Menu
 > レビュワー
 > ミスター・グレイ さんの口コミ一覧。2ページ目
ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

-------------------------



表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  麦の穂をゆらす風
私は英国好きで映画も好んで観るのですが、正直なところアイルランドという国についてIRAで紙面を賑わせたことぐらいしか知りませんし、イギリスと呼ばれる地域がどのように成り立っているのかも不明です。そもそも日本ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドをひっくるめ便宜上〝イギリス〟という呼称を使っていますが、UKと呼ばれることからも分るように正式名はグレート・ブリテインおよび北アイルランド連合王国(辞書で確認してしまった;)であり、イギリスというのはイングランドから派生した言葉なのでイングランド以外の人々は気分を害すかもしれません。現在の状況ですらその程度の認識しかないのに歴史的背景はさらに複雑なはずです。まして本作は政治家でも軍人でもない市民目線からの描写なので社会全体の動向や彼らの行動の位置付けが把握しにくくアイルランド史を知らないと理解しづらいです。ですから両国の関係に造詣が深くないと本作を咀嚼したとは言えないと思いますし、また自国の人々がどう思ったのかが気になるところです。しかしその一方で、一般市民の兄弟が軸となった物語なので等身大であり感情移入などはし易いです。その結果、暴力から生まれる惨劇の数々に、どのようなバックグラウンドであろうと報復にしても武力行使は悲劇しか生まないのだという事と、醜い連鎖に終止符を打てぬ人間の愚かさ、哀しさが痛いほど伝わってきます。あらゆる場面が濃密であり、目を背けたくなる場面ですら瞬きするのも忘れそうです。
[映画館(字幕)] 8点(2006-11-24 18:19:50)(良:1票)
22.  トリスタンとイゾルデ
説話であり類型本がいくつか出ている物語なので詳しくは知りませんが、少なくとも大まかなストーリー展開以外かなり大本からアレンジが加えられています。人物設定も異なりますし媚薬や竜退治やイゾルデと同名の恋敵など物語の有名どころは登場しません。竜退治などはけっこう期待していたのでガッカリしたのですが…これがなかなか丁寧に作られていて面白いのです。もちろん高名な悲恋劇の古典もいまや単純過ぎるお話ですし、かりにも指導者たる者達がとるお間抜けな行動の連続には唖然としますが、あくまで二人の愛がテーマなので焦点を絞ったのでしょう。トリスタンとイゾルデ、それにマーク王の三者三様の想いが存在するなかで、若い二人がキッパリと決心することができず愛と忠義の間で揺れ動く姿が切ないです。それに今の時代、興行目当てで本当は安易にCGの竜など2、3匹出して景気付けたいところだろうし、惚れ薬や恋敵も使いたいアイテムでしょう。しかしそうはせず敢えて直球勝負で挑み、若手起用でほぼマイナーな役者で撮ったのは物語を伝えようという製作者サイドの真摯な意気込みを感じますので、とても好印象なのですよ、ええ。
[映画館(字幕)] 8点(2006-11-08 18:18:05)(良:2票)
23.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
ダメ親父なのかと思ったらイイ父親だったり、別れ際に兄が「寂しい」と言ったのが聞こえなかったりするのはドラマとしてはお約束なんですが…ついついその世界にはまってしまいました。 父親は昔気質の男。女のバレエを始めたビリーはまさに現代っ子。その新旧二人の男が力合わせて一つの夢に向かっていく姿が感動的です。本作は新世代のビリーの夢を応援しつつも、男の時代の終焉で時代遅れとなった旧世代の父親を魅力的に描く事によって新旧ともに肯定しています。そして新旧の二人が実は似た者親子だったりするところが憎い演出です。バレエに一心不乱に打込むビリーとロンドンには鉱山がないからと外界へ出た事のない父、というように一つの物事に熱中するところや、女ばかりの中でバレエ、四面楚歌の状態覚悟でスト破りとたった一人でも思いを貫徹させるところ。タイプこそ違えど二人の親子性が微笑ましいです。  それからイギリス人の友人がいる訳でもないので確証はありませんが、イギリス人と日本人の感覚は似ていますよね。頑固なところや変に意固地なところ、思った事を素直に表現できない照れ屋なところや、それでも家族を想っているところ等々、だから共感し易いのだと思います。『トレインスポッティング』『フル・モンティ』と90年代中盤から復活したイギリス映画、英国好きの私には嬉しい限り。これからも良質の作品を送り出して続けてくれっ!
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-13 15:21:26)(良:1票)
24.  SOSタイタニック 忘れえぬ夜 《ネタバレ》 
模型のような船に発泡スチロールのような氷山が出てきた前半は時代とはいえこれは失敗作かと思いましたが、タイタニック号が沈没し始めてからは凄い。あまりの惨事に恐怖で息もつけません。ドキュメンタリータッチなので人物描写こそ希薄ですが、どうなるか分っているだけに小さい子を抱く老人が写るだけでバックグラウンドなどなくとも悲しい心持になってしまいます。そして、見える距離にいたカリフォルニア号には船員たちと共に何故気づかないんだと叫んでしまいたくなります。タイタニック号の悲劇を忘れてはならない出来事として深く記憶させてくれる良作です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-31 17:47:24)(良:2票)
25.  エンド・オブ・オール・ウォーズ 《ネタバレ》 
カーライルに引かれてレンタルし戦争ものかと思って鑑賞すれど、それでもかなり重い作品でした。 人間らしさを失わなかったアーネスト・ゴードンたち。たとえ捕虜にされ自由を奪われたとしても心や頭の中にあるものは誰にも奪えないのだという事と同時に、人間にとってそれが最後の砦なのだと思います。そしてそれこそが人間の価値なのだと思います。 またキャンベル少佐とイトウ軍曹は結局のところ似た者同士だった訳です。強い信念を持ち自ら信じるルールを頑なに守っている彼ら。そんな彼らの性格が駒として利用されてしまう戦争という状況は悲劇です。こんな状況下で出会わなければ二人は友人になれたかもしれません。戦闘シーンなどなくとも戦争の残酷さがひしひしと伝わってくる作品です。それから日本人キャストは存じない方々ですが、皆、役の雰囲気に合っていて良かったです。
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-27 14:06:47)
26.  アルゴ探険隊の大冒険
何より感心するのは作り手の旺盛なサービス精神ですね。次から次へとクリーチャー出てきてワクワクしっぱなしです。特に最後の骸骨戦士とのチャンバラシーン、素晴らしいです。しかしやはり本作の一番の見所はタロスでしょう。タロスの首が動きだす場面、怖いです。よくよく見ていると場面によってタロスと人間の大きさの比率が違うと思うのですが…その辺はご愛嬌ですね。(ちなみにマニアックな話ですけど、昔プロ野球の巨人にいた助っ人ロイド・モスビーが、このタロスにそっくりだったんですよ。すみません;ずっと言いたいと思っていた事なので。)とにかく楽しい作品です。でも一つだけ気になる事があります。それはヘラクレス…を演じた方。ヘラクレスは怪力自慢のはずなのですが、私にはどうしても彼は肉付きの良いおじさんにしか見えないのです。
[ビデオ(吹替)] 8点(2005-12-22 23:54:45)(笑:1票)
27.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
ウォンカにとって次元転送装置を発明することよりチョコレートの方が大事であった。それはチョコレートを愛していたからだ。チャーリーが帰った後、おいしいチョコレートを作れなくなってしまったのは、チョコレートよりも大事なものが〝愛する人〟だと知ってしまったから。バートンは「ビッグ・フィッシュ」に続き家族の愛を描いている。チャーリーの家、一つのベッドに四人の老人、あの暖かい雰囲気が好きである。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-01 17:36:22)(良:1票)
28.  プラトーン 《ネタバレ》 
これは初めて見た時に非常にショックだったことを覚えています。しかし曲りなりにもその後、数々の作品を見て、その怪しげな眼力が一進一退を繰り返している今、改めて見てみると、あの時のショックは映画的なショックではなく筋書きの政治的なショックだったのだと思い至りました(ここでは政治的なことは棚上げするが、その側面も今考えると胡散臭い)。 確かに力業ではあるのですが、単純に言って一人一人の兵士の顔ですらボヤけて見えますし、いくつかある見せ場のシーンにしても、それ自体ではかなりつまらなく失敗しているとすら思います。…ただそれでも、今が初見だったら不満だったであろうウィレム・デフォーが天に手を掲げ散ってゆく様や、トム・べレンジャーの悪役っぷりは出会った当時の衝撃的な映画の記憶として既に脳のどこかにしっかりと焼き付いてしまっているので、あのシーンを迎える度に身震いしてしまうのです。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-26 18:33:49)
29.  フレンジー 《ネタバレ》 
ここで最も驚くべきことは観客の心理を自由自在に誘導してしまう巧みさです。「サイコ」でも感じたことですが、その傾向はより強く、主人公はとても感情移入できるキャラクターではないにもかかわらず殺害された前妻の所にやって来る時には、〝行ってはダメだ!〟と思わされてしまいますし、真犯人がピンを失ったことに気付いた時には〝大変だ、死体が握ってる!〟とドキドキさせられ、ヒッチコックに完全に感情をコントロールされてしまうのです。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-09 18:42:21)
30.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
本編の謎解きサスペンスは面白くなりそうで突き抜けてはいきません。それなりの要素をちりばめながらも、例えば、一癖も二癖もありそうな一族たちの人物描写が乏しいですし、ミスリードするようなトラップも無く、あるいは橋だけで繋がれた島というシチュエーションも携帯が圏外という精神的孤独感を示すだけで機能し切れているとは言い難いです。  ・・・しかし、リスベットの魅力が集約されているエピローグには参ってしまいました。リスベットがダニエル・クレイグの敵を葬るため(方法論が分からないがそんなことはどうでもいい)、上品なブロンド美女へと変身し、かと思えばカツラをパッと脱ぎ捨てドラゴン・タトゥーの女へと戻りタバコをスパッとやる…。この繰り返しがしばらく続くのですが、ここで初めて彼女の快活さを垣間見て格好良いと思い心を動かされたのです。しかも全て片付けば、威圧感たっぷりの風貌とは裏腹に純真な恋する乙女の姿まで見せる。雑誌社の表通りでクレイグのクリスマスの予定を尋ねるリスベット、ビルに配された大きな窓からクレイグの愛人がその様子を堂々と目撃するのに対し、クリスマスにリズベットは影から彼らの仲睦まじい様子を目撃し、用意したプレゼントを投げ捨て走り去る…。いじらしい彼女に胸がキュンとしてしまったのです。フィンチャー監督、恋愛映画もいけそうです。
[映画館(字幕)] 7点(2012-02-24 18:48:16)(良:3票)
31.  落ちた偶像 《ネタバレ》 
内外に長い階段を配した屋敷の設計、部外者が存在するかくれんぼ、落下場所の伏線、あるいは少年が逃げ出した夜の街景色や警官との遭遇などはとても素晴らしいです。 ただ、最後の急展開は収まりが悪く不満が残ります。というのも少年は肝心な部分が欠落した夫人の落下シーンを目撃し(2つの階段が見事に威力を発揮!)、ベインズが殺害したと錯覚を起こすわけですから彼が潔白だと信じるためには、強力な目撃シーンに相当するだけのシーンが用意されていなければ、やや喜劇調にすらなる万事解決のラストは説得力に欠けるのです。これは少年が目撃する物語であり、ましてアフリカの話がウソであるように百聞は一見に如かずなのですから。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-02 18:44:56)
32.  三十九夜
逃走劇を基本としつつもサービス精神旺盛で、様々な場所で様々な工夫を凝らした出来事を起こし、時にギャグを挿みながら90分足らずという時間でまとめ上げ、抜群のテンポで見せてしまうヒッチコックの手腕はさすがで、ここにはヒッチのやりたかったことがほぼ詰まっていると言っても過言ではありません。 唯一、欠点を挙げるとすれば主人公のロバート・ドーナットがやや魅力に乏しいことで、口ヒゲも手伝って軽薄な男に見えてしまいます。
[DVD(字幕)] 7点(2011-03-28 18:27:57)
33.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
(3D版を鑑賞)メガネの向こうに、あるはずのない架空の世界が現実に存在しているかのように思えたのは、やはり凄いですし、やたら空を飛びまわり、木が柳のように枝垂れているのも3Dを意識してのことでしょう。クライマックスの一大バトルも迫力がありますし、先ごろ見た「パブリック・エネミーズ」のおかげで、その顔をすっかり認識できたスティーヴン・ラングの力強い悪役っぷりも頼もしい限りです。 (ここからは3D環境の話)ただ大きな問題点として、あのサングラスの如きメガネのせいで光と闇が制限されてしまうということがあげられます。常に薄暗がりにいるようで、もっと明るくなければならない所も、もっと暗くなければならない所も表現しきれないでしょう。 (ここからは個人的肉体の話)それとあの重めのメガネを160分も掛けているのは耳と鼻につらく、字幕も何だか見辛かったです。さらなる進歩によりメガネを掛けずに見られるようになれば…全て解決なんですけどね。 
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-26 18:41:34)
34.  エンゼル・ハート 《ネタバレ》 
主人公が探偵で、フラッシュバックがあり、悪夢的で、暗い世界で夜の舗道が雨に濡れている…これはフィルム・ノワールなんだと思って見ていたら、最後にお茶目な格好のデ・ニーロが登場し、そんなオチかよっ!と思わずツッコみたくなるような結末ではあったのですが・・・最初からオカルトと知って見ていれば落胆することもなかったでしょう。というのも謎に向かって行く過程はなかなか巧みで面白くできています。何度も反復し出てくる格子の影や、ゆるやかに回転する換気扇のプロペラなどが不安感をこれでもかと煽っていますし、ミッキー・ロークは男の色気があり魅力的ですし、女たちもエロティック(わざわざ露出する必要はどこにもないと思いますが)でドキドキさせてくれます。 心臓オチと分かってみれば、鼓動音やミッキー・ロークがしばしば鏡を見るといった仕草も伏線として活きていますし、怪しげでスリルいっぱいの世界が確立されていると思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-04 18:07:10)
35.  艦長ホレーショ 《ネタバレ》 
海洋、軍人ものなので男くさ~い内容をイメージしていましたが、長期間、大海原をかけ戦闘を繰り返す活劇としては面白味に欠けていますし、常に澄み切った空は美しいのですが、せっかくの海なので嵐も見せてほしいと思います。・・・しかし本作の主体は冒険活劇ではなく、グレゴリー・ペックとヴァージニア・メイヨの恋模様を描いた完全なるロマンスの映画なのです。それも女と話すのが苦手そうに咳き払いをするペックと、芯の通ったお嬢様のコテコテの恋愛模様かと思いきや、そうではなく互いに別の決まった相手がいるという高い障壁のある禁断の恋…。惹かれ合いながらも愛し合うことができない二人の微妙な距離感が絶妙ですし、個人的にヴァージニア・メイヨは趣味じゃないのですが、とっても綺麗に撮られています。特に病に伏せ熱に浮かされる姿などはとても艶っぽく、ペックがイチコロになるのも当然です。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-01 18:12:27)
36.  この自由な世界で 《ネタバレ》 
社会の歪みの元凶は利潤追求にあるとでも言うように、他人を顧みない金儲け主義の人々の悪行が描き出されています。階級が低くなれば低くなるほど割りを食う残酷社会の中で主人公のアンジーもバイクにまたがりよく働きますが、彼女はケン・ローチ監督がたびたび描く労働者階級ではなく、成上がりであっても一段上で労働者たちを食い物にする搾取する側なのです。そんなアンジーも仕方なしと感じさせてはいますが彼女の表情というものはくすんで見え、それに対するようにポーランド人の移民青年は謝礼も受け取らず、物質的に貧しくも実に爽やかで自然体に見え生き生きと描かれているのです。というところからも本作は、視点が変わっただけでやっぱりどうして労働者たちの映画なのだと思います。無事丸く収まって運営しているように見える〝自由な世界〟ロンドンの裏には、寄るところの無い移民労働者の人々がたくさんいて、彼らは無視できない社会の大きな歯車の一つだという現実を強く訴えているのです。その証拠にラストショットは、再び労働者の斡旋を始めた主人公アンジーの表情で彼女の是非を問うのではなく、冒頭と同じく一移民労働者の不安と期待の入り混じった表情をとらえているのです。
[映画館(字幕)] 7点(2008-08-25 18:21:59)
37.  スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
やはり本作で最も記憶に残るのは鮮血シーンでしょう。回想や妄想のシーンでは色鮮やかなバートン色が前面に押し出されていますが、スウィーニーの世界は灰色が基調であり、そこでドッバッっと真っ赤な血が飛び散るコントラストが強烈な印象を与えています。ころあいに傾斜した窓も味わいがあり、そこで復讐の時を待つスウィーニーの人物造型もバートン監督の好きそうなキャラクターだけあってしっかりしていますし、ヘレナ・ボナム=カーターの役も良く練られています。ただ、アラン・リックマン演じる判事は若かりし頃に比べいささか狡猾さが弱まっており、そのせいで物語がやや貧しくなっているように思います。強烈な歌があるわりに全体的に見せ場には乏しい感じはしますが、アトラクションを体験しているような感覚を味わえる独特な世界は構築されており、さすがはバートン監督と言ったところです。
[映画館(字幕)] 7点(2008-01-22 18:11:44)
38.  アポロ13
極限状況における宇宙船のクルーと管制官の危機感を持った連携プレーが、絶妙な配分で描かれており作品の世界に引き込まれてしまいます。死と隣接している当事者は喧嘩、管制官たちは眠気覚ましのコーヒー片手の姿に温度差を感じさせるあたりも巧妙です。大作にして、宇宙船、管制センター、家の三空間だけで構成される一種の密室劇にし緊迫感を損なわず最後までもっていくのは見事です。感動の無理強いせず淡々とした作りになっているのも好感が持てます。ただ人物描写に関してはやや甘く、個々の演じる役者さんのそれぞれ特性に頼りきっているように思えます。つまりは見事なタイプキャストでもあるわけですけど。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-09-11 18:31:19)
39.  10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス
カウリスマキとジャームッシュ、スパイク・リーに画的にヴェンダース、役者が中国人だからチェン・カイコー、あとは観ただけでは判断できず…。まだまだ修行が足りませぬ;。個人的に言えば、好きなのは相も変わらず無口なカウリスマキ作品。中でも出来が良いと思うのは、素人でも無駄なしと思えるほど濃密で完璧に10分間を使ったエリセ作品。中では不出来と思うのはやや反則技のように10分間を使ったヘルツォーク作品。でも一番気になったのはそのヘルツォーク作品。フィクションかノンフィクションか分らぬが浦島太郎のごとく僅かな時間で何千年もの進歩を余儀なくされた一民族の、時間に置き去りを食った姿はあまりに哀しい。人間の有るべき姿を問われたようで哲学的な気分にさせられます。
[DVD(字幕)] 7点(2007-02-14 18:35:18)
40.  レジェンド・オブ・サンダー 《ネタバレ》 
少々余談・・・レンタル店を散々徘徊して時間を浪費した末に本作が目に飛び込んだ。パッケージにはロバート・カーライル。あれ、こんな作品に出てたかな?と思ったら、どうやらTV映画らしく前編と後編に分れていた。史劇を観る気分じゃなかったがカーライルが出てるしまぁいっかと思い両方とも借りた。・・・前編、カーライル出てこないなぁと思っていたらついに最後まで出てこなかった…。しかし、なかなかどうして面白い。メアリーの野心や忠臣ボスウェルとの関係など人間ドラマが見応え十分!続きが観たいと思いすぐに後編を観たが、やっとカーライルが登場。なるほどカーライルはメアリーの息子役だったのかぁって…という事は時間がだいぶ経っている。そう、本作は前編と後編になっているもののバラバラに観ても特に違和感がないようになっているのです。ボスウェルはあの後どうなったのかとか気になっていた私には正直言って拍子抜け。しかも後編は、ジェームス一世の母に対する葛藤こそ描かれているものの、ガイ・フォークスの火薬陰謀事件の経過を追っていく作りになっており前編のような人間ドラマの色が薄くなってしまっています。前編とは別の人が撮ったのかなと思うほどテイストが違うのです。でもまぁこういうの観ると勉強になるし、全体的に言っても面白かったですね。・・・最後にも一つ余談・・・前編と後編のパッケージが全く同じってどうでしょう?確かに一本物だけど20年近くの時の差がありますし。裏の説明文をちょこっと変えるだけでいいんですけど、やっぱりコストがかかるのかなぁ。それから原題は〝火薬、反逆、陰謀〟(直訳)で火薬陰謀事件を指していると思うんですけど、何かけたたましい邦題がついていますね。
[DVD(字幕)] 7点(2006-06-26 18:31:59)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS