1. 生きる LIVING
《ネタバレ》 オリジナルは鑑賞済。 忠実なリメイクになっているものの洗練された造りになっており、 主人公と元同僚の若い娘との絡みはオリジナルと比べてくどくなくて良かった。 これはお国柄の違いだろうし、スタイリッシュな出で立ちのビル・ナイを起用したキャスティングの勝利だと言える。 葬儀後のグダグダな展開はバッサリ削り、上手く場面転換をしながら綺麗に"THE END"へと着地していく。 オリジナルのお役所体質への批判は最低限に留め、新人職員と若い娘の見せ場を増やして、 普遍的で誰にでも見易いヒューマンドラマに仕上げていた。 当然、オリジナルの凄みには及ばないかもしれないが、コンパクトにまとめたリメイク版を推す。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-05-15 21:56:01) |
2. インターステラー
《ネタバレ》 『2001年宇宙の旅』へのオマージュを盛り込みつつ、知的好奇心で満たすノーランの世界観を堪能。169分の長尺なのにも関わらず、間延びさせない編集が冴える。娘との再会に時の残酷さと切なさを感じつつも、モノリスよろしくな"相棒"と共に次の旅が始まる希望に満ちたラストが好き。 [映画館(字幕)] 7点(2021-06-18 11:28:18) |
3. インセプション
クリストファー・ノーランの作家性がブロックバスターに綺麗に織り込まれた好例。幾重にも折り重なった夢の迷宮でミッションを遂行するメンバー、夢だから何でもありな映像表現の数々に唸る。ただ、本作のルールに雁字搦めになって、渡辺謙のドラマが希薄になったのは否めず。彼でないといけない理由が分からなかった。この監督の理論的な部分が窮屈すぎて、後の作品でも足を引っ張っている感はある。逆にそれが強みにもなっているのだけれど。 [映画館(字幕)] 7点(2020-09-18 23:51:36) |
4. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
《ネタバレ》 天才数学者を巡る良質なミステリーであり、社会の不条理に殺された孤独な男のラブストーリーでもある。非常に強いこだわりを持ち、協調性に欠けたアランの言動は普通の人なら避けたくなるタイプだが、その発達障害を持つ当事者なら共感するところはあるのではないか? 彼は戦争終結を早め、コンピューターの父という、世界レベルの功績を残した。だが、機密保持が優先である故に、理解者に励まされても何の慰めにもならず、多くの人がしている普通の生活を切望していたあたり、マジョリティーの世界との深い断絶を感じてしまって切ない。戦時下での判断が救える人と見捨てられる人の数を決めるように、そのボタンの掛け違えで、もしクリストファーが生きていたら、同性愛が禁止されていなかったら、歴史が大きく変わっていても彼に救いはあったのだろうか? [地上波(字幕)] 7点(2019-05-27 21:32:32) |
5. if もしも....
《ネタバレ》 カンヌ最高賞は時代を反映させたものが多い。この映画も例に漏れず、学生運動ものである。カラーとモノクロが交互に入り乱れ、やがて現実と空想(if)の区別が曖昧になっていく。普通なら「厳格な全寮制の学校が嫌なら中退しろ」というのは己を犠牲にしてまで空気を重んじる日本の農奴根性だが、閉塞感を撃ち抜くために変えていこうとする意識が明確なのが欧米らしい。だからこそ映画では学長を射殺して撃ち合いになる冗談みたいな終わり方になる。マルコム・マクダウェルのあのエキセントリックな表情が『時計じかけ~』のアレックスに繋がるかと思うと興味深い。 [ビデオ(字幕)] 5点(2017-07-03 20:13:11) |
6. イースタン・プロミス
100分というコンパクトな上映時間の中で、血の濃厚さを思わせるドラマの深みよ。ミステリアスな語り口から始まり、そしてミステリアスに終わる引き際が絶妙。あの格闘シーンを含め、ヴィゴはよく頑張った。R18指定の暴力描写だが、『スウィーニー・トッド』のカミソリが平気なら普通に見られると思う。 [DVD(字幕)] 8点(2017-02-16 00:14:31) |
7. イノセント・ガーデン
《ネタバレ》 サイコキラーとして開花する少女の話をただ眺めているだけ。狂っているのに魅力的に感じられない。制約の多いハリウッドではパク監督のはっちゃけた演出も活かせず、映像美で勝負しても、平凡でありきたりな火曜サスペンス劇場を見ているようだった。血は争えないと言われたらそれまでで、こんなに「一体何が言いたかったんだ?」と思えた映画は久しぶり。 [DVD(字幕)] 4点(2015-12-25 20:31:15) |