1. 君の名は。(2016)
彗星を「いかにも恐ろし気」な描写にはせずに美しいものとして描いたセンスに脱帽。単なるプロモ映像とは違う、映画ならではの付加価値に満ち溢れている。この映画のことを何も知らない人にこの彗星のシーンだけをパッと見せた場合と、最初からの流れで観た場合とではまるで異質な感じられ方になっている訳だ。むう、この監督なかなかやりおる。スタジオポノックとはえらい違いだ。 良い物には何でも付加価値がある。例えば戦国時代の茶器。あんなもの本来はただの泥の塊だ。だがそれに「これこれ高名な焼き師がこれこれの意味合いを込めて形作った」というバックボーンが加わった途端に計り知れない程の付加価値が付く。ただの泥の塊と名器の差、それは付加価値の差だ。付加価値があるものは良い物なのだ。故にこの彗星のシーンは良い物だ。 但し、この映画には良くないシーンもいっぱいある。なので点数を付けるとなるとまあこれぐらいになってしまう。いくつかある良くない要素のうち最たるものは人物描写だ。私がこの映画を観てからまだ3日しか経ってないというのにもう早くも主役二人以外のキャラクターがどんな連中だったのかを忘れ始めている。 [地上波(邦画)] 7点(2018-01-07 23:22:32) |
2. おおかみこどもの雨と雪
アニメ史上屈指の傑作というから「どれどれ・・・」と観てみたらもうびっくり! [地上波(邦画)] 3点(2017-04-08 15:35:45) |
3. トップをねらえ!
あしたのジョーという漫画があります。この漫画の中で、ジョーが力石にクロスカウンターを決めた瞬間の一コマ(以下Aとする)と、ジョーが真っ白に燃え尽きているラストの一コマ(Bとする)は共に物凄く強い感銘を受ける画です。でもこの二つの画の性質はかなり違います。Aは漫画以前にイラスト的に優れた画です。だからこのコマ単体を切り取って、あしたのジョーという作品のことを何も知らない人に見せてもその人はきっと「おお!なんだか知らないが異様な迫力のある画だね」とか感銘を受けると思うんです。するとこのコマは必ずしも漫画的に凄い画とは言い切れないんじゃないか?という疑問もなくはないです。一方、Bの方をそこだけ切り取ってやはりあしたのジョーの事を何も知らない人に見せたとしても、多分その人はそんなに感動しないと思うんんです。「ん、なにこれ?練習生の子が疲れてぐったりしてんの?」とか言うだけではないでしょうか。てことはこの画は漫画という流れの中で観たときにのみ❝見えない付加価値❞というやつが猛烈にブワ~ッと吹き出してくる画ということになります。「これがイラストではなく漫画の一コマである必然、意義」とかいうものが凄~く凄~くある画ということになります。漫画的に凄い画とはこういうコマのことではないでしょうか。 E.T.という映画があります。この映画の自転車のシーンは絵的には大変素晴らしいシーンで私も好きなシーンです。でもこれをあしたのジョーで例えたらAになりますよね。あの自転車のシーンだけを切り取って、何か全然関係のないプロモ映像のワンシーンとして作り直してしまって、で、やはりE.T.の事を何も知らない人(滅多にいないでしょうがw)に観せたとしてもその人は多分「おお!なんてセンスオブワンダーな映像なんだ!」とか感動すると思うんです。てことはこれまた「本当に❝映画的❞に凄いシーンと言えるのか?」という疑問も無くはないわけです。 第三の男という映画があります。この映画の中でのウェルズの初登場シーンもまた絵的に凄いインパクトがあります。しかし私が思うにこのシーン、下手にストーリーというものが存在し、そのせいで(この画的に)余計な制約が入ってしまう映画の中で観るよりも、何も知らない真っさらな状態でいきなりポンッと観せられた方が「うおお!なんじゃこの男の異様な迫力は! こいつはいったい何者なんだ? なんでこんな笑い方をしてるんだ? 何をしようとしてるところなんだ? そもそもここはどこなんだ? こいつは今までどこにいたんだ? 隠れていたのか? 誰かに追われるような悪いやつなのか? ここからどこかへ行こうとしているところか……」とかあれやこれやの想像力を連鎖反応的にブワブワブワア~ッと刺激されまくる凄まじくセンスオブワンダーな映像になったと思うんです。てことはこれはBとは全く逆にプロモ映像として観たときにこそ本当の真価を発揮する映像なんじゃないでしょうか。 セッションという映画があります。これのラスト何分かのシーンは上記とは全く逆、つまりBタイプだと思うんです。あのシーンだけを切り取って、やはり何も知らない人に見せたとしてもそんなに物凄くは感動しないはずです。ところがどっこい、これが映画の中で観せられた途端に❝見えない付加価値❞ってやつがギュ~ンと急上昇する訳です。てことは「これが映画のワンシーンである意義」ってやつが凄くあるシーンということになります。「これぞ映画だ!」ってやつです。 で、このトップをねらえなんですが、この映画のラストシーンもまた明らかにBです。あれ自体を何も知らない人に観せてもそんなには感動しないはず。あの猛烈な感動は映画の中で観たときのみのもの。❝見えない付加価値❞の上昇率がもう半端ないです。 続く……。 [ビデオ(邦画)] 9点(2017-04-08 15:10:45)(良:1票) |
4. 王立宇宙軍 オネアミスの翼
なんか普通につまんなかったんですけど…。これそんなに面白いっスか? 同じ岡田斗司夫&庵野秀明コンビによる作品としては「トップをねらえ」の方が断然面白いと思うんですけど。 [DVD(邦画)] 4点(2014-11-19 13:54:44) |
5. となりのトトロ
原始ミュージカル映画。 [地上波(邦画)] 9点(2014-10-10 09:18:08) |
6. 乱
個人的な話で恐縮なんですが、私は子供の頃からずっと疑問に感じていたことがありまして、それは「この世に神様がいるなら、どうして人間社会の争いごとがなくならないんだろう。どうして哀れな境遇にいる我々を救ってくれないんだろう」というものでした。そしてその疑問に対して、思いがけない解答を与えてくれたのが、チャップリンと黒澤明さんだったんです。「悲劇を遠くから見ると喜劇になる」これを教えてくれたのはチャップリンです。そして「人間社会のいかなる事象も神には美しく見えている」これを教えてくれたのが黒澤明さんだったんです。いや、もちろんはっきりとそう仰った訳ではありません(チャップリンは言いましたけど)。でもこの作品を初めて観た時、もう頭にズッガ~ンという衝撃が走ったんです。大勢の人間が殺しあう合戦シーン。燃える城。絶望に駆られて自決する女達。傍で見れば目も当てられぬほどに残酷なはずの首無し少女の死体…。不謹慎を承知で言わせて頂きますが、私は正直、これらを観た時「ハハ~、なっるほどな~! こりゃ神様も我々のことをほったらかしにするわけだわ!」と思ってしまったんです…。もちろん、だからといって黒澤さんが「ね、わかるでしょ? 神様は人間のことを善か悪かで判断してるんじゃないの。美しいか否かで判断してるんだよ」というメッセージを込めたという証拠などはありません。単なる私の個人的な感じ方です。でも私には、一般に言われている「黒澤さんが言いたかったのは、人間社会の愚かさ、因果応報、憎しみの連鎖、その他もろもろがなんたらかんたら…」という類の意見は割とどうでもよくって(←何様)、要するに「神の視点で見れば、こんな醜い争いもこんなに美しく見えてしまうんだよ」という、ある意味では「因果応報うんぬん」どころでは済まないスーパー絶望レベルのとんでも残酷メッセージが込められてるんじゃないかなーと思うんでありますが、どうでしょうか。 あ、それから最後に一言。私、だいぶ前に何がしかのレビューで「この映画におけるスローモーションシーンは大変に美しい」とかなんとか書いた記憶があるんですが、今回久しぶりにテレビでやってたのを観たところ、スローモーションなんぞ一ミリも出てこないことが判明しましたw あっれ~、おかしいな~^^(←バッキャロ~!) [地上波(邦画)] 9点(2014-05-01 23:18:52) |
7. 愛のむきだし
かなり期待して観たのですが久しぶりに心底がっかりしました。作品の内容云々以前に、各役者の演技力のレベルが余りに酷すぎるのがどうしても気になったんです。どれぐらい酷いかというと、もしこの映画の監督が溝口健二さんだったとしたら未だに撮影が続行中になってるんじゃないかと思うぐらいに酷かったんです。観ている側が「ああ、きっとこの人は今こんな感じの表情をしているつもりなんだろうな」と脳内補完をしてあげながら観なければいけない作品というのはプロフェッショナル作品としてはちょっとどうなのかなと…。すいません、4点です。 [DVD(邦画)] 4点(2013-10-18 23:21:10) |
8. ラスト サムライ
《ネタバレ》 まず思ったのは、日本の時代劇(というか邦画全般)につきものの「ジメッとした湿気感」が程よく抑えられてるなーということでした。ニュージーランドの気候の影響もあるんでしょうが、日本人ではない外国の監督さんによる感性の影響も大きいのかなと思えます。私は日本人の癖に湿気が苦手なのでこれには好感が持てました。そのせいで、凡百の邦画の自然風景に比べると、清潔感、透明感が増しているように思えました。そして一部で非難囂々の、侍や忍者の設定、服装に関してですが、私にはナイスアレンジに思えました。「な~んだ、悪評の割には全然オッケーじゃん」とか思いましたけどねー。そんなにダメでしょうか。また、最後の戦闘シーンも迫力がありました。落馬シーンなど、「ひょっとしてこの監督さん「乱」の影響受けてる?」と思えた箇所もありました。その他、映像面に関しては全体的に好印象を持ったのですが、プロットには大いに不満が残りました。序盤からの大まかなプロット進行は「主人公が難関に遭遇して一度は敗北を味わう。その後、最初の時点ではマイナスイメージだったはずの蛮族的な連中の仲間になり、彼らに鍛えられる事によって主人公の能力がアップする。人間的にも成長する。そして再び訪れた難関では今度は勝利する…」とここまではとても面白いんです。でもこの後に、ハリウッド的な常識展開としては、「難関を突破した事によるご褒美イベント」を少なくとも10~20分ぐらいは入れるべきなのに、それをすっぽり省略してしまって、ひたすら刹那的な展開が続いていくんで、ちょ~っと気分が滅入り気味になっちゃうんですよね。ここがどうしても気になりました。だから、映像は凄く気に入ったのに、点数をつけるとしたら7点ぐらいになります。8点はいかないんだよなあ…。 [地上波(字幕)] 7点(2013-09-18 01:19:25) |
9. シベリア超特急
もちろん水野さんが「笑いを取ろう」などという気は全くなかったのは分かります。が、物は考えようで、結果的にとはいえ腸がよじれる程の思いをさせてくれたということは、映画の究極の目的である「観た者に驚きと楽しみを与える」という条件は満たしていると思うのです。ですからこれは合格点です。はい、6点。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-25 16:07:35)(良:2票) |
10. ゲド戦記
(いかりや長介の口調で)ダ~メだこりゃ。ちゃ~らぁ~ら~らぁ~ら♪ [地上波(邦画)] 0点(2013-08-25 15:51:45) |