3. いま、会いにゆきます
《ネタバレ》 ジャンルはファンタジーで、絶対にありえない話だし、オイオイそりゃないだろ…と思わず突っ込みたくなるシーンも多々ある。しかしそういった疑問が愚かしくなるくらい、張られた伏線の謎解きが爽快だった。勝手に片思いだと思い込んでいた二人が、実は両思いだったというくだり、そして「いま、会いにゆきます」の本当の意味が分かった時のさわやかな感動。最後まで見てはじめて分かる冒頭シーンの意味。あまりにも早すぎる自分の死期を知りながらも前向きに生きようとする澪(竹内結子)。涙を流しながらもこんなにスッキリ晴れ晴れとした気持ちになった映画は初めてだ。また、カメラワークは(テレビドラマ出身/映画初演出の監督にも関わらず)いかにも映画的で、ファンタジーらしいキレイな映像も良かった。音楽も(エンディングテーマを除いては)壮大でありながら心に響く繊細な調べが心地よかった。このような映画的な映画を劇場で見たのは久しぶりだ。しかもそれがテレビ界の人間によってであるからなんとも皮肉である。こういった優れた人材に触発されて、くだらない独りよがりの映画ばかり作っている本職の人たちにもそろそろ目を覚ましてもらいたいものだ。しかしなんといっても、一番驚いたのは、エンドロールが完全に終わって劇場が明るくなるまで誰ひとり立ち上がらなかったということだ。こんな経験をさせてくれただけでも「いま、会いにゆきます」を見た意義があるだろう。 10点(2004-12-25 22:48:56)(良:1票) |