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1.  シベリア超特急
確かに戦争がこの映画を作らせたのだとしたら、それは悲劇ですね。
[地上波(字幕)] 3点(2005-08-03 20:39:27)(笑:4票) (良:1票)
2.  シベリア超特急2
あれ~?前作よりもずっと映画らしくなっているじゃん、と思っていたのも束の間、奴が現れた途端に何もかもがぶち壊しになる。まさしく究極の映画クラッシャー。とにかく物語全編に漂う腰砕け感が半端じゃない。「やめたー」って、こっちが観るのやめたくなってくるよ!(とか言いながらもどうしてもpart3が観たくなってしまったぞ、どうしてくれるんだ!水野晴郎)
[地上波(字幕)] 5点(2005-08-11 12:03:01)(笑:2票)
3.  市民ケーン 《ネタバレ》 
初めて観た時は「何がそんなに凄いねん!?」と関西人でもないのに関西弁で叫んでしまいましたが、何年か振りに見直してみると確かに凄いんです。冒頭の一面雪景色かと思ったら突如カメラがズームバックしてスノードームへと移り変わるオープニングから、全編に亘って繰り広げられる徹底したパンフォーカス撮影、少々やり過ぎなんじゃないかとさえ思える影を多用した照明配置と、このワンシーンを撮るだけでも相当時間掛かってるんだろうな~というスタッフの影の苦労が窺えます。ただ正直言って個人的にストーリー自体は面白くも何ともない…とまでは言いませんが、『アビエイター』のハワード・ヒューズ氏同様、アメリカの富豪のやることには付いていけません(一応こっちはフィクションですが)。この映画の実質上の主人公である記者トンプソンの「私にはケーンが哀れに感じる」という言葉には同感です。結局ケーンは数多くの大事なものを失い、その中でも"薔薇のつぼみ"は取り分け大きくて重要だったということでしょう。とりあえず富と名声さえ手に入れれば人生の"勝ち組"(この言葉大嫌い!)とかになれると思っている人々に是非観て頂きたいですな(笑)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2003-08-28 17:51:24)(良:2票)
4.  抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より
ロベール・ブレッソン監督の作品を初めて観ました、大好きな脱獄映画です。仏脱獄モノとしてはジャック・ベッケル監督の名作「穴」に引けを取らないんじゃないかと思いました(実際、製作年ではこちらの方が先だし)。とにかく物凄く淡々としているにも関わらず、全篇サスペンスフルに満ち溢れているのは凄い。ちょっと話が上手く運びすぎじゃない?なんて思っても、事実本当にあった話なのだから仕方がない。物語のほとんどを主人公のモノローグで語らせるという点も渋いです。
8点(2004-11-18 21:33:34)(良:2票)
5.  リリー 《ネタバレ》 
可愛いなあ、勿論リリーもだけど特にあの人形たちが。レイノルドでしたっけ?中でもあの狼の人形がお気に入りです。レスリー・キャロンは随分と若々しいなぁと思っていたけれど、空想シーンの中でのウェイトレス姿はかなり色っぽくてビックリ。あれだけ無垢で純粋な少女だったら誰でも守ってあげたくなるよ~と思いました。それからこれはどういうわけか、てっきり最初からリリーはポールが人形を操っていることを知っているものとばかり思っていたので最後の方がちょっと混乱してしまったのですが、それでも影からしか彼女を愛することができなかった人形使いのひたむきな姿に胸を打たれました。最後のダンスシーンはちょっとクドいけどあれがMGMミュージカルの醍醐味ですね。そういえばエイドリアン・ブロディ主演で「ダミー」という人形使いの映画がありましたが、あれはおそらくこの作品の影響を受けているのではないでしょうか。ちなみに僕はこの映画のビデオを図書館で見つけました。
8点(2005-01-06 22:14:49)(良:2票)
6.  木を植えた男
揺らめゆく自然の情景に、今まで自分が忘れかけていた何か大切なものを思い起こさせてくれるような気がする。戦争にも惑わされず、ただ黙々と木を植え続ける男の姿には胸を打たれる。羊飼いエルゼアール・ブッフィエの影に、5年半の歳月をかけて二万枚の原画をほぼ一人で描いて完成させたというフレデリック・バック監督自身の姿を照らし合わせずにはいられない。心洗われる一本。
9点(2004-10-31 19:25:44)(良:2票)
7.  オルフェ
何たるイマジネーション!ジャン・コクトーの映画を観たのは「美女と野獣」に引き続き二度目ですが、またもや度肝を抜かれました。映像の逆回転なんて今の時代から見れば子供騙しでしかないのでしょうが(それとも当時からそうだったのでしょうか?)、幻想的で詩情豊かなコクトーワールドの雰囲気がその技法をより洗練されたものへと生まれ変わらせています。監督本人が詩人というだけあって登場人物たちの会話が妙にまどろっこしく感じられる部分もあるのですが、映像だけでも一見…いや、二見三見する価値はあります。ブラボー!
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-17 11:29:35)(良:2票)
8.  浮き雲(1996)
この映画が製作された当時、フィンランドでは失業率が20%以上にも上り多くの人々が仕事を失ったという。フィンランドを愛するカウリスマキ監督にとっては、これは失業した人たちへの「めげずに頑張れ!」という応援のメッセージなのかもしれない・・・。最後に出てくる今は亡き俳優「マッティ・ペロンパーに捧ぐ」という文章も涙を誘う。
9点(2004-03-04 14:57:57)(良:2票)
9.  女相続人 《ネタバレ》 
いやー、これは素晴らしかったですね。主演のオリヴィア・デ・ハヴィランドとモンゴメリー・クリフト、そしてラルフ・リチャードソンの息の合った見事なアンサンブル。如何にも誠実そうな様子でデ・ハヴィランド演じる莫大な財産の相続人である娘に愛を告白する青年モンゴメリー・クリフト、それを財産狙いだと睨む娘の父親役でラルフ・リチャードソン。普通に考えれば世間知らずな娘とは対照的に、世の中の全てを知りつくしている父親の言っていることが最もなように感じるけど、彼もまた亡き妻の面影を娘に照らし合わせて生きているのでちょっと狭量な見方にも思えます。そんな確執が生まれる中で果たしてその結末は…。後半の思いがけない展開にはビックリ!デ・ハヴィランドのオスカー受賞にも納得。結局クリフトの真意は分からなかったけど、最後の無情な表情を浮かべて階段を上っていくハヴィランドの姿に、もはや昔の彼女には戻ることの出来ない運命の残酷さを感じました。作品自体はさすが映画作りのプロが手掛けているだけあって、カメラワークやアングルなど安定した作りを楽しめます。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-03-06 21:29:32)(良:2票)
10.  素晴らしい風船旅行 《ネタバレ》 
来たー!癒し系映画の真骨頂。近頃は心身共に疲れているので何か美しいものでも見て 気持ちをリフレッシュしなければ、ということでこの『素晴らしい風船旅行』を観てみました。いや~、本当に素晴らしい映画ですね。時にはゆったりと、また時にはダイナミックに動く俯瞰カメラの映像にはまさに脱帽。はっきり言って『WATARIDORI』よりも「一体どうやって撮ったんだ?」と思うシーンが満載。しかし気が付けばムニャムニャ…なんてことにもなりかねないから怖い。怖いと言えば一回目の着地の時になかなか気球から降りられなかったり、車の手放し(なんてものじゃない)運転や、小型の気球が爆発したかと思えば次のカットでは森が燃えていたりと、けっこうハラハラ・ドキドキの連続でもあったりする。そして極め付けはラストの決死のダイビング、ある意味息も付かせぬ展開とはこのこと。もしもこのサイトに美観評価なんていうものがあったら確実に満点でしょう、少なくとも鑑賞後の後味は絶対に8点以上。風に飛ばされた洋服が空中でヒラヒラと舞うシーンは、まるで陽気なゴーストが空の上を泳いでいるかのようで楽しく印象的でした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-08 09:04:58)(良:2票)
11.  地球の静止する日 《ネタバレ》 
この映画のビデオを探すのに約2年はかかりました、そしてとうとう見つけました。弥が上にも高まる期待を胸に、もしも面白くなかったらどうしようと杞憂していたのですが、そんな予想を遥かに上回る傑作でした。まず最初の印象は「恐ろしく知的なSF映画」です。表面上はいかにも昔のSF映画という感じで、今時あんなデザインの円盤やロボットは出てこないけど、物語が進んでいくと逆に今の見掛け倒しのSF映画が恥ずかしく思えてきます。物語は冒頭の世界各地の反応を映すシーンから緊張感が張り詰めています。世界中の電力を落とすって、そんなことしたらどう考えても被害莫大だろ!と思っていると病院や飛行機だけはそのままというのが実に巧みです。実際にこんなことは起こり得ないと分かっていても強烈なリアリティがあります。核への警鐘という重いテーマを掲げながらも、いつしか能面のような顔の宇宙人に感情移入し人間を憎むようにさえ仕向けてしまう演出はお見事。また主人公のボディガード的存在のロボット、"ゴート"のキャラクターが秀逸です。『禁断の惑星』のロビーにも負けない魅力を持ち、頭部から発射される怪光線は『宇宙戦争』に出てくる破壊光線を凌ぐ迫力があります。加えて恐怖を煽るテルミンの音楽も素晴らしい!時たまゴートの足の遅さに苛立ちを覚えますが、ほとんど無駄のない完璧な脚本だと思います。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-04-23 11:52:39)(良:2票)
12.  白い恐怖(1945)
いわゆるニューロティック映画というやつでしょうか。罪悪感と殺人の強迫観念に駆られ、記憶喪失に陥った男は果たして何者なのか?なぜこの男は白い物を見ると動揺するのか?という場面で流れる、テルミンの恐怖心を煽る不気味な音楽は効果抜群です。ひたむきに愛する男の無実を信じるヒロインに、情緒不安定ながらもそれに必死に応えようとする男。サスペンスに加えて、この二人のラブロマンスの要素がまたもや堪りません。シュールリアリズムの画家サルバドール・ダリを監修に迎えた悪夢のシーンもまた、この映画の中の大きな見せ場の一つでしょう。実際には20分以上もある大規模なシークエンスだったそうで、映像表現が難解すぎて使われなかったそうですがこれはかなり観てみたい気がします。他にも水槽にミルクを流し込んで撮影した牛乳のシーンや、わざわざ木製の巨大な手を作ってまで撮影した拳銃のシーンなど。とにかくあらゆる斬新な試みと、巧みなヒッチコック・マジックが融合した素晴らしい作品です。
8点(2004-05-01 12:44:00)(良:2票)
13.  キートンのセブン・チャンス 《ネタバレ》 
これ誕生日に観ました(笑)。別に取り計らったわけでもなく偶然そうなったのですが、おかげでもし自分が主人公と同じ境遇に置かれたら?と考えてしまいました(^^;。それにしても今の時代に観てもこれほど面白いサイレントってそうそう無いんじゃないでしょうか。女性を見つけるや否や手当たり次第に求婚しまくるキートンに笑い、牛の大群よりも怖い花嫁の大群にギョッとさせられる(これで花嫁恐怖症になった人は絶対いるハズ)。そして後半は何やら危なげなことを何なくこなしちゃっているし…。あの岩が作り物かどうか知らないけど、まともに直撃するシーンはさすがにヤバいだろと思った。そんな危険にもめげずに有刺鉄線を掻い潜り、愛する女性の元へと駆けて行く。もう随分前に観たので忘れてしまいましたが、リメイクの「プロポーズ」が面白くなかったのは(個人的に)おそらくこのスピード感が無かったからではないでしょうか。ラストは素直に良かったねって感じ。楽しい一時をありがとう、バスター!最高の誕生日プレゼントだよ。
9点(2004-11-14 19:51:51)(良:2票)
14.  驟雨 《ネタバレ》 
原節子が結婚について哲学している…。「晩のおかずは何だい?」「晩は未定です」これが夫婦の会話かい!まるで他人の家庭を除いているような余所余所しさがありますが(実際そうなんですが)、ある意味ではこの上なく平和的で安心感があります。胃袋を切り落とすとかいう話が始まってからは、こちらも胃を締め付けられる思いでしたが。それから「これだから日曜日は嫌いだ」という佐野周二の台詞には思わず納得してしまいます。自分も何故か日曜は切なくて遣る瀬無くて、一週間の内で一番嫌いです。人生は惰性的ですが、そんな中にも転がり込んで来る風船がある…。明日よ明日の風を吹け!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-06-04 12:40:49)(良:2票)
15.  我が道を往く 《ネタバレ》 
映画の中で最も尊敬できる人物は誰か?と訊かれたら、普通なら『アラバマ物語』のアティカス・フィンチや『スミス都へ行く』のジェファーソン・スミスなどが挙げられるのでしょうが、もしかしたら僕の場合はこの何の変哲もない神父のチャック・オマリーかもしれません。それだけ彼は道を行くたびに愛と希望を振りまいていそうな気がします。監督のレオ・マッケリーも『我輩はカモである』なんて捻くれた作品よりも、こういうあるがままの純粋なコメディの方が好き(ってまだ二本目だけど)。そしてこれは個人的に世界で最も優しいエンディングのある映画だと思います。やたらやかましい音でジャジャーン!となるではなく、あくまで穏やかにTHE ENDという文字が出て終わる。これ以上の終り方があるでしょうか?「言葉は往々にして味気ない」というオマリー神父の言う通り、この真の感動は文字では表せません!(と言うか文章を書く能力がないだけ…汗)。それにしても後半以降がやたら眠くなるのは、度々挿入される甘美なメロディが子守唄効果になっているからでしょうか。あと少数の方がレビューして下さればベストランキングにも載れるのに惜しい、何にせよこの時期にこの映画を観ることができたのは幸せでした。
8点(2004-12-24 15:23:48)(良:2票)
16.  ホンジークとマジェンカ 《ネタバレ》 
泣ける。愛する妖精のために悪魔になった旅人ホンジークと、愛する旅人のために人間になった妖精のマジェンカ。牧歌的で詩情豊かな音楽が心地良い幻想の世界へと誘ってくれる…。それにしてもホンジークって最初はどんなキャラクターなのかよく分かりませんでしたよ。全く喋らないし(これで小人のキャラクターが生きてくるわけだけど)、安々と盗賊の悪事に手を貸しちゃうし「もう二度と見たくない」なんて言って友達を追い払ったり。けっこう薄情な奴なのかとも思いましたが、改めて考えてみると冒頭で羊を狼から守ったシーンで既に彼の心の優しさは物語られていたのですね。そしてマジェンカ、お城に幽閉された時にホンジークに向けて歌を唄うシーンが特に感動的!今でも時々あのメロディを口ずさんでいます。黒小人の「奇跡でも起こらない限り、その姿は元に戻らない」というセリフ、すなわち"愛=奇跡"と使い古されたテーマにも関わらず物語は物凄くエモーショナルでロマンスに満ち溢れています。まさに愛の賛歌を呼ぶに相応しい、ホンジークとマジェンカに幸あれ!!
10点(2004-10-17 13:05:48)(良:2票)
17.  キートンの蒸気船 《ネタバレ》 
半端じゃないな~、バスター。やけに面白いと思ったら監督はチャップリンの助監督をやっていた人なんですね。序盤の帽子エピソードや、後半の刑務所騒動はホンの序の口。終盤の「デイ・アフター・トゥモロー」宜しく吹っ飛んでいく町並みは圧巻!ハリケーン・カトリーナもびっくり(不謹慎)何気に息子がどつかれると怒る、優しい父親も好き。ところで【どんぶり侍】様、私が観たバージョンには音楽が付いていましたが…(LDだったからかな?)
[DVD(字幕)] 8点(2006-04-19 21:11:54)(良:2票)
18.  山猫 《ネタバレ》 
冒頭からニーノ・ロータの荘厳な音楽に、何か只ならぬ物語の幕開けを予感させる。個人的にガリバルディについてはあまりよく知らなかったのですが、それでも政治的変化による社会混乱によって翻弄される一家の一大叙事詩ということで大いに楽しめました。行動力の強いシチリア貴族演じるアラン・ドロン、特に前半部分の眼帯を付けた彼の姿はまさにベスト・オブ・ドロンと呼ぶに相応しい凛々しさです。大人の味わいを感じさせるバート・ランカスターは、劇中の「シチリアが2500年の間植民地だったのは我々の責任であり、我々は疲れ果て力尽きたのだ」という台詞に彼の人間性が集約されているような気がします。又、後半部分の随所に広がる美術の数々はヴィスコンティならではの豪華絢爛ぶりで、無駄な字幕を読んでいて見過ごすのが勿体無いほどの美しさです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2004-11-11 21:19:45)(良:2票)
19.  霧の中の風景 《ネタバレ》 
映像詩、ドアの隙間から流れ込んでくる光でさえも美しい。まるで時が止まったかのように降り積もる雪を眺める人々、圧倒的映像表現!この映画には例え台詞が無くともストーリーを理解できるような気がします、寧ろ台詞は邪魔。中盤の展開はさすがに勘弁しろと思いましたが…、そこから物語もどんどん暗い世界へとのめり込んでいくような気がします。ヴーラが溜まった悲しみを吐き出すかのように泣くシーンではこちらも一緒に涙を流してしまう。空中に浮かぶ巨大な手のインパクト、けたたましいバイクの音でさえも流麗。ラストシーンは大木が二人を優しく包み込むかのようなパーフェクトショットでした。大大傑作。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-09 18:08:29)(良:2票)
20.   《ネタバレ》 
はっきり言って主人公はかなりの悪人です。無知な貧乏人から金を騙し取ったり、偽の抗生物質を売り付けて病人を死に至らしめたりと。ある意味では『自転車泥棒』で自転車を盗んだ奴等と同類です。金持ちからふんだくれば良いものを…、最後に仲間から言われる「自業自得だ」という言葉もまた然り。ただこれはそういうモラルを問う映画ではないし、そもそもあれで主人公に感情移入するなと言う方が無理というものです。彼を慕う若者の詐欺師に「この仕事では家族は邪魔になるだけだ」と言いながら、実は彼にも娘がいて、しかも事情で定期的にしか会えない。傑作『青春群像』にも似た登場人物の後悔と未練の気持ちがビシバシと伝わってきます。ラスト、どん底に突き落とされ蟻地獄から這い上がるかのようにもがく主人公の姿に、今からではもう人生をやり直すことができないという崖っぷちの心情が重なってようやくタイトルの意味が理解できました。自分はもう無理だからこそ、まだ希望のある若者に願いを託したかったのかもしれませんね。
[地上波(字幕)] 8点(2005-06-03 18:42:14)(良:2票)

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