1. ひまわり(1970)
《ネタバレ》 第二次大戦の欧州での主戦場・東部戦線を描いた映画として、ドイツ側から描いたものが「戦争のはらわた」、ロシア側から描いたものが「スターリングラード」、そしてイタリア側から描いたものが本作という事になるのでしょうか。主人公は徴兵を忌避する為に新妻と共謀して精神病を偽り→それがバレて最もキツイ前線に送り込まれ→行軍だけであえなくダウン→あまりの男前ぶりに一目惚れした現地のロシア少女に介抱され命を取り留め→そのまま結婚→戦後、情熱的な本妻に居場所を突き止められドロドロの三角関係に・・。 戦場の緊張感漲る前2作と比べると、何とも享楽的といおうか見事なまでのヘタレぶりw 「ヘタリア」だとか「次はイタリア抜きでやろうぜ」とか言われるのも御尤もって感じです。 ただし芸術的な感性は凄い。画面の1つ1つが絵画のように美しく、悲惨な東部戦線の描写も前2作より遥かに実際に近いイメージで尚且つ幻想的。映画としての美しさは他の2作の追随を許さないです。各民族にもそれぞれ一長一短があるのだな・・と思いました。まさに世界の放蕩没落貴族ですねイタリア。 [DVD(字幕)] 7点(2014-08-04 12:36:40) |
2. ココ・シャネル(2008)
《ネタバレ》 最初のショーがブーイングで最後のが大喝采なのは、門外漢の私には今一つピンときませんでした。フランス版「おしん」。シャネルNo.5ってウィンドウズ7みたいな意味かと思ってたら全然違うのですね。。丹念に描かれた第一次大戦前後の欧州の文化・風俗描写が良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-17 01:09:41) |
3. ウエスタン
《ネタバレ》 映像がとにかく凝ってて美しいです。長々と人間模様を描き、散々じらした挙句に勝負は一瞬にして決まる。この濃縮さ加減は好きです。しかしブロンソンの兄貴とフォンダの間に何があって、ああいう事になったのか一切描かれず不明のまま。しかしそれでいいのかも知れません。この映画は、1人の男の復讐劇はあくまで点景に過ぎず、古き時代のアメリカの「情景そのもの」をノスタルジーを込めて丹念に描写することに主眼があるようなので。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-16 11:44:20) |
4. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
《ネタバレ》 「続」と言っても俳優一緒なだけでストーリー関係なかったんですね・・。前作と全く異なるプロットであり、挑戦的な意欲は良。ただ今回は復讐劇のようなものは無く、ひたすら金を追い求める物語のためか、ラストにあのカッコイイ音楽が鳴ってもイマイチしっくり来ない。だからこそああいうとぼけたような楽器なのかな。「卑劣漢」にしても、あれで何人もの人間を残虐に殺してきたわけで、あまり「憎めない奴」とは思えない。そこそこ面白かったけど、このシリーズが本作で終了したのも頷ける感じ。 個人的には、前作で強烈だった弁髪の中国人ポーター、今回はアイルランドかユダヤ移民の楽団員に扮して(おそらく同一人物だと思う)また素晴しい演技を見せてくれたのに満足。何なんだこの俳優w [DVD(字幕)] 7点(2011-08-09 23:39:46) |
5. 荒野の用心棒
黒澤「用心棒」の無断翻案というのは聞いてましたが、ここまでモロパクとは思いませんでした。そういう点でかなりマイナス。何といっても先まで展開が読めてしまう。ただ最後の決闘のカッコよさは素晴しい。ライブでの予定されたアンコールのように、敵役が生き返ってこないのも潔くて新鮮でした。それにしても本作が創ったハードボイルド風の下地が無ければ、その後の幾多の思い出マフィア映画の名作も出てこなかったんじゃなかろうか。そう思うとつくづく当時の邦画の影響力はスゴイと思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-07 22:22:34) |
6. 夕陽のガンマン
マカロニウェスタンというと非情で残酷なイメージがあったのですが、今回初めて観て人情味のあるお話なのが意外でした。(それだけ現代の映画が荒んでいるのか。)しかし、これは面白いな。ラストの対決シーン、あまりにイイので何度も観返してしまいました。どっかり座って傍観を決め込むイーストウッドの表情が素敵。映像(特にオープニング)は今の目でも斬新だし、有名な音楽もやはりカッコイイ。しかし何と言っても主役の3人もさることながら、どうでもいい端役たちが無茶苦茶良い。冒頭のユダヤ商人、あっという間に倒される3人の用心棒、宿屋の支配人夫婦、情報屋の爺さん、弁髪の中国人ポーター・・・等々、こんな俳優どっから見つけてきたのか、皆さんとっても濃ゆ~くてイイ味出まくりw メインディッシュ前の前菜にも、珍味がぎゅうぎゅうに詰まっている感じで満足です。 [DVD(字幕)] 8点(2011-06-22 02:18:36) |
7. サスペリアPART2
《ネタバレ》 残虐描写に目を奪われがちですが、下の方も仰られてるように内容は本格推理小説風。有名な「黒い家」は、保険ネタを除いたらほぼコレの翻案(というかパク○)という気がします。「鏡ネタ」などアイデアが秀逸。最初の殺人が起こった部屋がそのまんま塗り込められてるのが個人的にツボでした。日本の狭い住宅事情じゃ有り得ん・・ [DVD(字幕)] 7点(2011-06-22 01:52:11) |
8. キングダム・オブ・ヘブン
《ネタバレ》 リドリースコット監督だけあって映像の迫力と壮麗さは安心印。ただ、お話の筋が・・結局は、主人公が責任から逃げた為に国が滅んでしまった話を、無理矢理英雄譚に仕立て上げましたって感じ。無理があります。戦争の発端となるバカ王子にしても、愚者は愚者なりに己の生き残りの為の知恵には長じているはずで、あんな自殺行為をするとは考えにくい。悪役に説得力の無い映画はイマイチです。ナターシャ・アトラスのエンディングテーマは良かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2009-01-12 19:40:42) |
9. 審判(1963)
夢を彷徨っているような雰囲気。巨大な迷宮のような裁判所のセットがツボでした。そんな中オーソン・ウェルズの怪演も見事。「裁判」なのに「判決」シーン無しに即「刑執行」ってどうなの?とも思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-11 07:55:54) |
10. オデッセイ<TVM>(1997)
ギリシャ神話の有名な叙事詩の再現。所々変更箇所はあるけど、比較的原典に忠実ではないかと思います。読んでて個人的にイメージしにくかったのが「スキュラとカリュブデスの岩」。スキュラは大王烏賊(SQUID)の語源ということで何となく想像できるけど、大渦を生み出すカリュブデスって何?…と思っていたので、この映画のイメージ像は何となく腑に落ちました。セイレーンが出て来ないのは残念。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-25 12:26:45) |
11. エイリアンズ(1980)
エイリアンシリ-ズとは無関係のイタリア製ホラー。(原題についてハリウッドと何かトラブルは無かったのか。) C級もいい所ですが低予算なりの工夫が感じられる所も。様々な思惑が絡んでストーリーが無茶苦茶になってしまった本家シリーズ後半より、ある意味シンプルでいいかも。 [映画館(字幕)] 6点(2005-06-12 00:44:16) |
12. ぼくは怖くない
《ネタバレ》 どこまでも続く青空。広大な麦畑。廃屋。子供達の秘密基地。こういうのはかなり好きです。あれだけ家族を愛する事を知る親父が誘拐犯…というのは何だか違和感ありましたが、ミラノの(つまり都会の)ゴロツキに純朴な村人がたぶらかされていた…という図式なんでしょう。最後に親父も以前の心を取り戻せて良かったという感じ。少年のピュアな勇気にも感動しましたが、ちょっと違う視点で、警察(公安?)はやはり頼りになるなぁというのも実感できます。特にこういう子供にとって警察はヒーローのようなものなんでしょうね。 音楽も「叙情的なスティーブライヒ」といった感のシンプルな音楽が、美しい情景にぴったりマッチしていてイイ。イタリアンニューウェーブとして注目されてるそうですね。 8点(2005-01-10 13:37:46) |
13. 女の都
《ネタバレ》 フェミニズムのパロディ映画。筋肉モリモリ女が奇声を上げてキンタマ蹴る練習をしてるのがコワかった・・・ 夢オチ映画ですが、脈絡無く変幻する話の展開とか、溢れんばかりのイメージ群とか、いかにも「夢」という感覚が心地良く素晴しいです。「81/2」冒頭シーンのノリで最後まで行ったという感じ。 実を言うと「夢」に安直な意味付けをするのはあまり好きではないんですが、この作品についてはあまり抵抗感は無かったです。この監督ならいかにも実際にこういう夢を見ていそうな感じ。 8点(2004-09-04 21:38:09) |
14. アザー・ファイナル
「世界最下位決定戦」なんて悪趣味か偽善の極みかと思ってましたが、全然違いました。製作者、選手達、関係者等の姿勢も素晴しく真摯。普段ほとんど見ることのないヒマラヤの仏教国とカリブの小国の文化・風習も大変興味深く見れました。こういう平和的な文化交流もサッカーの醍醐味の一つですね。(…そう思うとあの世界の祭典をエゴと贈賄で汚してしまった某国は改めて許せない。) 何気ない街角をサッカーボールが転がっていく等のスタイリッシュな映像も良。 滅多に見ることの無い映像・内容のため1点プラスです。 9点(2004-05-29 21:24:04)(良:1票) |
15. WATARIDORI
「ナショナルジオグラフィック・ザ・ムービー」って感じ? 普通では見ることの出来ない爽快な映像を大画面で観れる、これだけで良です。 ストーリー性が不要であるのは言うまでもありませんが、「どの鳥がどこまで行って戻ってきたか」がもう少し解り易い編集であったらなぁ…と思いました。 9点(2004-05-29 21:00:38) |
16. 海の上のピアニスト
《ネタバレ》 船から一歩踏み出す話が見たいクチですが…実話だから仕方がないのか。でも何故か雰囲気の気持ち良さは捨て難いものがあります。ジェリーロールモートンとの対決は、お笑いと紙一重のカッコ良さ。このシーン好きです。 6点(2004-04-25 13:25:14) |
17. 8 1/2
茫洋とした祝祭空間。やらなきゃいけないけどなかなか出来ない…というような気だるい焦燥感は何となく解かるものがあります。レポート締切り間際に見そうな夢? 個人的に、こちらは絢爛で色彩感覚溢れるオーケストラ(モノクロだけど)、「バートンフィンク」はシブいアヴァンジャズという感じ。 7点(2004-03-09 20:50:00) |
18. 薔薇の名前
1300年代のイタリアという滅多に見ることのない舞台。豪壮で陰鬱なゴシック~ロマネスク美術が素晴らしく、迷路のような大図書館探索シーンなどは圧巻。個人的には夢幻美という点で「ブレードランナー」と双璧をなす映画です。邦画も「八つ墓村」辺り、こういうスケールで撮れないものかなぁ… 9点(2003-12-30 13:31:39) |
19. オープン・ユア・アイズ
《ネタバレ》 雰囲気は割合好き。ただ、死人を蘇生させる技術とか人工的に夢を設定できるとか…現実であるはずの世界が一番「虚構」っぽくてオチはイマイチ釈然としませんでした。 6点(2003-12-07 09:59:48) |
20. ギャング・オブ・ニューヨーク
イタリア系ではなしにもう一世代前のアイリシュ系というのが新鮮だった。スコセッシ監督にしては普通にまともな大作として楽しめた。それにしても当時はろくな防具なしにあんな斧みたいので戦っていたんだろうか… 8点(2003-11-23 10:35:06) |