1. 終電車
実在のをモデルに、ナチス占領下のパリでの演劇界を描いた名作。演劇を上演する大変さはよくわかるが、ドヌーヴ演じるマリオンと演出家の夫ルカ、相手役ベルナールとの三角関係は微妙。どこまでが芝居でどこからが本物か、特にラストは騙されてしまった。冒頭のシャンソン「サンジャンの私の恋人」も印象的。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-14 17:18:08) |
2. シャトーブリアンからの手紙
史実だけに重苦しい。フランス占領に反対し捕らえられ政治犯は、捕虜ではなく人質なのだ。狂気としか思えない命令が粛々と実行される。事件が起きてわずか4日間の出来事だったとは大変な驚きだ。終盤での神父の「命令の奴隷になるな」の叫びが心に残る。 [映画館(字幕)] 7点(2014-11-17 20:02:14) |
3. シンプル・プラン
元々は警察に届けないでほとぼりがさめるのを待つだけの単純な計画だったのに、偶然が重なり思わぬ方向へと進んでいく。殺さなくてもよかった人間まで殺してしまうことになり、最愛の兄までも・・・。よくありがちなストーリーにもかかわらず、しっかりとした構成と巧みな心理劇で良質のものになっている。冒頭の真っ白な雪と真っ黒なカラスも印象的。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-05 21:55:44)(良:1票) |
4. JFK
「ダラスの熱い日」も大変衝撃的だったけど、この映画はそれどころではない。前者は仮説という印象が強かったが、「JFK」では証言証拠に加え綿密な理論に基づいている。それに引き替え、オズワルト単独犯としたウォーレン委員会では調査が行われなかったり、記録が残されてなかったりするなど不十分さが明らかで陰謀説が出てくるのは当然のことだろう。歴代大統領やキング牧師、それにロバート・ケネディまで暗殺されるとなると米国は病んでいると言われても仕方ないだろう。ただ映画の中の裁判では、オズワルド単独犯は証明できても、クレイ・ショーを有罪にできるかというと疑問である。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-31 23:40:22) |
5. 情婦マノン
《ネタバレ》 逆さに担ぎ上げて歩くなんて、そりゃあ誰もが驚くだろう。しかしそこまでする意味がどうもわからないけど・・・。アベ・プレヴォーの原作は若い時読んだが情熱的だった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-27 09:55:46) |
6. ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー
大人の愛と言えば聞こえはよいが、魅力的で話題を呼んだジェーン・バーキンもすっかり老け込んでしまった。その分どうしても映画が退屈に思える。皿を割る寸劇などサーカス部分にはおもしろいところもあるのだが・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2013-09-24 06:57:55) |
7. 自由を我等に
サイレント映画風のコメディかと思いきや要所で台詞が入るしオペレッタ風にもなる。結局はチャップリンとは違うスパイスのきいたコメディなのだろうか。お金や地位よりも恋愛よりも自由が一番とは・・・。脱獄してからとんとん拍子に社長とはあんまりという気もするが、風刺劇とみれば何のことはない。 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-18 19:23:47) |
8. 少年と自転車
これはすばらしい良い映画だ。贅肉をそり落とし、87分という短い時間にすごくコンパクトにまとまっている。ストーリーとしてはごく身近にある素材にもかかわらず映画に惹きつけられるのは、少年の屈折した心理が巧みに描かれていることによるものだ。またその少年シリルを演じたトマ・ドレのうまさに大変驚く。そして頼まれたとはいえ、里親となったサマンサの愛情にも・・・。映画には、ベートーヴェンのピアノ協奏曲が実にうまく使われている。途中の演奏ではピアノはなく、エンディングになってようやく登場するが、それがあたかも希望の光に思える。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-26 07:41:23) |
9. 真実の瞬間(1991)
《ネタバレ》 人道を無視した米国の赤狩りについては、誰よりも知っているつもりだった。しかしこの映画を見た瞬間、それは間違いだったことに気づいた。どんなに頭の中で理解していても、それは本当に知っていたことにはならないのだ。それほどまでに、深く強烈に胸に突き刺さる映画だった。 人間誰しも自分がかわいい。自分が罪に問われ迫害が及ぶとわかっていて、それでも自分の信念が貫き通せるだろうか。友の名をあげれば自分は許されるかもしれない、しかしその友は自分とまた同じような運命をたどる。誰かが勇気を持ってその連鎖に立ち向かわなければならないのだが、・・・。職や友人をなくし悲惨な体験を味わった主人公のどこにそれがあったのだろうか。 何と言っても、ラストのロバート・デ・ニーロとゲイラード・サーテインの迫力ある法廷シーンは見ものだ。またマリリン・モンローの「紳士は金髪はお好き」を初め、50年代の映画界の雰囲気を与えてくれるのにも好感がもてる。 [DVD(字幕)] 10点(2012-09-10 23:53:14) |
10. 仕立て屋の恋
《ネタバレ》 最初は変態じみた主人公が好きでなかったけど、こうも一途に愛する姿を見ていると気持ちも揺らいでくる。女の方は犯罪を起こした婚約者をいつまでも思っているのに、それどころか男に罪をなすりつけようとしたのに・・・。最後はとても・・・ ところで、彼が彼女の部屋を覗くときいつも流れる曲、あれはブラームスのピアノ四重奏曲だと思うのだけど、第4楽章のしかも途中の部分なんだよね。レコードの針を落として同じ所から聴けるのは神業なのだけど・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-06 22:27:11) |
11. 灼熱の魂
《ネタバレ》 民族の違いや宗教の違い、はたまた権力争いか、いろいろな原因で戦争や内戦は起こる。そして多くの人々に様々な形で不幸を呼び寄せる。この映画の主人公ナワルの不幸は、何と言って表現したらよいかわからないほどだ。 彼女は子供たちに遺言を残したが、きわめて奇妙、大きな謎だった。それが映画では、子供たちの謎解きの現在の旅と母親が生きていた時代とが交互に描かれることによって、少しずつ解き明かされる。そしてまたその真実が大変なものだった。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-29 19:12:01) |
12. 死刑台のメロディ
《ネタバレ》 第1次世界大戦後の米国の不景気は、イタリア移民の労働問題、赤狩りという左翼弾圧など暗黒社会をもたらした。(この映画の中でも「米国はアメリカ人のものだ」とプラカードが目立った) その中で起こった銀行襲撃事件、たれ込みによってサッコとヴァンゼッティというイタリア移民のアナーキストが逮捕される。人種差別と偏見によって歪められた裁判、その不正に対して米国や欧州各地で抗議の声が上がるが、二人の被告は死刑になってしまう。 映画はカラーとモノクロの映像の対比が見事だ。そしてジョーン・バエズの歌が涙を誘う。 日本にも松川事件を初めとする冤罪事件が多々あった。しかし米国のような陰謀がらみの冤罪には驚くばかりである。 [映画館(字幕)] 9点(2012-04-18 00:07:56) |
13. 人生は、時々晴れ
終盤になってようやく光が見えたかなという感じで、全体を通じて湿っぽく、イジイジした感じだった。何度「クソッ」という言葉があっただろうか。 [DVD(字幕)] 4点(2012-04-12 14:25:01) |
14. 幸せパズル
《ネタバレ》 過去2回の外国語映画賞(「オフィシャル・ストーリー」と「瞳の奥の秘密」)を受賞したアルゼンチン映画ということとタイトルに惹かれ鑑賞。パズルは何かのたとえかと思いきや本物のジグソーパズル、競技会まで登場する。通常の縁から作成することから外れ、いくつかのパーツを作って組み合わせる彼女独特の手法で短時間に仕上げる。 夫と子どもには嘘をついてまで、年上のパズル狂の男性(パートナー)と練習に励むのだが、恋に落ちるというわけでもなく、淡々と進むのがまた何とも言えない。 [映画館(字幕)] 5点(2012-02-15 15:48:42) |
15. 白い恋人たち
今ではほとんど忘れてしまって、有名すぎる主題曲と、ジャン=クロード・キリーの三冠しか覚えていない。日本は札幌オリンピックを控えての期待された大会だったが、メダルはおろか入賞ゼロという不名誉なオリンピックだった。日本人がもう少し活躍すれば映画ももっと印象に残ったことだろう。 [映画館(字幕)] 5点(2011-12-25 20:54:32) |
16. シベールの日曜日
《ネタバレ》 「孤独な男女の純粋無垢な魂の交わり」などと表現すると大げさだろうか。ピエールと同棲していたマドレーヌは、とまどいながらも二人を見守るうち良き理解者となった。しかし残念なことに相談する相手を間違えてしまったと私は思う。 端から見るとピエールはロリコンとか変質者としか見えないのだろう。それが世間一般の常識だ。ナイフを持ったまま女の子に近づけば、結果は当然予想ができる。しかしそれがどんなに悲しいことか。ラストのシベールの叫びは、教会音楽の「ミゼレレ」と重なって、深く心に突き刺さる。 二人が会っていた湖の景色が美しかった。 [DVD(字幕)] 9点(2011-10-08 22:55:12) |
17. 白い家の少女
すごい緊迫感だ。これを演じた13歳のジョディ・フォスターは見事というほかない。。ラストのショパンのピアノ協奏曲は、とても印象的だ。 [映画館(字幕)] 7点(2011-10-08 13:50:55) |
18. 新・個人教授
前作の純愛ラブロマンスから一転して、ナタリーが恋の手ほどきをする年上の女性を演じる映画となる。裸体シーンが増え、表現も官能的でストレートになっていて、その点前作とは対照的でもある。(私は断然前作が好き) 「脱ぐの?」「やめて息ができない」「痛い、優しくして」とさも意味深長に聞こえて、洋服のサイズを寸法を測るシーンには笑えた。 [映画館(字幕)] 4点(2011-07-30 07:38:16) |
19. 死刑台のエレベーター(1958)
なつかしき映画、日本で最近リメイクされたと聞き、DVDで改めて鑑賞。エレベーターで閉じこめられたモーリス・ロネがどうやって出てきたのかさえも忘れていた。 映画の中の悲しげなトランペットが、即興演奏だったとは・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2011-03-17 11:03:26) |
20. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 1960年代は、「サウンド・オブ・ミュージック」から始まって、ミュージカル映画が日本で上映されると逃さず見たものです。 この映画もその一つ、フランスのミュージカルということで期待して見に行ったのですが、びっくりすることばかりでした。 まずはオープニング、雨の歩道にカラフルな雨傘、流れる主題歌、もうたまりせんね、なんとお洒落なのでしょう。 そして台詞がすべて歌ということでびっくり、カトリーヌ・ドヌーブさんはすばらしい歌手だと思ったら、すべて吹き替えだったということで、またびっくりでした。 後に私の好きな「ふたりの天使」を歌ったダニエル・リカーリさんとわかって、またまたびっくりしたものです。 [映画館(字幕)] 9点(2011-02-21 08:09:48)(良:2票) |