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エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 644
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ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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21.  ティコ・ムーン
ずっと以前からマイフェイバリットな映画です。レビューする気は全然ないんだけど、ちょっと気の迷いです(笑)。 SF映画である以上に、完成した映像とその意味のギャップが面白い。見事なくらいおフランスですな。  …たとえば。 重力が衰える時というのは、人間の信頼関係が薄れる時を指すワケね。 ボブ・ディランの "Center Of Gravity" の歌詞が元ネタ。 卵を使ったやっすい特撮で、世界の心的背景を詩的に表現してしまうとは…なんて素敵。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-29 06:32:52)
22.  ジャンヌ・ダルク裁判
気にも留めてなかったメルギブの『パッション』だけど、内容を聞いてからは猛烈にレビューしてみたい。してみたいが、サスガにソノ内容では見る勇気が…というワケで、代わりに同じ宗教映画でも対極の演出方法であるブレッソンの『ジャンヌ・ダルク裁判』をレビューしときます(笑)。  『スリ』では演技だけを否定していたブレッソンですが、本作では演出までも否定。監督としての仕事を放棄してるようにすら見えてしまう恐ろしい作品。動かないカメラ、棒読みのセリフ、平板な照明、ノーメイクで腫れぼったい目の主役、ちっともモンタージュしてないカット割、さらには音楽なし、演技経験者なし、カラーなし…。カタログスペックだけなら『死霊の盆踊り』級ですよもう(あ! 盆踊りはカラー作品だぞ (^^;)。「観客をなめとんのかーっ!!」という声が聞こえてきそうだけど、ブレッソン監督による強烈な作為の否定が全編を貫いております。恐ろしいまでの徹底ぶりです。攻撃対象はもちろん、「映画の教科書」と言われる、カール・ドライヤー監督の名作『裁かるゝジャンヌ』。真っ向から、全力で、かの名品にツバを吐きかけウンコまみれにして踏んづけてポイしてしまったブレッソン監督の冷厳な怒りが、映画を見終わる頃にはさすがに腹に沁みてオナカいっぱいになってしまいます。「創作しちゃダメなんだ。色付けせずに、素材をそのまま提供しなければ、ただの見世物になっちまうんだ」という監督の声が聞こえてきそう。彼と前後して活動を始めるアンディ・ウォーホルが同じ手法で、もっと過激な撮り方をしたのを思えば、ブレッソンの歩んだ道は彼一人のモノではないはずです。近年では同じ視点に立って『ブレアウィッチ・プロジェクト』が作られてますし。観客の目を意識した、エンターテインメント/ショービジネスに立脚する創作活動を徹底して否定したこの映画の潔さは、かえって観客の脳を働かせて、ジャンヌが持っていた「信仰」に対して冷静に想いを巡らす事ができるようになります(そう、映画の中では彼女の信仰もとことん裸にされて行く)。これは、「野にあるように活けるべし」と華道の極意を語った千利休に似た、全てを削ぎ落とした究極の「作品」なのです。日々の暮らしの中で立ち止まって、創作の何たるかを考えてみたい人には絶対のオススメ品(確かにシロウト向けじゃないですが)。 ●2006/7/23:ムシェットと同一点に下げ
[DVD(字幕)] 9点(2006-07-23 05:47:10)
23.  月世界旅行
この春、19世紀末ロンドンの大衆演劇界を描いたピーター・アクロイド作『切り裂き魔ゴーレム』を読んだんですが、それ以降、これまでボンヤリと感じていた欧州演劇史に対する考えが明確になりつつあるところ。乱暴を承知で言ってしまえば「19世紀末の演劇界は現在信じられているよりもビジネスとして/メディアとして/芸術として遥かに成熟していた」ってコトですね。 特にギミック演劇に関しては、現代の特撮なんかよりずっと自由度のある表現がされていたんじゃないかと思います。演劇であっても、操演もあったし火薬も使った。大道具職人たちの描いた精密な背景は巨大セットにもCGにも匹敵した。脚本は天界だろうが地底だろうがどこにでも行けたし、そこではスターたちが歌って踊って、恋と殺しに明け暮れて…。  だから、本作が上映される前にメリエス(でなければ他の興行師)がヴェルヌの『月世界旅行』を舞台化しなかったとは到底思えないんです(そして本作以上に有名となった「砲弾の射ち込まれた月の顔」は、必ずや吊りギミックとして舞台に下りてきた…んだと妄想)。いずれ調査してここに追記するつもりですが、いまのところ本作を、爛熟期にあった大衆演劇をリアルタイムに写し取った“ドキュメンタリー”として評価するコトにします。ま、このままの展開で、派手なギミックに置き換えてミュージカルにしたら、ひょっとすると現代でも通用するかもね。
[インターネット(字幕)] 5点(2006-07-15 19:35:45)(良:1票)
24.  アンナ・オズ 《ネタバレ》 
なんて美味しい物語なんだ。3回繰り返して観てもまだまだ発見があるぞ。フランス版の『マルホランド・ドライブ』って言えばいいんですかねー。物語の真相が終わりの方になってやっと明かされる(これも「夢」のフィルタがかかってるんでそのまま受け入れるのは危険ですが)構成や、最後のパーティーの場面で隠されていた人物関係が明らかになる(ここにも現実を侵食した「夢」のフィルタが…)造り、眼球への執着のネタを明かすのも後半…本当に底意地の悪い映画です(笑)。そして、自分の存在意義を夢に明け渡していくごとに現実世界で安堵の表情を見せ始め、夢の世界では不安や恐怖を覚え始めるアンナ。現実世界では頼りにならない男たち(父・兄・恋人…)を夢の中で改変し、「敵」に対して鉄壁の防衛網を張り、迷うことなく一直線に夢へ逃避していくアンナ。この難解な役どころを、ただ表情や指先の演技だけで演れてしまうシャルロット・ゲーンズブールって、まさに『なまいきシャルロット』の頃からの、ダメダメオンナを演らせたら世界ナンバー1女優。彼女の本領発揮作品と言えるでしょう。ただし、彼女の演技の凄さがわかってきたのは、アンナの心の機微が把握できた2巡目以降の鑑賞で、ですけどもね…良くも悪しくも時間を必要とする映画。レンタルで見るなかれ~。
[DVD(字幕)] 9点(2006-01-22 16:40:31)
25.  眼には眼を
うわー登録されてたんだコレ! 観ましたよ観ましたとも子供の頃! あの壮絶なエンディング! 太陽、荒野、そして腕から滴る真赤な血! 30年以上前に一度観ただけなのに、いまだ忘れられません。子供時代にこれと『激突!』と『悪魔のいけにえ』を一緒に観れば、「運転免許なんていらないいぃ! ドライブなんて一生しなくていいいぃ!」と決意できます。かく言うオイラがその一人(苦笑)。
[地上波(吹替)] 9点(2006-01-16 01:38:22)(良:1票)
26.  ジャッカル 《ネタバレ》 
ぎゃっははははあぁん~っ!o(>▽<)o" いま goo 映画情報で、この映画の解説(http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30864/story.html)を読んでたんですが、お、お、おかしすぎるぅ~! 腹がよじれる~! 『はたしてジャッカルの究極兵器が演壇を襲うが、夫人は間一髪で無事』とか、なんじゃその究極兵器って! あの目立ちまくりマシンガンがキューキョクだったんかよ! 凡作のあらすじを何とかして読めるものにしようというライターさんの苦闘の跡が笑いにまで昇華されてしまって、もはや手のつけようのない駄作であるコトの逆証明みたいになっちゃってます。でも、製作者の意図はわかんなくもないんですよね。『ジャッカルの日』がリアルな展開、抑えた演技・演出の傑作だとすれば、これをハリウッド流儀でバリンバリンに改造してゴージャスな展開、派手な演技と演出にしてやれば「もっと素晴らしくなる(…と製作の誰かが言ったに違いない!)ではないかーッ!」。んなわきゃないのは皆さんご存知の通り。ハリボテの展開と男臭い(=頭悪い)演技・演出で、滅多に見られない勘違い企画に…その象徴があの『究極兵器』なんだとすれば、確かにあれって本作の全てをあらわしたバカアイテムなのかもしれないですねえ(確かに試射のシーンだけはオリジナルとのギャップに笑ったけどさ)。やるなら、ブラッカイマー製作の映画くらいもっと男臭く(=頭悪く)、もっと豪快に(=大風呂敷に)、徹底してやったらんかい! 世界一の暗殺者が日本車に乗っても全然ゴージャスじゃないぞ! その昔から、暗殺者はアルファロメオに乗って潜入すると相場が決まっとるんぢゃあ。…なお goo 映画情報によれば、本作は『ジャッカルの日』との関係を一切明示していない(クレジットしていない)とのコト。まあアレじゃ、「リスペクトです」とタランティーノみたく胸を張る事すらできんわなああぁぁ(苦笑)。
[映画館(字幕)] 2点(2005-12-29 11:58:33)(笑:1票) (良:1票)
27.  エル・ドラド(1987)
スペインの探検家アギーレを描いた映画といえば、クラウス・キンスキー主演の独映画『アギーレ/神の怒り』を思い浮かべるでしょうが、実は本国スペインの製作したモノもあるのです。本作『エル・ドラド』は正統的な史劇の造りで、(悪く言えば)金がなくて一発芸的な危うさに賭けたヘルツォーク作品よりもアギーレの実像に近いと思います。実際、兵の信頼が厚い、かなり実務派の副隊長として描かれており、観ていて好感が持てるほど(笑)。探検隊の正気を蝕んでいくアマゾンの描写についても、こちらの方が怪しくエロティックで、非常に正統的な撮影方法。一度こちらのバージョンを見てからヘルツォーク版へ戻ると、かなりの発見があるでしょう。そういうオイラも、実は本作の方に出会ったのが先でした。最初に史実に近いアギーレ像を目にしていたために、キンスキーの怪演を観てもどこからが脚色なのか理解できたという…。西洋史を通じて独自の個性を放っているアギーレと言う人間に当てられた、2つ目のスポットライト(正面)ですね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-13 13:33:01)
28.  ヴェルクマイスター・ハーモニー
また至宝の映画が増えてしまいました。最高でした。キャスト全員に走っている凛気は、まるで黒澤映画を見てるみたい。失敗の許されない長回しだからこその緊張感。舞台とは違い、自由自在に動き回るカメラ。「映画って、こんな事もやれるんだ」という素直な驚きを覚えた作品です。でもまあクジラはチャチだったすね(笑)。(2005/6/11 1点下げ…何度も見ると感動が薄れてきて…(^-^;)
[映画館(字幕)] 9点(2005-06-12 00:09:33)
29.  みなさん、さようなら(2003)
泣いた泣いた、もう思考停止状態です。一人の《進歩派左翼知識人》の死を通して、そのカテゴリに属した一群のサブカルチャーを「あなたたちはもう終わった人なんです」と優しく葬ってしまった怪作…なんだというのは教会の骨董品鑑定のシーンから明確だと思う(見終わった直後だからまだ自信はない)。リベラリストの象徴である父が、息子の莫大なカネの力を受け入れて個室に移り、麻薬を受け入れ、コテージに移動し…死期が迫るにつれ徐々に弱々しく周囲を受け入れていく姿が泣ける。まぁ日本の場合は、この手の人たちって割と早いうちに世間に迎合しちゃってて、こんな状況は成立しないと思われそうだが…実は強烈に我が父にダブったのだよ…あの超頑固な労組世代に…《あなたが父さんでよかった》。まだ健在ですが。(6/11 2点下げ)
[DVD(吹替)] 8点(2005-06-12 00:07:11)(良:1票)
30.  ポール・グリモー短編傑作集~ターニングテーブル~
グリモー作品は、子供たちにわかりやすく明快なのが特徴。当然セリフは少なく、客を飽きさせないよう&テーマがハッキリするように人物設定や舞台設定に工夫が凝らされ、画面を見るだけで世界中の誰もが内容を理解する事ができます。それがこの頑固アニメーターを世界的に有名な映像作家へ押し上げ、多くの模倣作が生まれる事になった第一の要因でしょう。本作では多数のグリモー作品を並べて観る事で、彼の作品の持つ明快さ・単純さに気付かされます。それを理解できた上で最後に上映される『小さな兵隊』を観た時の感動はただ事ではありませんでした(単発で観てたらベタベタすぎてダメだったかも…)。子供に対する目線も明確。話が戦時のアニメ製作中断の件に及んで、子供から「戦争ってナニ?」と質問され、穏やかに、かつ即座に「その話はやめよう」と切り上げる気持ちのよさ。大人の世界と子供の世界の明確なボーダーが、彼の心に引かれている事を実感できる瞬間でした。同時に、彼の70年代作品ではそのボーダーが侵されてしまう事も実感できるのです。アニメが全世界的に迷走し、子供に対して優しい目線をキープしづらくなった現在、「アニメの原点はどうだったのか」「アニメーターは何を目指していたのか」がよくわかる作品だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2005-06-07 20:09:40)(良:2票)
31.  時の支配者
ルネ・ラルーの作品はどれも「フランス的」なんだけど、本作はその中で最もフレンチ・コミック的な味わいがありますねえ。テキトーでケバい操縦席とか、アングルによって太極拳マークが浮かび上がるマイクとか、各キャラクターの主義主張が(日本人から見れば)異常にハッキリしてるとか。つまりはゴッホな世界ですね。人間性から哲学・宇宙社会・異星生態系・ストーリーに至るまでケバケバな原色で組みあがってる世界。どこかくすんだ『ファンタスティック・プラネット』や、何となく透明感のある『ガンダーラ』に比べ、どこまで行ってもケバケバ、ケバケバ、ケバケバ…。ラストのオチだって最初に観た時は「ぬおぉぉぅぉぅそんなんありかぁ~っ?」と頭を抱えるコト必至ですが、冷静に考えればフランス芸術が基本的にそうなんだから。これはお国柄としか言いようがないですねー。同じフランスでも、頑固一徹なグリモーの対極にいる、天才肌の原色哲学者ルネ・ラルー(いやま、グリモーも日本人の感覚からすれば十分ケバケバですけど…)。何となく鬼才音楽家エリック・サティの生き方に似てるとも思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-06 21:10:37)
32.  殺意の夏
別にイザベル・アジャーニ作品を全作見たわけじゃないんだけど、本作は彼女のフィルモグラフィー上ダントツの脱衣度を誇るハダカ映画です(全裸ヘアヌードもあり)。アジャーニ、何かというとすぐ脱いでるし。まあこの頃の彼女は他作でもけっこうおっぱい見せてますけどね(ポロリ程度)。とはいいつつ内容的にも気合が入って、人間の暗部に分け入る凄いミステリになってます。見せ方や構成にもトリックが含まれる、いかにもフレンチミステリらしい展開なので、ストーリーに関しては何も語りません。が、点数分の保証はできる良作です。この時代、こういう現代ミステリで2時間を越える大作を取るには、アジャーニの裸は観客動員数を上げるために仕方なかったのかもしれない、と余計な事まで考えてしまいました。その女優魂と度胸に、ごちそうさまです。
[DVD(字幕)] 7点(2005-05-17 23:41:49)
33.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
バスカーヴィル(=コナン・ドイル)対ホルヘ(=ルイス・ボルヘス)という空前の構図を作ったのが当時、画期的でした。しかもクライマックスの舞台が『バベルの図書館』。これは中世版『名探偵登場』ですよ。他にも主要キャラクターは全て文学者が割り当たっているらしいんだけど、一度しか見なかったんでちょっとチェック漏れてますゴメン。ちなみに薀蓄。プラトンやアリストテレスは当時否定されていたわけではなく、「哲学者」と呼ばれ、異教徒の知識人の考えとして神学では研究対象になっていました。修道院の会派にもよるでしょうが、そんなに排他的じゃなかったんじゃないかな。何はともあれ、ロン・パールマンという性格俳優を発掘したのが本作最大の功績だと思ってます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-04-29 14:08:06)(良:1票)
34.  ゴールデンボーイ(1998) 《ネタバレ》 
キングの原作は、多分最初から映画化を念頭に置いて書かれていたと思う。超常現象とサイコサスペンス抜きで「心の闇」というテーマに正面からぶつかっている。かつてのナチ収容所長ドゥサンダーは原作と同じように虐殺の《職人》として描かれる。仕事でやってたんだから猟奇殺人者のように精神が蝕まれないかと、言うとそんな事は全くなくて、ちょっと機会があればナチの異常性を取り戻してしまう。キングが描いた物語を中盤まで忠実になぞったおかげで、映画版も「悪」「犯罪」という分けづらいモノの分離に成功しているようだ。惜しいのは画が季節感に乏しく、また実際に物語の最初から終わりまで、原作のように数年かかったわけではなさそうだという点。原作で、最初にドゥサンダーの元を訪れたトッドは14歳だからね(最終的に18歳で自滅)。この、子供の無邪気さが残る微妙な年齢設定を活かしてほしかった。クライマックス以降は予定調和なので、正直どうでもいい。むしろ原作版よりこちらの方が恐ろしかった。これから、ナチ将校から譲り受けた心の闇を抱えて生きていかにゃ~ならん! という重圧感が重く圧し掛かってくる(でもラストの画はもうちょっと何とかならんのかね)。ラストに大量殺人を持ってきてR指定になるのを避けたかった、というのが製作側の本音だろうけどねえ。もっとも昨今の映画はDVD化を当て込めるわけで「原作通りのラストも一応撮っておいて、特典に収録」みたいな技を使ってもよかったかも(足元には箱入りの弾薬。高速道路を遠目に見ながら、ライフルを掲げて「俺は世界の王様だぁ~っ!」と叫ぶトッドを後ろから撮って、後の展開は字幕で…エキストラなしの一発ロケ。安くて済むよ、シンガーさん)。
[DVD(字幕)] 6点(2005-04-24 15:36:09)(良:1票)
35.  ロスト・チルドレン
大好きな監督(ジュネ)、大好きな設定(掃き溜めファンタジー)、大好きな役者(パールマン)、大好きなアイテム(旧式潜水服)、大好き満載なのに、どうしてこうまで心に響かない…きっと時間が短すぎたんだな。これならまだエンキ・ビラルの『バンカー・パレス・ホテル』や『ティコ・ムーン』の方がググッと来るなァ。ただ、話があくまで「子供視線」で語られるのは秀逸でした。ノミの刺客とか、涙の粒が船を呼び寄せる様は欧州ならではのメルヘンです。ただやっぱ、ワンとミエットの絆を描くにはドラマが足りなかったと思う。あと8分、二人のために欲しかった。
[DVD(字幕)] 6点(2005-04-24 15:35:00)
36.  小さな兵隊
「見ず嫌い」の映画監督が何人かいるんだけど、ゴダールもその一人(ルイ・マルは好きなんだけど…)。で、理解しやすそうな本作を選んで、初めてチャレンジしたんですが…なんじゃこりゃ! 芸術性ウンヌンよりも先に、製作サイドのとてつもなく貧乏な台所事情が涙を誘いますねえ。これ、この必死に風景で誤魔化しつつモノローグでシーンをつなぎ、アクションシーンをわざとカットし(たように見せかけ)てモノローグでつなぎ、大戦の被害者であるが故にアルジェリア問題をこじらせてしまったフランスの若者のやるせない状況を長い長いモノローグで…ってモノローグばっかじゃん! コレでさー、拷問シーンの合間に女の子のストリップとレスリングが挟まってたら、まんまエド・ウッドの『グレンとグレンダ』になるっすよ。いやま、ベラ・ルゴシ級の怪優も必要だけどさー。話としてはありがちスパイ物なんで、なおさらエド・ウッドの持っていた新奇性と比較しちゃうなー。うーん、ゴダールってようわからん…。
[DVD(字幕)] 4点(2005-04-21 00:57:00)
37.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
最近話題の反日デモ報道を見ながら考えてみた。第二次大戦終結から半世紀あまり。極東はやっと本作を我が身の物語として見れるようになったんじゃないかな(もちろん日本はドイツ人の金持ち夫婦にあたる)。あらゆる世代のワルばっかを組み合わせ、戦後フランスの陥った「俺たちどーすりゃいいのさ」的状況を描き出したこの映画、そのまんま90年代の韓国に当てはまってたんじゃないかなーと思うんですよ(まあここでは北朝鮮に相当するファクターは出てきませんが)。「愛国心」という厄介な奴についても、けっこう考えさせられる。右派実業家が植民地を売っぱらって私腹を肥やしてたり。救国の英雄の取れる行動が、せいぜい不倫にケチな殺しだったり。公道レースでドイツ車に勝てなかったから(だけじゃないけど)って外国人殺しちゃったり。どこまでも醒めたカメラが、「戦後という時代には英雄とチンピラの間には何の違いもない」という事実を突きつけてきて、噛めば噛むほど味が出てきます。EUって奴ぁ、多分、この映画に描かれる苦い思いを乗り越えるために欧州が選んだ結論なんでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2005-04-16 15:06:22)
38.  華氏451
高校の頃、ブラッドベリの原作を読んで感動してビデオも見たんだけど…くだらねえ。とことんくだらねえ。原作で非難されている『映像』をメディアとして使ってるのに、そこに何にもヒネリがない。自作だけは特別なんですか。そうですか。いろいろエピソードをカットしておきながら。観客を納得させるには『モンティパイソンのホーリー・グレール』の幕切れくらいの大仕掛けをやってくれなきゃねえ。まだ見てないが、リスペクト作品である『華氏911』にも同じような「自分は特別」志向を感じる。案外この2者はカウンター・カルチャーに根ざす、深い深い部分で似てるのかもね。美術的には『時計仕掛けのオレンジ』『スリーパー』の先取りって事で評価はできる。全然違う原作を選んでおけばよかったんだと思う。
[地上波(吹替)] 2点(2005-04-04 03:27:53)(良:1票)
39.  ゴッド・ディーバ
お久しぶりのエンキ・ビラルだっ! もーオイラ嬉しくて嬉しくて青い涙を流しちゃったっすよ(嘘)。出来栄えも相変わらずでビラルっぷり満載! 謎の言語、活躍度イマイチなレジスタンスの男、常識ではありえない色使い、散りばめられたミステリアスなジャーゴン、ピラミッドにエッフェル塔、豪華だけど薄汚れたホテル…。しかし何つっても今回の目玉はポリゴンCG! コレの使い方(金かけたバイテク手術をして、ビラル基準での「人間らしさ」を失ってるキャラほどボリゴン数が減ってゲームキャラっぽくなってる (^^;)に彼らしい反骨精神を味わえますなー。前作『ティコ・ムーン』の《青い血》に当たるアイテムがゲームっぽい人形キャラなワケですね。その意味では今回のNY、ズバリ前作の月面独裁国家の発展型です。希望ゼロ、救いゼロの世界観は、いつの時代にも、ジュネ/ベッソンの行き着いた所から始まってるというアナーキーさ。何も言いません、迷わずこの道を突き進んで下さい。減点は、DVD英語版だったのと、ホルスが活躍しすぎてるから(だもんで希望ありすぎ)。でもま、ビラルの新作を見られただけで嬉しいから、あんまり気にしな~い!
[DVD(吹替)] 9点(2005-04-04 03:22:20)(笑:1票)
40.  神風
原色の国おフランスでなければ企画されないであろうトンデモ系×ペーソス×刑事ドラマ。。50年代SF映画風の巨大光線銃でテレビを撃つと、スタジオのニュースキャスターが吹っ飛んでいくという、恐ろしい《マスコミ破壊銃》が、あくまで話の主軸だ。なんだが、この奇怪な調和ぶりはどうだろう。日本なら確実に『怪奇大作戦』路線なのだが、そこはおフランス&リュック・ベッソン製作。主役の二人であるマッドサイエンティストと刑事の人間性や家族愛などを強引に織り込みながら、違いを際立たせ、人間ドラマのある西部劇みたいな展開に持っていく。無名の超人VS官僚という構図でもあるから、『ジャッカルの日』に近いとも言えるだろう。決してステレオなSFじゃない。この、ジャンル映画のお約束に対する無神経ぶりがかなり心地よくて、B級A級というランク分けを超えた不思議な存在感を湛えているのが本作のイイトコロ。…とまあくだくだ書いたけど、『サブウェイ』のノリがわかる人には言葉はいらないだろうな。『トンデモ版サブウェイ』と思えば、かなり近い。
6点(2004-12-31 13:36:51)
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