1. 第9地区
《ネタバレ》 ドハマりしたわけではないが、比較的好みのテイストに仕上がっている。 ストーリー展開自体には、特別な謎や不可思議な秘密や恐ろしい衝撃があるわけではなくて、他のアクション作品やSF作品とそれほど差異はないように思えるが、良い意味での粗さや雑さが、他の作品とは異なる“新味”を産んでいる。 いい加減で凡庸な設定も多く見られるが、新人監督らしく勢いとブラックユーモアで突っ走ったら、なかなか悪くないものができたようだ。 新人監督に好き勝手にやらせたと思われる彼の親玉のピーター・ジャクソンの度量の広さも窺われる。 また、ラブストーリー、友情、親子愛なども含まれているようで、上手くカタチになっていないような気もした。 しかし、そのような部分に逆に惹かれた。 ハリウッドテイストに精錬されて型にハマッているわけではない部分が本作の魅力といえるのではないか。 計算しているとは思えないが、どこか作り物らしくないリアリティが高まる効果が生じたように思える。 せっかく“友情”のようなものを築きつつあるのに、「3年!地球時間でか?」と聞いて、仲間であるはずのエビちゃんをいきなりぶん殴る辺りは思い切った展開といえる。 そのような扱いをしたエビちゃんを最後は命を張って助けようとするのだから、何かを感じずにはいられない。 子エビちゃんが彼らの関係を繋ぐいい橋渡しになったとも思えないが、「息子のために頑張れ」というような趣旨の発言をしていたので、ある程度は子エビちゃんの影響も感じられる。 きちんと計算しているとは思えないが、ドキュメンタリータッチやインタビュー形式を採用しているので、実は意外と計算し尽くしているのかもしれない。 能力が高そうではない人の良さそうな普通のサラリーマンが主人公というのもあえて狙っているのだろう。 このような思い切りの良さも低予算・無名俳優・新人監督のなせる業だろう。 南アフリカのことも、アパルトヘイトのこともよく知らないので、政治的なメッセージも含まれているのかどうかはよく分からなかったが、鑑賞後にヨハネスブルグのことを調べたら、ある地域の治安の悪さはリアルで映画のままのようだ(映画の方がマシなのか)。 ネタも含まれていそうだが、強盗に遭う確率が150%(2回以上強盗に遭う確率が高い)、赤信号で停まってはいけないという暗黙のルールがあるらしい。 [映画館(字幕)] 8点(2010-04-13 21:57:04)(良:1票) |
2. ラブリーボーン
《ネタバレ》 素晴らしい作品だと思うが、同時につまらない作品でもある。ジャッジするのはかなりやっかいな作品だ。ただ、ピーター以外には作れないような作品に仕上がっており、独創性は評価したいところ。初見では上手く感じ取れなかったが、何回か見ることがあれば、評価は変わると思われる。 「事件の真相」「殺された少女が幽霊になり、家族にメッセージを送って犯人を暴く」「残された家族が犯人に復讐をする」といった視点からみてしまうと、はっきり言ってつまらない作品としか思えないだろう。本作はそういった視点をメインには描こうとしていない。大人の事情からかサスペンスタッチが前面に出ているテイストとなっているが、ピーターはそういった面はもっとカットしたかったのではないかと思えるほどだ。スタンリー・トゥッチが必要以上に頑張り過ぎてしまったのも誤算だったか。おかげでバランス感が悪くなった点は否定しがたい。 本作は「殺された少女が天国に行くまでの過程」及び「残された家族・関係者が再生していく姿」を描いた作品であると思われる。そういった視点から見てみると、本作の評価はがらりと変わると思う。ピーターにとっては、犯人の存在なんて本当はどうでもよかったのではないかと思われる仕上りだ。 殺された少女の少女らしい想いや、家族の苦しみや悲しみが、ストレートではないものの、時間を掛けてゆっくりと丁寧に描かれている。しかし、本来描きたい部分を何故か真正面から十分なヒカリを当てずに描こうとしており、豪華な俳優を起用しているのも逆に計算外だったか。各キャラクターを活かしきれていないと感じてしまうのは仕方がない。 面白いと感じられる点は、関係者それぞれが“愛”を見出して、スージーの死を受け入れていくところだ。スージーのボーイフレンドや妹は新たなパートナーを見つけて愛を感じたことで、スージーの死を受け入れることができたのではないか。また、娘の死という事態に上手く向き合っていくことができなかった父母も時間の経過とともに悲しみを癒して、それぞれの壊れかけた“愛”を再認識することで娘の死と向き合うことができるというまとめ方はなかなか感動的なところだ。喪失感・無力感から救われていく“希望”のような光が見えたような感じがした。しかし、つまらなさを否定しにくく、アプローチが監督の思惑とはズレていったようなところがあるので、賞賛しにくい映画ではある。 [映画館(字幕)] 6点(2010-02-09 23:03:10)(良:1票) |
3. 紀元前1万年
《ネタバレ》 テーマや設定は悪くはないが、あまりにも発想力、アイディアが欠如している。高額な制作費を掛けた割には、その費用に見合った内容には仕上がっていない。スケールの大きさではなく、もっとアイディアに金を掛けるべきだろう。金を掛ける部分が間違っているのではないか。 特に、主要メンバー2人が「瀕死の重傷を負った敵に背後から攻撃される」という同じような展開をみせられると、さすがに悲しくなる。 女性の方はあの描き方でも悪くはないが、男性の方はもっと派手に散らすべきだろう。 意味のある死に方を描けないようでは、質の高い作品とはいえない。 なんのために存在するのか分からないようなキャラクターが多すぎる。 また、通称“ゴッド”のあっけない最期と、ハリウッド的ハッピーエンドに至るラストが非常に不味い仕上がりとなっている。 “ゴッド”とのやり取りにはもう工夫必要だろう。あまりにもあっけなさ過ぎる。 例えば、“ゴッド”が奇術的なチカラを用いて、反乱を鎮めて、交渉を持ち掛けようとするが、そのイカサマトリックに主人公が気付いて、“ゴッド”の神格性を否定して倒すといった展開の方が面白いのではないか。 今では常識になっていることだが、当時では理解不能なことを利用して民衆を統治していたといったことを紹介することもできるだろう。 訳もなく交渉に賛同しておきながら、いきなり狂ったように槍を投げ付けるなど、あまりにも発想が貧困すぎる。 ハリウッド的ハッピーエンドもあまりにも強引過ぎて苦笑するしかない。 巫母が苦しむ姿が何度も出てきて、ウザイと思っていたが、まさかこんなことのために引っ張っているとは思わなかった。 強引に生き返らせるのではなく、サーベルタイガーかマナク(マンモス)が身代わりになるとか、ティクティクか主人公の父親が身代わりになるとかもっと膨らますことはできたはずだ。 そもそも、マナク(マンモス)を暴走させるだけで、反乱がほぼ成功するというのも、あまりにも敵側をナメ過ぎではないか。 実は、主人公の父親が生きていて、反乱の準備を着々と進めていた矢先といったような展開に持っていった方がよりスムーズだろう。 そして、息子のために、自分の身を犠牲にした方がストーリーとしては引き締まったはずだ。 今後はローランド・エメリッヒは監督に専念して、脚本は他に任せた方がいいだろう。 彼には作家性はないのではないか。 [映画館(字幕)] 4点(2008-05-05 14:37:40)(良:1票) |
4. キング・コング(2005)
《ネタバレ》 初日、深夜の渋谷での鑑賞だったが、観客が50人以下というかなりヤバ目の入りだった。アメリカでも多少苦戦していると聞いているが、「夢」への実現のためにこれほどの情熱を傾けられ、ジャクソン監督の私財を投じられて創られた本作が、後に続く者への希望となるように、収入面においても挽回していって欲しいと思う。 内容は、30年代オリジナルに存分なオマージュを捧げながら、70年代リメイクで本来描きたかったものを更に2、3歩進めたようなものを描き出した。 アクションに関してはもちろん文句のつけようがないが、コングとアンの関係を丁寧に描き出しているのが好印象だ(70年代リメイクはこの部分で完全な失敗を犯している)。 このため、アンのコングに対する気持ちに全く違和感がない。コングの孤独を知り、優しさを知り、その強さを知り、惹かれていく過程及び信頼関係が強固に築きあげられていく様を非常に丁寧に繊細に描いている。また、束の間のスケートデートなども微笑ましく(決して擬人的ではなく動物的なのもよい)、そして一緒に観た夕陽がとても印象的に用いられている。コングがエンパイアステートビルに登ったのは、アンと過ごす時間を誰にも邪魔されたくないという想いから登ったのではないかと思ったが、二人で観たあの夕陽をもう一度死ぬ前に一緒に観たかったという想いもあったからかもしれない。 それにしても、ブロディの描き方が中途半端な気がする気がする。愛する者に対するコングの一途で強い真っ直ぐな「愛」と、ブロディの気持ちは強いが、想いが伝いきれない煮え切らない「愛」の対比を訴えるべきではなかったか。それが現代の煮え切らない人々への強いメッセージとなるのではないか。 余談であるが、恐竜の走るスピードは、種類によるが、自転車並と言われているだけあって、人間の走るスピードより若干速い感じに描かれているのは科学的にみて合致しているように思われる(監督はリアルな恐竜を描くつもりはないらしいが)。 また、ナオミワッツが粉雪の舞うニューヨークで、あんな薄着でも大丈夫なのかという疑問をもつと思うが(映画での話であるが)、実際にもクソ寒い東京でのプレミア試写会でもコートも着ずに薄着でファンサービスに務めていたという話もあり、これもまた問題ないように思われる。 [映画館(字幕)] 9点(2005-12-18 19:21:53)(笑:1票) (良:1票) |
5. ヴェラ・ドレイク
《ネタバレ》 本作は2004年のアカデミー賞監督賞、主演女優賞、脚本賞にノミネートされた映画である。 確かに冒頭の数分を観ただけでも分かるマイクリーの素晴らしい演出に、イメルダ・スタウントンも迫真の素晴らしい演技をしていた。脇の役者も皆よい演技をしていた。 劇場では感動して泣いていた人も見られ、決して悪い映画ではないと思うが、あえて点数についてはちょっと低めにしたい。 個人的にマイクリーに対して深い思い入れはないのだが、彼の監督作「秘密と嘘」「人生は、時々晴れ」は点数云々とは別にして、本当に素晴らしい映画だと思った。 「家族」「夫婦」などをテーマにし、そのテーマを深く見つめた結果のいわゆる「落としどころ」という感じの‘告白’が観るものの胸を打つというのが彼の映画の特徴ではないだろうか。 この映画にも確かに落としどころはあるようにも見えるが、あまり心には響かない。というよりも響く前に終わってしまったというのが正直な感想である。 映画のポイントがピンぼけになっているとしか思えなかった。 ヴェラの行為は確かに人助けではあるが、脱法行為である。その彼女の長年の秘密は家族である息子、娘、夫でさえも知ることはなかった。その秘密を知ったときに、家族がヴェラに対する気持ちがどのように変化していくのかについてポイントをもっと絞った方が良かったのではないか。 夫や息子が物分かりが良すぎるのが問題だ。怒りや不信などがあってこそ、はじめてヴェラを本当に許せるようになれるのではないか。本作でも、もちろん夫は内面では怒り、息子も「恥だ」と母を蔑んだが、心の動きを描くに際して、比重や扱いが軽すぎやしないだろうか。 なぜヴェラがそのような行為をするのかという彼女の気持ちに対して、家族は真摯に向き合っていないのも本作に入り込めない理由になっている。 また、堕胎行為に対する是非、例えば法廷にて彼女が救った女性などを証人にたてて情状酌量などを訴えるということ、をあえてぼかした創りになっているが、これについて描くべきか否かは正直悩むところであるが、家族の心の変化にポイントをきちんと置いていないのでやや疑問かなと感じる。 彼女の行為に対して、どのように心を整理すればよいのかを‘家族’と同様に考えるためにも、堕胎の是非も描いてもよかった気がする。 この映画のセリフにあったように「白か黒か」で映画を観る人には向いていないと思う。 [映画館(字幕)] 4点(2005-08-06 23:26:06) |
6. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
東銀座の東劇にて観てきました。 インターミッション(城門を破るための秘密兵器「龍の頭」が出てきた辺りで一旦休憩)を含む 4時間超の旅。 しかし全く長さを感じさせない、むしろあっという間に終わったという感じだった。 エンドクレジット中「INTO THE WEST」を聴きながら、これだけ充実した旅ももう終わるのかと思うと、何か心に隙間ができたような想いを感じた。 個人的に感動したシーンはなんといっても、全員でホビット達に頭を下げるところだろう。 いくら感動しても滅多に涙を流さない自分ですら、自然と涙が頬を伝わった。 剣術もそれほど上手くもなく、矢も撃てるわけでもない、もちろん魔法なんて使えない、 そんななんの取り柄もない種族ホビットに頭を下げるのには理由がある。 それはどこの誰よりも彼らには勇気があり、平和を愛する心があり、友情があるからだろう。 この映画で一番伝えたかったのは、この三つを持つことではなかっただろうか。 それだけそれらは尊重されるべき尊いものと感じた。 そして、旅から帰還してフロドが眼を覚ましたときの皆の笑顔も忘れられない。 演技を感じさせない何かを成し遂げた顔。 ボロミア以外の旅の仲間が再結集したとき、非常にいい顔をしていたのが印象的だった。 戦いのシーンも非常に満足。 やっぱり死者の軍隊にはしびれるね。 海賊を襲うシーンや船から降りてミナス・ティリスの戦いにあっという間にケリをつけるシーン など鳥肌が立つ。 あれほど圧倒的な戦力でありながら誓言の約束通り魂を解放させるアラゴルン、そして黒門で皆に言葉を掛けるアラゴルン、エオウィンの傷を癒すアラゴルン、歌は微妙だったが「王」にふさわしい振るまいだった。 やはり、SEEと比較すると残念なことに劇場版はかなり必要なシーンがカットされてしまっていると言わざるを得ない。 これを観ないと旅は終わらないというのはまさにその通りだろう。 10点(2005-02-27 00:48:34) |
7. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
東銀座の東劇にて「旅の仲間」と「二つの塔」のそれぞれのSEE版を通して観てきました。 「劇場公開版」は自分のような原作を読んでいない者には特にファラミアの人物像についてかなり分かりづらい部分があったが、それがかなり解消され、それぞれのキャラクターの背景、内面が深く描かれていたと思う。 自分が特に気に入っているのはエント絡みのストーリー。 自分たちとは関係のない戦いだと高を括っていたら、知らぬ間に自分たちも被害にあって、その戦いに巻きこまれている。この世界の一員として何事に関しても傍観者であってはいけないということが強く感じられた。 また傍観者であってはいけないだけでなく、ファラミアのストーリーを見ていて、自分の利だけで動いてはいけないということも描かれていると思う。 父に認められたい、自分の国を救いたい、そんな自己のためだけでなく、フロドのように自分の命に代えても世界のために小さな身体を犠牲にしながら戦っている姿を見せることによって、自分が出来ることを世界全体を考えて動くべきということを伝えたかったのではないか。 そういった観点からみると、不死の力があるにもかかわらず、自分の命を賭してヘルム峡谷の戦いに参戦したエルフ軍には感動させられる。 また、アラゴルンを通して「決して諦めなければ必ず望みはある」ということも伝えたいのではないか。あのレゴラスや、セオデン王ですら諦めかけているにもかかわらず絶対に諦めない姿に「王としての資質」が感じられた。 何故、彼が諦めないのかはガンダルフが5日目の朝に援軍を連れてきてくれることを知っていたからではなく、個人的にはやはりアルウェンの存在があったからではないかと思ってしまう。 なんとなく不必要に思われるアルウェンとアラゴルンとのラブシーンだが、あのラブシーンによって彼の強さの理由のようなものを感じる。 そしてなんといってもゴラムの造形には驚かされる。 あの二面性は役者ではなくCGだからこそ可能だったとも考えられる。 現指輪所有者のフロドと元指輪所有者のゴラムには当事者でしか分からない想いが感じられる。 そんなゴラムを他人事とは思えないフロドと騙されているに違いないと考えるサムに多少亀裂が生じるも、自分の身を挺してナズグルから救うサムの姿やサムが語る「物語」によって二人の友情が修復され、強化されていく姿にも見応えがある。 9点(2005-02-19 23:57:33) |
8. ロード・オブ・ザ・リング - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
東銀座の東劇にて「旅の仲間」と「二つの塔」のそれぞれのSEE版を通して観てきました。 さすがに7時間超を通しで見るのはかなり疲れるけど、満足のいくいわゆる心地よい疲れでした。 「SEE版」と「劇場公開版」ではこんなこと言っては悪いけど雲泥の差があると思う。 劇場公開版は、自分のような原作を読んでいない者にはかなり分かりづらい部分があったが、SEE版ではそれが解消されており、かつそれぞれのキャラクターの内面等が深く感じられる作品になっている。 特にボロミアについては深く掘り下げられていると感じる。 彼には人間らしい優しさ、弱さ、強さ、誇りの高さが感じられた。 メリーとピピンに剣を指導したり、ふざけあう姿や、ガンダルフがバルログに地下に引きずり込まれ、皆が落胆しているときに、アラゴルンが「急ぐから早く立て」という言葉を聞いて、「少しは皆を休ませろ」というシーンには優しさを感じる。 そして、自分の国を立て直したいがために指輪の力に魅せられていく姿とその心を読まれていると感じて何も言えなくなっているガラドリエルとの対面シーンには心の弱さを感じる。 さらに、フロドに自分がしたことを悔いて、恥じて、それに報いるためにも必死にメリーやピピン達を助けようと剣を振るう姿には強さや誇りの高さを感じた。 逆にアラゴルンは、先祖の人間としての弱さを知っており、その弱さを克服している人間だから、やや人間的な面白みには欠ける。 ストーリーに関しては、このミッションがフロドにしか出来ないことを改めて感じた。 身体は小さくても勇敢でタフで、権力というものに興味がなく平和や静けさ、食べることを愛するホビットで特にフロドにしか出来ないことである。 そんなフロドが仲間を疑かったり、信じられなくなったり、仲間内で争いが起きることに耐えられなくなり、一人で旅をしよう決意するのも丁寧に描かれていた。 また、フロドと共に旅をするサムの決意が決してガンダルフに言われたから共に旅をするのではないことも感じられた。強い尊敬心や友情に支えられてのことだろう。 フロドやサムだけでなく、それぞれがそれぞれの使命があり、宿命があるとも感じられる。 9点(2005-02-19 23:41:25)(良:3票) |
9. ラスト サムライ
勝元がなんのために戦い、なんのために死んだかを考えるとこの映画の良さが分かる気がします。 サムライの生き様とは全ては君主のために生き、君主のために死ぬ。それこそが名誉であり、戦場で死ぬことは誇りである。まさに勝元こそラストサムライだった。 サムライ的精神はパーフェクトに描かれてはいるけど、あまりに美しく描きすぎてて、死ぬことが誇りとはいえ、ラストあたりの悲壮感が全く感じられないのはどうなのかなあ。 美しく描くのなら、勝元の死に際に詩を完成させて欲しかった。 やや硬い話にいくつかの笑いを入れて中和させていたのも良かった気がする。タップするトムとスローで殺陣を再現させるトムには笑ったなあ。 8点(2004-06-25 22:31:54) |
10. ピアノ・レッスン
映像は確かに驚くほど美しいものであったが、ストーリーは多くを語らないタイプの映画なので、ちょっとイマイチな印象を受ける。 自分の言葉であり、また命でもあるピアノと主人公の関係に対して二人の男性がどう絡んでいるのかがポイントでしょう、この辺を頭に入れて観ないと共感できるかどうかが違ってくると思われます。 サムニールは指を切り落としピアノとの決別を図る、カイテルは強引にピアノを船に乗せ、最後まで守ろうとする。 そしてハンターは指を失い、命であるピアノが海に落下した時に自分もそのまま海の藻屑と消えて、何も変わらない以前のままで死ぬかどうかの選択があった。しかし結果は言葉を練習しピアノも忘れないという新たな自分・生き方を選択するというストーリーは確かに感動できるものではあったんだが…ちょっと受けとめ方が難しい映画。 6点(2004-04-06 20:05:35) |