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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  怪盗白頭巾 前篇 《ネタバレ》 
・「河内山宗俊」の特典として収録されていたものを見た。  何やら怪しい算段をしてそうなオッサンと老人。 そこに障子を開き刀を上にかざしながら突入する怪盗白頭巾の一味!!  刃が空を斬り、その直後に捕り手たちが群をなして迫り来る。  白頭巾は仲間を逃がして殿を買って出る。 障子に隠れ、敵が来た瞬間に浴びせる一撃。 複数の捕り手と切り結び、斬られた敵が障子とともに倒れたりして、フィルムは終わる。
[DVD(邦画)] 9点(2017-04-24 18:42:26)
2.  ほしのこえ 《ネタバレ》 
日差しが注ぎ込む電車の窓、その窓辺で携帯を打ち続ける少女。 回想、階段、椅子が逆さまに置かれた机と教室、星を背にたたずむロボットの中でも、宇宙船の中でも頭の中は好きな男の子のことで溢れかえる。その気持ちを携帯電話のメールにしたため続ける。  ゲームオープニングの制作にも腕を振るってきた新海誠。この頃から異常なまでにリアルで美しい風景を楽しませてくれる。 雨を予感させる積乱雲、飛行機雲、ドアの向こうの夕暮れ(「彼女と彼女の猫」でもドアの開閉は印象的だった)、夕陽に染まる雲、星空、クレーターの中の市街地と水辺、桜の花びらを運ぶ風は寝ている者を揺り起こし、ミサイルから尾を引く雲、爆炎、宇宙空間に飛び散る鮮血、しぶきをあげるように星の海へ飛び出していく宇宙船、鳥の群、足跡はクレーターになり水たまりへ。 雨が降りしきるのは雨宿りさせ二人だけの時間を作るため。  メールのやり取りが断たれてしまう光景は「君の名は。」にも繋がる。  登場人物たちは漫画的な(眼がデカい)タッチ。 風景は二人の心情を表すように変化し続ける。汗と涙を落とし、開閉する遮断機の前、降り積もる雪の中、雲間から降り注ぐ木漏れ日の下で立ち尽くす。  傘を断るのは「あの人」に悪いと思うから。だからこそ待ち続け、返事が来るのを、帰って来ることを信じ続けたのだろう。  異文明との衝突、対話、ただ「会いたい」というエネルギーが彼女を動かし続ける。その果て…贈り続けたからこそ「文字」ではなくそこに込められたものが伝わったのだと思う。声に、言葉にならないような想いが。  切ない。実は生きてて再会できたとかないんですかねえ。もれなくタルシアンが地球にお礼参り(ry
[DVD(邦画)] 8点(2017-03-27 07:32:26)
3.  彼女と彼女の猫 《ネタバレ》 
1999年制作のフルver.を見た。  白黒の画面の中を四季がめぐり、ナレーションによる語り。  雨が降りしきる外、傘の下で微笑む?猫との出会い。 猫だけ漫画のキャラの様にデフォルメされ、顔がハッキリ映されない彼女の衣服はかなり描き込まれている。  髪、化粧、人間である彼女には母親のようなぬくもりと憧れ、同じ猫の彼女(コッチもデフォルメ調)にはそんな姿を嫉妬されてしまう。  空を覆う雲、カーテンを揺らす風、倒された椅子、こぼれる涙、座り込んだ姿が伝える哀しみ。  撫でてくれる手、白い息を受け止める手、扉を開き今日も出ていく。  これの続編?にあたるのが「Everything Flows」版なのだろうか。
[DVD(邦画)] 8点(2017-03-26 14:02:37)
4.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
霧、霧、霧である。 冒頭から行く先の見えない光景に遭遇し、霧が晴れたかと思えば、磔にする責め苦と説明過多のナレーションによる二重の拷問を観客は受けることになる。  主人公たちが乗る船は常に視界を阻まれるように霧が発生し続ける。スコセッシが敬愛する溝口健二「雨月物語」の船がそうであったように。 噂だけしか入ってこない先人たちの現状、この目で直接見なければ納得がいかない。霧をかき分け、海原を超えてでも真実を知りたい。時折上から見下ろされているような視点。まるで神が見守っていてくれているとでも思いたげな。 自らも小高い丘から見守ることしかできない苦しみを味わうなんて知らずに。  信用できない水先案内人、洞窟に取り残される不安、松明を掲げる者が静かに十字を切ることでようやく表情が緩む。  日本側の容赦の無い隠れキリシタン狩り、弾圧の様子。 村を材木が散乱し野生の猫が跋扈する無人地帯にし、押し寄せる波に晒し、抜刀して首を跳ね飛ばし、簀巻きにして海の中に沈め、血を垂らしながら逆さまに吊るす“見せしめ”の数々。  壁に刻まれた母国語、再会させるのは、目の前で処刑を行うのは、踏みにじらせるのは異邦人の信仰心をへし折るために。  スコセッシが今までの作品で描いてきた死にたくても死ねない生き地獄。床や水面に見る“幻”、主の声(幻聴)、幾度も気が狂ったように自分自身を嗤う。生きる恥をさらし続けてまで生き延びる意味を探しながら。  家財道具に刻まれた無言(沈黙)の抵抗。 何度も何度も許しを請い逃げて来た男が首にぶら下げる「逃げるのをやめた」証。   遠藤周作の原作との決定的な違いは、「夜明け」という希望の灯が昇らない点にある。闇の中で蝉の鳴き声だけが響き続けるのだから。  その代わりに燃え盛る焔、掌の中で鈍く輝く“尊厳”が無言(沈黙)の抵抗を示すのだ。  かつてイエス・キリストを題材に「最後の誘惑」を撮ったスコセッシだ。この映画もまた、こんなご時世だからこそ存分に“挑発”し、問いかけるような作品だ。
[映画館(邦画)] 8点(2017-02-09 09:31:59)(良:2票)
5.  ボビーに首ったけ 《ネタバレ》 
実に興味深い映画だった。どうしてこれほどの作品がDVD化されないのだろう。誰か出してくんねえかな~。  霧の中で点滅する灯、それを頼りに疾走する車、轟音をあげるバイク。  ヘルメットをかぶり(それまでノーヘルだったのか…)、画面の奥から迫り来るように走り去っていく。そこからこの中編は始まる。  この作品は実験的趣向に溢れており、特に「光」やそれが強調する「黒い影」の動きが印象的だ。  女のモノローグ、机の上に置かれた「もの」によってそれが手紙の内容だということを観客はさとる。 シャッターを上げた先に拡がる空間に貼られたバイクの写真、ラジカセ、白い光の中から駆け寄る者。  黙々とバイクの整備を続ける黒いシルエット、その周りで舞い踊るように語り掛ける少女。男はそれに淡々とした喋りで応え続けるが、座席にベッタリ寝そべっても怒らないくらい親しい間柄なのだろう。  逆光、人形のようにギコチナイTVの中の人間たち、それを見つめる光の無い眼、視線も交えない冷えた親子の関係。  回想の中でページをめくる女の影、いくつもの写真が男の過去を語り、次の旅先を想い描く瞳。  どっかの漫画から切り抜いてきたかのような止め絵、止め絵、止め絵、行く先々で視線に飛び込む単車、単車、単車というロマンの塊。  雨にあたる銅像のように固まった肉体、干された片靴、TVを見続けるのは顔を背ける・向かい合えないからだろうか。それとも声だけが響き続ける手紙の差出人に夢中だから、それを見つけるため、現実から逃げるためにバイクに乗るのだろうか。「手紙」だけで繋がる、傘を楽しそうに回す「憧れ」を求めて…。  真後ろのナンバープレートから真上に移動して捉えられる疾走、振り払い詰め寄り平手打ちを浴びせるシルエット、その影から逃げ去るように旅立っていく。 闇の中を揺れ動く光、光、光、逃げ込む場所。その瞳は自由を得たように灯を帯びる。 バイト、労働、心地よい疲労、喜び。楽しそうに家族の近況と「あるもの」を届けに来てくれる妹。彼女がいるからこそ親を放って出ていけたのかも知れない。  友人が残した「家族」の世話をするためにも増々帰るに帰れない。 道の向こうから接近し、地面を削り取るように砂を撒き上げ見事なターンを決める黒いライダー。マスター渋すぎるぜ…。  その「誘い」に心を弾ませるようにバイクを飛ばして追いかける。照り付ける日差し、風に揺れる服と豊かな口髭、横切っていく影。  辿り着いた先で跳んで跳んで飛び交うバイクの群、土煙をあげ、土砂に身を投げ出しながら鎬を削り競い合うバイク乗りたちの集う場所。  声をかける店の常連・顔見知り。 瞳の輝きが増すのは「求めていた」ものの一つに巡り合えた嬉しさから。そして、交わし続けた「約束」を思い出したかのように瞳はさらに輝きながら眩い太陽を見つめる。  木漏れ日が差し込む木々、行く先を照らすように白く輝く道、流れ落ち降り注ぐ光の線、うねり、縫うように、抜け出すように、「色」が消え去り、風を切り、延々と走り続けた先…。  その後どうなってしまったのか、気になる終わり方だった。
[ビデオ(邦画)] 8点(2017-02-08 00:50:08)(良:1票)
6.  独立機関銃隊未だ射撃中 《ネタバレ》 
戦場を舞台にした厭戦映画の傑作の一つ。  冒頭、デカデカと映る第二次大戦下の日本、満州、ソヴィエート聯邦(ソヴィエト連邦)を中心とした地図を映し、満州とソ連の国境線、ソ連国境警備隊が守る陣地を映していく。  鉄条網の下に伸びる塹壕、風になびく花、花、花、木漏れ日に照らされる陽気な道を抜けてくる男二人。 トーチカから投げ渡される煙草、土くれにボコボコあけられ埋められる穴。ベラベラ喋り合い食い物を渡し合える平和な一時、ベテラン兵。  撮影はマキノ雅弘「次郎長三国志」シリーズに参加した名手の山田一夫。穴から差し込む光の陰影といい、素晴らしい。  外は蝶々が舞い、扉を開けた先は地面を鼠が這い、新兵を出迎える個性豊かな男たち。 お守りぶら下げ戦う隊長、家族思いの父ちゃん、女好きの髭面、丸眼鏡のインテリ、笑顔で自己紹介する新兵、出入りする顔なじみの戦友たち。  話がデカすぎて信じられないくらい遠くから響いてくる戦争の足音。みんな戦争が怖い、死ぬのが嫌だから戦うしかない。銃を抱えさせられ教えられ、銃剣を研ぎ、爪を切り遺書をしたため決めた覚悟は揺らぎ続け、人を撃った罪の意識で動揺し、吐き、泣き叫ぶ。敵ではなく同じ人間を「殺っちまったんだ」って顔がまた…。  電話通信、ヘルメットで煙草の火を付け、挨拶から機関銃の糾弾方法・撃ち方まで教え込んでいく。“音”とともに掛け声を張り上げ揃える戦闘準備、弾薬を落とし耳を塞ぐ恐怖の現れ。  男たちはトーチカ内を機銃と弾を抱え動き続け、双眼鏡越しに敵を捉え、穴という穴をハンドル回し開いて閉じて睨みつけ、平手打ちを浴びせ気合を入れ、励まし、鉄兜の緒をしめ、伏せまくり、飯と酒をかっ喰らい、血と土埃にまみれながら薬莢と弾丸を吐き出す機関銃を撃ちまくる。  出たくても出れない閉鎖空間、あらゆる“音”だけが鳴り響き見えざる敵の存在を知らせる。  穴から降り注ぐ土、砂利、扉の向こうからやってくるもの、閉められ遮られる土煙、穴という穴から浴びる爆風、銃弾、焔。 案内板も、蝶々が飛び交う原っぱも、勇ましい訓示も、塹壕も、化けの皮も何もかも吹き飛んでいく戦闘。断たれる電話線、死の恐怖が引き起こすパニック。  恐怖を跳ね返すために座り込み歌う鎮魂歌、死者に被せる手向け、雨漏りの中で告げられる「命令」。  歩兵を薙ぎ払い戦車(造りはチープでも演出の力もありかえって怖く見えてくる)にも浴びせまくる掃射、跳弾、士気が上がる援護射撃、閃光が降り注ぐロケット弾、穴から出てくる表情、ヒビが入り、瓦礫が落ちて風穴が開き、扉を薙ぎ倒されようが撃って撃って撃ちまくる。  鏡で反射させて照らす探り、扉を開け飛び出していく戦車への接近、“挨拶”。「やっぱりガキだなおめえは…」。噴き上げる黒煙、“申し開き”。  戦況も、味方も残っているのかいないのか、どうして戦うのかも分からなくなり無情に過ぎ去る時間(まあシベリア送りとかソ連の悪業三昧知ったらそりゃねえ)。  たった一つしかない武器を我が子のように庇い整備し続ける佐藤允、若者から一人の兵士に変貌していってしまう寺田誠(麦人)。  覗いた先から伸びてくる恐怖、黒く染まった大地を照らすように輝く“花”、こびりつき飛び散る命、命、命。
[DVD(邦画)] 9点(2017-01-25 23:11:13)
7.  ガールズ&パンツァー 劇場版 《ネタバレ》 
「可愛い女の子たちが戦車を乗り回す」という平和ボケも甚だしい…いや、そんな平和な時代を何十年と守って来た日本人にしか作れない映画の一系統がここにある。  というより、「大魔法峠」で原作以上に全方面に喧嘩上等(OPの燃え盛る国会議事堂とかの前でふざけくさったダンスを披露)なことをやってのけたあの水島努である。いいぞもっとやれ。  かつて戦場を蹂躙し夥しい都市と兵士たちを粉砕し血の雨を降らせたであろう戦車が、この作品では青春にすべてをかける少女たちを結びつけ、彼女たちの“戦車道”を創るため突き進み、身代わりになるように砲弾の雨から主たちを守り通す。   物語は、カップの底から茶柱が立ち上がる瞬間から始まる。  優雅に紅茶を楽しみ映るだけで面白い女たちの会話、銃口・砲身の向こうで轟音と土煙をあげながら平原を駆け抜ける戦車、戦車、戦車の群、それを天高く飛ぶ戦闘機の視線を通じスクリーンの向こうで歓声をあげながら見守る群衆。  蒼空の下、首に通信機を巻き、活き活きとした女たちの「前進!」の叫びとともに高らかに響き渡る音楽とタイトルバック、誇らしく刻まれたマークとともに突撃し、そんな状況でも紅茶と飯を喰らいながら不敵な笑みを浮かべる頼もしさは否応なしにワクワクさせてくれる。  砂地に密集して耐え続け、丘を駆け上がり騎兵隊の如く押し寄せ、ゴルフ場の森林から市街地・海岸線まで車輪跡を刻み、ドリフトし、エスカレーターや石段を降り、扉がせり上がる駐車場から現れ、海から上陸し、砲身を振り回し、ガードレールに火花を散らせ、地面をえぐり、弾痕を刻み、信号を薙ぎ倒し、砲撃で市街地を破壊し、看板ごとぶっ飛ばされ、ぶつかり取っ組み合い、横転し白旗と爆炎をあげる戦車たちの激突。 スコープ越しに確認する敵影・撃破、敬礼、突貫、玉砕、いや散ったらダメだろ、窓の外の蝶々、戦車乗りたちの視点で追い回す戦車同士によるチェイスのスピード、発砲禁止区域が物語る「ルール」のあるスポーツとしての闘争、狂喜乱舞する観客。  アニメーションという世界で荒唐無稽・やりたい放題・自由自在・縦横無尽に描くことを楽しんでいるアクションを見るがいい!「車両が頑丈」の一言じゃ済まないくらいの大爆発から生還するたくましさ、激しい風の中でも露出を防ぐ鉄壁スカート、瓦礫と化した水族館からひょこひょこ出てくるペンギンたちの雄姿!くだらないことで悩んでいるのがアホらしくなるくらい痛快だ。  25分に及ぶ戦いの後は、風呂場で汗と涙を流し健闘を称え鋭気を養う。   失われる居場所と宣告、荷造り、居並ぶ戦車と乙女たちに空から舞い降りる“助け舟”、青春を謳歌した箱舟との別れ、失われゆく士気、流れ着いた先に贈り届けられる「存在意義」。  ボッコボコでもパイプイスの山に埋もれようと何度でも立ち上がり続ける戦車魂、のどかな田園を駆け泥と愛情にまみれた想い出、復活をかけた「せいやくしょ」、居場所を取り戻すための約束。  戦車に通れない道はない、道がないなら創るまでよ! 74式戦車「作用」、昨日の敵は今日の盟友、戦いを通じて結ばれた戦車乗りたちが転校・制服まで揃え駆けつける一大決戦。これぞ正に王道って展開が大好きだ。   多勢に無勢だろうが最後の一両まで戦い抜く殲滅戦、雲の下に拡がる平原から高地、長くうねり続く道、乃木希典「203高地はイカン」、森林、丘を奔る風、飛来する轟音と黒煙に覆いつくされる恐怖、降りしきる雨と殿(しんがり)、別れを意味する“日本語”での挨拶、森の中にいた砲撃の正体、ユーリー・オーゼロフ「ヨーロッパの解放」よろしく琴の弦を弾くように戦車が空を飛び、その戦車がまたカタパルトの要領で味方を射出し、少しでも隙間があれば瓦礫の中を突っ切り、柱で翻弄し、線路の先に向って飛び込みぶちかます!   籠城によって迷路と化す遊園地、何も無い水辺が予告する奇襲、蘇るスティーヴン・スピルバーグ&ロバート・ゼメキス「1941」の観覧車先輩がブチ破る包囲網、戦車版「機関車トーマス」、偽装し、建物をぶち抜き、「荒野の七人」さながらの音楽と追撃時の平行移動(ジョン・スタージェスが炸裂させたジョン・フォードを髣髴とさせる馬のアクション)で西部の街を走破し、誘い込み、道が狭けりゃ自らを削り、橋の下からどてっぱらにぶちかまし、ジェットコースターを駆けめぐり撃って撃って撃ちまくる。  積み上げられた土嚢、砲撃を思いとどまらせるもの、無言で交わされる指示・視線、頂上からトンネルまで走って走って走り、空を揺れる船、砕け散る椅子、一撃によって爆走しぶつけられる決着!
[DVD(邦画)] 9点(2017-01-09 22:25:32)(笑:1票) (良:3票)
8.  横道世之介 《ネタバレ》 
街、交差点、人ごみの中から現れる男。 階段を登って降りて、路上、ライブ、見守るファンの後ろ姿、看板が物語る「あの時代」。  行ったり来たり、口ずさむ歌、教室で不意に合う視線。  何も無い部屋でくつろぐ新しくやって来た住人、部屋の中から取り出し確認するもの、音の出どころ、扉に貼られた紙、またふと合う視線、御挨拶。  入学式、隣の席に話しかける馴れ馴れしいもの、目が遭う自己紹介。気になるあの娘と自分の匂い。  サークルめぐり、初対面で泣かせちゃってあーあ、はりきったメイク。  音楽、訪問、絶望、アッハイと踊り踊らされ続ける学園生活。 風呂場で談義、シャワー、叩きつけ吹き付けるもの、窓ガラスから見えるもの。  話し合い、唐突に父親としての姿に飛ぶ「現在」。 エレベーターで見つめるもの、チップ、また唐突に現れる喫茶店での待ち合わせた「過去」。  見つめるもの、名刺 お誘い、微笑み、笑って誤魔化す、小指、横移動で詰め寄る。 伝染する馴れ馴れしさ、でも世之介は気づくと仲良くなってしまう不思議な奴なのさ。  机を囲んで交わす話に巻き込まれる、紙と判子、義弟、誘い、小指、嬉しそうに自転車を漕ぐ、ベタベタ吸い付く、人ごみをかき分けてくる車、白い帽子の少女。 思い切り笑うお嬢様、壁に頭をぶつけて帽子を落とす、手を合わせる食事とでっかい野望、バンズを合わせて思い切り被り付く食事。「南極料理人」といい、沖田修一の映画は美味そうに飯を食うな~  熱い中、足を水にひたし、パンツ一丁にラーメンすすりながら箸でパージをめくる漫画読み。 半透明の窓に映る着替える姿、御訪問、誘い、水桶からプールへ、笑って腹違いとか言わないで、プールでもムシャムシャ、思わぬ再会、泳ぎ、飛び込み、安心させるための風船、パレードの記録、倒れたもの。 リズムに合わせてスイカ斬り、夜の公園で告白、膝で割るスイカ、また唐突に思い出すベランダでワインを飲み合う男たちの現代、でまた唐突に訪れる里帰りの過去。  料理作り、振り上げる瓶の暗示、家族団らん、扉の先から見るもの、旧友、バック、海水浴といえば水着と青春、沖から見つめるもの、洞窟から走り出し断たれる会話、嫌がる息子はうちわで叩く、帰り道で二人きり。 月明りが照らす海辺、砂浜、徐々に近づき、後ろから腕を肩に、向かい合い、見つめる先の岩場から現れる人の群、光、駆け込み倒れ込むもの、響く警報、流れ者。 扉を開き駆けた先で抱き着く、葬式 、死んだ人間の分までムシャムシャ食って生きる、出来ちゃった中退、また唐突にラジオ局で独り語り続け机の上で黄昏がれる姿の現代に飛ぶ。  踊って待つサークルよりも大切なもの、両親に御挨拶、娘への信頼、カーテンに隠れないと尋ねられない質問、聖夜、クラッカー、絵、食事、窓の外に降る雪。  アパートの外に積もった雪、手を繋いで刻まれる足跡、祈るように待つ抱擁、口づけを交わ黒いシルット、横で見届けたら天空に上がり見守るキャメラワーク。 撮影の近藤龍人は「桐島、部活やめるってよ」や「海炭市叙景」「ウルトラミラクルラブストーリー」「天然コケッコー」「そこのみにて光輝く」等でも活躍した名手だ。凄いことを簡単にやってのける。  呼び方を変えて縮めたい距離、黙って見届ける者、あの日の思い出、写真、パンで挟んでがっつく、車の窓から見る“あの日”。  隣人からの“返事”、写真、返事が無いなら一枚撮っちゃう、階段で再会、投げ落とすサンダル、どうしていいか分からないので声を出すしかない、新しい命、撮影、約束。 階段を駆け下りて追うもの、旅立つ者から贈る別れの挨拶、駆け登った先で残していくもの。
[DVD(邦画)] 9点(2016-12-15 04:23:33)(良:1票)
9.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
川を流れる一隻の船、何かを告げる汽笛の音、デッキの上の椅子から起き上がる女性。  電話で談笑し、扉を開け自転車で坂を下っていく疾走とモノローグ、自転車に乗る少女の髪を靡かせるように吹き付ける風、青空に拡がる雲、鮮やかな夕陽と日差しの美しさ。  学校で捧げる祈り、教会のような空間で見つけ出会う女性たち。  和気あいあいで歌う合掌部は少女たちの聖域、向けられる視線を軽蔑し、男を嫌悪する“理由”、遠くから見守る視線、ボロ車でも運転し続ける意地っ張り。 逆に男たちは風でめくり上げるスカートを抑える女子たちを下から見上げ、秘密を共有することで友情を結ぶ。  そんな異性たちが共に制服から体操服に着替え走り、歌い合い無くなっていく男女の垣根・心の壁。  ネットに流れる過去、兄の送り迎え、ピアノを弾けなくなった理由、声の主が不意に現れる戸惑い。 あれだけ憎んでいた存在が縁側でスイカを食べ、過去の思い出を語り頭を撫でるなら…そんな優しさに弱く、甘えたかった。今度こそ…。 裏切られ、涙を流したくてもそれを笑顔で偽り、代わりにホースの水をぶちまける。  手紙に溢れる想い、考え、夢。  自分のため、誰かに勇気をあげるため、電話の向こうで戦っている人のために歌い、振り返り、歌うことを繰り返す。 悩み、不安になり、泣いている人に笑顔になって欲しいから弾いて、弾いて、弾いて。例え届けたい人に届かなかったとしても、何処かで聞いてくれている人のために。  行ってしまう前に、命をかけて戦っている人のためにありったけの想いを歌と共に伝えたい…良い映画だ。
[DVD(邦画)] 9点(2016-12-15 04:22:36)(良:1票)
10.  映画 ビリギャル 《ネタバレ》 
土井裕泰は「いま、会いにゆきます」も中々良い作品だったが、本作は圧倒的に面白かった。  風が吹く中で何かを見つめる少女、小高い丘から見つめる先にあるもの。  何と映画的なんだろう。 「いま、会いにゆきます」は黒沢清の傑作群を撮った柴主高秀のキャメラが輝り、本作は花村也寸志の見事な撮影が作品をさらに盛り上げる。  モノローグで語られる子供時代。 父は息子の特訓、家族でありながら男と女が完全に分かれた環境、見上げた空、飛行機、ボール、長いものに巻かれたくない、エスカレーター。  親の勝手で転校、一目惚れで受験、捕まりスカートを短くされ右に倣え。それでも彼女は楽しく遊ぶ日々に溺れ、友達も出来て良かったのかも知れない。 教師もやる気を失くし、繰り返す記念撮影、踊り、現実からの逃走。  短くなるスカートを身にまとい朝飯も食べずに駆けだす。 バック、サイフから出てきたもの。だが自分ではなく他者を庇う心は生きていた。誇りに思うなら退学は避けて、人生すら諦めようとした者を迎え入れる男の回想に繋がっていく。  塾で気持ちよく朝を迎えた者が見たものは…誰!?  挨拶、笑顔で凄まじいネタバレをするタイトルコール、0点でもへっちゃらでいられた「今まで」、空に浮かんでは消えていく英単語、漢字、褒めて伸ばすポジティブシンキング、志“願”所、基礎から叩き直す勉強、隣人に挨拶、手を叩き称え合う喜び。  ハサミを入れる“復讐”、見返すのは「見て」欲しいから、愉快な塾の人々。   スケジュール、罰ゲーム、カラオケ、本に記され、壁から階段にまで刻まれる努力の跡、自転車の疾走と夕陽、横移動。  教師は他者を理解する努力をし、子供たちも互いに抱えているものを知るからこそ笑い語り合える。誰も期待しなくても信じてくれる人がいるなら。 家族ですら祝う余裕がないくらい打ち込み、先生も生徒の頑張りに一対一で、過去を晒して応え、屑呼ばわりしていた教師も思わず約束してしまう「誓い」。  胡坐をかいて見るもの、思い出す父との思い出、親しくなったからこそ馬鹿だのキモいだのありがとうだと言い合える。すっぴんで微笑む可愛く、美しい好きなひと。  漫画で叩き込まれる先人たちのイメージ、手に渡される母親の想い、重み。  自転車を引き止める裸の付き合い、恨むどころか応援するために“離れる”ことを選ぶ、汗も涙も湯に流して。 背を向けてまで続ける努力、チャンネル変えてまでニュースに喰らい付く。  屋上で考え事、椅子に立った卵、知らないなら知ればいい、教えればいい、信じてやればいい。  髪を切り服も整える覚悟、寝る間を惜しむ限界、荷物を運び走り、呼び出される度に頭を下げて頼む、男たちも首を垂れる者に折れ、公認し、髪を染めなおし整えて応える。  模試、平手打ち、仲違い、ノートに書き込む自問自答、限界、雨の中で向かう先、詰め込まれた思い出、笑顔、隣で打ち明け、酒場で話しぶちまけ合う溜め込んだ想い。  突き飛ばすなら、いがみ合うなら振り上げぶち壊してしまいたい「隔たり」、聞く気がないなら胸倉を掴んでも叩き込んでやりたい叫び。 憧れを見に行き固める決意、成し遂げてから再会するため、夢が叶ってから撮るため、自分を変えるため、家族を変えるために。改めて交わす挨拶。  毎日自転車を漕いで向かうために、息子と自分自身を解放するための“儀式”、謝罪、家族を奮い立たせるために見せるもの。 窓の外に拡がる光景、バス、娘であれ家族であれ誰であろうと放っておけないどうしようもない親父。息子を叩いていた手で雪をかき分け、それを突きあげエールを送り、壊れたものを直し、支える。別の男も気になる娘の声が聞きたくて努力を続ける。  恩師と渡し合うもの、よれよれになった辞書に描き込まれる“お守り”、手紙、祈り。  迷いが無くなった指先、呑み込んだら襲い掛かるトラブル、駆け込み走らざる負えない痛みとの、己との戦い。逃げ続けた者が「やり遂げる」ために何度でも戻って来る姿よ! 孤独を支える電話の向こうの声援、思い出す表情と言葉。  結果よりも大切な、待ってくれていたもの、会いたかったもの。欲しかった画面と向き合う決意、抱きかかえ祝うもの、緩やかな斜面で読む手紙。  例えダメだったとしても挑み続けること、記念撮影。男たちは恥を捨ててクマのぬいぐるみ一つ抱いて立ち尽くし、駆けて飛び乗って来るものに何も言わず背中を預け「応える」。  蘇るあの日の記憶、手を振って送り出す旅立ち。  塾長が箒をギター代わりにロックに、誰かに伝えるために笑い歌いあげる締めくくり。誰かに歌を送るためならいくらでも恥をブン投げられる女たち、男たちの笑顔が眩く輝く。
[DVD(邦画)] 9点(2016-12-15 04:20:26)
11.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
それは、川を流れる船の「片隅」から見上げた光景から始まる。 雲が流れ続け無限に拡がる青い空。果てしなく続くその姿は最初から最後まで「誰か」を刺激し、「誰か」が描く絵、絵、絵で語り続ける映画だ。  心の中で繰り返される「誰か」の感情と想いは、夥しくため込まれ爆発する時を待つ。  橋の上で放り込まれた先での出会い、夜になったらおやすみ、夢のような一時、スイカが繋ぐ出会い。  紙も板切れもノートも地面も何でもキャンバスにし、水平線を引き描いて描いて描きまくり記録されていく風景、顔、月日、年、思い出。  彼女が描く絵は生き物のように動き出し、白波が海を走れば波は兎になって海原を駆けて行く。  思わずクスクス笑ってしまう微笑ましい光景の数々、いくらドジをやっても笑ってくれた平和な日々、結婚しても後退と接近を繰り返す恋愛が少女を大人の女性に変えていく、愛のある拳骨、思わず申し訳なさそうに目をつぶり笑ってごまかす反応、絶対に笑ってはいけないクソ憲兵との“にらめっこ”戦時下の人々に光をさす闇市、幼い頃の記憶が蘇る再会、紙に溢れる甘いもの、夢や希望。  どんなに世界と人が変わろうが、女たちは“抗う”ことをやめない。 風呂に浸かり、汗を流し、飯を喰らい腹に詰め込み、服を仕立て直し、水の入ったバケツを担ぎ上げ、紙を奪われたら新しい紙を貰い続け、手を握り、引き連れ、腕を振り回し、歩いて、歩いて、歩き続ける。  着物を被り隠す黒髪、誰かに何かを打ち明けたくても言えないものを背負い込むうなじ、白く輝き日に焼けたりもする細腕、脚、口紅をさす唇、おしろいを塗りたくったり引っ張られたりする頬、顔。  料理くらい誰かに教える気分で、楽器でも弾くように楽しく作りたい、二人きりになったらキスくらいしたい。身を寄せ口づけを求めるのは、好きなのかどうか確認するため。両腕を布団にぶつけながら吐き出される複雑な想い。  やがて訪れる地面を曇らせる飛行機の影、戦争の音、警報が鳴る/鳴らないで変わってしまう警戒心。 死が迫り来る状況でも見つめ続けようとする絵描きの性(さが)。爆撃機が鳥の大群のように空を覆いつくし、炸裂する砲撃や爆弾の煙さえ、彼女にとっては格好の題材になってしまうのだろう。  男たちはそんな女たちに覆いかぶさり、抱きしめ守ろうとする。破片や機銃掃射が雨のように降り注ごうとも。頼まれなくたって生きて欲しいから。  終盤まで、空襲で焼かれた遺体といったものは徹底的に描かれない。あえて「見せない」方がかえって想像してしまい恐ろしいのだから。 波間を漂う帽子、“鬼”の石ころ、血まみれの服、ぽっかり空いた穴が誘う“死”、届かぬ声、閃光、振動、木に引っ掛かる飛んできたもの、座り込んだ「あの人」は誰だったのだろう。  暗闇で輝き散っていく白い花火、ひらひら舞っていく繋がった腕、花畑まで駆け込み微笑んで欲しかった“もしも”、もっと描きたかったもの、撫でてやりたかったもの。  布で覆い被してまで見せなかったものを「見せる」のは、戦争の悲惨さを伝えるためではない。どんなに傷つこうとも最後の最期まで抗おうとする人間の姿を「描く」ためだ。  生きる意思を放棄したはずの者が、燃え盛る焔を見た瞬間に無我夢中で叫び、逃げ続けるのを止め、何度もつぶってきた眼を見開き、布団を投げ飛ばし、体を投げ出すように火に飛び込み、倒れても這い上がり、バケツに入れぶちまけられる感情の爆発!! 心の溝を埋め距離を縮める歩みより、手助け、会話、髪を切る決意を語る瞳、「何処までも飛んでいけ」と追いかけ突っ走り、耐え続ける“理由”が無くなった途端に溢れ出る怒り、悔しさ、涙。  その姿は、幼い心にも焼き付いて離れないものとなって蘇る。 片腕が吹き飛びガラス片が幾つも突き刺さろうが手を握り、引き続け歩き続けようとした姿、座り込んでも…いや死してなおも庇うように。 子供も眠っているだけかも知れない、まだ生きているかも知れない、あるいは認めたくないからこそ必死になって群がる蠅を払い続ける。それを受け入れざる負えない流れ出る“死”。  失ったものを求めてさまよって、歩いて、歩き疲れた先でたどり着き、“見つけた”者と“探し続けた”者が地面に転がった飯の塊で結びつく。 女は黙って腕にすがりつく子供に隣を許し、暖かく迎え入れてしまう。  何も無くなったというなら、空で輝き続ける星の海を見つければいい、灯りを灯して暗闇を照らしなおせばいい。 居場所が無ければ探し、見つからないなら見つけ、作ってやればいい。 「なくなった」はずのものが釜を抑えながら飯をこさえ、「いなくなってしまった」ものを描き続ける。それは、こうの史代の想いでもあるのだろう。
[映画館(邦画)] 9点(2016-12-01 09:49:11)(良:4票)
12.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
新海誠の映画で最もわかりやすく、血が騒ぐ傑作。  誰もが、何かしらの夢を見たことがあるのではないだろうか。まだ大人じゃない人も、大人になった人も。見て、抱いて、憧れて。  え?夢なんてもう見なくなった?抱く夢も憧れる夢も無くなってしまったって?  だったら夢を叶えて現実(本物)にしちまえばいい。ダメで元々、でも本気で叶えたくなったら…とにかく走ってしまえばいい!  この映画の少年少女は、流れ星を見てイチイチ願い事なんてしない。  手をつなぐだの、抱き合うだの、キスするだのそんなまだるっこしいことなんてしない。 なんせ目覚めた瞬間におっぱいを揉みまくるんだからな。 え?何を言っているか解らないって?俺だって最初ワケがわからなかったが、面白いんだからしょうがない。   冒頭、少年少女の語り、夜空から糸…いや光の線が水面に落ちるように雲を突き破り降り注ぐ。  夜空を奔る星を下から眺め想いを馳せる…そんな人々が“線”で突然結ばれてしまう。  結んでほどいてを繰り返す紐、地図に引かれる線、頬を流れ落ちる涙、襖が奔りまくる敷居、移動と出会いを繰り返す列車、指に嵌められた輪。  胸を揉みしだくのは、服を脱いで裸になるのは、股間に触れるのは、肉体にメッセージを残すのは自分の状況を確認するために。  がんじがらめの学生生活、嫌々の口噛み酒、たっきー「言い値で買おう」、早く大人になりたい、憧れの町に行きたい、自分を変えたい、男らしいイケメンになりたい…そんな少女に何処の誰だか知らねえが素敵な夢と変態生活がプレゼントされる。  大林宣彦「転校生」から受け継がれる奇妙だけど王道まっしぐらな物語。  何が何だかわからない、でも謎を解き明かすために行動していくしかないという強靭な意思。 スカートが切られたら素敵な刺繍をしてやればいい、カフェが無いなら作ってしまえばいい、好きになっちまった女の陰口には机を蹴飛ばして返答・見返してやりゃあいい。  頬の傷の理由が何となく解き明かされていく感じが良いな。アイツはそいう奴なのだ。 だがおっぱいは毎朝揉む。アイツに悪いかな(妹の眼前で揉み続ける)  日記を手紙のように託し合う日々、距離は縮まらなくても深まる気持ち、好きなクセに譲り合っちゃう女心、優しい先輩と親友(おホモだち)、絵や日記を書くのは忘れられないから・忘れないために、会いたくなったら会いに行っちまえばいい。  ルンルン気分の観客を石で殴りつけるような穴、穴、穴の出現、煙草でも吸わなきゃやってらんねえ。  内ヶ島氏「クソッたれがあっ!」  消えていく記録と記憶…いや、たとえ何もかも消え去ろうとも受け継がれるものは受け継がれ、届くものは届く。それを見つけ引き継いでいける人間の可能性は刻だって超えられる、運命だって変えられる!  無我夢中で斜面を登るのは、自転車をこぐのは、とにかく走って走って走りまくるのはただただ会いたいがために。  幾度も響く魂の叫び、共犯するのは友達を助けるため、穴の数が語る過去と未来、すれ違う想いをめぐり会わせる光と影。新海作品名物の風景描写も最高潮!  コケまみれだろうがおまえのだったらいくらでも飲んでやる! いくらでも揉んでやる!! いくらでも髪を結んでやる!!! 変態呼ばわりされたっていい、だから忘れないで、忘れてもいつか思い出してくれればいい…。  野郎オオオォォォ名前を言えっつってんだろうがアアアァァァッ!!!!!変なこと書きやがって…立ち上がってまた走り出してやんぞオラアアアッ  少女は、雄々しく走り続ける。最愛の人たちを救いたいから、何よりもう一度会いたい人がいるのだから。
[映画館(邦画)] 9点(2016-09-26 21:57:01)(良:2票)
13.  ピカドン 《ネタバレ》 
木下蓮二と木下小夜子夫妻による短編アニメ「ピカドン」。   原爆の惨禍をセリフを一切挿入せず、映像だけで語りつくした作品。  とにかくこの作品、原爆が落ちるまでの平和な日常からして不気味な静けさに包まれている。  刻々と「あの瞬間」まで時を刻んでいく時計、家から学校や仕事場に向かうため外に出て行く人々、紙飛行機で遊ぶ子供。   爆弾は横向きに音も無く落ちてくる。それをふと見上げた瞬間、一瞬強張ったり呆然とする顔、顔、顔をした人々を猛烈な閃光によってすべてを焼き尽くす。   熱線によって赤子に乳をやる母親が一瞬にしてドロドロになり、肉塊と化す瞬間。爆風によって髪は逆立ち、建物も人間も何もかも薙ぎ払う。   破壊された街を、皮膚がズルズルに溶けた人々が水を求めてさまよい、斃れ、次々に死んでいく様子の地獄絵図。  たった数分に凝縮されたあの日の地獄。これだけで戦争の恐怖は多大に伝わる。  この作品は、最後に高層ビル群が並ぶ「現代(1978~1979年当時)」を映し、雲の上から傍観するように飛ぶ紙飛行機を映して物語を締めくくる。あの紙飛行機は「誰」が飛ばしたものなのだろうね。  そこに絶望を見るか希望を見るかは貴方がた次第です。
[DVD(邦画)] 9点(2016-09-09 14:47:04)(良:1票)
14.  火宅 能「求塚」より 《ネタバレ》 
イジー・トルンカに師事した川本喜八郎が、極限まで極めた人形アニメーションの傑作。「鬼」や「道成寺」等も必見だ。  能の「求塚」を題材に、人形、草、火、水、そして光と影が生物のように蠢めいていく。  ナレーション、霧の中の道を歩く旅人の脚、ふと編笠をあげて横を見ると、若い娘たちが談笑しながら農作業に精を出していた。 一本一本ものを取り、仕事仲間に微笑むような素振り。一本一本ものを取り、仕事仲間に微笑むような素振り。樹木といった風景は素朴な絵柄で描かれる。  セリフもナレーションによって語られる。  霧の濃い薄野原、ふと振り向くとその奥から現れる謎の女。 光の無い眼、不気味な黒髪がたわみ、男は薄をかきわける脚と彼女に吸い込まれるように誘われる。  項垂れた冷たき表情から、精気に満ちた過去を女は「告白」し始める。 籠の中で跳ねる鳥、木の下で眼を閉じ想いを馳せる者、馬に乗り木の枝を首元に差し込みながら想う者、桜の木々を飛び回る鶯。  迫り来る男たちの表情・視線、それに軽く挨拶をし流すように去っていく。恐ろしいが故に流してしまう。  口を開けたまま何を祈っているのか、両手で顔を覆い悩み、蝋燭の火が文を焼き尽くし、火の玉となってぶつかり合う男心、その間で揺れる乙女心。  吹き荒ぶ風、女を賭けた狩り、射抜かれるものから流れ出る鮮血が川を流れ、恐怖と哀しみが黒い影となって女の顔を覆う。  霧の中へ揺れ消えていく羽衣、闇夜の塚の前で抱き合う憎しみを超えた者たち、互いに抜き放ち、接近し、空間を真紅に染め上げる。  祈る者に近づく火の玉、火の玉は白い化身となって接近する。  漆黒の空間で輝く白装束、華、鮮血に染まった男たち、火の鳥は黒くなり、ついばみ血まみれにし何もかも焼き尽くす。  断崖に押し寄せる波、投げ出される命、海の底にまで拡がる火炎地獄。 強すぎる愛が、暴走する火炎となって愛した者に襲い掛かる哀しさといったらない。  白く美しい乙女は、最後まで両手を合わせて祈りながら去っていく。まるで相談を聞いてくれた旅人に礼を言うように…。  まばゆい夜明け、赤く染まる大地。
[DVD(邦画)] 9点(2016-09-04 05:38:34)
15.  キッズキャッスル 《ネタバレ》 
効果音が全部セルフというユニークな作品。  上空から撮られた一部屋、赤ん坊が文字の書かれた積み木を手に取り、次々と服を着せられては少しずつ成長していく。  王冠をかぶって子供は王様気分、おもちゃの兵隊、猫のぬいぐるみ、おもちゃのトラック、トラックに乗って走ったり、机からこぼれた水は池となってそこには船が浮かび。子供もその池に沈んで泳いだり、でんでん虫は首がコンセントとなって刺さり、掃除機になって猫のぬいぐるみを吸い込む。  時計は針だけが残り飛び去り本になる、子供もソファを発射台にロケットになって飛んでいく。  夢のようなひと時、見えない親は子供に「あるもの」をかけて去っていく。  おもちゃが積みあがり、そこに君臨する子供の姿。
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:37:48)
16.  バベルの本 《ネタバレ》 
俺が初めて山本浩二の世界観を味わった作品。 幼いころ、NHKでこれが流れた時はトラウマになった。が、不思議と何度も見てしまう魅力があった。  夕暮れの空を飛び交うカラス、電車を追う二人の子供。  椅子に置いて行かれた本からは風が吹きすさび、塔がそびえ立つ。その塔の中では人が本を読んでいる。文字が飛び出し様々な動物の形に変化する。 その小さい本にはクジラが泳いでいた。子供たちはその本の中を船に乗って冒険する。  子供たちが背負う魚よりも巨大な魚?クジラ?の化物が息をひそめる、赤い眼がギョロッと、子供たちは投げ出され、海水とともに飲まれるような迫力。   「忘れ物」を取りに来た男がギロりと睨み、再び置いていかれるものとページの中を跳ねる“主”。
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:35:02)
17.  どっちにする? 《ネタバレ》 
様々な絵コンテ、レジにぎゅうぎゅうづめになった3人の店員、リンゴと電球、虫の意外な選択にコッチも破顔だ。  月の床屋と歯医者、髪をかきむしり虫歯を気にする子供、木の前で行ったり来たり、電球はどんどん割れる。  晴れたり曇ったり、つ「折り畳み傘」、音に恐怖して逃走、美味そうなパン、電球を首に巻く犬。  なんだか「パクシ」の絵が可愛いver.みたいだ。  脚立は倒れ、ヤカンは沸騰し、アルマジロはドアを突き破る。恐竜は街を歩いて石ですっ転ぶ。 髪をイメチェン、アテにならない天気、武装して襲撃、恐竜も虫歯、ドアは破損し、縄跳びは速度をあげる。
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:30:16)
18.  頭山 《ネタバレ》 
題材が題材なだけに仕方のないことなのかも知れないが、山村浩二の作品にしては語りが多すぎてちょっと辟易する。  三味線の旋律、男のハゲた頭部、不毛の地に育つもの、ナレーションの語り。  頭部にポコッと生え、芽が出る。地面に落ちた大量の木の実、種、種までがっつく。 芽は取っても取っても生え、少しずつ大きくなる。  冬を超え、春には桜が咲き誇る。男も女も花を見に咲いていく。 人々は小人になって頭の上で酒を飲み、ションベンやゴミをぶちまけ踊り明かす。放り投げられた靴は元のサイズに戻ってカップメンを台無しにする。  穴は夏の遊び場に、無限ループって怖くね?
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:27:42)
19.  冬の日 《ネタバレ》 
川本喜八郎をはじめ様々なアニメーション作家が参加したオムニバス作品。 秋に始まり春に終わる物語、「風」だったら「風」というように連想ゲームの感覚で繋がっていく。  松尾芭蕉、屏風、句の後にアニメーションがはじまる。  秋の野山をかける男、キツツキ、坂を転がる唐笠を追いかけるスピード、野山を駆け抜ける風。 人形アニメーション、椿。  冬、CG、酒屋、月夜。  酒瓶、トラック、一気に現代に、トラックは馬のように嘶き走り出す、柿、月夜。  蒸気機械、歯車の軋み、馬、赤い閃光が飛び交う薄野、夕日。  田んぼ、箪笥の中の家に飛び込んできた男は鷺と一緒に震える、鳥は人間の女になり、髪の毛が無限に拡がる様は恐ろしい。赤ん坊を奪われた女の髪の毛も無限に伸びる。  ロトスコープ?、白装束の女性、割れて粉々になる大地。  森のような女、廃墟、燃え上がるふくよかな女性。  カラス、冬、寒々しい家、カラスの巨大な影。  「冬の日」を書かれた本がめくられる、本の中を飛び交う色彩の数々。  木の下で胸や尻をだし男をさそう女(やけにコミカルな絵柄だこと)、霧が隠す情事。ここからしばらく変わった絵柄が続く。  船曳?船に乗り込むデブチビハゲのクソ女、ああ殴りたい、心中、沈む時だけシリアスな音楽流しやがって。  江戸時代の美人画みたいな絵。   キツネを取り囲んで脅かす鬼たちが消え、桜の木の下で二人っきりで思い出をめぐらす。  人形アニメ、風に吹き飛ばされる様々なもの。   粘土アニメ。  近未来のSF?、蝶、エイリアン?、檻の中、銀河鉄道?  絵本みたいな絵柄、月夜の光を反射、放たれた矢はロビン・フッドから壇ノ浦、ジョン・ウェイン、「蜘蛛巣城」の三船敏郎を通り過ぎ、芭蕉?を射る。矢ごときでは死なない芭蕉、笑ってみせる。  木こりの帽子を射ぬく矢、木「今です!」、何事もなかったかのように去っていく。  河童、目玉をはめる。  鏡に映る目玉。なにがあったんだよアンタ。    冬、着物姿、下し髪の美女、川のようにうねる長い髪。  人形とアニメの混ぜこぜ。  髑髏から弥生時代?  中国、戦場を舞う幻想。  観音像?ホトトギス。 雨音で絵師もみんな眠くなる、何故か鳩時計と水洗トイレ。  月を見て、豚が頭の上を舞う、豚の行進、幸せそうに酔う。  ま た 豚 か。  豚の酒盛り、バラの園、バラを頭に飾り、琵琶打ち、バラ色に染まる月夜。  牛と琵琶打ち、さっきまで元気に歩いていた牛が…ショックで文字通りブルーに。  滝平二郎みたいな切り絵、牛の骨。  砂絵、夜空に輝く、赤ん坊、妹の眉、星がギラギラ鋭く輝く。  裸の女、薄絹一つ、ビーナスの誕生?  平安時代? 
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:24:53)
20.  女囚701号 さそり 《ネタバレ》 
園子温「愛のむきだし」でもオマージュが捧げられた刑務所ヴァイオレンスアクションの傑作。  刑務所は野郎どもだけの巣窟じゃない。野獣のように眼光ギラつかせたアマ、ビッチ、女たちが蠢めく空間でもある。 そんな汗と女の匂いムンムンの泥の中、黒髪をなびかせ鋭く美しく輝く梶芽衣子の存在!こんなにカッコイイ女には野郎だろうがアマだろうが惚れちまうぜ。どんなにボロボロになろうがけっして諦めない不屈の女心。  ひたすら耐えに耐えてチャンスを待ち続け、泥にまみれ延々と土を掘り、友をお姫様抱っこまでしちゃう漢女(おとめ)っぷり。  表彰状が踏みにじられる脱獄騒動から始まるオープニング、湿地帯を走りまくる女、群がる刑務官たちの追跡! 刑務所内をすっぽんぽんで列をなして歩かされる女囚たち、腐りきった法の番人たち、互いに鉄拳で気合を入れる飢えた野獣どもの眼光、秘部に押し当てられるドス黒い警棒。  白い布に隠される情事、赤い斑点・画面がぐるぐる回転し髪が怒髪天となり灯る復讐の炎。  女囚たちも食器をガンガン打ち鳴らし脱走と憎悪をブチまける機会を待ち続ける。美しい一重美人、修羅場潜ってそうな姉さん、博打女、潜入者、脳味噌お花畑のBBA軍団。 ドア先輩にガラスを喰らわされ血に染まる鬼BBAとの鬼ごっこ、夏候惇のような凄まじさを見せつける署長。腐っても署長である。アイパッチのように鈍く光るサングラス。  まったく興奮しないパンモロよりも、百合を誘う瞬間のパンチラの方が圧倒的に素晴らしい。丸出しになったおっぱいを揉みしだき吸いまくり、雄のように、調教するようにむしゃぶりつく梶芽衣子!俺の股間の警棒も(ry  刑務作業と地獄の穴掘り耐久レース、シャベルの斬撃と大暴動!疲れを吹き飛ばす怒り、怒り、怒り、ライフルを奪い撃ちまくる!人質には恐ろしい拷問だ(我々の業界ではご褒美です)!!  目線で交わされる女たちの複雑な関係、ダイイングメッセージ、熱した電球によるヤキ入れ、復讐の黒衣、蒼ざめる最期、野郎も女どももくたばりまくる怒涛のクライマックス!!
[DVD(邦画)] 9点(2016-08-28 02:30:41)(良:1票)
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