121. 最後のマイ・ウェイ
《ネタバレ》 もう、最初の20~30分で、何かのダイジェストかと思うくらいの物凄いスピードで話が進んでいくので、びっくりするわけです。その後も、特にそれは変わっていません。ということは、再現の形を整えた時点で演出の力が尽きてしまい、それ以上の表現もなければドラマもないということです。大体、大スターが身勝手だったり横暴だったりするのはいいけど、何らかの形での人間的魅力すらも感じられないのであれば、それは映画の主人公たりえません。唯一光っていたのは、中盤のパーティーの際の割と凝った移動長回し。それと、最後の一瞬で、「触れた瞬間」に描写をばっさり終わらせ、倒れる姿とか、それを発見してどうこうとかいうものを無視していること。何でほかのシーンもこうできなかったんだろう・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2018-04-04 01:35:29) |
122. 続・さすらいの一匹狼
《ネタバレ》 主人公がとにかく格好悪くて。前後の見境なく何でも突っ込んで行くかと思えば、武力があるわけでもなく、かといって知恵や作戦でカバーして進むわけでもない(というかむしろ頭が悪い)。医者が随所でフォローしてくれなかったら、瞬時に消えていたんじゃないですか。ヒロインが言葉少なに凜とした感じを表現していてなかなかいい感じだっただけに、この主人公のヘボさは何とも残念。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-03-24 00:58:04) |
123. 二十四時間の情事
何がしたかったのかよく分からないのですが・・・寓話的・象徴的にいきたいのであれば、現実そのもののデモ行進のシーンなど出すべきではないし、「性」と「生」を絡めて退廃的にいきたいのであれば、もっと「情事」の部分がきちんとしていなければならない。つまり、全体としてフワフワしていて、いろいろと中途半端なのです。「ヒロシマ」はネタにすぎなかったのか、とさえ思ってしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-01-29 23:40:12) |
124. 離愁(1973)
《ネタバレ》 終盤近くまで、息詰まるような列車内のシーンが続くが、ときおり外でのシークエンスも織り交ぜて、単調にならないように工夫している。で、一番秀逸なのは、病院での妻子との再会を描いていないこと。これによって、アンナが消えたことの「遮断効」を強烈に表すと同時に、主人公にとってより意味が深かったのはどっちだったのかを端的に示すことに成功している。また、ラストも、あれこれくっつけず、一番大事なこと(2人のふれあいと視線)だけをクローズアップして、取調官の本来なら重要な発言もノイズ扱い。だからこそ、列車内のシーンが重みをもって裏返ってきます。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-29 03:10:09) |
125. バルタザールどこへ行く
何が怖いって、肝心のロバが、走るとか顔を向けるとかとにかく何かするとか、リアクションらしいリアクションを何もしないのですよ。常にただそこに「いる」だけ。だからこそ醸し出される怖さ。そのインパクトは大でしたが、一方、話の内容の方は、やはり観念的で散漫になってしまいました。あと、それとは別に、邦題は秀逸です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-26 23:43:47) |
126. ブンミおじさんの森
ひたすらそれっぽいイメージ映像が続いているだけで、演者は芝居がつけられていない放置状態で、見ていて辛かったです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-01-12 01:32:37) |
127. いとこ同志
とにかく描写が作為的というか、観念的というか・・・一つ一つのシーンを役者が指示通りに演じているだけであって、登場人物が生きてないのです。したがって、いくらストーリーを盛り込んでも、それがそのまま流れるだけで、面白みがありません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-12-09 00:03:19) |
128. ヘッドライト
《ネタバレ》 もっと切ない大人のラブロマンスを想像していたのですが・・・全体的に、演技がゴツゴツしていて、不倫という設定がもたらすはずの高揚感とか逸脱感が感じられないのです。したがって、平坦な印象になってしまいますし、悲劇的なはずの終幕も、予定調和に見えてしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-12-02 23:56:08) |
129. ル・アーヴルの靴みがき
《ネタバレ》 密入国少年が家に紛れ込んだところで、「あ、そう」レベルで済ませている(どころか、その後少年をほっといてとっとと外出している)シーンが何とも強力。この超然とした主人公の立ち位置が、その後ラストまでの展開を一気に必然性あるものとするほどのパワーがある。また、密入国の背景とか、警視とカフェのマダムの過去の経緯とか、妻の病気の詳細とか、そういう余計な背景とか感情描写をすべて切り捨てている潔さも良い。 [映画館(字幕)] 7点(2017-11-07 02:34:25) |
130. キャロル(2015)
《ネタバレ》 こういう奥行きが深い役をケイト・ブランシェットに与えて、出番を存分に与えていれば、あとは当然のようにクオリティが上がっていくわけで、見る側としてはどっぷり浸りながらその演技を堪能していればよいわけなのです。しかししかし、さらにびっくりしたのが、ルーニー・マーラの存在感と表現力で、ブランシェットが次々に投げ込む剛速球や超変化球を、平然と全部ボレーで打ち返すがごとき高感度ラリーを繰り広げているのです。その上で、最小限の言葉で背景を言い尽くす上品な脚本と、慎み深くも職人芸を感じさせる映像や美術の充実が加わったら、もう言うことはないのです。そして、ここぞという箇所に凝縮されているベッドシーンの美しさも、監督の登場人物に対する深い敬意と愛情を感じさせます。 [映画館(字幕)] 9点(2017-10-24 01:02:24) |
131. フレンチアルプスで起きたこと
《ネタバレ》 そりゃ、こんなネチネチした底意地の悪い奥さんだったら、かりにあの雪崩の一件がなかったとしても、いつか夫婦関係は崩壊したでしょう、と思ってしまいます。なので、せっかくの設定と内容が絡んでいないのです。もっとも、最後はすべてが吹っ切れた大泣き一発で何となく解決してしまう、というのは痛快でした。それと、定点長回しを多用したカメラが印象的でした。 [DVD(字幕)] 6点(2017-10-20 02:09:40) |
132. 奇跡の丘
《ネタバレ》 イエスの台詞はほとんどが新約聖書そのまんま、出てくるシーンも「ああ、あれ」と思い当たるものばかり。しかし、その愚直なまでの誠実な作り方と、主演の彼の奇妙な迫力、余計な装飾ゼロの役者のリアクションなどが相まって、湧き出るようなインパクトを与えている。再三背景に出てくる不毛の荒野の映像も強力だし、一方で街というか集落にしても、斜面に辛うじてへばりつくような感じで設置されていて、こういう一貫した「別世界感」が、その発言や行動などとは別の角度から、主人公イエスの存在そのものを浮かび上がらせているのです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-09-23 04:43:42) |
133. イヴ・サンローラン(2014)
あえてこの、名前だけなら誰でも知っている人を対象とするのであれば、そのデザインの発想はどこから出てきたのかとか、何は何を表現しようとしているのかとか、そういった突っ込みを強く期待するところなのですが、やっぱりそこまでの領域には遠く及んでいませんでした。全編、それっぽい会話がそれっぽい雰囲気で細切れに流されているだけであって、そもそも人物表現になってないです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-08-08 00:22:43) |
134. ミスター・ノーボディ
《ネタバレ》 冒頭、もっともらしく登場する3人組を、一瞬で片付けるフォンダ。何とも緊迫感あふれる導入なのですが、しかしその後は、真剣に映画的に撮っている映像と、ところどころものすごく適当な展開ぶりが、なかなかのカオスな世界を見せつけている。ただ、その謎の突っ走り感も、中盤では息切れしてしまったようで、後半はダレます。そもそも、もっと尺が短くあるべき作品ではない? [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-13 01:02:44) |
135. グレート・ビューティー/追憶のローマ
初老のオッサンの妄想的回想(回想的妄想?)に140分延々とつき合わされるという、困った作品でした。主観が前面に立つ内容だからこそ、前後の脈絡は必要なのであり、そうでなければ、単に思いつきのシーンをつなげただけになってしまいます。 [DVD(字幕)] 3点(2017-07-03 01:51:08) |
136. ゲームの規則
すみません、何かみんながワーワー言っているだけにしか見えなかったのですが・・・いろんな人間関係が「ただ置かれているだけ」であり、発展性がないので、いくら登場人物があれこれ動いても、見ていて疲れるだけでした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-06-08 22:09:10) |
137. マラヴィータ
《ネタバレ》 せっかくのファミリーもの、しかも実際は証人保護プログラム下、周りからはただの平凡な一家というギャップの設定まで用意していながら、ドラマが動き出すのが遅すぎ。父親なら映画会の拍手喝采とか、姉なら教師見習いとのやりとりとか。なので、やっとそうきたかと思った矢先に、あっさり終わってしまいました。逆に、それまでのダラダラぶりは、デニーロやミシェルのまったくの無駄遣い。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-04-02 01:27:21) |
138. 96時間 リベンジ
《ネタバレ》 感想は前作とまったく同じで・・・最初の方の頭脳戦の部分はいい感じなものの、結局はお約束のカーチェイス&銃撃戦&肉弾戦。やるのはいいんだけど、主人公をこういう設定にしているんだったら、もっとその中にも頭を使う要素を感じさせてほしいのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-03-17 01:43:37) |
139. アンナ・カレーニナ(2012)
何かこう、演出も脚本も含めて、すべてがどうにも中途半端というか・・・ただやっぱり一番気になるのはキャスティングで、キーラ・ナイトレイは10年前だったらキティ役がぴったりだったろうし、逆にアンナの情念爆発暴走ぶりには合っていない。ジュード・ロウも、10年前だったらヴロンスキー側がぴったりだったのに、カレーニンの重厚さには及んでいない(うまく歳がとれていないように感じる)。超有名な原作があって骨はできているんだから、キャスティングはとても大事だったと思うのですが。その他の人達についても、いい俳優を揃えていながら、使い方が合っていないため、さしたる見せ場なし。もったいない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-03-12 22:24:49) |
140. 愛、アムール
《ネタバレ》 冒頭からの長回しの連発に顕著に象徴される、じわじわとしみ出てくる生活感、その丁寧さと堅実さ。だからこそその先の見えない描写が、登場人物と一体となったスリリングな不安をかき立てるのだが、中盤はちょっと弛緩気味だったかな。それでも、クライマックスから着地に至るまでの緊迫感は格別です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-02-20 21:57:11) |