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パセリセージさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 519
性別 男性
自己紹介 60代のおっさん

好きな言葉

期待はあらゆる苦悩のもと(シェークスピア)

人間には不幸か、貧乏か、病気が必要だ。でないと人間はすぐに思いあがる(ツルゲーネフ)

座右の銘にするのはどっちだ

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1.  レッド・サン 《ネタバレ》 
まあ、監督から役者までそれなりの方々ですから、それなりの作品にはなりますが、それなりで治まっている感がヒシヒシと伝わって来ました。関係者の名誉のために一応言っておきますが、決して悪くは無いです。それで、このそれなり感は何が原因かというと、まずはキャラクターの設定が失敗です。ブロンソンは寡黙なアウトローに徹し切れていない。ドロンはニヒルな悪役には少しヤワ過ぎる見せ方。三船に至っては、あろうことか、あんた、女を部屋に入れて・・。と、どうも、どっちつかずな、皆さん同じようなキャラになっているのが一つ。そして、西部劇なのかロード・ムービーなのか冒険活劇なのか、これも中途半端な設定。いっその事、何処か一つの町での出来事にして、例えばトゥームストーンとか、だったら軸足の定まった渋い西部劇になっていたかも知れないですよ。氏素性も国籍も性格も違う三人の男たちがある日町にやって来て、悪と正義と意地と義理と人情が交錯した悲劇が起こり、生き残った主役のブロンソンだけが去っていく。こうした王道の西部劇にするべきだったな。いや、悪くは無いのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-12-07 19:56:19)
2.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
幕府がキリシタンを弾圧したのには当然に理由がある。一番の理由は西洋の侵略を恐れてのことだろう。当時のカトリック教会は異教徒の奴隷貿易を認めていた。彼らにとって信徒以外は人ではなかったのだ。多くの日本人が奴隷として連れ去られた記録もある。そのような宗教を日本で広められることに幕府が危機感を持つのは理解できないことではない。現在でも、イスラムに関係する紛争やテロが多発して宗教が純粋な信仰の問題だけでなくなっている。そう考えると、この映画で繰り広げられる悲劇は、決して日本側だけが引き起こしたのではないことが理解できる。しかし、少なくともこの映画の信徒らにとっては内なる信仰の問題であることには変わりがない。もう一つ。キチジローの弱さは、違う意味の強さに結びつく柔軟性につながっていることだ。信念や意地を捨てることが生き残るための方策であることを示している。生き延びたキチジローは勝者であるという側面も感じる。原作読後に感じた宗教の意義への問いかけと味わい深い余韻は鑑賞後に同じように感じた。
[DVD(字幕)] 10点(2019-01-10 21:46:49)
3.  ドクトル・ジバゴ(1965) 《ネタバレ》 
ロシアの大自然にロシア革命と舞台は壮大なのだが、主人公のユーリがどっちつかずで主体性が無く女々しい感じなのが不評の理由でしょうか。ラーラの旦那の革命家やロッド・スタイガー演じるヴィクトルなんかは男らしいですからね。ちなみに、私なんかは一部の方と同じで、非常に主人公の気持ちがわかります。さて、不倫はどういう理由があっても良くないでしょう。しかし、ユーリの行動が不倫であるかと問われたら、決してそうとは言えません。戦争に革命と振り回され、ラーラに何回か会ったのがほとんど偶然である点。つまり、避けようと思っても会ってしまう不可抗力そのもの。これは責められません。そして、常にトーニャの事が頭から離れません。自責の念に駆られ悩む姿は痛いほどです。自分を醜いと悟った人間は決して醜くはありません。寅さんが言ってました。と、言うわけでユーリの行動は不倫ではないのです。私も不倫はしていないという事になります。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2008-02-06 21:11:50)(笑:1票)
4.  海の上のピアニスト
ピアノは楽器の中でも特別な存在だ。習い事をするならピアノだし、音楽家でまず思い浮かぶのはピアニスト。我が家でもご多分に漏れず同じ事をやっている。ミステリアスな物語進行と美しい映像に音楽が加わり、引き込まれていったが、この展開で万人が納得する結末は難しいだろう。ジュゼッペ・トルナトーレはかなり悩んだに違いない。そして彼は5年間練りに練り、一つの素晴らしい結末を考え出した。映画の公開から5年も経過しているので、映像ではなく実演してもらおうと考えたのだろう。彼は演技者を指導し、実際に結末を演じてもらったのだ。そう、それが英国の海岸で発見された謎のピアノマンだったのだ。(たぶん違う。)
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-25 18:30:17)(笑:3票)
5.  道(1954) 《ネタバレ》 
前半はジェルソミーナの純粋さと悲劇的な立場に誰もが涙する。金で売られ、主人は暴力で拘束する。それでも、妻であることを感じた時の喜びの表情が切ない感動を与えてくれる。自分が必要とされていると感じたら、どんな人でも、やはり、生きがいに結びつく。そして最後は、ザンパノの、愛を感じることが遅すぎた後悔の涙に、胸が締め付けられる。自分が死に追いやった女性が、最愛の女だったと気づいたとき、男は浜辺で泣くしかないだろう。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2005-04-09 01:42:46)(良:1票)
6.  ライフ・イズ・ビューティフル
映画を構成する重要な要素にテーマがあります。この作品のテーマは、どんな状況下でも決して希望は失うな、と最後まで父親でいられるか、だと感じました。主役と監督の自己中心的演技と演出をどう感じるかで評価は別れるのでしょうが、息子を救うために父親を演じきった主人公の生き方には、感動しました。何もホロコーストを題材にしなくとも、と言うよりは、たとえホロコーストの状況でも、と言うべきでしょう。息子を助けるためなら何でもする父親の姿に、かっこ悪さや、わざとらしさはありません。父親の責任と愛情の美しさを感じました。
9点(2004-07-02 00:08:03)
7.  かくも長き不在
記憶の無い男と、彼を自分の記憶の中に何とか引き込もうとする妻。二人の心のすれ違いが静かに進んでいきます。男は妻に対する感情は無いに等しいが、妻は夫への感情が不在であった期間を超えて大きくなっている。かみ合わないじれったさ、受け入れてもらえない悲しさ、いつか必ずといった希望が、さり気無く描かれる戦争の傷跡や条件反射のように断片的によみがえる記憶により、重く心に響きます。記憶に縛られ、記憶を生きがいにするしかない人間の本質が悲しい。
8点(2004-06-02 20:05:20)(良:1票)
8.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
良い作品であればあるほど、後の作品に多くの影響を与えるもので、パクリもリメイクも影響の一形態と思ってます。むしろ、オリジナルの素晴らしさを引き立たせてくれるので、個人的には非難する理由がありません。対立する両陣営の欲にまみれた悪と主人公のクールなワルぶりの対比や、主人公のぼこぼこにヤラレル時と無敵の強さの対比が光ってます。殺される悪人達、助けられる親子、手に汗握る決闘、何事も無かったように去っていくニヒルな風来坊。娯楽作品としては一級品です。
7点(2004-04-26 18:16:28)
9.  映画に愛をこめて/アメリカの夜
トリュフォー監督の映画に対する想いがひしひしと伝わる名作です。長い撮影期間中、すべてが思いどおりにいくはずもなく、「撮り終えることだけを考える」ことがあったり、「何とか蘇らせたい」と思うことは、監督の正直な気持ちとして理解できます。また、作品の完成に向かって情熱を持って協力する出演者やスタッフなどの姿も感動を呼びます。私たちが、生活をし、仕事をする上でも、同じことが言えます。うまくいかず落ち込んだり、まわりの協力でうまく切り抜けたりもします。そして、何より重要なのは自分自身の前向きな熱い気持ちです。映画作りと人生はまさに同じ、猫が言うこと聞かないのも。
9点(2004-03-07 20:55:26)(良:1票)
10.  愛の嵐
ナチ、異常な愛、未来の見えない暗い世相、シャーロット・ランブリングの妖しい容姿とくれば、この雰囲気しかないでしょうね。不思議な魅力のすごい女優さんです。人間が持っている、異常なものに対するあこがれ、人間的ではない堕落した感覚が、一歩間違えるとこういうことになってしまうのかもしれません。意外と、日ごろ報道されている、恨みや喧嘩による普通の殺人事件でも、実情はこうした異常な行動の果ての結果だったりする事があるでは。うーん、まあ、あまり踏み込んで知りたいとは思わないけど。
7点(2004-01-28 00:59:46)
11.  ギャング・オブ・ニューヨーク
オスカーの作品賞は取ってほしかった。シカゴよりは上だと思います。スコセッシ監督まだ無冠ですね。欲を言えば、最後の盛り上がりに若干欠けるところがあったかなと感じましたが、圧倒的な迫力と映像美は見ごたえ十分でした。ニューヨークに対する思い入れも感じました。
9点(2004-01-21 23:38:53)
12.  ひまわり(1970)
反戦映画として見るだけではもったいない見方です。運命に翻ろうされ、傷つきながらも、必死に、しかも、したたかに生きぬいていく人間の悲しさと強さを表現している作品です。全編を通して、悲しみや怒りと同時に運命に立ち向かう強さと現実を受け入れるしたたかさは感じられるが、決してあきらめや失望は感じられない。ドラマとはいえ、こうした極限状態の人たちの言動に、今の我々が納得できない点はあるでしょうね。ただ、そういう点だけに目をうばわれるのもまた、もったいない見方かなと。
9点(2003-12-27 00:03:32)(良:3票)
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