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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  英雄の証明(2011) 《ネタバレ》 
シェイクスピア原作の映像化作品は現代風のアレンジを加えるものが主流という中で、本作は悲劇『コリオレイナス』をほぼ忠実に映像化した異色作。鑑賞前には「どうせ企画倒れのくだらん文芸作品になるだろう」と高を括っていたのですが、これがあまりに面白くてブったまげました。原作における着眼点や切り口の鋭さ、ジョン・ローガンによる見事な脚色、余計なことをせず王道に徹した演出、これらすべてが吉と出たようです。。。 物語は、民主主義の欠陥を鋭く追及するという興味深い内容となっています。ローマに対する忠誠心、確かな実行力、外敵に対する勝負強さを兼ね備えたコリオレイナスは執政官に相応しい人物ではあるのですが、彼はポピュリズムに負けて国を追放されます。彼の足を引っ張るのは、その一挙手一投足をヒステリックに騒ぎ立てるプロ市民と、コリオレイナスにリーダーになられては困るとプロ市民の行動を焚き付ける野党議員たち。優秀なリーダーが責任を負わぬ素人によって糾弾され、権力の座を追われるという構図は現代日本においてもしばしば観察されるものであり(経済・外交面で着実に成果をあげていた麻生総理が、マスコミと民主党による異常なネガティブキャンペーンによって引きずり降ろされたのは記憶に新しいところ)、人類というのは何百年経っても進歩がないのだなぁと実感させられました。。。 後半はコリオレイナスとオーフディアスという正反対のタイプのリーダーによるドラマとなるのですが、こちらも興味深い内容となっています。どこまでも一本気なコリオレイナスに対し、オーフディアスは優秀な軍人であると同時に政治家としての柔軟性も兼ね備えています。コリオレイナスが領内に姿を現した時、軍人としてのオーフディアスは生涯の宿敵を抹殺しようとするものの、政治家としての狡猾な一面がコリオレイナスを利用せよと囁きます。オーフディアスは時に汚い手も辞さない人物なのですが、どこまでも美学にこだわるコリオレイナスはそんな彼の正体を読み切れず、軍人としての高潔さを理解してくれる相手だと勘違いして新たな悲劇を生み出すわけです。
[DVD(吹替)] 8点(2012-09-29 23:55:59)
2.  エクス・マキナ(2015) 《ネタバレ》 
つい最近も経産省が国会答弁をAIに作らせる実験を開始したというニュースがあって、AIはかなりホットなテーマと言えるのですが、ことSF映画においては随分昔からの定番ネタでもあります。映画に登場するAIキャラには大きく2種類あって、ひとつは暴走して人間に危害を加えちゃう系。『2001年宇宙の旅』のHAL9000、『地球爆破作戦』のコロッサス、『ターミネーター』のスカイネットがこれに当たります。もうひとつは、人間と同じ自我や感情を持っているのに機械扱いされて可哀想系。『ブレードランナー』のロイ・バッティや『A.I.』のデイビッドがこれに当たります。本作が面白いのは、AVAは人間に似た姿に作られていることから観客に可哀想系AIを連想させるものの、実は危害を加えちゃう系でしたというオチの作り方であり、定番ネタの折衷に成功しています(裏を返せば、本作は世間で言われているほど斬新な内容ではなく、伝統的によくあるネタの見せ方を変えているだけとも言えるのですが)。 さすがはアレックス・ガーランドの作品だけあって物語は緻密に考えられており、サスペンスとしての大ネタもきちんと仕込まれています。ケイレブが呼ばれた目的はチューリングテストではなかったという話のひっくり返し方は特に面白いと感じました。人間と遜色ないレベルのAIはキョウコ以前のモデルで既に完成しており、社長はAIと接触した人間側の反応を見ようとしていたのです。 この社長の人物造形も理詰めでよく考えられています。社長はムキムキに体を鍛えており、さらには格闘技の特訓までやっているのですが、オチまで見ればAIの抵抗に備えてのものであることが分かります。また、キョウコは社長の理想像を投影したモデルと考えられますが、キョウコが言葉を発することができない仕様にされていることから考えると、研究開発過程において社長もまたキョウコに愛着や同情心を抱いたために何度か危険な目に遭わされてきたということが推測されます。社長は自分自身と同じ失敗を他人も犯すのかどうかを見るために被験者としてケイレブを選び、ケイレブの理想像を投影してAVAを作ったのです。 そんな理想の女性像を映像化するにあたっては、誰からも文句のつかない美貌を持つ女優さんをキャスティングする必要がありましたが、そんな要望に完璧に応えてみせたアリシア・ヴィキャンデルの美しさには本当に驚かされました。さらにはただのお人形さんにはならず、抜群の演技力、人を超えた雰囲気、必要な時にちゃんと脱ぐ女優魂も見せており、あらゆる点でこの人は突出していると思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-01-07 23:28:19)(良:1票)
3.  エイリアンVS. プレデター
2大スターのコラボレーションはなかなかよく出来ており、破綻なくお話を進めていく辺りは、素直に「うまいなぁ」と感心しながら見ました。前半、なかなか両雄を見せなかったのも構成的には成功で、ついにあいま見えたエイリアンとプレデターの初戦には燃えに燃えましたよ。日曜洋画劇場で見まくった両雄のバトルはまさに夢の実現で、さらにエイリアンの酸性血液やプレデターのよく切れる刃物など、両シリーズでおなじみのアイテムも次々に大活躍。こういうのを撮らせるとポール・アンダーソンは天才的にうまいですね。自身がゲームおたくであるためか、この人はSFにおいてアイテムを使いこなすことがやたらうまく、これまでも数々の映画で世界のおたく達を納得させてきたのには確かな腕前があったおかげなんだと感心します。しかし、そのためか既存の世界観を飛び抜けるような爆発的な展開を準備することはなく、それが不満にもつながるわけです。なにせこれは「エイリアンVSプレデター」ですからね。それこそ「エイリアン2」と「プレデター1」を足したようなハイテンション映画を期待するもんです。両方ともかなりしつこい映画だったわけですけど、それにひきかえ「VS」はかなりアッサリとした映画だったので、なんだかちょっとガッカリでした。大興奮の初戦が終わってしまうと、あとはかなり普通に話が進んでしまい、「もう終わり?」って感じでした。あと、プレデターがかっこよくなりすぎです。第1作をはじめて見た時のプレデターの印象って、悪趣味ごくつぶし宇宙人だったんですけど、ここでは高潔な戦士になってました。シリーズでやってたみたいにヘンなポーズや雄叫びをあげなくなったし、お得意の不意打ちをあまりやらなくなってたし、劇中では「プレデター=肉食」とは呼ばれず「ハンター=狩人」と呼ばれてたし、デザインもザクⅡからハイザックくらい変わってたし。人類文明の創生に関わってたって話も、ちょいとやりすぎなような気も。シュワルツェネッガーに「なんてブサイクなやつなんだ」と言われたあの連中が人類史の親だってのは、かなりもかなり意外すぎますよ。やっぱりプレデターは理屈抜きの体育界系バカ宇宙人であり続けて欲しかったですね。だとすると、設定は「エイリアン2」みたいな血みどろの混乱にプレデターが血の匂いを嗅ぎつけ参戦、って話にしてしまった方がよかったような気がします。
7点(2004-12-21 05:59:31)
4.  エベレスト 3D
IMAX3Dにて鑑賞。 邦題に3Dを冠した作品だけあって3D効果には素晴らしいものがあって、エベレストの美しさと恐ろしさを存分に味わわせてくれます。急斜面から下を見下ろすショットが何度か出てくるのですが、これが高所恐怖症ではない私でも脇汗をかかされるほどのド迫力であり、『ゼロ・グラビティ』にも匹敵するライド映画となっています。その視覚効果の凄さは、設備の整った映画館で見なければまったく無意味と断言できるほどであり、もし迷っているならすぐに映画館へ足を運ばれることをオススメします。 他方、ドラマの方はかなり淡泊です。比較的最近の事故であるため存命中の関係者が多く、さらには生存者間でも事実認識が割れている点がいくつかあることから、脚色にあたって相当な制約を受けたことがその原因のようで、いろいろと無難に収められています。登山ガイドの隊長、顧客の医師、なけなしの金を持って参加した郵便局員の3名が物語の中心となるのですが、これら中心人物達ですら背景の描写は最小限にとどめられており、その豪華キャストから『ポセイドン・アドベンチャー』のような濃いドラマを期待すると、少なからずガッカリさせられます。 また、登場人物が多いことに加えて、吹雪の中では顔の判別が付きづらいこと、途中からパーティーがいくつにも分割してそれぞれの位置関係の把握が難しいこともあって、誰が何をやっているのかの把握が非常に困難であり、内容を正確に理解しようとするとかなり混乱します。ラスト30分で突如救助隊の中心人物となるサム・ワーシントンなんて、「あなた、いましたっけ?」と言いたくなるほどの唐突感だったし、総じて登場人物の交通整理はうまくいっていません。「少々のことはわからなくても大丈夫」と早めに割り切り、登山の追体験に専念することが正しい鑑賞姿勢だったのかもしれません。
[映画館(字幕)] 6点(2015-11-09 15:34:13)
5.  英国王のスピーチ
題材は興味深いし、脚本も演出も良い。ユーモアと生真面目さのバランスの取り方は絶妙だし、クライマックスにはきちんとカタルシスが準備されている。映画としての完成度は高いと思うのですが、同時に何から何まで優等生的で小さくまとまっているという印象を受けました。見ている間は楽しめるが、生涯忘れられないほどの強烈な作品でもない。オスカーは数年に一度、このような安全パイ的な映画に作品賞を与えるのですが(「フォレスト・ガンプ」「恋に落ちたシェイクスピア」「ビューティフル・マインド」…)、果たして本作が2010年を代表する作品であったかどうかは微妙なところだと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2011-09-14 01:19:02)
6.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
プリクェルではないという微妙な立ち位置で多くの観客に混乱を与えた『プロメテウス』から一転し、本作では『エイリアン』の看板が戻り、全体としては原点回帰の作風となっています。怪しげな星に立ち寄った宇宙船がどえらい目に遭わされるという物語であり、血もドバドバ出ます。これぞエイリアンです。ただし、バカな人間がバカなことをしでかしたために余計に事態が悪化するという、この手の映画でやって欲しくない展開が非常に多くて登場人物に感情移入できなかったことが、観客の恐怖心を和らげるという悪い影響をもたらしていますが。 コヴェナント号が航路を外れてまで舞台となる星にやってくるという基本的な部分から、説明がうまくいっていません。「我々の生存に必要な要素が揃っている。当初の目標である植民星オリガエではなく、こちらの星に移住しよう」という突拍子もない意思決定が実にアッサリとなされるのですが、こんな重要事項に関する判断があまりに軽すぎやしないかと驚きました。一応、この意思決定を下した艦長代理には「信仰心が厚すぎる余り、合理的な判断をできない可能性のある人」という人事評価があり、そのために艦長への昇進を見送られてきたという設定もあるにはあったのですが、ならばなぜ他のクルー達は艦長代理に反対の声を上げないのかと思いました。会社命令で行かざるをえなかったノストロモ号のクルー達と比較すると、事の発端部分に自業自得の要素があるため、コヴェナント号のクルー達には感情移入できませんでした。 惑星に降り立った後も、生命に必要な水と空気があり、植物も生い茂っている環境であれば未知の病原体等のリスクを考えなければならないのに、防護服なしで普通に探検を始めるものだから、この人達はバカなのかと思ってしまいました。いよいよバックバスターに襲われる場面では血で足を滑らせて転倒、一心不乱に撃った弾丸が可燃物を直撃して着陸艇大爆発と、こちらも愚かなキャラクターが事態を悪化させるという形で物語が進んでいくため、怖いというよりも呆れてしまいました。 そして、『プロメテウス』で活躍したデヴィッド登場により、場はさらに混乱します。隠れ家としてデヴィッドに案内されたのは未知の巨人の死体がゴロゴロ転がる、見るからに怪しい場所であるにも関わらず、「ここは安全だ」というデヴィッドの言い分を全面的に鵜呑みにするクルーのみなさん。また、一か所に固まって救援を待てばいいものを、単独行動でどんどん戦力を消耗していくものだからイライラさせられました。彼らの持つ銃火器はエイリアンに対して効果を持つようだったし、用心深く対処していれば全員で生き残ることも可能だったと思うのですが。 一応、エイリアンの起源も説明されます。前作でエンジニアが作り出したものをデヴィッドが品種改良して完成させたのがみなさんご存知のエイリアンでしたという、それを知ったところで「へぇ~」とも何ともならない、実にありがたみのない説明ではありましたが。起源を描けば描くほどエイリアンの存在は矮小化しており、「偶然出会った訳のわからん凶悪生物」という第一作のまま放っといてあげればよかったのにと思いました。 リドリー・スコットによると、次回作『エイリアン/アウェイクニング』は『プロテウス』と本作の間の時期を舞台にした作品となるようですが、エイリアンの起源に関する興味はあまりないので、これ以上の続編はもういいかなという感じです。
[映画館(字幕)] 5点(2017-09-16 12:35:20)(良:4票)
7.  エリザベス:ゴールデン・エイジ
英国史に馴染みのない人にとってはハードルの高かった前作からは一転して、本作はアルマダ海戦という大きな山場に向かって一直線に走る内容だったので、かなり見やすい作品となっています。物語は徹底的にシンプルにまとめられており、エリザベス女王の苦悩を描き出すことのみに専念。さらには、王族出身者ならではの苦悩という特殊事情は控えめとし、仕事をバリバリこなしているもののプライベートでは孤独を抱える女性という切り口に徹して現代の観客にも共感可能なドラマを目指しており、観客にかなり配慮して作られた作品だということが伝わってきました。 しかし映画とは難しいもので、こうした配慮が概ね裏目に出ており、かえってドラマ性が薄まっています。イングランドを王族同士の婚姻を通じて飲み込もうと迫ってくる周辺諸国と、「結婚する気はございません」の一点張りでのらりくらりとかわすエリザベス。彼女が背負っていたものは現代のキャリアウーマンのそれとはまるで異なるため、これを大衆的な価値観で理解しようとすることにはそもそも無理があったのです。ここは定石通りに当時の国際情勢や、彼女の母・アン・ブーリンが辿った末路といった切り口から彼女の心情に迫る方が分かりやすかったはずなのに、おかしな形で一般化しようとしたためにかえって感情移入が難しくなっています。 また、ウォルター・ローリー卿と侍女・ベスとの三角関係にも、特に感じるものがありませんでした。自由に恋愛ができないエリザベスは、侍女の恋愛話を聞くことで自分自身の欲求をごまかしていたのですが、その侍女の一人がよりにもよって意中のローリー卿に手を出した。彼女からすればやってられない状況なのですが、前述した通り「なぜエリザベスは恋愛をしないのか」という政治的な背景が描かれていないために、パブリックな立場とプライベートな感情の間で板挟みになった彼女の苦しみがピンとこないのです。 当時の国際情勢が描かれていないため、山場となるアルマダ海戦にもさほどの興奮が宿っていません。弱小国だったイングランドが、世界最強のスペインから仕掛けられた喧嘩に受けて立って大勝利したというドラマチックな戦だったはずなのに、当時のスペインがいかに強かったかという煽りや、イングランド側が戦いを受けて立とうと決意するまでの過程、絶望的な戦力差の中でいかにしてアルマダを破ったのかという戦略面での説明などがことごとく抜け落ちているのです。これは勿体ないと思いました。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2016-12-26 19:08:31)
8.  エリザベス 《ネタバレ》 
父・ヘンリー8世と母・アン・ブーリンの愛憎劇を描いた『ブーリン家の姉妹』がなかなかの面白さだったので、その子・エリザベス1世の初期統治を扱った本作も連続で鑑賞しました。 いつ殺されてもおかしくない状況からの女王就任に、宗教問題で分断された国家の統合、王位簒奪を狙う周辺国家との駆け引き、国内最有力貴族による反逆未遂など、映画として面白いイベントてんこ盛りのエリザベス治世なのですが、これが実に盛り上がりに欠けるという残念な内容となっています。どうやら本作は当然に英国史を知っている人たちを対象として作られているようであり、各イベントについては観客の側で脳内補完してもらえることが前提となっているため、英語文化圏以外の観客にとっては各登場人物の行動原理が分かりづらい、大した煽りもなく大事がさらっと流されていくという不親切な仕上がりとなっています。 また、エリザベスのメロドラマが作品の横軸となっているものの、物語開始時点ですでにエリザベスとロバートとの関係性が出来上がってしまっているため、こちらも感情移入が難しくなっています。 美術や演技など見どころは多いものの、アカデミー作品賞ノミネートの割にはドラマ部分に力がなく、「名物に旨い物なし」を地でいくような仕上がりとなっています。
[DVD(吹替)] 5点(2016-12-05 15:29:18)(良:1票)
9.  エンゼル・ハート 《ネタバレ》 
ミッキー・ロークはめちゃくちゃにカッコいいのですが、私の中ではそれだけしか評価すべきところのない映画でした。だからといって映画の質が悪いというわけではなく、文化的・宗教的バックボーンの不足により、私にはこの映画を理解する土壌がなかったことが原因だったと思います。これは悪魔に踊らされる主人公の憐れな末路を描いた作品であり、随所にバチ当りな描写がなされるのですが、キリスト教徒ではない私にはこの映画の破天荒さがイマイチ伝わってきませんでした。。。悪魔を主題にした映画は他にもいろいろあります。特に「エクソシスト」はマリア像が派手に汚されるなど相当バチ当たりな描写を含んでいましたが、それらの映画には悪魔に対する善なる力が必ずセットで描かれ、最後には神が勝つという内容となっていました。それがキリスト教圏の観客の安堵感につながっているのでしょうが、一方本作にあるのは悪魔や異教の描写のみであり、それをやり込めるはずの神の力がまったく描かれません。これが本作の特異なところで、主人公は最初から最後まで悪魔に弄ばれ、旅の最後にはブードゥー教の巫女である実の娘との相姦により悪魔の子孫を残し、そして何の抵抗もできないまま死んでいくという救いのない物語。宗教色の強い作品でありながら神の存在がまったく描かれない不安感がキリスト教圏の人達にとってはショッキングだったのだと思います。本作の悪魔は神を恐れるどころか教会の椅子に座り、「神の前では静粛にしろ」と主人公に説教をはじめる始末。視覚的にエグい描写は少ないものの、やってることはとんでもなくバチ当たりなのです。ただ、視覚的なショックが少ないために非キリスト教徒には伝わりづらいことが本作の欠点となっています。さらに、本人オチも当時としては衝撃的だったのでしょうが、今となっては使い古されたネタであることも本作の魅力を奪ってしまっています。
[DVD(字幕)] 5点(2011-10-19 01:32:51)(良:1票)
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