1. 必殺!Ⅲ 裏か表か
《ネタバレ》 カネに翻弄される人々を描いて凄まじい虚無感。本作は主水たち仕事人の相手が単なる悪人集団と言い切れないところが陰惨さを増加させてますね。幕府に叱責されてるシーン、彼らもまたカネに支配されてるのだという事実。意見の違いが果てしのない殺し合いとなる救いのなさを描写する工藤栄一監督らしい緊張感のある美しいカットと迫力満点の殺陣。敵も味方もみんな死んでしまって終わるではと思いました。クライマックスの殺伐とした展開の果ての主水の必死のぶった斬りは圧巻。 中盤の奉行所に見捨てられ心が折れそうになるもグッと耐えて生き延びる主水、秀との少なくもしっかりとした言葉のやりとりをする主水、女にデレデレな主水、主水の様々な顔を見られて満足。でも一本の映画としては明らかに色々端折りすぎですね。成田三樹夫どーなったのよ?上映時間の問題があるとはいえ勿体無さ過ぎる・・・・・・完全版は絶望的なのでしょうかね。 [DVD(邦画)] 8点(2015-02-09 20:37:03) |
2. だいじょうぶマイフレンド
《ネタバレ》 原作未読。観る前にあらすじ読んだ時は、ストーリーは結構まともで他が駄目な映画なのかな?と思いました。甘かったと猛省しております。 適当極まる場当たりな展開と素っ頓狂なやり取り(「頑丈なんですね」がお気に入り)の中繰り返される金玉金玉と言ったりのほんっとにしょーもないのに伏線と設定に関係してる下ネタ、演技でなくてやる気ないだけではないの?というピーター・フォンダなど脱力要素にほぐされて強制的にリラックス体験。なんて憎めない映画!根津甚八と岸辺一徳をますます好きになったのでお得感あり。この映画から勝手に奪い取ったメッセージそれは、いきていてもだいじょうぶマイフレンド。 [DVD(邦画)] 0点(2014-01-26 18:48:05) |
3. 幕末太陽傳
《ネタバレ》 大変に面白い映画でありました。ちょっと信じられないくらい凄い。粋なスピード感で押しまくるのかなと思ってたらフッと翳りのある場面が挟まれたり、抑揚のつけ方が抜群。落語ベースの喧騒の中で段々と集約していく物語の構成も素晴らしい。フランキー堺最高!ビシッと決まったセットやダイナミックなカメラワークにも目を引かれました。観賞後に幻のラストの事を知って、残念至極。そっちの方のラストを観たかったな。それで9点にしようかと迷いました。でもやっぱり10点!! [DVD(邦画)] 10点(2013-12-19 00:17:37) |
4. どん底(1957)
《ネタバレ》 原作未読。役者の演技が皆キレッキレで名演の応酬の群像劇ときたもんだから、私の五臓六腑に染み渡る様でございました。長屋からみんなが出て行ってふっと無人になり、人が入ってくる、あの間が良い。ラストの締めが悲しくもかっこいい。他人様から見たら只のつまらない嘘でも何でもすがるものがなきゃ生きていくのも辛いのよ。といってただすがるだけでどうにかなるでもない。黒澤映画の底に流れるものの一面を見た思いです。時を置いてまた観たい一本。 [DVD(邦画)] 8点(2013-12-13 07:31:20) |
5. 仇討崇禅寺馬場
《ネタバレ》 く、暗い・・・恐ろしく悲しく、また美しい。 ある二人のつまらぬ「虚栄」によって生まれた諍いが仇討ちを招き、仇討ち騒動が更に多くの人々に悲劇をもたらし、その中心に置かれてしまった大友柳太朗はアイデンティティが崩壊、生きる事も死ぬ事もままならなくなり狂気へ沈み込んでゆく。どんどん過激になる凄絶な演技、怖いです。一方で画はさすが綺麗で、台詞のやり取りも粋。 伝染病の様に広まり深まりゆく悲劇もお馴染みの群集シーンによって彩られ、ああこの監督の映画だなあと思わせてくれます。抗いがたい陰鬱な魅力に満ちています。僕は好きですね。。。 [映画館(邦画)] 9点(2013-10-20 18:16:21) |
6. 日本海大海戦 海ゆかば
《ネタバレ》 戦艦三笠の乗組員、特に軍楽隊の人間に的を絞っており、東宝の「日本海大海戦」や兄弟作といえなくもない「二百三高地」とはまた違ったつくりなのが面白いです。序盤で「二百三高地」の映像がはさまれるのに配役が異なるものだから若干混乱させられました。ナレーションが仲代達矢なのには微笑。演出や撮影が淡白で物足りないところが多いのと、音楽がとても重要な話なのに全体的に「二百三高地」より音楽が印象に残らなかったのは残念です。ストーリーの構成と、終盤の日本海海戦の迫力、意図的なわけのわからなさ具合は白眉。こういうやり方もあるのだなと感嘆しました。 [DVD(邦画)] 6点(2013-09-02 15:58:31) |
7. 零戦燃ゆ
《ネタバレ》 零戦と出会って海軍で頑張る事を決意した青年二人と零戦が縁で彼らと出会った少女、そんな三人の青春物語、という主軸は素敵ですね。 ここに焦点をきっちり当てていたらかなり面白くなったかも? 残念な事にこの映画のストーリーは色々な所に色気を出してしまっており、散漫です。 大局的な戦争の推移、技術担当者達の苦悩、戦闘機隊の戦いといった各要素はどれもそれだけで非常に面白いものです。 しかし詰め込みすぎの結果かみ合わずに上っ面をなぞっているだけになってしまい、青春物語の部分の魅力すら削いでしまっています。 本作では豪華キャスト陣は完全に裏目。顔見せ程度に名優、スターが何人も出るものだから散漫さに拍車がかかってます。 かっこいいシーンは結構あるのに無粋な事がされているのも疑問です。 特撮の空中戦の最中に記録映像とおぼしきものをポンポン差し込むのはギャップありすぎで興ざめですし、 ラストからスタッフロールにあれだけ良い画をもってきながらぶつ切りで終わってしまうのもがっかりしました。 「風立ちぬ」の補完としては特に前半に面白い部分がありました。 舛田&笠原コンビの、惜しい、本当に惜しい映画です。 [DVD(邦画)] 4点(2013-08-30 21:52:20) |
8. 風立ちぬ(2013)
宮崎駿監督、行き着くとこまで行っちゃいましたね。好きなものや言いたいことを目一杯詰め込んだ……遺言状?以前から顕著だった構成力の喪失や声を当てる人の意固地な選び方、自身のやった事の焼き直しなどがこの作品では何故か奇妙にもうまい具合に混ざり合い、全編にわたって独特の雰囲気を感じさせてくれました。良い映画かときかれるとう~ん、好きかときかれると好き!、そんないびつで心惹かれる映画です。 [映画館(邦画)] 7点(2013-08-26 19:26:12) |
9. 模倣犯
《ネタバレ》 観客をバカにする、ふざけまくるということを表現した映画なのかなあと思いました。監督特有のシュールな空気がうまく表現されている箇所は面白い。しかし単に退屈な部分が相当多くて参りました。引っ張った挙句の首ポーンは爆笑。あそこのところは山崎努の台詞がとってつけたような白々しいもので彼が大根役者に見えてしまったのも笑えました。中居君の演技は映画の軽薄さと合っていて良かったです。 [DVD(邦画)] 2点(2013-08-05 10:50:55) |
10. デビルマン
《ネタバレ》 子役や鳥肌実の演技などごく微かながら良い所はありました。まさに焼け石に水。あとは率直に点数のみつけさせていただきます。 [映画館(邦画)] 1点(2013-08-05 10:33:03) |
11. 博奕打ち 総長賭博
《ネタバレ》 かっこつけすぎだぜい!と言いたくなるほどの撮影、カットに惚れ惚れ。 仁侠映画というジャンルのルールを逆手にとったストーリー展開の隙のなさにメロメロ。 ラストで主役の鶴田浩二に突きつけられるナレーションの無情と、鶴田のあの行為。音楽の入り方のタイミングの巧妙さ、名和宏が他の映画と比して抜群にかっこ良い等の役者の見せ方。もがけど沈んでゆく鶴田の姿には監督、脚本家、主演男優の方向性の一致を見たり。と、もう10点!と言いたい映画です。 だがしかし、私はこの映画に10点つけられんとです。堪忍です。何故か。全く個人的な理由によります。この映画の悪役である金子信雄の顔芸が気になってしかたないのです。彼が出る度もうあの顔芸が気になって気になって、映画の本筋から脱線したところで楽しんでる自分がいるのです。仁義なき戦いだと脱線しないんですよねえ。ごめんなさい。この映画も金子信雄も大好きです。差し引いても9点。 [映画館(邦画)] 9点(2013-07-31 21:49:07) |
12. 日本暗殺秘録
《ネタバレ》 オールスター陣が実在の日本のテロリスト達を熱演というだけでも満足なのに脚本ががっしりしててお腹一杯。POV方式を用いている話には驚きも(テロリストのPOV…)。 惜しむらくは怒涛のテロ話連打の後に出てくる千葉真一主演、血盟団編の長さ。ここでいきなり話が長くなりテンポがかったるく感じられてしまうのが残念です。長いだけの理由がちゃんとあるものの、自分の体感では長いです。好青年な千葉真一、テロリズムの真髄を熱く語る田宮二郎や胡散臭い迫力に満ちた片岡千恵蔵の演技などは最高。そしてラストの226事件でのトラウマもんなクライマックスの画を超えてゆく鶴田浩二の演技も最高。 エピソードだと高橋長英主演、ギロチン社事件の会話と切なさが印象的。 個人的な愛着も込めて8点とさせていただきます。 [映画館(邦画)] 8点(2013-07-29 23:38:24) |