1. エーゲ海の天使
戦いの中心から疎外された兵士達の安息の日記というか、かなりまったりとした映画。兵士達が現実の流れに対して結構無抵抗。苦悩するでもなく、幸福をつかむための努力が特にあるわけでもない、何とも不思議なテイストでした。 7点(2004-05-29 00:30:45) |
2. 息子の部屋
何度も何度も後ろを振り返って妄想してしまい、前に進めない。悲しみというよりも、自分が許せないというやり切れない気持ち。出口が無いように見える脳内の地獄も、自分が苦しんでいたことに対する他人の何てこと無いリアクションに「あれっ?」と一瞬思い、気が付いたら自然と抜け出ている。そんな、目をそむけたくなるくらいリアルな心理を描いた秀作でした。 7点(2004-05-23 00:36:11) |
3. アパートメント(1996)
これほど登場人物たちが自分本位ばかりなのも珍しい。しかも否定的でない。実に懐が深い。誤解、すれ違い、裏切りと人間ドラマを盛り上げる要素が満載。一つこの映画から学ぶとすれば、言いたいことは手紙ではなく直接会って言おう、ということ。 7点(2004-05-13 00:58:26) |
4. 青春群像
《ネタバレ》 大人の世界に飛び出そうとしつつも、なかなか思うようにいかなかったり、大人になることから逃げ出したり、揺れる若者の心がとても細やかで爽やかでリアル。ずっと主張も意思もなく流されて生きてきた男が一人旅立つシーンがたまらなくいい。 9点(2004-04-23 01:06:09) |
5. イングリッシュ・ペイシェント
情緒たっぷりのメロドラマ。戦争に対して突き放したスタンスを保ち、過去と現在を交えながら徹底して個人の話が展開する。戦争や政治に関する妙な大義名分をおくびにも出さず、個人の感情に焦点をしぼったところがとても良かった。 8点(2004-04-07 16:47:39) |
6. ラストエンペラー
何をするわけでもなく、したいことがあるわけでもなく、明るい未来も無い。セリフにも出てくる「観客のいない劇場」という言葉がぴったりの虚無感。贅を尽くしたスケールの大きさがさらに虚しさを引き立てる。他者の都合のためだけに生きさせられた一人の男の哀しい人生をじっくり味わえた。 9点(2004-04-07 12:03:34) |
7. 海の上のピアニスト
全く未来の無い内向的な話。音楽やそこから派生する雰囲気は確かにいいのですが、それだけ。終盤の展開もやや強引に感じられる。全体に言い訳がましい作品。 5点(2004-04-07 11:34:10) |
8. ベニスに死す
岩谷テンホー的ヒゲオヤジの、かなわぬ老いらくの恋。とにかく受け付けなかった。相手が美少年だろうと美少女だろうと構わないのですが、セリフも少なく、地味な行動と音楽と映像美で魅せる形は非常に苦痛でした。そもそも美の追求という哲学的な考えにピンと来なかった時点でこの映画には向いてなかった。 6点(2004-03-17 01:43:07) |
9. フェリーニのアマルコルド
じわっと良さがよみがえって来るような不思議な映画。笑えるシーンや見惚れる程の美しいシーンも満載。でも確たる主人公を宣言してない感じなので、他人の想い出アルバムを見せられているような変な感覚にも陥る。多分自分のために撮った映画ではあると思う。 9点(2004-03-17 01:25:06) |
10. ひまわり(1970)
前半の愛し合うシーンがどうもラテン系で直接的過ぎて、なじめなかった。その感じのまま後半に行ってしまったので、のりきれなかった感もある。しかしそれを差し引いてもアントニオの弱さと情けなさや、必死に強がるジョバンナの切なさはひしひしと伝わった。素直にいい映画でした。 9点(2004-03-12 18:50:13) |
11. 自転車泥棒
《ネタバレ》 見た後落ち込む、という予備知識を持って見ましたが、それほどではなかった。むしろ理不尽な社会に対する怒りや絶望をこんな昔から分かってくれてた人がいたんだ、と癒された。盗もうかやめようかを葛藤する終盤の演技が秀逸。 8点(2004-02-27 21:48:17) |
12. 道(1954)
名作と呼ばれる作品は、「馬鹿と素人は置いてくよ」っていう難解なものではという先入観を持ちながら見ました。結果、見事に裏切られました。これほど感情に響く映画は初めて。今まで見なかったのがもったいなかったと、ザンパノ並に後悔。あまりに哀しく、切な過ぎるがもう一度見たい。 10点(2004-02-21 03:10:04)(良:1票) |
13. ゴスフォード・パーク
ミステリー好きの人が期待して見たら、かなり裏切られます。群像劇は好きな方なのですが、これは登場人物も多いし関係もややこしい。きつかった。人に使われる側の本音と建前、使う側の貴族の滑稽さ、人間関係の機微などはこれでもかと言うほど見られました。 6点(2004-02-14 14:03:48) |
14. ノー・マンズ・ランド(2001)
戦争を皮肉ったブラックコメディかな、と途中で思ったのですが、どうも違う。戦争というものがそもそも下らないもので、それを淡々と観察するするように撮っているから妙に笑えたんだな、と納得。どうせならとことんコメディにした方が・・・という気もしましたが実際に戦場に行って来た人が作ったのなら、何も言えません。 8点(2004-02-12 21:13:51) |
15. 太陽がいっぱい
ヒロインの存在の無意味さ、アラン・ドロンの不必要な半裸、殺人までの段取りの悪さ。それらを差し置いても素晴らしい映画。トリックで驚かせるというよりは運命の皮肉や残酷さをしみじみ感じるタイプの作品だと思った。 8点(2004-02-10 20:23:53) |
16. ライフ・イズ・ビューティフル
素晴らしい作品。テーマは反戦ではなく、意思だと思う。戦争及び収容所を取り上げたのは、絶望的な状況というものを表現するための材料かなと解釈した。戦争が絡むからと言ってあまり大局的に考えずに、一人の男の生き様を描いた作品として素直に泣きたい。 10点(2004-02-03 02:18:03)(良:1票) |