1. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 今みました。皆さんと同じ、最初は『おかしな映画だな、ふざけてるのか』と思っていましたが、麗子の『河崎君はもういない』辺りからのめりこむことができました。一番悲しかったのはやはり琴美の最期・・・。犬の無事を(やつらから救えたのはたった一匹だったけれど)見届けて、琴美は安心して逝ったと思います。またこの映画では、瑛太の魅力を初めて知ることができました。ドルジがあれほど流ちょうな日本語を話せるようになったのは、それだけの理由があったんだな、一人ぼっちになってしまった彼の心情も悲しかった。映画の最後に出てきた柴犬は、琴美の救った柴犬に似ていたな、かわいかったな。ドルジがどうなるのか観る人にゆだねたところ、苦しいけどそれでよかったと思います。 [DVD(邦画)] 10点(2014-03-20 14:42:29) |
2. 夜叉
《ネタバレ》 劇中の冬子と同じく『何でそこまで』感はやはり少し残る。でも『一度でも情を交わした女のために義理を果たさはったんや』と再度観てみて思った。健さんの魅力は素晴らしいですが、せっかくミナミの雰囲気を出そうとするんなら、何でたけしやったん?って思います。シャブ中患者の怖さは迫力満点。いいですが、あのしゃべり方はないでしょ?関西弁のしゃべれる人はようけいはるのになんかもったいないなぁ・・・。そこが減点です。いしだあゆみ・田中邦衛・大滝秀治・田中裕子(色っぽいですね)など、脇(出色は奈良岡朋子。姐さんが板についててかっこよかった!)が素晴らしいだけに余計にそう思う。当時女子大生の私にとって、この時の健さんはまだまだ恋愛対象でした。ほんまにかっこいい・・・。 [映画館(邦画)] 9点(2012-02-08 16:44:55) |
3. 悪人
《ネタバレ》 新聞連載時からのファンで今回の映画化を楽しみにしていた者です。光代の気持ちが痛切に伝わってきて、館内では涙涙、でした。原作に近い作りで期待外れというわけではないのですが、ちょっと不満な点が二か所ばかり。祐一の母親が現れて「私から金をせびるのよ、千円二千円で生活してる私から・・・。」祐一自ら加害者に立つことに依って、母親の立場を少しでも軽くしてやろうという彼の優しさが映画では伝わってきませんでした。もうひとつは、原作で祐一の性格を表した友人の「あいつは起承転結の起と結しかない」という一言がなかったこと。最後の最後、光代を罪の意識に駆らせないように、と祐一は光代にあんなことをしたんだと思う。そこが祐一の優しさなのに。祐一がかわいそうでした。小悪人佳乃が、問題の夜圭吾の車に乗って行ったシーン。祐一の、何かが爆発したような目つきは鬼気迫っていた。妻夫木君うまいなぁ、と思いました。 [映画館(邦画)] 8点(2010-09-17 14:12:58) |
4. 12人の優しい日本人
《ネタバレ》 なんでこれがこんな高評価? 俳優陣の舞台演技さながらの大袈裟な演技にまずしらける。 全然面白くない。 古畑は面白かったが、三谷さんには全く失望。 彼がリスペクトしてやまない名作『十二人の怒れる男』は大好きで、 もう百回以上はみた。 この作品のどこが一体、かの名作に関連しているのであろうか。 観賞時間を返してほしいくらいの駄作。 見た記憶も消したい。 [DVD(邦画)] 0点(2010-06-28 20:00:24) |
5. 春の雪
まず三島由紀夫を敬愛してやまない私にとって、このキャスティングにがっかりしたものだ。でもそこは三島ファンとしてみずにはおれない性・・・。 観終わっての感想は『ツマブキ君、予想外によかったやん!』というものだった。 彼は声がいいですね、顔はお目目ぱっちりのアイドル顔そのものなのですが 声が低めで渋い。そこでかなり救われたと思います。 惜しむらくは高岡君の’本多’です。『豊饒の海』全4篇の傍観者として 存在感をもっと出さないと。 ここでの本多は、飽くまで<主人公の親友>の域を出ていません。 監督の指示だとすれば、監督は『豊穣の海・全篇』を撮る気はないと見た。 清顕・聡子ともに、そんなに好きなら素直にくっつけばええやんか・・・というわけに行かないのが三島作品の三島作品たる所以であり、この辺の機微は原作も読んで鑑賞した方がわかりやすいと思う。 [DVD(邦画)] 5点(2009-05-06 17:02:13) |
6. 隠し剣 鬼の爪
《ネタバレ》 お馬鹿な私はこれがテレビ放映されるのを知らず、レンタルで借りてきました。 一日目DVDで観、次の日テレビで観ました。 でも「損した!」という気にならなかったので、私の中ではいい映画だったな、という印象です。 真田広之と比べると永瀬正敏はずいぶんうだつがあがらないように見える。 その気さくさ・泥くささが、女中にすらからかわれる原因だ(正直、この時代いくらいい人だとは言え、あるじであるオサムライさんにこんな言い方するか?と違和感があったのは確か)。 でも実直さは見えてよかった。野茂英雄さんに似ているからそのイメージもあると思う。 あの高島礼子を退ける所からもそれが窺える。 個人的には、田舎ざむらい役の『赤塚真人』さんがとてもよい役者さんだと思うが 名前が載っていないんですが・・・「たそがれ」でもそうだったけど。 [DVD(邦画)] 8点(2009-02-10 06:55:50) |
7. たそがれ清兵衛
《ネタバレ》 主人公が垢染みた侍なのですが、美しい瞳と清潔感あふれる真田広之だからこそもったのではないでしょうか。下手なキャスティングでは真にうだつの上がらない役になってしまいます。 そんな彼に惹かれる朋江さんも美しくまた聡明で魅力たっぷり。 そんな主人公二人の美形振りだけでなく、脇役陣も立派。 吹越さんよし、故深浦さんもよし、お父様と声のそっくりな梅雀さんよし、と安心してみていられます。 特筆すべきは田中泯さん。狂暴なだけの野蛮人ではない証拠に、まずは相手の技量を認めて和やかに話が進みます。それが一変する時のあの迫力にはびっくりしました。 あの、眼が光る一瞬だけでも、この映画を見る価値はあると思います。 [DVD(邦画)] 9点(2009-02-05 23:23:28)(良:1票) |
8. 山桜
《ネタバレ》 数ある藤沢作品の中で最も好きな『山桜』が映画化された。 野江の雰囲気がどうも田中麗奈ではないような気もする (彼女なら、ちゃきちゃきのおきゃんな町娘のイメージ)。 手塚弥一郎はというと、原作には「男にしては優しすぎる目元」とあるので 若い時の中村雅俊などぴたりだったんじゃないかと思う。 とはいえ、予想外に東山紀之はよかった。 寡黙で正義に篤く侠気のある役どころがはまっていた。 今後が非常に楽しみだ。 食事時の礼儀作法・季節感を楽しむ気持ちのゆとりの有無で、 家格あるいは人格の違いを表していたり、 大目付に出頭する手塚と米倉(この人も正義の人であった)の視線だけのやり取り、 静かに逼塞していた手塚の母堂が、野江が来るようになり扉を開け放したり、と そこかしこに隠してある旨み、みたいな物を探すのも楽しかった。 冨司純子はさすが。画面に登場するだけで暗がりに明るい光が差すかのようだった。 それも、野江が訪ねてきた時はちょっとやつれている感じであったが、 次にはふっくらしたと母性が表れていた。 全体としてよかったが、一青ようの歌は私にはちょっと合わなかった。 [DVD(吹替)] 8点(2009-01-14 17:53:52)(良:2票) |
9. 模倣犯
宮部さんが描きたかった、犯罪周辺の人たちの悲しみを 面白おかしくあげつらい果てには泥を塗ってどぶに捨てた、 いえ、そんな表現ではとても足りません。 もとの小説を読むのを躊躇されているならぜひ読んでください! この怒りが解っていただけるかと思います。 宮部さん本当にお気の毒です。 [映画館(邦画)] 0点(2008-06-27 23:32:51)(良:1票) |