1. 83歳のやさしいスパイ
《ネタバレ》 本作における「ドキュメンタリー」パートは、介護施設の部分に違いない。そして、任務を携えてそこに潜入したセルヒオはフィクションなんだと思う。もし、ただそのままワタシの視線で介護施設を見た場合には、単にかわいそうなお年寄りたちの集まりになってしまっていたとも思うのだが、しかし、セルヒオの物語(フィクション)を介して見ることにより、一人一人のお年寄りが、それぞれの輪郭をもって立ち上がってくる。見えなかったものが見えてくる。フィクションで補助線を引くというドキュメンタリーの新しい手法。すばらしい映画でした。【追記】ワタシ、「新しい手法」なんて書きましたけど、「電波少年」がやってたのって、こんな事だったのかも知れない。本作は、やさしい「電波少年」。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-01-14 20:38:21) |
2. ブレット・トレイン
《ネタバレ》 パラレルワールドのような「奇妙なニッポン」が見たいというニーズは世間には確かにあって、実はワタシもそういうのが見たい一人です。そこを狙ってやってるんだろうし、そういった意味では最後まで面白かったとは思うんだけど、しかし。■伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの映画化って、「漫画の映画化」と同じハードルがあるように思うのですね。小説なんだけど、読者は明確なビジュアルをイメージしてページをめくっていたのではないかと。こんなのオレの蜜柑と檸檬じゃない。東北新幹線ではなく、東海道新幹線にしたのは「奇妙なニッポン」的には正解なんだろうけど。■運も不運も捉え方次第なんて話ではなく、原作では命をどう扱うかというようなお話だったかと思っていまして。もっと原作に敬意を払えよって、ヤボを承知でちょっと思ってます。 [DVD(字幕)] 6点(2023-01-27 20:07:24) |
3. プラットフォーム
《ネタバレ》 階級闘争の暗喩だったのでしょうか。なんかピンとこない。■solidaridadという言葉が「連帯感」と訳されてたと思いますが、やっぱりピンとこない。しばらく前からよく聞く「絆」とかでどうでしょうか。「絆を利用している」とかのセリフだと、なんか腑に落ちそうです。「絆」って言葉、あんまり好きじゃないんで(意地悪)。■暴力シーンは当方ある程度免疫ができていますが、食べ物を汚らしく扱うシーンには耐性がなく、生理的にイヤ。やっぱりオラはこの映画好きじゃないなあ。■「子供が希望」みたいなラストシーンも、散々えげつないくせして、最後だけなんの帳尻合わせだよという気分です。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-08-14 22:03:04) |
4. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 最後、古物店のお嬢さんと仲良くなる展開も良かったです。ああ、いい子なんだろうなあって思ってましたんで。まさかのタイムスリップものですが、SF的な注意事項(過去を変えてはならない、とか)を一切考慮しないイサギの良さ。なんか、オオゲサなドタバタ話じゃないところも良かったですよ。尺が短いところも良かった。今時(でもないが)、1時間半くらいで終わる映画って貴重です。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-08-15 22:08:55) |
5. スペイン一家監禁事件
《ネタバレ》 ファニーゲームでは、「どうせ、あんたらの見たいのはこんな残酷なのだろ」って突きつけられているような、後ろめたさを感じたりしていました。しかし、本作。タイトルそのまんま。スペインの親子が、監禁されてひたすらひどい目にあう。何かを考える余地なく事態が進んでいく。ああ、ひどい。ああ、イヤだ。自分にこんなことが、起きませんように。つまり、自動車教習所で免許更新の時にみる教材ビデオみたいなんですよ。 [DVD(字幕)] 3点(2019-04-22 15:38:10)(良:2票) |
6. ラスト・デイズ(2013)
《ネタバレ》 何故だか分からないが、外に出ると死んでしまうという状況設定はよかったです。が、消化不良。観客に答え(何故こうなったか)を明示する必要はないと思います。しかし。制作側が何も答えをもっていないんじゃないかと邪推されてしまうのはどうなんでしょう。内と外の境目ってなに?おそらく地下駐車場から発進した車もダメなのに、窓の開け閉めはOKってどうして?免疫のあるオーストラリアにいる部族の状況を何故見せない?、とか。ああ、もしかするとこういう世界なのでは、と観客が何か考えることができないと、謎解きになりません。また、希望のあるラストもいいのですが、この状況であの子をあそこまで育てた物語(過程)の方がむしろ興味深いし、おっさん2人の道行きより観たかったと思います。 [インターネット(字幕)] 4点(2019-04-09 19:25:40)(良:1票) |
7. ミツバチのささやき
《ネタバレ》 わかる。綺麗な映画だってのは、わかる。だから、ベタでも心揺さぶられるエピソードがあると(例えば、妹ちゃんをお姉ちゃんが、危機一髪で上手いこと救出するとか)、一気に評価が上がりそうなんですが。みなさんのレビューでそんな映画じゃないのがわかりましたが。ただ、穏やかな水面の湖のような映画で終わってしまいました。 [DVD(字幕)] 3点(2016-01-06 21:08:40) |
8. [リミット]
《ネタバレ》 これは、いいんじゃないんでしょうか。いたって平凡な男であるローリーは生き延びるために、また、家族のため思い残すことがないように、普通のお父さんならするであろうことを全部やります。犯人はもとより、国防省、雇い先から絶望的な状況しか知らされないまま。涙流しながら。残念ながら、容赦ないラストもこれしかないものと思います。なお、おそらく低予算だと思いますが、そのことをことさら喧伝しない、またもしかしたら、いわゆる「実話ベース」かも知れませんが、そのことにエクスキューズを求めない配給会社のいさぎよい姿勢も好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-11-17 01:43:42) |
9. スパルタンX
《ネタバレ》 そこはかとなく80年代アイドル映画の軟弱な雰囲気をただよわせつつ、しかししっかりとしたアクションシーン。加えて、広東語を語るスペイン人。そして、邦題「スパルタンX」。なんだかよくわからない不思議な世界でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-14 22:27:40) |