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 > にじばぶ さんの口コミ一覧。3ページ目
にじばぶさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3273
性別 男性
自己紹介 監督別鑑賞作品数

成瀨巳喜男 69
溝口健二 34
川島雄三 41
小津安二郎 37
石井輝男 24
豊田四郎 19
石井岳龍 18
矢崎仁司 12
西川美和 8
山下敦弘 15
今泉力哉 21
フェデリコ・フェリーニ 24
ミケランジェロ・アントニオーニ 14
ピエル・パオロ・パゾリーニ 16
ルキノ・ヴィスコンティ 17
ジャン=リュック・ゴダール 36
フランソワ・トリュフォー 24
ルイ・マル 17
ジャン・ルノワール 15
ジャック・ベッケル 13
ジャン=ピエール・メルヴィル 11
ロベール・ブレッソン 12
イングマール・ベルイマン 27
アルフレッド・ヒッチコック 53
ジム・ジャームッシュ 15
ホウ・シャオシェン 19
ウォン・カーウァイ 14
ジャ・ジャンクー 9

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【製作国 : イタリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  赤い砂漠
最も良かった頃のアントニオーニ風味が、やや色褪せつつも十二分に残った作品。 色使いがとても印象的で、モニカの服の色とか、とても印象に残っている。 『太陽はひとりぼっち』や『夜』には及ばないものの、アントニオーニの描く、愛の不毛と退廃的な雰囲気を感じられるのが良い。  それにしても、劇中でモニカを口説く男。許せない!
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-06-03 21:41:48)
42.  穴(1960) 《ネタバレ》 
ひたすら“掘る!掘る!掘る!”の土木作業の連続。 こう書くと何だか単調な映画の様に感じてしまうかもしれないが、そういうわけではない。 無骨な“ガチン!ガチン!”という音に釘付けになってしまう緊迫感があるのだ。 特に凄いのが、最初に穴を開けるシーン。 牢屋の地面に穴を掘っていくシーンが何とノーカットで描かれる。 これが異常なくらいに興奮する。 刑務所内に響き渡る音。 観ているこっちが「聞こえるんじゃないか?」と真剣にヒヤヒヤしてしまうくらいの、これ以上ない迫力ある音。 まずこのシーンからして傑作だ。 何とか穴を地下通路まで掘り下げる。 そして地下に男たちは降りる。 しかし看守達の見回りに遭遇してしまう。 しかしそこは密室。 どうやって看守達をやり過ごすのか? 「うわ・・・・」 見事、やり過ごしました。 “小技”が冴えまくりである。 本作全般に言えることだが、ロベール・ブレッソンの『スリ』並に“小技”を披露してくれる。 この看守をやり過ごすシーンといい、合鍵を瞬時に作ってしまうシーンといい、砂時計を作ってしまうシーンといい、覗き窓から外を確認する潜望鏡の作成といい、とにかく技術的で芸が細かい。 これが何とも面白いのだ。  脱獄のシーンとは直接関係がないのだが、この“小技”関係で面白いシーンがあった。 それは、囚人への差し入れの検品シーン。 看守が次々に差し入れの品を実に手際良く検査していく。 たった一つのナイフで外箱やら食べ物やら。 不潔極まりないのだが、おそらくそれも演出の一つであろう。 この検品の手際の良さは観ているだけで楽しい。 なんか芸を見ているかのよう。 この変もブレッソンの『スリ』に共通する面白さだ。   さて、脱獄の話に戻す。 こうして、まんまと下界へ達した囚人たち。 だが自分だけ外に出るわけにはいかない。 裏切りとなってしまう。 最後の穴を開けた二人は、他のメンバーを迎えに牢屋へ戻る。 仲間たちは、穴が貫通したのを知り、「今夜、みんなで外へ出よう」と申し合わせる。  そして時間が経過し、いよいよその時がきた。 お手製潜望鏡で、牢屋の外を最終確認。 しかしそこで見たものは?!  “衝撃のラスト”だった。 ゾクっとするくらいの怖いラスト。 あの潜望鏡からの風景。 しばらくは忘れられないだろう。 最後の最後まで緊迫しており、最初から最後まで完璧。
[DVD(字幕)] 9点(2021-06-03 21:38:13)
43.  ウエスタン 《ネタバレ》 
10分から15分くらいの静かなオープニングであったが、これが最高だった。 いかにも西部劇っぽい場所の駅っぽいところで、ちょっと野蛮な感じのガンマン風の男3人が、何か待っている模様。 電車か?それとも他の何かか? その3人のそれぞれの表情がアップで丁寧に捉えられていく。 そして静かに淡々と時間が進んでいく。 妙に静かだ。 怖いくらいに。 いかにも嵐の前の静けさという感じ。 何気なく観ていたのだが、いつの間にかこの緊張感に引きずりこまれていた。 その後、ある一人の男とそれらの男3人とのしびれる打ち合いがあるのだが、それはまあいいとして、このオープニング、傑作を予感させる素晴らしいものであった。  オープニングの後の展開は、少し趣が変わって、普通っぽい西部劇に。 しばらくして、クラウディア・カルディナーレが登場! いやぁ、待ってましたぁ!という感じ。 何しろ、オープニングで濃い男達の顔を散々アップで見せられたので。  しかし、カルディナーレ、まだこの時点では胸ははだけておりません! その後、期待通りに不自然なくらいに露出してくれるカルディナーレ。 それは嬉しいのだが、どうにもラブシーンがわざとらしい 豊満な胸を隠そうとするばかりに、姿勢がおかしいのだ。 まあ、そんなツッコミはいいとして、汚い男達(これがまた良いのだが)に混じって、このカルディナーレの可憐さと豪快さ。 やはりカルディナーレは素晴らしい女優さんだ。  さて、随所に男を唸らせるニクイ演出が沢山あった。 例えば、ラストシーンで、実は銃で撃たれていたのにやせ我慢しているジェイソン・ロバーズとか。 例えば、チャールズ・ブロンソンとヘンリー・フォンダとの最後の果し合いのシーンとか。 しかし私はもっと別の場所に意識が向いた。 それはヘンリー・フォンダが再三“ピュッ!”と痰の様なモノを吐くシーンだ。 これがまたしつこいのだ。 何度となく出てくる。 しかも妙に音が気持ち悪い。 男の渋さをかっこ良く描いた本作に対する感想で、こんなおちゃらけたシーンについて言及するのは、少しはばかれるが、とても気になった挿入シーンだったので率直に書いてみた。 あれは一体、ヘンリー・フォンダ演ずる男のキャラクター形成上、どれだけの役目を果たしているのだろうか? 甚だ疑問である。
[DVD(字幕)] 7点(2021-06-03 21:37:07)(良:2票)
44.  モンパルナスの灯 《ネタバレ》 
やっと観れたジャック・ベッケル監督の代表作。 画家“モジリアニ”の人生をドラマティックに描いた伝記映画である。  やっぱり何度観ても1950年代末から60年代初頭にかけてのモノクロ映像は鮮烈で鋭利で素晴らしい! カラーでは絶対に感じることのできない映像的魅力を強く感じる。  36歳で夭折したフランスの美形俳優ジェラール・フィリップに、私の大好きな女優であるアヌーク・エーメが共演した本作。  このキャスティングだけでも十分に鑑賞に値する。   上に書いた様に若き日のアヌーク・エーメが出演しているのだが、これが参ってしまうほどに美しい。  劇中のモジリアニが惚れこんでしまうのも納得の、心を奪われる様な美しさを存分に発揮している。  エーメを抱き寄せ腕を執拗なまでに撫で撫でしているフィリップに、観ているこっちは羨ましくて仕方ない。   そしてジェラール・フィリップ。 彼の出演作を初めて観たのだが、これがまた魅力的。  本作ではとにかくモテる。 彼の周りには美しい女性ばかり。  そしてその女性のほとんどが彼に好意を持っている。 またしても羨ましい。  魅力ある男に美しすぎる女。 観ていてひたすら羨ましくなる映画だ。  だけど嫌味は感じない。 憧れの対象として目を奪われるばかりだ。  ストーリー的にも申し分なく、最後まで気持ちよく魅せてくれる。   そして本作における三人目のキーマン、リノ・ヴァンチュラ。  彼が演じるのは、モジリアニの死を何ら手を差し伸べることなく待ち続け、彼の死後、彼の作品を非情にも買い漁っていく画商の役。  モジアリニの才能を生前、誰よりも買っていたのは彼であったような気がする。  その彼が誰よりも彼の死を待ち望む。 皮肉で味のある話だ。
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-31 15:43:45)
45.  鞄を持った女
イタリアのこの時代の作品は大好きなので、一つでも多く観ておきたいところだが、中でもこのヴァレリオ・ズルリーニの代表作の一つともいえる『鞄を持った女』は絶対に観てみたかった作品の一つだった。  主演は、“C・C”ことクラウディア・カルディナーレ。  ヴィスコンティ作品で一度観たことのある大女優さんだけど、彼女の代表作といわれるものを観るのは、これが初めて。   そして、監督のヴァレリオ・ズルリーニだが、彼の作品を観るのは『家族日誌』に次いで2作品目。  『家族日誌』はイマイチだっただけに、本作には大きな期待をしていなかったけど、その期待をいい意味で裏切って、十二分に楽しむことができた。   これをきっかけにして、ズルリーニにハマりそうな予感。  なんともいえない、文学的でもの悲しい雰囲気の作品を創る素晴らしい監督だなぁ、と今回見直したわけだ。   ジャック・ペラン演じる16歳の青い青年と、カルディナーレ演じる豊満な大人の女性との、淡くも切ないラブ・ストーリー。  ラブ・ストーリーとはいっても、少年の片想い的な状況なのだが、これが内気な少年の立場から丁寧に描かれており、なかなか引き込まれる。   どうみても不釣合いな二人。  不釣合いどころか、恋が成就する状態になり得ないくらいのギャップがある。  自分も過去に背伸びして、「じゃあ仮に付き合ったとしてどうなるの?」的な女性にゾッコン(笑)だった時代があるだけに、観ていてどうしようもなく辛かった。  逆に、口がうまくて社交的な男や、女性の立場から観たら、どれだけ少年に感情移入できるだろうか。  そういう意味では、観る人を選ぶ作品。   そして、口ベタなクセに何故か、快活で大人な女性に恋をしてしまいがちな男性諸氏には、必ずやハマれる作品ではないだろうか。  ハマり過ぎて、過去の辛い想い出に涙しないように要注意。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-05-31 15:41:00)
46.  フェリーニ 大いなる嘘つき
まず、始まりの音楽と映像が素晴らしかった。 海の映像と、そこに流れるゆったりとしたクラシック音楽。  それらにぼぉ~っとしていると、突然、“おじいさんフェリーニ”が登場。  “働き盛り”のフェリーニとは全く違った雰囲気でびっくり。 全く、若かりし頃の面影がない。 これにはちょっとショックだったかも。  70歳ちょいで亡くなったことを考えると、かなり健康も害していた時期だろうから、この不健全な雰囲気は仕方ないんだろうけど・・・  それにしても「理屈っぽい」。 ひたすら、“オレ流の映画論”や“フェリーニ流人生論”をしゃべり続ける。  フェリーニ作品の全てを観た後に、これらのドキュメンタリーを観れた点は良かったと思う。  しかも、ここ1,2年でその全ての作品を観たので、ドキュメンタリーを観ていても、すぐにそのシーンが頭に思い浮かんできた。  「あぁ~、この俳優さん、こんなになっちまったのか・・・」 とか、 「このシーンはこんな風に苦労して作られたのか・・・」 とかみたいに。  本作『大いなる嘘つき』には、フェリーニに縁(ゆかり)のある俳優さんが何人か出てくる。  その中でも特に印象的だったのは、ドナルド・サザーランド。  『カサノバ (1976)』について彼が振り返り、その最後のついた“ためいき”が、とてもリアリティがあった。  「即興で彼(フェリーニ)は脚本を変えてしまう。ある時、彼は3ページに及ぶ独白を私に5分で憶えろと言ってきた。その後、5分後に本当に撮影が始まった。彼は悪魔だ。」  といった様な内容だったと思う。 その最後に、深い“ためいき”が出たのだ。 それはそれは深くて真実味のある“ためいき”だった。  私もこのブログで記事に書いているが、私にとって『カサノバ』という作品は、フェリーニ作品群の中で、最も体力を奪われた作品だ。  この作品は、言ってみれば“フェリーニ映画の集大成”的な作品。 晩年の“フェリーニ・ワールド”が最高潮に達した、非常に濃い作品だ。  そんなに面白いとは思わなかったが、そのあまりの“フェリーニ色満載”さに圧倒されたのおぼえている。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-31 15:36:43)
47.  さすらい(1957) 《ネタバレ》 
1957年の作品で、しかも特別メジャーな作品というわけでもないので、画像の状態は良いとは言えなかった。  でも最近は1950年代~60年代のモノクロ作品を見慣れてきたせいか、大して苦にならなかった。 むしろ、アントニオーニ地獄にぐいぐいと引き込まれてしまった。  スティーヴ・コクラン演じる主人公の男はかなり横暴なキャラで、(内縁の)妻に暴力ばかり振るっている。 とてもじゃないが、共感できるような主人公ではない。  しかしただ単に乱暴な亭主かと言えばそうでもない。 一人娘をかわいがったり、妻に捨てられ弱いところを見せたりするのだ。 主人公の見せるこの「ギャップ」がとてもよかった。  妻に捨てられ、小さい娘を連れて「さすらい」の旅に出る辺りから、“ロードムービー”的な色を帯びてくる。  旅先で仕事を見つけるのだが、娘のことを考えて仕事をするのをやめてしまう。 なんて娘想いの父親なんだ・・・と思いきや、今度は唐突に娘を母親の元へ送ってしまったりと相変わらずハチャメチャな主人公。  そして最後は悲劇的な結末を迎えてしまう。 結局、最後まで優しい人なんだか何なんだか分からないキャラで、最後まで主人公に対して共感することができなかった。  しかし、何故だか主人公に対して愛着を感じた。 時折見せる「弱さ」みたいなものが、日頃横暴なキャラだけに際立ち、そこから人間味を感じ取ることができたからではなかろうか。  なんか最後まで救いようのない話で終始するんだけど、単純なハッピーエンドではないだけに、かえって心に残る一本となったようだ。
[地上波(字幕)] 8点(2021-05-28 00:18:58)
48.  ボッカチオ'70
デ・シーカ、ヴィスコンティ、フェリーニという豪華な監督陣によるオムニバス映画。 なんと、上映時間はあわせて“204分”という超豪華版。 しかも長いだけでなく、個々の監督の個性が十二分に発揮されており、かなり「濃い」内容となっている。 私はビデオをレンタルしたのだが、上巻・下巻を二日に分けてやっと観終えることができた。  この4作品の中で、巷で一番評判がいいのが、第1話のモニチェリによる作品だ。 私も“面白さ”という基準だけで選べば、この作品が一番。 主人公夫婦の働く工場での「人、人、人」の混雑ぶりも圧巻だし、新婚夫婦の奮闘ぶりや、貧乏だけどひたむきな暮らしぶりなどは共感が持てるし、観ていて楽しい。 この作品だけでも観る価値はおおいにあるだろう。 しかし、このオムニバス作品の凄いところは、そこに更に巨匠3人の作品が加わることである。 1話目のモニチェリのライトな良作を楽しんだ後、二話目にはフェリーニの渾身の一撃を食らうことになる。 フェリーニのは55分なのだが、彼のその他の長編と比較しても勝るとも劣らない、凄まじいエネルギーを放っている。 はっきり言って見終えた後は、“グッタリ”だ。 開始早々から「フェリーニ節」全開で、飛ばしまくる。 そしてアニータ・エクバーグの不気味なボディと笑い声。 そんでもって、相変わらずの“乱痴気騒ぎ”。 たった55分でも、ものの見事に観てる者を「フェリーニ・ワールド」へと誘ってくれる。  そして、その後の3話目にくるのが、ヴィスコンティの短編。 これもまた容赦はしてくれない。 短編なのに、相変わらず“豪華絢爛”だ。 そして「貴族的退廃ムード」も全開である。 フェリーニ作品みたいに疲労はしないが、これはこれでお腹いっぱいにさせてくれる。  最後の4話目は、デ・シーカの短編。 フェリーニやヴィスコンティに比べれば、まだ“薄い”ものの、そこは巨匠。 ラストに到るまで、ぬかりは無し。  フェリーニやヴィスコンティの作品を既に何個も観たことがあり、それぞれの監督の個性とアクを知っている人にオススメしたいオムニバス映画だ。 そういった人ならば、この作品のボリュームと豪華さに、必ずや大満足できるであろう。
[ビデオ(字幕)] 6点(2021-05-28 00:15:24)
49.  カンタベリー物語(1972) 《ネタバレ》 
パゾリーニだが、この『カンタベリー物語』を観るまでは、イマイチ好きになれなかった。  この作品もいわば「義務的」にやっつけるつもりだったのだ。 しか~し、これが何とも面白い作品で、見事にハマってしまった。  この作品は『デカメロン』『アラビアンナイト』と並ぶ、P.P.パゾリーニ“艶笑三部作”の一つでもある。  何個もの挿話から成り立っており、オムニバス作品の様な形式で話が進んでいく。  つまらない挿話もあるにはあったが、これがなかなかの粒揃い。 基本的に映画で笑わない(笑えない)この私が、思わず吹出してしまう挿話が何個もあった。  その中でも笑いまくってしまったのが、ニネット・ダヴォリがちゃらんぽらんな主人公を演じた三番目の挿話である。  ニネット・ダヴォリは、P.P.パゾリーニの作品では常連の俳優だ。 いつも訳のわからん役ばかりだが。  でも、今回の作品における彼の演じる青年は、殊のほかオカシイ。 なんだか分からないけど、常に“ニヤニヤ”しているのだ。  あげくの果てに、そのちゃらんぽらんさが災いして、“ギロチンの刑”に処されることとなるのだが、首を板にはめ込まれた後でも“ニヤニヤ”である。  この終始馬鹿にした様な彼の振る舞いに、見事に引き込まれてしまった。  処刑されるわけだから、かなりシビアなストーリーであるはずだ。 だのに、それだのに・・・ それを微塵も感じさせない彼の“ニヤニヤ”は、もはや神がかり的でさえある。  この挿話によって、ニネット・ダヴォリ、そしてP.P.パゾリーニにハマってしまいそうだ・・・   そして、この作品が、ベルリン映画祭の最高賞(金熊賞)を獲っているのだから凄い。 何たることだ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-05-25 21:29:20)
50.  夕陽のガンマン 《ネタバレ》 
風景、音楽、主演の二人、いかにもウエスタンという感じで普通に楽しめた。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-15 00:27:02)
51.  昨日・今日・明日 《ネタバレ》 
短いけど2話目が好き。 ちょっとしたきっかけで変わる女心、さっきまで好意的だったのに、いとも簡単に離れていく。 「女心と秋の空」を、端的に描いていて面白い。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-05-07 23:33:37)
52.  マンマ・ローマ 《ネタバレ》 
主演は、アンナ・マニャーニ。  アンナ・マニャーニ演じる女性は、まさに“肝っ玉母さん”といった役どころを演じている。 この役どころは前出の『ベリッシマ』とほぼ同じ感じ。  ところがこの女性、事情があって娼婦をしている。 若い頃、ろくでなしの男を好きなり、貢ぐ為に若い頃から娼婦をしていたのだ。 そのろくでなし男を演じたのが、パゾリーニ作品の常連フランコ・チッティ 。 大好きな俳優だ。 このチッティは、マニャーニと縁が切れた後も、 「俺がヒモになったのはアンタのせいだ。責任を取れ。恩を忘れたのか!」 と、マニャーニに迫る。 マニャーニには16歳になる息子がいて、それまで別居していたが、この度同居することになった。 それで娼婦から足を洗うことを決心したのだが、その弱みにつけ込み、 「息子に娼婦だったことをばらされたくなかったら、おとなしくまた娼婦の仕事に戻って貢げ!」 とチッティはマニャーニに脅迫する。 凄いろくでなし男チッティ。  大好きなフランコ・チッティだけど、どうも精彩を欠いていたような気がする。(役柄はいつも通りの感じだけど。) 他のパゾリーニ作品では、あの割れたアゴといい、ニヤけた顔つきといい、魅力と個性が存分に発揮されていたが、本作ではどうにも魅力の発散度が弱い。  あと、ラストは○○な悲劇的展開に向かうんだけど、これもどうも唐突すぎた感があった。 作品全体としても『アッカトーネ』ほどのレベルには到ってないように感じたし、フランコ・チッティにしても、その魅力が半減している。   この少年を誘惑する女性が登場するのだが、この魅惑のおねえさんを演じたのがシルヴァーナ・コルシーニ。 これが何とも魅力的! 純朴な少年を性的に誘惑する役どころを演じているのだが、そのコケティッシュな魅力が見事にツボにはまっていて素晴らしい。 思春期の純情な少年が、こんな感じの近所のおねえさんに誘惑されたらイチコロだろう。 手を引っ張られるまま、本作の主人公と同じように穴倉に向かうに違いない。 いいなー。 (こんな感じでレビューを締めるのもどうかと思うけど、まあいいでしょう。)
[ビデオ(字幕)] 5点(2021-03-28 23:22:34)
53.  ぼくの伯父さん 《ネタバレ》 
苦手な『地下鉄のザジ』に似た雰囲気。 隣りに住んでるご婦人はスタイル抜群だ。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2021-01-09 23:13:56)
54.  愛の神、エロス
『若き仕立て屋の恋』は勿論素晴らしいが、やはりアントニオーニの『危険な道筋』でしょう。  何かと批判されがちな本作のアントニオーニ短篇ですが、個人的にはかなり気に入っています。 まず映像が綺麗。 そして、アントニオーニ色が、そこかしこに散りばめられていて、思わず目を細めてニンマリしてしまいました。 車が三叉路を戻ったり、支柱すれすれに通ったりする何気ない(意味のない?)シーンに、アントニオーニの香りを感じました。  それと、男性が女性の住むお城を訪ねる際に階段を登った時、不自然な風が吹きますが、あれを観て私は『欲望』を思い出しました。 『欲望』の公園に吹いたあの不自然な風。 あれを想起させませんか?? え?想起させない?? いや、そんなことはないですよ。 想起させますよ! いや、絶対に!!   ところで傑作間違いないウォン・カーウァイの「若き仕立屋の恋」ですが、本作の魅力を女性諸氏には理解できないのでは?という不安が沸き起こりました。 なぜならば、男性側から見た非常に直接的な性的欲求が根本に横たわっているからです。  そして、自慰的行為として青春時におぼえる「手」による行為。 その流れから、憧れの女性の「手」というものは、女性から見た単なる「手」とは異なり、感動的で純愛的な感触を生む。  「手」という器官を通して伝わる男性の純愛的な性的欲求。 これがまさに本短篇の副題に掲げられた“純愛”を指すわけなのです。  それにしても主演のコン・リーは色っぽい!
[DVD(字幕)] 7点(2020-12-30 11:19:52)
55.  ジェラシー(1970) 《ネタバレ》 
モニカ・ヴィッティを目当てで鑑賞。 イタリア映画っぽい、なんともザワついた不思議な映画。 コメディ色もあるが、どちらかと言うとブラックコメディの様相。  愛が深まり過ぎると、傍目には不幸になるということか? 勿論、当事者は不幸ではない。 むしろ愛に生きて後悔なし、といったところか。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-12-28 23:28:50)
56.  禁じられた抱擁 《ネタバレ》 
この男、ほんとクズだ。 しかも情けないクズ。 性行為に興味がないとか悟ったことを言ってたくせに、やることはやってるし。 彼女を独占しようと親から貰った金をばら撒くし。 かと言えば、フラれたくらいで自殺を図る。  彼女も確かに血の通っていない冷たい女だが、男の方も負けず劣らずクズ。 共依存のお手本のような男女関係だ。  でもこの話って意外と奥が深くて、金に不自由なく生まれ育つと、こうした厭世的なクズが出来上がるという話でもある。 金持ちのボンボンが陥りがちな人生の罠。 そんな心の闇を描いている。  カトリーヌ・スパークは相変わらずスタイル抜群でブロンド美人! そりゃ老人も歳を忘れて腹上死するわな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-19 23:25:16)(良:1票)
57.  輪舞(1964) 《ネタバレ》 
ジェーン・フォンダ、アンナ・カリーナ、カトリーヌ・スパークと、相変わらず監督のロジェ・ヴァディムは女優選びのセンスが良い。 美女を作品にかき集めることにかけてはセンスと力があるが、それらの女優を魅力的に映すことができるかに関しては、疑問符が付く。 この作品に限らず、ロジェ・ヴァディム監督は、美しき女優を美しく撮ることが下手である。 美しい女優を自らの作品に出演させる手腕を持っていればこそ、余計に残念だ。  内容は、何ら脈絡がなく、男女の出会いと情事をひたすら綴っていく。 ただワンパターンに男が下心丸出しで女を口説き、女は嫌々言いながら最後は身を委ねる。 そしてことが終わった後には、女は逆に男に対して愛を求めるのだが、男の方はことが終わった途端、さめてしまう。 そんな幾つかのお話を、数珠つなぎにして一本の映画にしただけの内容で、はっきり言って物足りない。  でもまぁ、出てきた女優の中では、ジェーン・フォンダが一番綺麗だったけどね。 本作の後、ロジェ・ヴァディム監督は、ジェーン・フォンダと結婚したわけで、そういう意味では悔しいけどね!
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-12-19 20:10:33)(良:1票)
58.  理想の女 《ネタバレ》 
ハッピーエンドながらも、なかなかスパイスが効いていてよい。 ウィンダミア夫妻は、互いに一つの大きな秘密を持ちながら、本当に愛している人と幸せに暮らすという終り方。 本当の幸せの裏には、大きな秘密があり、実はお互いの本当のところを知らなかったりもする。 幸せとは何か? 幸せとはどうあるべきか? 幸せを獲得する為にはどういう選択をすべきか? そして、男女がお互いを分かり合うことは可能なのか? いや、男女はお互いの全てを知る必要はないのではないか? 、、、と、色々考えさせてくれる。 ハッピーエンドでありながら、人生の皮肉さ、男女の何たるかを訴えてくる。 なかなかよく出来た作品でした・・・  と、言いながらも、ご都合主義的な綺麗過ぎる終わらせ方に、どこか不満を感じてしまう。 ということで7点。
[DVD(字幕)] 7点(2020-12-03 22:18:07)
59.  太陽が知っている 《ネタバレ》 
『太陽がいっぱい』『太陽はひとりぼっち』に続くアラン・ドロン太陽三部作の最終章(嘘)。  あれだけ若くてスタイルの良いブロンド娘が来たら、あっという間に手を出すのは至極当然な訳だが、殺人を犯した事によって主演二人の愛が深まるのは奥が深い。  しかし、あそこまで警察が鋭い捜査をしておきながら、家宅捜索で剥ぎ取った衣服を探さないのは不自然かな。 証拠の衣服が見つかれば、逮捕になるのは間違いないわけだし。  世俗とは隔絶された屋敷における束の間のバカンス、そして全編に漂う気怠い雰囲気はとても良いだけに、サスペンスの部分が弱いのが弱点かな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-01 22:14:14)
60.  嘆きのテレーズ 《ネタバレ》 
マルセル・カルネ監督と言えば『天井桟敷の人々』と本作『嘆きのテレーズ』が代表作ですが、私は本作により強い魅力を感じました。  後半のもっていきかたは、決してうまくはなく、むしろ顛末が分かってしまう時点で、面白味の観点で言えばかなりマイナスポイントです。  しかしながら、ゆすりの男が車に跳ねられ、息を引き取る間際に「てがみ、てがみ・・・」と繰り返すシーンは非常に心を打たれました。  ゆすりという卑怯なことをしながらも、お金を受け取ったからには、死の瀬戸際に立たされても、義理堅く手紙のことを何とか伝えようとする。 卑怯なゆすり男が、死ぬ間際にみせた誠意。 これには心打たれました。  ストーリー展開のうまさに関して言えば、ハリウッド映画などの娯楽性を重視する作品たちには劣りますが、観る者の心に訴えかけるラストと演出は、単なる娯楽作品にはない崇高なものを感じます。  しかし、シモーヌ・シニョレって、個人的にどうも好みに合いません。 顔が大きいのがネックです…
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-29 18:04:57)
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