241. ノートルダムのせむし男(1956)
真っ赤な服に情熱的な歌と踊り、ジーナ・ロロブリジーダのエスメラルダが魅惑的なジプシー女を演じる。子どもの頃見た映画で細かい部分はほとんど覚えていないが、このエスメラルダだけはとても印象的で忘れられない。 それに対してアンソニー・クインのカジモドは怪物と恐れられたにしては地味に見える。 「ノートルダムのせむし男」はこの映画が最初だったのだが、後にチャールズ・ロートンの映画と比べてずいぶん違うことが分かった。結末はこっちのフランス映画の方が原作に近いらしい。 [映画館(字幕)] 6点(2011-08-25 06:26:34) |
242. ラ・ブーム2
2年後の続編であり、前作に比べそれだけ成長が見られる。ソフィー・マルソーもかわいいだけでなく、ずいぶん美しくなった。映画も子どもじみた分が減って大人の要素・感覚が増えている。 前作の主題歌もすばらしかったが、今回の主題歌も負けず劣らずすばらしい。 [映画館(字幕)] 6点(2011-08-20 18:04:53) |
243. ラ・ブーム
《ネタバレ》 ソフィー・マルソーのデビューは華々しく、日本でも映画の公開前から大変な話題になっていた。ひとつには彼女が欧米人らしくなく、どちらかと言うと日本の女優さんに近い顔立ちだったからかもしれない。 撮影当時13歳の彼女を見たさに30過ぎのおじん(母親役のB・フォセーやドイツ語の先生と同じ年代)が見た映画で、他人からロリコンと言われるのを覚悟して映画館に入ったものだ。映画はおもしろくもあり、おかしくもあり、恥ずかしくもあった。その中でいくつも印象的なシーンがあった。ブームへ行くため母親の服を着て試すシーン、ロックを踊っている中で二人だけがヘッドフォンの曲で踊っているシーンなど・・・。 青春ドラマに加えて両親の浮気ドラマがからみいろいろあった後、ラストシーンはもうとても13歳には見えない大人の顔立ちのマルソーだった。 [映画館(字幕)] 6点(2011-08-20 14:19:33) |
244. 大人は判ってくれない
子どもはいたずら好きだ。しかしそれはちょっとしたもので悪意はほとんどない。いたずらが大人の包容力で受けとめられないとだんだん悪意を帯びたものになっていく。 愛情のない叱責や放任がどうなるかは、この映画が示してくれている。しかしこの映画の主人公はひねくれてしまうのではなく、最後は自分で自分の道を切り開いていこうとしているように思える。 ところでジャンヌ・モローはあれだけでお仕舞いというのは、ちょっともったいないような気がする。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-03 05:20:45) |
245. デカメロン
《ネタバレ》 裸体露出や性描写は頻繁で、ちょっとどころか結構エッチである。しかしそこに嫌らしさが微塵にも感じられないところにこの映画の良さがある。 この映画と対比される「ボッカチオ'70」の洗練された美しさと違って、一つ一つのエピソードが短く、実に庶民的だ。うっかりすると次の話に変わったのが気づかなかったりするくらいだ。キャストも数人の俳優女優を除くとほとんどが素人ということである。 [映画館(字幕)] 6点(2011-08-02 15:52:27) |
246. ナイト・オン・ザ・プラネット
《ネタバレ》 夜のタクシーって、何となく怖いし寂しい。運転手もやたら煙草ばかり吸う運転手もいれば運転手なのに全くの方向音痴もいる。盲目の人よりも見えない運転手、やたら構わず喋りまくる運転手もいる。乗ってくる人もいろいろ、最後は不幸な乗客と運転手。要するに様々ということだろうが、盲目の美人ベアトリス・ダルが凄いなと思っただけであとはたいくつだった。 [DVD(字幕)] 4点(2011-08-02 12:27:28) |
247. ボッカチオ'70
《ネタバレ》 ボッカチオが書いた「デカメロン」 デカというのは10であり、デカメロンは10日という意味だそうだ。日本では十日物語として訳されている。(アラビアンナイトには及ばないが) この映画はさまざまな「愛」をモラルと対比させ、4話のオムニバスとして作られている。4話はフェデリコ・フェリーニら4人の監督が担当したが、計200分を要する映画は上映時間の長さのためか名前の薄いモニチェリの第1話は省かれてしまった。 私がスクリーンで見た時も、3話しかなくしかも順番も違っていた。それがようやく10年ほど前に第1話も含めて完全版となり、DVDにも収められた。それで今回見たのはそのDVDである。 4話はそれぞれに監督の特徴が出てどれも素晴らしいと思われるが、私が好きなのは第1話と第2話。いったん省かれた第1話「レンツォとルチアーナ」は、他の作品と比べ変わっている。ヌーヴェルヴァーグというものらしい。結婚式を仕事の合間に行ったり、夫婦が昼と夜後退で寝るというような、切実な生活の中の愛を描いている。実に斬新であり、訴える力がある。 それと第2話「アントニオ博士の誘惑」フェデリコ・フェリーニの脚本監督であるが、巨大広告の中の女が飛び出してきて、博士を誘惑する。この博士と巨大女の対決がまた何とも言えない。 第3話と第4話は前の2話に比べるとやや平凡。 [映画館(字幕)] 7点(2011-08-02 06:15:49) |
248. 昨日・今日・明日
妊娠中の女は逮捕できないという第1話はそこそこおもしろかったが・・・。この映画を「昨日・今日・明日」と題名をつけ、オムニバスにしたのはわからないでもないが、何か特別な意味があったのだろうか。 [DVD(字幕)] 5点(2011-08-01 06:46:33) |
249. ああ結婚
《ネタバレ》 若い頃見て今でもよく覚えている映画。ソフィア・ローレンの演技が大変素晴らしく、忘れることができない。 結婚に縛られたくない浮気男マストロヤンニ、彼を一途に愛するけなげさには心打たれる。彼女が娘くらいの若い女性と結婚しようとした時、必死の行動を起こす。それは仮病だったかもしれないが、周囲の者達は皆協力したし、私だって応援しただろう。 映画のラストで彼女が幸せの涙を流すのが大変いじらしかった。 [映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 22:49:34)(良:1票) |
250. 男と女(1966)
シンプルながら実に良い映画だ。男と女の感情の違いをまざまざと見せてくれる。 夫を事故でなくした女と妻を自殺でなくした男、男には息子がいて、女には娘がいる。しかも同じ寄宿学校に預けていて仲良しであれば、美男と美女の二人の運命は最初から決まったようなもの。それが確実にその方向に進みながらも一直線といかないところが良い。 ところでこの映画、DVD特典やHPなどを見てみると低予算で作られ、ハンドカメラを使ったり、撮影にも監督自身が携わっている。脚本もよくできているが、細かいところは演技者任せだったりしている。つまり演技が自然なのだ。 だから最初映画館で見た時に気になったA・エーメがしきりに手を髪にやる動作も、おそらく彼女自身の癖なのだろう、それが逆に自然の動作に思えるようになった。 ひとつだけ驚くのは、24時間レースをやった後にさらにモンテカルロからパリそしてドービルと立て続けに運転できるタフさ、さすがレーサー。 [映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 07:28:48) |
251. 昼顔(1967)
《ネタバレ》 なるほど冒頭とラストの馬車は妄想だったのだ。途中恐ろしく退屈になって、映画館に入ったのを後悔したけど、昼顔とアンリ(ヘンリーはフランス語ではアンリ)が出くわしたあたりから急におもしろくなった。 昔見た時は、セヴリーヌがどうして娼婦になったのか理解に苦しんだものだったが、改めてDVDで見て納得。それにしても金歯の男は嫌な存在だった。 [映画館(字幕)] 5点(2011-07-30 16:47:59) |
252. 新・個人教授
前作の純愛ラブロマンスから一転して、ナタリーが恋の手ほどきをする年上の女性を演じる映画となる。裸体シーンが増え、表現も官能的でストレートになっていて、その点前作とは対照的でもある。(私は断然前作が好き) 「脱ぐの?」「やめて息ができない」「痛い、優しくして」とさも意味深長に聞こえて、洋服のサイズを寸法を測るシーンには笑えた。 [映画館(字幕)] 4点(2011-07-30 09:27:07) |
253. 続・エマニエル夫人
性をタブー視する傾向は今でもあるが昔はことさらひどかった。下品なもの、猥褻なものと考えられ、3本立て成人映画と同レベルに扱われたこともあった。この「エマニエル夫人」のシリーズはまさにそういう意識の変革と性の解放(特に女性向けの)だったと思う。 この続編は、前作のあの有名なポスター写真を撮ったフランシス・ジャコベッティによるもので、エマニエルは磨きがかかっていっそう美しくなっている。場面の変わりが早くうっかりすると筋を見失ってしまいそうになるが、センセーショナルだった前作に比べ落ち着いて見ることができる。 [映画館(字幕)] 5点(2011-07-30 05:33:20) |
254. 個人教授
《ネタバレ》 ナタリーがたまらなく美しく、魅力的だった。ルノー・ヴェルレーとほぼ同じ歳の私は、彼と同じようにナタリーを好きになり夢中になった。 彼がナタリーと幸せなときを過ごせば私もたまらなく幸せになり、ナタリーとうまくいかなると私の心も痛んだ。 ラストが何と言ってもすばらしい。フォンタナの心を知ると電話番号を教え去っていく。私は泣けて泣けて仕方なかった。見終わった後フランシス・レイのサントラを探し求めレコードを聴き、感傷にふけった。 40年ぶりにDVDを購入し、改めて鑑賞、青春の想い出が痛く蘇る。 [映画館(字幕)] 8点(2011-07-30 05:31:00) |
255. ベティ・ブルー/インテグラル<完全版>
久しぶりに強烈な映画を見た。もはや理屈の世界ではないだろう。こういう映画はおそらく10点に近いのか、0点に近いのかどちらかだろう。その判断はできかねるので、忘れることができないくらい強烈に印象に残ったということだけで、点数を付ける。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-29 16:11:15) |
256. エリザベス:ゴールデン・エイジ
前作の「エリザベス」と比べたら数段落ちるのではなかろうか。前作は歴史ドラマとして見ることができたが、これはもう歴史ドラマではない。歴史に沿っているのは、メアリー女王を処刑したことと無敵艦隊を破ったことくらい。エリザベス1世の内面を捕らえたものかもしれないが、英国万歳だけを叫んでいるようにすら思える。ケイト・ブランシェットの健闘には悪いが・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2011-07-27 15:49:41) |
257. エマニエル夫人
自由奔放なSEXを描いているということで、当時大変な話題になった映画。しかし私を初め興味本位で見た多くの人は、満足できなかっただろうと思う。 ストーリー自体もバラバラでまとまりがない上に、映画が何を言いたいのかもわかりづらかった。おそらくは「性の解放」をめざしたものと思われるが、もっとわかりやすく描くべきではなかったろうか。主演のシルビア・クリステルも洗練されてなく、引きつける魅力に欠けていたと思う。 [映画館(字幕)] 5点(2011-07-25 19:04:33) |
258. チャタレイ夫人の恋人(1982)
英国で問題となり日本でも裁判沙汰になった「チャタレイ夫人の恋人」しかし取りざたされたのは原作の小説であり、日本語の訳文である。日本ではすでに英国で解禁になっていた小説が、猥褻だということでカットされ訳者は有罪となった。今では到底考えられないが・・・。 映画の方はというと、主演のシルヴィア・クリステルらがすでに「エマニエル夫人」などの映画に出演し、70年代さかんに上映されていたので問題はなかったと思う。 ただしその頃は問題の箇所には、ぼかしが入っていた。今DVDで見るとぼかしも入っていない。昔と今とではヘアーが解禁になったりするなど、ずいぶん違うものだ。 ストーリーはどうかというと、純文学らしくはっきりしていると思う。 この映画はエロティック云々というより、身分や階級に縛られた慣習を打破することの方が意味があるように思う。女性を子どもを産む機械のように考える人は、最近の日本の政治家の中にもいたようだがとんでもないことだと思う。 [映画館(字幕)] 6点(2011-07-25 18:02:00) |
259. 太陽が知っている
《ネタバレ》 ずいぶん昔に見た映画なので、点数は参考程度(自信なし)。アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」(1960年)の大ヒットを受けて、日本では「太陽はひとりぼっち」(1962年)「太陽が知っている」(1968年)と太陽とアラン・ドロンが親戚関係になってしまった。 もちろん、原題と太陽は何の関係もなく、監督もまったく別で、2匹目どころか3匹目のドジョウなのだが・・・。 この映画の「La Piscine」は英語で言えば「The Pool」、これでは味気ない。さんさんと降り注ぐ太陽、けだるい雰囲気、そこへ登場するモーリス・ロネとロミー・シュナイダー、完全犯罪となればやはり「太陽は知っている」で正解だろう。海がプールになったと思えばよい。若きジェーン・バーキンも登場するし、ミシェル・ルグランの音楽も良い。 [映画館(字幕)] 6点(2011-07-25 00:43:32)(良:1票) |
260. ラムの大通り
《ネタバレ》 タイトルは「サンセット大通り」をもじったものであり、登場人物はまさに美女と野獣。10人の荒くれ男が弾丸1発500ドルで、暗闇の中でぶっ放すゲームからして乱暴そのもの。「恋する女豹」の題名に誘われ、映画館に入るとフィルムが燃えだし火事騒ぎになるという具合。かの有名な淀川長治さんは、「お遊び」のおもしろさと評していた。 これが延々と続くだけであれば、それこそ低レベルの「お遊び」かと思いきや、ラストの締め括りが実に良い。(他の方々が書かれているとおり) [映画館(字幕)] 6点(2011-07-17 16:51:45) |