1. スパイ・ゲーム(2001)
《ネタバレ》 レッドフォード扮する退職間近のベテランスパイが回想する過去の敵は外国人。そして現在の戦うべき相手はなんと同僚。CIAの人たちも年季の入った悪そうな顔をしていてスリリングです。 いかなる時も沈着冷静なレッドフォード上司は間違いがなくて、でもその分「情には欠ける」ので部下のブラピは反発し思春期よろしく無茶な行動に出て結果親(上官)に世話を焼かせることになるのでした。あーあレッドフォード長年貯金してきたのにねえ(涙)。 過去パートと現在パートが入り組んでいる上、現在軸ではブラピ救出の策謀も同時進行しているので結構忙しい。忙しいけれど、ややこしくないというのが脚本の凄いところで、こういう親切設計はトニー・スコットらしさを感じます。 個人的には過去パートの「東ドイツからの亡命者」の物語を一本分の映画で観たいです。シャーロット・ランブリング雰囲気抜群なのにあれだけでは勿体ない。ああそしてシャーロット姐さんはいつでも血まみれで死ぬのね・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-07-03 18:04:03) |
2. スターリンの葬送狂騒曲
《ネタバレ》 旧ソ連の指導体制を笑おう、という演出にキレはあると思います。冒頭、スターリンの無茶指示に慌てふためくモスクワ放送局長には心から同情しつつ笑ってしまいますし、政権中枢幹部らのスターリンへの媚びへつらいぶりったら、もう。ウケたネタ、ウケなかったネタを表にしておさらいしているなんざ、高潔さを失った人間とはかくも滑稽である、の見本です。 だけど、人間の扱いのあまりの軽さ描写には肝が冷えて笑うどころではありませんでした。 笑い飛ばすことができないのは、血なまぐさい政争も市民への弾圧も極めてノンフィクションであるからで、あのおっかないソ連時代からさほど時が経っていないことをつくづくと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-28 23:39:05)(良:1票) |
3. スリーデイズ
オリジナルに後付けの展開をちょこちょこプラスして尺を水増ししたかのような。より丁寧な描写になったと感じるか逆にダレるなあと思うかはその人次第。わたしはあんまり上手くないリメイクだなあと思いましたが。人物の感情表現がオリジナル版の方が細やかだったと思うのです。ちょっとの差ですけど。妻を想う気持ち、息子に会えない切なさなどはヴァンサン・ランドンとダイアン・クルーガーの方がぐっと伝わった印象があります。先に観たからかもしれませんが。 ほかの方も言及されてるように、えん罪かもと思いつく刑事の描写は蛇足ですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-01 00:43:45)(良:1票) |
4. スリ(1959)
《ネタバレ》 スリであってもプロ(?)の仕事は見事。特に連係プレーに見る手際の流麗なこと、この映像はもはや伝説だけあって目が釘付けになりますね。滑らかで鮮やかでカメラの存在が消えていて。 逆を言うとそれだけが見どころといいますか、主人公が青臭く非労働論を吐いたところで共感なんかできやしない。というか、ラストに自分で言っちゃってるけど、恋愛を成就するためになんだってこんなに沢山の理屈や遠回りが必要なわけ? モノクロのフランス映画、というバイアスがかかってるせいで何やら芸術深そうな空気が漂ってますが実は大したこと言ってないのではと思っちゃった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-31 00:18:11) |
5. スノーデン
《ネタバレ》 この事件、アメリカの不正義を何が何でも許さないオリバー・ストーンが手を出さないわけがない。CIAのやりすぎ監視システムに個人として疑問を抱き内情をリークしたスノーデン氏の心情を細かく追い、”国家反逆罪”に問いたいCIAの主張をふざけんな、と一蹴。100%スノーデン氏寄りの清清しい描写です。 人の権利を侵害して尚エラそーなアメリカの態度にむかつく国々に匿われて逃亡生活を送るスノーデン氏。彼がラストに元気で登場したのはうれしい驚きでした。 J・G・レヴィットの緻密な演技は見事で、ドキュメント作品としての品位をキープしてますが「起こったこと」をなぞる展開はちょっと起伏に欠ける気もします。娯楽サスペンスじゃないのでまあそこは仕方ないのですが。氏のキャリア前半にあった国家の陰謀によって人生を踏みつけにされたパキスタン人銀行家のエピソードは一市民としては心胆寒々とするものがあり、この手の実例をあと一つ二つ入れてたら、こちらもぐっと盛り上がったのにな、とは思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-08-25 01:12:53) |
6. スウィッチ
《ネタバレ》 ヒロインは親しみやすい容貌の美人さんだし、導入部から外国で殺人犯にされてしまうあたりまではなかなか引っ張ってくれるんですけども。だんだん、お話を派手に盛ろうとする無茶なチカラ技にやや辟易しますね。人一人の存在を無かったことにするなんざ、旧ソ連の諜報機関レベルの大技。これを一般の女子一人でやるなんてやっぱ無理でしょ。「そんな馬鹿な」と客に思わせないための工夫がしてあるとは言い難い。 犯人の計画もつっこみどころ満載。無駄が多いしアラも沢山。そもそもヒロインが”部屋交換”にノラないかもだし、違うサイトを使うかもしれないし、友人と一緒に旅行しちゃうかもだし、ひょっとしてパスポートをこれから申請したりしたら時間がかかっちゃって、入れ替わり予定の解凍死体が腐っちゃうかもよ?って、ここまでイチャモンをつけることもないわけですが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-05-25 17:28:43)(良:1票) |
7. すべて彼女のために
《ネタバレ》 のっけからフランス人カップルっていちゃいちゃし過ぎじゃないのか?と引く。もう少しで家じゃん。エレベーターの中くらい節度を持て。そもそもそんなことしてなきゃコートの血にだって気づいたのでは。ニュースにだって目が行ったのでは。・・そこはまあ置いといて。平凡な国語教師の夫の奮闘ぶりがまあ涙ぐましい。よその女が秋波を送っても数ミリも心が動かないのがエライ。D・クルーガーがいくら美人だといってもこの鉄の意志たるや。子供も可愛く撮れている。ダイアンが後ろからそっと覗き見たときの小さな丸い背中、嗚咽をこらえてそっと横に座る母親らしさにもらい泣き。ここは「無事に逃げ切ってくれー」と全力で祈る場面だ。最後まで口を割らなかった父親の腹の座った表情も渋かった。フランス映画にしては珍しいハッピーエンド。パリ警察が徹頭徹尾無能なのには困ったもんだ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-21 00:11:19)(良:1票) |
8. スイミング・プール
ミステリアスで艶っぽくて雰囲気一流。シャーロット・ランブリングが年齢を重ねても謎めいたクール・ビューティなのはさすが。フォアグラの缶詰をこっそりくすねちゃう場面は可愛いし、買い出ししてもヨーグルトをボウルに空けてそのままスプーンで食す、ってどんだけイギリス人の調理下手を馬鹿にしてるやら。どうやら妄想に付き合わされてるのでは、と途中でおぼろげに分かってはくるのだけど、それにしても腑に落ちない描写が多かったなあ。考えすぎなのかなあ。まあ雰囲気を楽しむ映画なんだろうな。サニエさん乳出し全開ですし。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-05-02 00:40:38) |