41. 金魚のしずく
元刑事のおじさんと、不良な少女との交流を描いた内容。 ゆったりとした雰囲気のまま、ラストまでひた走る。 だけど、こういう題材は香港映画には向いていない気がする。 このジャンルなら日本か台湾の方が得意じゃないだろうか。 ゆったりとした作品と香港とは、相性が悪いと思うなぁ。 出てくるオヤジは喧嘩が強いという設定だが、強く見えないのも違和感の一つ。 香港映画は、昔はカンフー、いまならクライムサスペンスの印象強し。 少なくとも、私が見た範囲では。 もちろん、ウォン・カーウァイの様な、独自のスタンスもアリだが。 [DVD(字幕)] 5点(2016-10-04 00:03:49) |
42. 密告・者
香港より発信の、良質なクライムサスペンス。 カンフー映画を得意とした香港は、今や過去のはなし。 スタイリッシュなクライムサスペンスやバイオレンスアクション映画を作らせると、香港は世界でもトップクラスだと思う。 本作も、出来栄えは非常によく、人間の持つ心の闇や優しさ、道義というものを繊細かつ切れ味よく描いてる。 埋もれさせておくには、もったいない佳作。 クライムサスペンス好き、そして香港ノーワル好きの方は、必見の作品。 [DVD(字幕)] 7点(2016-07-06 01:35:04)(良:1票) |
43. ドラゴン危機一発
アクションシーンは控え目で、ストーリー重視型。 だが、そのストーリーは、かなり雑。 それだと良い所なしの作品に聞こえるが、ブルース・リーが画面に出ているだけで十分楽しいし、ワクワクもする。 この時代の香港映画、そしてカンフー映画。 その味わいを堪能できる作品として満足できた。 満点には到底届かないけども、ブルース・リーが出演している香港映画なら、このレベルで十分楽しい! [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-14 09:43:25) |
44. ハッピーイヤーズ・イブ
《ネタバレ》 完全にグイ・ルンメイ目当てで鑑賞。 彼女のミニスカ姿をおがめる貴重な一本だった。 ますます好きになった! 内容としては、純愛ラブストーリーで、三姉妹のそれぞれを描いたオムニバス。 まず、長女のストーリーは不要。 宇宙を舞台にしているが、完全に浮いている。 無重力だからという意味じゃない。 三話の中で内容的に浮いている。 当然だが、アジア映画としての雰囲気が、全く出ていない。 次女、グイ・ルンメイのパート。 これはグイ・ルンメイが主演じゃなかったら、駄作。 彼女の輝きがすべて。 三女のパート。 女優と一般人男性との恋を描いた、男からしたら夢のようなお話し。 ところが、この男、相手の素性を知らぬまま付き合っていて、女優と知った瞬間、「だまされた!」と言いだし、別れようとする。 こんなのあり得るか?! 勿論、純愛モノだから、これが正しい反応なんだけど・・・ 純愛モノは好きだから、それになりには気に入ったけど、アジア映画好きとしてみると、物足りない。 もっとアジアアジアした純愛ラブストーリーを観たい。 それもグイ・ルンメイ主演で! [DVD(字幕)] 6点(2014-11-04 01:38:40) |
45. 花の影
《ネタバレ》 チェン・カイコーらしい、毒っ気たっぷりの悲劇。 観終えた後の気色の悪い余韻は、何とも表現できないものがある。 特にラストシーンの怖さ。 完全にその辺のホラー映画の怖さを超越している。 コン・リーを乗せた車椅子が音をたてて迫り来る・・・ あー、マジで怖かった。 戦慄のラストシーン。 レスリー・チャンとコン・リーの熱のこもった演技も見所。 クリストファー・ドイルの撮った、少し曇り気味で寓話的な味わいを持つ映像も見所。 チェン・カイコーが演出した、毒キノコ的味わいのある悲劇も見所。 こういった見所満載の中で、最大のマイナスポイントは、その余韻の悪さ。 とにかく後味が悪い。 コン・リーの側近の毒キノコ頭の様に、気色が悪い。 この後味の悪さは、まさに毒キノコ。 いや、、毒キノコは食べたことはないが。 この作品、何気に『さらば、わが愛/覇王別姫』に匹敵するパワーを持っている。 チェン・カイコーの代表作として、個人的には挙げたい作品。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-05-22 00:55:37) |
46. 1000の瞬き
「恋と偶然の出会い」を描いた映画。 レオン・ライがかっこいいので、それだけで満足しなければいけないのか、それとも内容まで厳しくつっこまなければいけないのか・・・ それは人それぞれだろうけど、この「偶然の出会い」とやらが、やけにしつこいのが問題かも。 父と息子のつながりを描いた部分は、なかなかの味わい。 恋愛映画として観るより、親子愛を描いた映画として観た方が感動するかもしれない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2012-12-11 00:02:16) |
47. 天使の眼、野獣の街
《ネタバレ》 冒頭のセリフの無い緊迫したシーンと大げさなBGM。 またこのパターンか、と思った。 そして、香港を舞台にした犯罪モノ。 またこのパターンか、と思った。 こうして斜に構えて観ていたら、いつの間にか引き込まれていく。 理由は、単なる香港クライムサスペンスではなく、そこに人情劇が絡んでいたからだ。 “犬頭(サイモン・ヤム)”と“子豚(ケイト・ツイ)”の子弟関係。 これがとても人情味豊かに描かれている。 特に後半が素晴らしい。 子豚の勝手な行動が原因で、犬頭が頸動脈を刺され、瀕死の重傷を負ってしまう。 子豚を守ったが故の負傷。 それを心配して泣く子豚。 子弟関係の絆がとても良く描かれているが秀逸。 最後の悪役ボス(レオン・カーフェイ)の死に方も粋。 近年の香港映画は信じられないくらいに進化し、洗練された。 古臭いカンフー映画の時代も、それはそれで良かったが、現代の香港映画も、映像・音楽・ストーリーの点で格段に洗練され、独特の魅力を感じる。 余談だが、いくら子弟愛とはいえ、犬頭が子豚の顔や体にやたらにボディタッチする。 スキンシップで励ます。 これは立派なセクハラだ!(笑) それはそうと、レオン・カーフェイは、マジでかっこいい!! 男の色気漂うダンディズム。 香港ならではの素晴らしくカッコイイ俳優だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-14 23:43:46) |
48. 春の惑い
原題は「小城之春」。 邦題が悪い。 それはともかくとして、原題の通り、狭くて閉塞的な邸宅の中で巻き起こる、愛情に関わる心理的葛藤を主に描いている。 これって題材として悪くはないのだが、この邸宅内での出来事を、何とか別の方法で解決できそうな気がして、ストーリーの流れに、苛立ちを感じた。 私がそれぞれの人物の立場なら、もっと他の方法を試していたと思う。 例えば、邸宅の夫婦について言えば、もっと早い段階で、冷めきった夫婦関係を解消して離婚をするとか。 それを時代的背景が許さなかったというのならば、仕方ないが。 そして友人の医師の立場なら、再三、若奥様の据え膳を拒否しているわけで、受け入れるつもりがないのだから、早々と邸宅を後にした方が良い。 色んな面で、各登場人物達の立ち振る舞いについて、納得がいかない点が多い。 これを観ていると、物語を面白くするための、作り手側の工作と勘繰らざるを得ない。 繊細なテーマだけに、もっと脚本を繊細に、緻密に作ってほしかった。 それと、物語には直接関係がないのだが、ビデオソフトの画質が悪すぎる。 せっかく撮影担当が、名手のリー・ピンビンなのだから、画質がもっと良ければ、評価も上がったかもしれない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2012-11-12 00:33:16) |
49. 美しい夜、残酷な朝
《ネタバレ》 3話から成るオムニバス映画だが、3話それぞれがバラバラの印象。 2話目の三池崇史監督作品はホラー系なのに、他の1話目と3話目はスプラッター系。 まあ、オムニバスとしての一貫性が無くとも、全体的に面白ければそれで許せる。 だが、どれもイマイチ。 かっこいいイ・ビョンホンを観たかったのに、観られず残念だった韓国編。 『オーディション』で、三池監督がホラー映画の力を見せたと思いきや、思いっきりずっこけた日本編。 そして、とにかく悪趣味な香港編。 どれをとっても、不快。 ホラーとかスプラッターでも良いのだが、3話とも不満が残る内容で、出来の良いオムニバスとは言い難かった。 [DVD(字幕)] 2点(2012-08-25 00:13:12) |
50. ドリアン ドリアン
《ネタバレ》 大陸から香港に出てきて、売春婦としてお金を貯める。 田舎から都会に出てきて、都会になじみつつも、やはりなじみきれず、最終的には故郷に還る。 日本でも同じようなパターンがよくあるだろう。 地方から東京の大学に入って、そのまま東京で就職。 だが、やはり都会は仮の場所であって、本来の自分の姿は発見できない。 それで、田舎へ戻る。 その様な、どこの地域にでもありそうな事の顛末を、けだるくて、きらびやかな香港を舞台に、じっくり描いてみせる。 フルーツ・チャンの魅力は、それなりに感じられたが、東京で生まれ育った私には、等身大では観ることのできない部分があって、それが障壁となってしまった感がある。 一方で、香港映画としての魅力、香港の猥雑でいて、どこか寂しい夜の風景。 そういった、香港映画特有の雰囲気と映像の数々が、印象に残った。 [ビデオ(字幕)] 6点(2012-06-17 23:19:36) |
51. ルージュ
《ネタバレ》 愛する人の為に死ねるか? 永遠の愛は存在するか? テーマは分かるのだが、ファンタジーな内容に完全にうんざりとなった次第。 愛する相手に裏切れた女。 その女が現代の香港に幽霊となって現れ、愛の顛末の真相を解明していく・・・ いやー、お粗末というか、感想自体どうでもいいや、と投げやりになる恐ろしさよ。 幽霊より、この映画のお粗末さの方が恐ろしい。 [ビデオ(字幕)] 1点(2012-06-11 00:44:01) |
52. 花火降る夏
香港返還期前後の混乱を描いた作品。 『メイド・イン・ホンコン』で、印象的な映像美を見せたフルーツ・チャン監督が、今度はアクション映画を撮った。 少々分かりにくい映像と展開は、香港返還の混乱を象徴しているとも取れなくもない。 ラストの展開はなかなか見もの。 残念なのは、ありきたりな香港アクション映画のレベルにまとまってしまっているところだ。 ただし、香港の雑然とした街並みと雰囲気を堪能できる、香港映画好きにはたまらないロケーションの数々が良い。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-12 22:55:26) |
53. エブリデイ・イズ・バレンタイン
ラブコメディなんだろうけど、どうも適当につくった感が否めない。 コメディというより、悪ふざけ的な感じにみえるのがネック。 その分、肩の力を抜いて観られるし、セシリア・チャンも出ているけれど、さすがに絶賛できるような作品ではない。 っていうか、作っている側も絶賛されるとは思っていないであろう。 なんか確信犯的に、適当に作ったんじゃないかとさえ、邪推してしまう。 香港のラブコメディと言えば、上質な作品も数多く、本作もそれを期待して観てみたのだが、残念だった。 題名は、なんだかとても素敵な感じがするのになぁ・・・ なんだかなぁ。。 [DVD(字幕)] 4点(2012-03-25 16:18:11) |
54. PLASTIC CITY プラスティック・シティ
《ネタバレ》 映像的な面で、非常に個性を感じた。 ただ、個性があることと、映像センスがあることとは別。 本作の映像センスが優れているか、私には何とも判別し難いものがあった。 あらゆる映像表現に挑戦し、更には、香港とブラジルの要素も入り混じっており、映像面において、見所が多い。 ただ、少しファンタジックな映像を格闘シーンなどで使ったのはどうだろうか。 チャレンジマインドは感じられたが、浮いた感は否めないだろう。 アジア特有の美しさも随所に感じられる。 特に、オチョを演じたホァン・イーが美しかった。 又、闇社会のボスとして成り上がったアンソニー・ウォンの凋落、そして死に至るまでの顛末。 人間ドラマとして楽しめる。 オダギリジョーの、ボスとの絆の深さもよく描かれており、映像面だけではない、人間と人間との精神面でのつながりをも描いているのは評価に値する。 敢えて苦言を呈すれば、中国・香港・ブラジル・日本の4か国が製作に参画したことにより、映画全体が悪い意味で混沌とし、バラバラした感を否めないのが惜しい。 その点が、観る人によっては、わけの分けらなさにつながるやもしれない。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-11 02:18:40) |
55. 台北に舞う雪
《ネタバレ》 おもいっきりベタな展開の恋愛映画だが、ストーリーよりも、映像の美しさ、風景描写の素晴らしさ、色使いの美しさに目を奪われた。 台湾特有の、街中を線路が突き抜けるロケーション。 その近くに建つ、おんぼろの家。 これらが美しい映像によって映し出されている時点で、ストーリーがむしろオマケにも思えてしまう。 主演の男女二人は、特別、美男・美女とも思えないが、かえって親近感をおぼえた。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-01 18:41:39) |
56. エレクション
《ネタバレ》 レオン・カーファイが、中山ゴンに似ているが、これがまたかっこいい!! 実にカチっとヤクザ役がキマっている。 要するに、香港の裏社会を描いたヤクザものだが、そこはさすがのジョニー・トー監督、後半にたたみかける様にアっと言わせるシーンが連発! 実に魅せてくれるヤクザ映画だ。 北野武のヤクザ映画とはまた異なる面白さを持った内容で、香港のチムチャーツイの夜景を堪能できるのも、また素晴らしい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-09 22:33:58) |
57. 秋菊の物語
《ネタバレ》 人それぞれには意地とプライドというものがある。 それに強いこだわり持つ人にとっては、曖昧な結論など受容できるはずもない。 夫にケガを負わされた妻は、最初は夫のために抗議活動をしていたとはいえ、いつの間にか自分自身のこだわりとしての活動にエスカレートしていった。 本作は、役人の権力に対して人民がどれだけ対抗し得るか、それを一つのテーマにしている。 民主主義ではなく社会主義としての中国内において、どれだけ人民ひとりひとりの権利が尊重されるのか。 そして、それは尊重されるべきものであるとして、監督のチャン・イーモウは、観る者に訴えたかったに違いない。 人間というものは一度感情的になってしまうと、敵も味方もなく言動を起こしてしまいがちであり、本来仲間である村長や村人たちを巻き込んでいってしまう。 そんな暴走ぶりと、終盤の難産騒ぎで村長がこの妻の為に職務を全うするという下りが、見事に平行して描かれており、実に人情味のある豊かで緻密な作品に仕上がっている。 組織や集団における仲間意識の重要性。 だが、それはちょっとしたことから亀裂が生じ、行き違いが生じてしまう。 そんな人間の絆の重要性と脆さ、そして逆に結束力の強さをも提示してみせた本作は、チャン・イーモウの実力と魅力が存分に発揮されている作品だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-06 13:21:49) |
58. スウィート シンフォニー
《ネタバレ》 ポップなナンバーが不思議に心地良い、香港発のラブストーリー。 6人の男女が織りなす、くっついては離れのラブストーリーは、スピード感はあるものの、陳腐過ぎる内容。 話の内容も都合が良すぎるし、その演出も恥ずかしくなるくらいありふれたものである。 しかしながら、香港ならではの風景とポップな音楽は、否定しがたく魅力的で、陳腐でありながら嫌いになれない何かを感じる作品だった。 個性あふれる女優陣も捨てがたい。 でも何と言っても、本作の最大の魅力は、その軽快な音楽にあるだろう。 どれもどこかで聴いたことのある曲ばかりだが、香港映画は良い意味で音楽のパクリ方、いや、音楽の引用の仕方が巧い。 オリジナルな楽曲でなくても、それがその映画にマッチしていれば、それはそれで良しと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2011-08-01 23:11:24) |
59. 夢翔る人 色情男女
《ネタバレ》 純粋なラブストーリーを撮る監督というイメージのイー・トンシン監督が、実におふざけエロ映画を撮った。 エロ映画と言っても、主演のレスリー・チャンは脱ぐわけじゃあない。 そこが何だか微妙なわけだけど、更に迷走気味の作品内容にも、観ているこちらとしては困惑せざるを得ない。 ただ逆に言えば、掴み所の無い奇妙な面白さを持った作品かもしれない。 実名で香港映画界の人物が出てきたりするので、香港映画に精通している人なら更に楽しめるかもしれない。 カレン・モクも愛嬌あっていいが、どこか垢抜けない。 それに比べてスー・チーは抜群のスタイルで脱いでもスゴイので、目の保養になる。 レスリー・チャンは、初期作品の頃の様なコミカルな役を演じているが、やっぱり彼にはウォン・カーウァイ監督作品で見せるアンニュイで陰鬱な役どころが一番似合うし、そういう役どころを演じさせると、魅力を最大限に発揮できる名優だと思う。 なので、レスリー・チャン好きの私として本作を評価すれば、満足とはいかなかった。 [ビデオ(字幕)] 6点(2011-06-14 22:28:45) |
60. 紅夢
中国製作映画としては、チェン・カイコーの『さらば、わが愛/覇王別姫』に匹敵する濃度を持った作品。 チャン・イーモウは、この頃、素晴らしい作品を撮った。 現在に関しては、敢えて語らず。 抜群の才能が、出世的野心と金によって摘まれることの損失の大きさ、本作を観てこれを感じずにはいられない。 主演のコン・リーは、完璧なまでの大陸美人。 チャイナ服をとっかえひっかえ着こなす。 そして、巨大なのに閉塞感たっぷりの大邸宅。 妾4人とは羨ましくもあるが、現代日本の感覚からすると、むしろ寂しい印象の方が勝るかも。 とにかく、あのお城の様な邸宅は冷たい感じがする。 大体、気味の悪い小屋が屋上にある時点で頂けない。 だが、中国ならではの文化、もちろん中国の中でも特殊な世界での文化だろうが、我々日本人からしたら、カルチャーショックの何物でもない。 同じアジア圏の私から見てもショックを受けたくらいなので、欧米人が本作を観たらどんな感想を持つんだろうか。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-06-05 02:00:47) |