数 170
性別 男性
年齢 43歳
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1.  TOKYO!
例えば裁判のシーンにおいて、怪物が表現する音声及び身振りを、まずフランス人の弁護士がフランス語に変換し、それから日本人通訳が日本語に変換する事で、ようやく裁判官、傍聴人そして我々のもとへ怪物の表現したかった事が伝達されるのだが(逆のルートも同様)、この一連のやり取りは何度も、しかも分割画面まで用いて、反復される。まどろっこしい反復の不毛さもさることながら、怪物が渾身の限りを尽くして示したメッセージが、あの何と言ったらいいのか、聞く者を思わず脱力させる女性の声に変換されただなんて、一体どうして信じられようか。「意味が分からない」「東京(トーキョー)である必要性がない」「登場人物に共感できない」と、ないない尽くしの糞短編映画だがしかし、パンの間に間違えて糞を挟んだサンドウィッチをうっかり食べた時、今まで食べたパンの数を覚えているはずのない者でも糞の味は一生忘れられない事だろう。それぐらいに驚き、かつ爆笑した。ドニ・ラヴァンが夜の渋谷の歩道橋で手榴弾を投げまくる背後の高速道路で走る無数の大型トラックには手榴弾以上の暴力性が纏われていて、思わず背筋が震えた。 
[映画館(字幕)] 9点(2008-11-25 23:27:53)(良:1票)
2.  接吻 (2006)
トニー・スコットの「デジャヴ」や、この「接吻」が教えてくれるのは、画面の向こう側にいる人物に恋をするということが如何に命を賭けた行為であるか、という事であって、擬似的に過ぎない視線の取り交わしの埋め合わせに奔走するデンゼル・ワシントンや小池栄子の姿を見つめる我々観客はこう思う。「こいつ、頭おかしくね?」と。とはいえ、彼らの行動原理はいたってシンプルであり、こと「接吻」においてはそんなシンプルな行動原理のぶつかり合いが、過剰な、日常会話の枠には収められないようなセリフによって繰り広げられる。映画はやがて衝撃のラスト(という言葉が何の衝撃性も持ち得ない事を認識しつつ、それでもそうとしか言いようがなく、映画を言葉で伝達する事の徒労を感じる)を迎えるのだが・・・久々にたまげたよ。小池栄子が凄いのはいうまでもないが、「UNloved」でも凄かった仲村トオルの弁護士としての熱意がほとんど職権乱用状態だったり、篠田三郎と小池と仲村によって交わされるレストランでの会話の不気味さだったり、この映画では皆が皆一様にテンパっている。唯一、我々の生きる現実世界と交信(≒感情移入)が可能と思われるのが、一家皆殺しを実行したトヨエツというのも、おそろしい。
[映画館(邦画)] 10点(2008-07-29 18:38:13)
3.  めがね
映画の中で流れる音楽には、映画内の人物が聞こえる音楽とスクリーンを見つめる観客にしか聞こえない音楽の2通りがあると思う。「めがね」において、前者は光石研や市川実日子が弾くマンドリンとメルシー体操の時に流れるピアノの2つだけだろう多分。マンドリンの方はまあいいとして、どうにも引っかかるのはピアノの音楽である。というのも、体操のシーンでピアノは一度も登場しないし、そのピアノの音楽を流すラジカセ的な機具も、やっぱり登場しないからである。確かにあの海辺に黒々したピアノをドーンと構えるのは勇気の要る事だし、外部からの情報を出力する装置の存在は、いつだってユートピア崩壊の引き金である(携帯もテレビもパソコンも、ここではなんの効力も持ってはいけない)。ユートピアを成立させる為には、その存在自体が矛盾である事を認識しつつ、それでもその存在が確かである事に全身全霊を懸けなければならない。そこまでいかなくとも最低、見かけ上だけでも立派な偽装が必要だろう。ピアノ音の中途半端な使用は、ユートピアの原則に反すると思われた。また、冒頭の空港のシーンであえて空港の名を隠しているのだが、そのあまりに安易な発想による場所の無名性の発露からしてやはり偽装は上手くいってないと思う。でもまあ、市川実日子はやはり才能がありますよ、ツンデレの。
[映画館(邦画)] 6点(2007-10-29 22:06:02)
4.  青の稲妻
退屈、の一言。
[DVD(字幕)] 10点(2007-06-11 18:55:21)(良:1票)
5.   《ネタバレ》 
「台風クラブ」の三上君がやってのけた”厳密なる死”の約20年前、この映画の主人公:国分主将は合宿最終日に胴着を着た格好で自殺した。三島由紀夫の原作をかなり忠実に映画化した本作品は、原作以上に(原作もとても面白い)異様で、息苦しい。文字と映像との比較から言っているのではなく、そこに至るまでの立ち上げ方というか、例えば映画が映画として成立する境界があるとした時、最初に挙げた「台風クラブ」なんかはその境界を綱渡りしているような、そういうスリリングさを感じるのだけど、小説の「剣」は三島由紀夫の高度な技術によってそれが小説として見事に立ち上がる分、そこまででしかないとも言える。翻って映画の「剣」は、撮影や照明の技術、あるいは原作では登場しない文学部の女によるサスペンス的展開を用意する事によって映画の世界を立ち上げるが、その立ち上がった映画的な何かがちょっとただ事でない。国分の存在は純粋な剣道の訓練と等価であり、心理がない。また、彼を取り巻く人物もその無心理にとりつかれ、やがて規律的な運動だけがこの映画の要素となる。とんでもない映画を見てしまった。
[映画館(邦画)] 10点(2007-05-06 00:38:22)
6.  デジモンアドベンチャー 《ネタバレ》 
20分ぐらいの短編ですがこれ、子供の頃見たら高確率でトラウマになっていたかと。DVDに収録してある劇場二本目の「僕らのウォーゲーム」にも驚かされたが、作者の衝動という意味では、おそらくデジモンとの始めての接触を扱ったこの劇場一本目の方がより危なっかしい。あんなに可愛らしかったデジモンがあっという間に成長し、敵と対峙した際にはその凶暴性を解放するというプロセスの前に無力を晒さざるを得ない兄妹。妹はその恐怖に泣きじゃくり、兄は純粋な力に対して憧れに近い感情を覚える。自分たちの力ではどうにも出来ないものを初めて認識する(してしまった)ことを契機とする、成長/喪失についての物語として非常に良くできた作品だと思う。そうそう、ラヴェルのボレロの使い方もユニーク。
[DVD(邦画)] 8点(2007-03-28 13:17:35)
7.  魂萌え! 《ネタバレ》 
まさに「人生は戦場だ!」を信条に生きる事となる風吹ジュン演じる女の戦いの記録とも言える一篇。成瀬巳喜男の「あらくれ」を髣髴とさせる風吹ジュンの爆発的突発的なエモーションに打ちのめされてしまった。暗闇の映画館の中で厳しくスクリーンを見つめるクライマックスの野心に満ち溢れた眼差し(その先で写されるのは何と「ひまわり」、これはずるい!笑)を獲得するまでのプロセスをダイナミックに演出した阪本順治も見事だが、その阪本順治に「女性映画」を撮らせたプロデューサーも素晴らしい選択をしたと思う。登場する人物は皆生き生きしており、また作品の随所で吹く風が彼らの表情に厚みを与えている。傑作。だと思うけど、「トカレフ」なんかと比べると、少しまとまり過ぎた感があるかも。
[映画館(邦画)] 8点(2007-02-18 20:13:04)
8.  武士の一分
花が咲いてたら「花が咲いてる」と言い、蛙が鳴けば「蛙が鳴いてる」と言う。暑いからと襖を開けた途端に、セミを鳴かせてみたり。壇れいが口づけするにも理由が要りやがる。しまいには盲目になった木村拓哉の目の前の庭で光るホタルに対し、壇れいに「ホタルはまだ出てない」と言わせてしまう。あるいは、市井の人々を描くという事を、慎ましさであったりささやかな生活へと安易に変換させる態度。それらが、何の視点も持たない画面が、まるで巨匠・山田洋次の得意技であるかのごとく、歯切れの悪いカット割りで次々と展開される。仮にそれらに目をつぶったとしても木村拓哉のクローズアップで行われる心理描写のウザさは如何ともしがたく、月9か何かで「ちょ、待てよ!」と言ってるキムタクの方がまだテレビだけに安心して見ることができる。時代劇映画が、山田洋次という別に一流でも何でもない監督によって、こういう形でずるずると延命させられているのを目の当たりにするのは何とも耐え難い。
[映画館(邦画)] 3点(2007-01-07 02:37:43)(良:3票)
9.  ありがとう (2006)
生きていることが既に奇跡であるとすれば、生存を持続させる全ての事柄もまた奇跡だろう。だから何も奇跡を特別視することはないのかもしれない。だが、この映画のメインストリームである持続する奇跡、そしてそれが起こらないという疑念すら生じさせない力強さ、これらが実話という事象を飛び越えて、ドライヤーの「奇跡」に接近してしまうという事態を目の当たりにして、ただ言葉を失いひたすら感動するしかないのは何故だろうか。何の気なしに観に行ってここまで打ちのめされるとは思わなんだ。素っ気無く通過されてもおかしくない、「シネコン映画」の一つとして数え上げられるには余りにも惜しい。「ありがとう」は、紛れもなく映画作家による現代映画である。赤井秀和の「ニコッ」とした笑顔の素晴らしさ、薬師丸ひろ子の髪を梳くときの表情、そして田中好子の愛すべきキャラクター。是非もう一度観たいですね。
[映画館(字幕)] 9点(2006-12-27 14:21:22)(良:1票)
10.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
なかなかの力作だった。長回しもそうだが、とにかく窓を使いたいらしく、窓の奥では暴徒が暴れていたり(暴れるから暴徒か・・・)、陰謀が進行していたりと、空間における奥行きのみならず世界観の厚みも効果的に表されていた。ただ、見せすぎである。この監督が好きなタルコフスキーも、とにかく見せるのが好きだ。見せることはそんなに重要か。フレーム内に何でもかんでも入れてしまう姿勢はどうかと思う。確かに冒頭のワンカットにせよ、ラストの銃撃戦にせよ、まあ驚きはするけれども、厳密さに欠けている(プロットを描いた画面に過ぎない)と思った。キーがお腹を出すシーン、マイケル・ケインが最期に妻と話すシーン等の見せ場も同様。しかしこの映画は音が良いと思った。画面の外から聞こえる祈りの声や移民たちが喋る字幕に映らない言葉、ラストの赤ん坊の泣き声なんかも素晴らしい。森の中の風のざわめき、鳥の鳴き声、またこの時代からすれば古い時代の音楽であるロックも。総合的には話の面白さもあり、十分に楽しめた。真っ直ぐな映画だと思う(ジュリアン・ムーアのあっけなさには苦笑だったが)。ところでこの終末観、特に最後で船が出る辺り黒沢清の「回路」が頭をよぎったが、この映画の予算で「回路」を作り直したら、「トゥモローワールド」100本分の価値が・・・なんていっても仕方ないか。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-04 00:21:54)
11.  鏡の女たち
学生時代に、吉田喜重の授業を受けた事がある。映画学校の授業とか講演会ではなく、普通の大学の、しかも理工学部の中にある一般教養の講義の1つで。その講義は半期で、さらに3人の教員が受け持っていた為、実際に吉田喜重が講義をやったのは3,4回ぐらいだった。映画には興味のない人間だったので吉田喜重なんて当然知らず、その講義の中心となったエイゼンシュテインのモンタージュ論もサッパリ。独特のファッションでボソボソと壇上でひっそり講義を進める吉田喜重はなんだかヤバそうなオッサンに見えた。そして多少強引だが、「鏡の女たち」はヤバイ。原爆を語る、その語り口の浅さがとにかく異様。それに対して語り主である女たちは、世界には女しか存在しないとでもいうかのように、女であることを主張する。吉田喜重は登場人物に原爆を語らせるが、画面上で主張されるのは、女は女であるという事。こっちから登場人物たちに感情移入することは多分ない。岡田茉莉子も一色紗英も田中好子も、既にデキ上がってる。映画としての完成度云々以前に、こういう映画が生まれてしまったことの異様さに寒気がする。面白い映画ではない。でも吉田喜重はヤバイ。
[地上波(邦画)] 10点(2006-10-06 23:13:50)
12.  LOFT ロフト(2005)
なんだこれは。ホラーなのかと思ったら気がつくとサスペンスに、そして仕舞いにはラブストーリーなってる。しかも時間が経つごとに映画は逸脱の度合いをどんどん大きくしていくし。破綻というスケールに当てはめられないこの逸脱はオリヴェイラ級。役者も凄い。中谷美紀はメチャクチャきれいだし、西島秀俊の最低人間振りには言葉も失う程で、安達祐実なんかは2人の男を破滅に導く役を演じちゃってる。トヨエツに至ってはもはや意味不明。映画ってこんなに面白くていいの?と思わず自問自答してしまうような妖しい艶で画面一杯張り巡らされています。
[映画館(字幕)] 9点(2006-09-10 00:46:54)
13.  ゲド戦記 《ネタバレ》 
どうも脚本が上手くない。声優の上手い下手は別にして、なんかピンと来ない。例えばゲドが「とりあえず」とか「ほっつき歩く」みたいな事を言うのだが、あなたは本当に大賢人なの?と疑ってしまうぐらいに語彙が貧弱というか。これでは、主人公に道を示す賢明な老人の存在を期待する以前の問題である。あとアレンとテルの後半の臭いセリフ群は、あれは別にそういうものだから気にはならなかったが、一箇所ダイレクトに「心の闇」と言っていた。それは言っちゃあだめでしょう。このアレンという17歳の少年の心の闇がどんなものかわからないからこそ、この映画は作られたのでは?それをそのままアレンの心の闇と言ってしまう事でワイドショーと大して変わらない着地点に降り立ってしまうような気がするが。アニメーションの技術は相変わらず高いと思った。もののけ姫のヤックル(?)のような動物は相変わらずいいし、マントの揺れ方、高所のバランス感覚等、いつものジブリ印は健在だったし、特に今回は夜のシーンが多く、暗色の映像が目立ったが、効果的な黒さが出ていたように思う。そして空のショットは相当に気を使っていたと思われ、雲の動きや色合いは演出とも上手く溶け合っていた。というわけで、ジブリ工房の仕事は相変わらず見事だったが、やはり演出家に問題があり、ポスト宮崎探しはジブリの死活問題であるに違いない、と考えながらハウルを降板した(させられた?)細田守のことが浮かんだりしたわけで・・・
[映画館(吹替)] 5点(2006-08-27 02:41:55)(良:1票)
14.  真田風雲録 《ネタバレ》 
佐助に惚れたお霧が決めた覚悟と、それに対して笑えるぐらいに絶望的な突き放し(千姫に「要は、捨てられちゃったってこと」とまで言われる始末・・・)のこの落差は何?あるいは「勇ましく死のう!」と声高らかに歌い踊る熱狂に対して、真田幸村、大野治長が見せる余りにもコミカルな死に様。でもこの映画に限らず、加藤泰の作品はとにかく感情が動く。しかも常にトップギアのテンションで。感情の変曲点でいちいち対応できない。スピードが速いんじゃなくトルクが凄いのが加藤泰(意味不明)。優しさと厳しさと激情が同居する(「いとしさと切なさと心強さ」じゃ全然足りん)加藤泰の映画はいつだって真剣勝負。ラストは「パリ、テキサス」もビックリの草原を一人で歩く中村錦之助。参りました、としか言いようがない。
[映画館(邦画)] 9点(2006-05-12 12:29:42)(良:2票)
15.  エリ・エリ・レマ・サバクタニ 《ネタバレ》 
冒頭から「ジェリー」のような横移動。この雰囲気で一気に引き込まれる(でも本当は「風の谷のナウシカ」の冒頭っぽいと思った。ガスマスクもしてるし)。レミング病という死の病、それを薄っぺらく語るラジオの声、何気ない風景に突然出てくる死体など、終末観の語り方が魅力的である。「レミング病という人類に絶滅をもたらす病気が蔓延していて、この病気を防止する為にはある音楽を聴かなければならない。そして、レミング病に感染してしまったある少女がその音楽を演奏するミュージシャンのもとへと向かう」という、この図式も興味深い。主人公が世界を救うという、物語が世界の中心にあるような感覚がこの映画にはある。いや、もちろん正確には違っていて、浅野忠信と中原昌也の音楽は病気を防止するだけで治す事も出来ないし、彼らは救世主というよりは隠遁者で、音を奏でる事だけしか興味がない。でもそういう所が逆に救世主的だったりする。使い古され枯渇したはずのこの構図を再び作り直すようにして、さらにこの映画では爆音という飛び道具を用いる。あの爆音の強度があるから、この映画で規定した中心は揺るがないのだと思った。そしてこの強度と対をなすような中原昌也の微笑や探偵役の戸田昌弘の陰、これがとてもいい。冒頭の砂嵐と対照的な雪のラストシーンも良かった。
[映画館(字幕)] 9点(2006-04-20 12:52:25)
16.  立喰師列伝
激動の戦後昭和(偽)史の中で異彩を放った伝説のゴト師たちの系譜を、その方法論から考察を進めながら同時に昭和史を批評的に語るという離れ業をドキュメント番組のような構成で、しかもパタパタ絵(スーパーライヴメーションというらしい)に実写を取り入れるという極めて特殊な方法で実践している。この、「昭和(偽)史」と「ドキュメンタリー構成」と「パタパタ絵」そして「押井守」というキーワードが、全部キャラとして立っていることがまず凄いのだが、そのことによる居心地の悪さも相当のものだ。まあ、はっきり言うと面白くない。それでも、これだけ野心的な作品を世に出したプロダクションIGの創作意欲には、本当に驚かされるし触発される。この作品はアニメでも出来ない実写映画でも出来ない、その間でしか出来ないことをやっているんだと思う。特に、イノセンスでもそうだったが押井監督の身体に対する感覚は、ここでも快速で突っ走ってる感がある。そうでなくてもこの映画は開始からしてすでに暴走モードで、吉本隆明の詩からディズニーランドまで、映像と言葉を駆使して何でも出す。その頂点がファーストフード業界と集団テロリスト化した立喰師たちとの仁義なき戦いだろう。ここはかなり面白かったのだけど、この映画の持つ「全部想定内」的な空間から抜け出せてたわけでもない。バカになるんだったら もっと徹底しなければ。いや、バカであることを演出した時点でもうダメなのかも。んー。
[映画館(吹替)] 7点(2006-04-14 18:28:25)
17.  西鶴一代女
カメラが「もっと田中絹代を!」と求めているみたい。それは欲情に近いかもしれない。仏像を眺める田中絹代の頭にかかる布がスウッと落ちるところや、竹やぶの中での壮絶な自殺未遂のシーンのような圧倒的な映像を見せる部分はもとより、堕ちるところまで堕ちて遂には化け猫扱いまでされてしまうところでも、あるいはラスト、屋敷の中で成長した息子に一目会いたいがために男たちの間を軽快なフットワークですり抜ける、そんなシーンでもカメラは田中絹代を決して離さない。田中絹代が役柄を超えて内面の魂を表に出す瞬間、そしてその瞬間をずっと持続させるかのような溝口の長回し。凄い。雨月や山椒大夫には無かったユーモラスな雰囲気の前半がまた良い。嫁選びの長回しシーンなんて、自分の撮影スタイルをもネタにしているみたいで二重に笑える。戦後の低迷期から上昇するきっかけとなったといわれるこの作品を是非。
[映画館(字幕)] 10点(2005-12-02 00:48:45)
18.  君と別れて
成瀬巳喜男松竹時代の作品。この時代にアイドル映画という概念があったかどうかわからないが、この映画は水久保澄子のための作品といっていいかもしれない。悲劇の女優、水久保澄子。その大きい目は「ミツバチのささやき」のアナのように曇りがなく、力強い。小津安二郎「非常線の女」にも魅力的な役どころで登場するが、この映画での水久保澄子の魅力はそれをはるかに凌駕している。佇まい、視線、感情の起伏。60分足らずの上映時間、ずっと釘付けだった。成瀬の演出が見事なのはもちろんで、特に素晴らしいのは電車の中で明治チョコレートを食べるシーン。ここは本当に素晴らしい。いわゆる悲恋物語であるものの、後期の成瀬のような大人の雰囲気とは一風違う爽やかさに溢れていて、これがまたいい。水久保澄子のその後を暗示させるような(考えすぎ)ラストに胸を打たれつつ、またいつかスクリーンで照菊に出会えることを祈る。
[映画館(字幕)] 10点(2005-11-25 00:57:27)(良:3票)
19.  雁の寺
これって、ある意味で「おバカ映画」のジャンルに入るのでは?あるいはお堅い文芸映画に対する川島監督独特のパロディだったのでは?ラストなんて小沢昭一が俗悪坊主として登場するわ、おまけに母雁が貼りかえられているわでこの作品に対して「なんちゃってね」と言ってるようなものだ。いかにも、といった感じの物々しいテーマや寺の荘厳さと週刊ポ○ト・週刊現○の官能小説みたいなのがミックスされた過去のシーンは、真面目な話をしている校長先生が鼻毛を出しているみたいで、噴き出したくなってしまう。この「ごった煮」感(オフビートっていうよりごった煮という言葉が良いような気がする)。つまりこの映画ってどこを切り取ってもやっぱり川島雄三の映画なのでは、と思う。ロープの演出とか、ラストのふすまを使った大胆なカット割り。そして皆さんがおっしゃる若尾文子の存在。ただ、この映画を最初のカワシマ体験にするのはちょっとリスクが大きいかもしれない。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-06 21:39:39)
20.  秋立ちぬ
何となくネオレアリズモ映画のような雰囲気がある。子供たちを追いかけるカメラの映像からそれを感じる。晩年の成瀬監督の作風とは少し違う、若い頃のリズムが漂っているような。でも面白いのはここで描く子供の目から見た「大人の都合」は絶対に子供の視線じゃないことだ。子供にいじめられるお妾さんがかわいそうで思わず苦笑してしまう。だからこの映画で一番描けているのはやっぱり女で、乙羽信子にしてもこのお妾さんにしてもお互いに弱い立場ながら必死に生きる術を模索している。母と女の使い分けか・・・それにしても子供たちは余りにも可哀相だ(笑)こうやって大人になるんだ、というには酷過ぎる。それでも、デパートの屋上から空を眺める少年の背中はやっぱり力強かった。
[映画館(字幕)] 9点(2005-11-01 23:49:17)(良:1票)
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