1. 橋の上の娘
落ち目の大道芸人と身投げ未遂娘の純愛という、何とも陳腐なストーリーだが、物語に一貫するファンタジーのレベルが安定しているので、緩み無く心地よく観ていられる。ルコント特有の、いかにも肩の力を抜いた演出が粋だが、一方、映像、台詞、音楽など、もの凄くディテールに凝っている箇所もあり、この監督のセンスに改めて敬服。お奨めの一本! [ビデオ(字幕)] 9点(2005-10-17 13:28:23)(良:1票) |
2. 太陽がいっぱい
学生時代、当時付き合っていた女の子とビデオでこの映画を見た後、耳元で、「マルジュ~」と囁いて、「バカ」と怒られたことを思い出す。何も手に入れることが出来ず、眼だけがギラギラしていた青春時代、この映画の屈折した美しさに酔いしれた記憶がある。アロンドロンは言うに及ばず、モーリスロネ、マリーラフォレも相当にアダルティで成熟した美を醸し出し、やはりヨーロッパのデカダンは違うぜ!と感じた一本 9点(2003-07-04 12:37:30) |
3. さらば友よ
学生時代、俺が咥えたタバコにいかに格好よく火を灯けるか研究していていたIという男がいた。偶然CD屋で「さらば友よ」のDVDを見つけ、懐かしくて見直した。やはり、このラストシーンにはシビレてしまう。フィルムノワールづいていたI、今は愛息と一緒に年賀状の写真に収まり愛想よく笑っている。聞いた話ではタバコも止めたらしい。こんな映画が作られ、それを見てハードボイルドに憧れる若造が粋がっていた時代も、遥か遠い昔になってしまいつつあるのかなーとしみじみしちゃいましたとさ 9点(2003-06-17 13:06:40) |
4. 仕立て屋の恋
単なるサスペンスの域を越えて、世間から孤絶した男の過剰で病的なロマンティシズム(まるでドストエフスキーの登場人物です)を深く染み込ませるあたり、ルコントの懐の深さを感じます。寒々しい青の色調が効いてます!禿が悲しい 7点(2003-02-24 10:17:38) |
5. テス
亡き妻、シャロン・テートへのオマージュの言葉から始まるのが悲しい。この映画は何と言ってもナスターシャ・キンスキー扮するテスの魅力に尽きる。上映時間3時間弱とかなりの長編のため中弛みしてしまうという意見もあるようだが、極力冗長な状況説明を排し、簡潔にストーリーを紡ぐポランスキーの演出はいつもの如く冴えわたり、観るものを放さない。そしてやはり映像美だ。夕暮れの草原で村の娘たちがダンスを楽しんでいるシーンの美しさに初っ端から打たれ、ラスト、逃亡の旅の果てに辿り着く月光に照らされたストーンヘッジと、朝の淡い光の中で巨石に身を横たえるキンスキーの美しさにため息が出る。こういう女性の描き方が好きな人は多いと思うなあ。 9点(2002-07-30 13:05:13) |
6. 白い家の少女
一流のサスペンス。瞬きするのも惜しむように画面に釘付けだった理由は、その脚本の優秀さだけではない。ジョディ・フォスターとマーティン・シーンのただならぬ存在感によるところが大きい。特にジョディについては圧倒されてしまう。それにしても、この年(1976年)のジョディの出演作(タクシードライバー、ダウンタウン物語、白い家の少女)の質は素晴らしい。 8点(2002-03-19 12:52:52) |