1. 素晴らしい風船旅行
《ネタバレ》 「赤い風船」を観た後だったので期待していた映画でしたが、かなり失望させられました。先の映画での自然な着色の美が無くなり只のカラー映画に成り下がってしまい、風景はそれなりですが爆発の危険とかのパニック要素まで入れて変な受けを狙う映画に堕落してしまっていました。 [映画館(字幕)] 6点(2011-01-16 00:14:07) |
2. 空爆大作戦
《ネタバレ》 題名からバトル・オブ・ブリテンの物語かと思ったら登場人物はそうだったけれど、内容はダンケルクのどさくさでフランス将校に化けて英国に侵入したドイツ諜報員と彼に偶然に関わることになった英軍将校の友情と対決の話になっていました。それにしても英国軍における女性の活用は徹底していてそれが人員の不足を相当に補っていたようです。空中戦は同じような場面ばかりで迫力はありません。しかし、ドイツ将校がフランス将校に化けてイギリスにと言うのは相当に語学の素養があったのでしょう。スパイ狩りをする軍曹のプロ意識も立派です。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-23 09:08:54) |
3. 氷の微笑
マイケル・ダグラスは顎にえくぼのあるところまで親父にそっくりなのだけれど、ディクロージャーとかでも駄目男の役しか恵まれていないのは、一つには社会的経験がベースにある親父と違うのと、時代が変わって同じような役柄が必要とされなくなった不幸なのでしょうか。 [地上波(字幕)] 5点(2009-07-24 21:40:19) |
4. スパイ・ゲーム(2001)
《ネタバレ》 どこの国でも諜報活動は一種の階級社会によって行われ、安全な場所から司令を出す人間と現場でリスクを冒す人間とで成り立っているのだけれど、退役を控えたときにかつて自分に忠誠を示した現場要員が敵に捕らわれて救いが無い状態であることを知ったときに所詮金で雇った人間だからと割り切れるかどうかと言う問題でしょう。兵士の場合には国家の威信にかけても救出しようとする国も、現場諜報員と言う公式には存在しない人間に対しては手を打たない。それを何とかしたいと考えた良心的な人間が自分の安定した老後を賭けての大博打ですから好感が持てます。これを感傷的な御伽噺と決め付けることも可能ですが、この種の階級制度的な実態での運用が行われているのは事実でしょうし、それに対しての希望的なフィクションは悪いものではありません。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-19 00:27:20)(良:1票) |
5. 薔薇の名前
《ネタバレ》 原作における時代背景(神聖ローマ帝国皇帝とローマ在住でないローマ教皇の対立)の説明がないのでその特使である枢機卿との協議の重要性とかあいまいになっていますが,修道院における連続殺人事件の謎解きとしての映画なら十分に楽しめます。図書館の舞台が原作の平面の迷路から立体迷路になっていてゲームとかにも出来そうな題材になっています。印刷技術や紙さえも伝わっていなかった中世ヨーロッパですが人の交流だけはグローバルで英国出身の師のギャグに富んだ語りが笑いを嫌う修道院の長老との対比をなしています。ちょっとセックス場面でのサービスが良過ぎるので教会の協力がよく得られたものだと思います。娘が火事騒ぎで助かったのは燃え残った火刑台を示すだけで十分で最後の別れの場面は明らかに蛇足のようです。登場人物のキャラクタ付けがちょっと濃い目ですが皆さん役のために相当に努力をされている点でおまけ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-09-20 22:16:29)(良:1票) |
6. わんぱく戦争
《ネタバレ》 この映画を観てから思い出したのは,その10年以上前に少年雑誌で読んだ馬場のぼるの「ポストくん」での遊び場の材木置き場をめぐる戦争でした。大きなグループ間の対立なのに,双方のトップは相手に一目置いていてフェアであることを忘れないところとか馬場氏の制作態度(これがデビュー作だったとは最近知りました)がうかがえました(最後は材木置き場が一夜で運び出されておしまい)。この映画でも両グループのリーダーのありかたとかを子供たちにも教えるようなところがあって,それが決して嫌味にならないところが良いです。最後の子供の世界から追い出された両リーダーが寄宿舎で再会はありがちの結末です。ところで父親を激怒させた殺し文句はやはり「イ○ポ」なのでしょうか? [映画館(字幕)] 8点(2007-01-03 00:41:52) |
7. 赤い風船
《ネタバレ》 もう50年も前だけれど、この映画を観てカラー映画の奇麗さを再認識させられました。それまでの映画のいかにも着色されたような色でなく街裏のどこでも見かける風景の色を表現して、その中で目立たないけれど赤色の風船が黙って見つけられるまで待っている。それが壊れるときが別れと判っていても最後まで挽き付けられる映画でした。「黒い牡牛」の映画と一緒に観た記憶があります。 [映画館(字幕)] 9点(2005-05-14 00:08:44)(良:1票) |
8. 頭上の脅威
《ネタバレ》 日本で公開されたときには、当時人気絶頂の岸恵子の旦那の監督作品との評判でした。ド・ゴール大統領持論の自主核戦力の一角を成す空母クレマンソーのPR映画と言えば身も蓋もないのですが、飛行機もさることながらKiwiと呼ばれる艦上スタッフの派手なコスチュームと動きを映像美として描いています。UFOの登場で緊張の世界に遂に大国がミサイルでUFOを撃墜し、それを収容に降下してきたUFOから防御するための散水カーテンなど当時のフランスの国防意識を盛り込んだ内容ですが、結局は逃げ送れたパイロット1人の喪失と言う半端な内容でした。 5点(2004-11-21 20:32:52) |
9. キャンディ(1968)
《ネタバレ》 原作には当時の米国人の宗教と道徳の建前からの表向きのセックス観と現実の違いを表面化させると言う真面目な意図があったようです。60年代の初頭に日本で出版された翻訳は発禁の扱いを受けたけれど、その後にほとんど同じ内容で文庫本になりました。映画化の話は知っていたけれどやっとDVDで観ました。原作で面白かった病院の場面(医師の名前が「患者」と言うだけあって皆が「ビョーキ」であるのには変わりないのですが)が血まみれ手術と変貌しているのは少し変ですが。これを観て病院恐怖症のひとが増えそうです。ヨガのグルによる教育場面はトラックの中ですが、当時のヒッピー達の風俗とか今ではどこにでもあるような風景ですが映画化当時には斬新性があったのでしょうか?最後の「パパ」との再会で終わるのかと思ったらそのあと全登場人物の顔見世は田舎の芝居小屋みたいでちょっと興ざめです。 6点(2004-11-09 13:31:52) |
10. 赤い航路
《ネタバレ》 ポランスキー監督の作品はあまり意識して観ていなかったのですが、この映画は凄い。結婚7年目の記念旅行と言う設定ですが、これとシチュエーションが似ているのがキューブリックの最後の作品で、結局は仲の良い夫婦の意識していない破局への道がそこに入り込んだ第三者によって暴き出されて修復されると言う筋書きで、それでその第三者に宗教的な意味を与えているように思えます。子連れやもめのインド人で象徴される異文化にそれを求めての旅だったのかも知れないけれど救いはやはり西欧的なものから与えられるとの結末は単純すぎるようですが。 9点(2004-10-31 01:22:36) |
11. 愛のコリーダ
《ネタバレ》 気にはなっていたけれど初めて観ました。大島がタブーに挑戦の意気込みでフランス資本の支援で作った映画らしいけれど、日本での公開は相当に制約があったとは知っていました。それで内容ですが全く評価のしようがありません。場末のストリップ小屋から出てきたような映像をわざわざ映画として配給する必要があったのでしょうか?この少し前の篠田の「心中天網島」の映像美とかと比較するのも情けないです。ホテルとかのポルノビデオ程度の必然性すらない筋書きです。松田瑛子も自分で納得の上での出演とは言え、これで本番女優のレッテルで使い捨てされてしまった。事件そのものも表現に制約のあった当時のマスコミの事実ならかまわないとの商業主義が誇張したものだと思われるし、実際問題として性愛行為中の過失による死亡事故などは一般のひとの間でも起こり得る事件です。それよりもこの映像を通じて芸者は売春婦以下の行為を行う職業との偏見が世界に撒き散らされたとすると恐ろしいことで、大島の責任は重大です。 2点(2004-05-20 23:31:03) |
12. バリー・リンドン
《ネタバレ》 観終ってから気付いたのですが、これってヴォルテールの「キャンディード」が下敷きになっているのじゃないかと思いました。(バーンスタインのオペラはまた違った筋書きのようです)「人間万事塞翁が馬」じゃないけれど、最初の旅立ちでの親子強盗との遭遇で全ての筋書きが狂ってしまって、それでもまあ、成るように成っていくところが面白いです。日本とは馬とか道路とか事情の違いがあったとしても、西欧の若者ってあの時代にもそんなに積極的に行動していたのでしょうか? 8点(2004-01-29 08:15:45) |
13. あの胸にもういちど
《ネタバレ》 フランスの異色のポルノ作家マンディアルグの「オートバイ」の映画化で、昔の友人からハーレーを贈られた新婚の人妻がベッドから抜け出してレザースーツだけを身につけて深夜にオートバイに乗って会いにいく途上での回想シーンだけの映画です。公開当時には当時人気絶頂のアラン・ドロンがヌードになる(女優のほうでなく)のが売りで宣伝されていました。しかし、原作にあるような魅力には、はっきり言って当時のドロンは若すぎて現実感が薄いように思えました。もっと後年のドロンが演じたら良かったでしょうに。 6点(2003-12-03 11:48:32) |
14. 大列車作戦
《ネタバレ》 この映画を正義感に燃えた人達の成功したレジスタンスと受け取るひともいるかもしれませんが、最初に疑問を抱いたのに学芸員(ジャンヌ・モロー)の熱意に負けて美術品の争奪にそれと無縁な現業職員の人命を賭けさせることの空しさを描いたものとの考えかたもできます。機関士は美術品など知りはしないけれど、これを「フランスの栄光、フランスの宝」とお題目を唱えながらサボタージュを実行し、確かに列車はパリ郊外に出ることもなくて済み、参加者は射殺されてしまいます。その死体の山を前にしてドイツ軍の指揮官は「自分はこの美術品が好きだし、価値を理解している。芸術はそれを理解できる人間のものなのだ。」と言うときに、サボタージュを指令した人間は彼を射殺することしかできなかったのです。戦争もレジスタンスも必要悪かも知れないけれども、事情を知らず、またはそれを教えずに人命を賭けさせることに対する疑問を持たせる映画だと思います。 8点(2003-08-04 01:19:32) |