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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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41.  アメイジング・スパイダーマン2 《ネタバレ》 
 愛しているのに恋人と別れて、その恋人がイギリス行くとか言いだして、久々に再会した友人はいきなり先天的な病で死ぬとか自分の血が欲しいとか言って、両親はなんで自分を残して死んだのか知りたくなって、自分のファンだった男がいきなりキレた存在になって、色々背負い込んで色々イヤになっちゃって、そんなん全部対応しきれませんがな、ってリアクション薄くなるピーターくん。  映画そのものも色々ゴチャゴチャ背負い込んだそのまま、観客が受け取るイメージもゴチャゴチャとそのまま。  そりゃ人生色々あって色々と抱え込んだりもしますけど、その感覚のまま映画ってカタチにすりゃいいってモンでもありません。   結果、どれもこれも中途半端。最後にピーターのハリーに対する感情は描かれませんし、エレクトロはただ破滅しただけの自業自得キャラとして済まされてしまいます。グウェンに関しては原作が原作なだけに彼女がヒロインな時点でいつかこの時が来るんだろうなって予感はありましたが、それをクライマックスに持ってくる事でそこだけが突出した、重い苦い後味の残る映画となって。   ニューヨークの街を3Dでぐるんぐるんと駆けめぐる映像は痛快で、スパイダーマンのお気楽な言動はコミカルで。  だけど盛り込まれたドラマはどれも暗く最終的に救われもせず、そんな終わり方かぁ・・・みたいな。最近のアメコミもので終わった後、気分良く劇場を後にできた作品ってなんかあったかいな?と。暗いドラマを背負わせる事自体は原作由来ではあるのですが、なんだかアメコミ娯楽作品は必要以上にドロドロと暗い映画ばっかりだなぁ、って印象。  もっと明るい、すぐ死ぬだの死んだだの言わないアメコミ映画が見たいわ。   ところで本編ラスト数カットがそのまま予告編に使われてたのはどういう事でしょう? 予告編で見慣れたカットの次にエンドロールが始まるなんて、斬新と言うかバカと言うか・・・
[映画館(字幕)] 6点(2014-04-29 21:40:45)(笑:1票) (良:2票)
42.  アナと雪の女王 《ネタバレ》 
 過大な期待を抱いた感じで、さすがにそれを上回るような事はなくて。前半の繊細さに比べると後半はフツーなデキという感じ。   仲の良かった幼い姉妹がまるで光と影のように相反する存在へと離され隔たれてゆく過程を描いた前半、表情や仕草や歌の細やかな表現によって、アナとエルサ、それぞれの心情が切なく響いてきます。  対して冒険物語となる後半は、さしてスケールがないわりには個々のキャラクターにもあまり作品独自の個性を与えられず、娯楽アニメ映画の定石を踏むような展開。前半にあれだけ個性を与えられたアナとエルサも、後半はエピソードを消化してゆくことに終始してまうような感じ。せっかくの「姉妹が呪縛から解放され本当の自由を獲得してゆく物語」が何やらごちゃついてしまって。  結局ピークは映画を見にいくたび予告編タイムに見せられた『Let It Go』のシーンだったかな。   最後まで見てその存在に疑問が生じるエピソードが幾つも。  「氷売りを生業とする人々の中で育ったクリストフがトロールの村でエルサの魔術によって意識を失った幼い頃のアナへの治療を目撃する」  ここにたっぷり詰まった情報が後の物語に何らかの作用をしているのかというと、これが微々たるものだったり。  アナが途中で殆ど動けなくなってしまう事で物語の進行にもブレーキがかかってしまう印象がありますし。   ただ、その表現力は本当に素晴らしいものがあって。  アナとエルサ、二人の主役の豊かな表情から、そこに通っている血を感じる事ができます。エルサはやっぱりケバくなってしまう前の方がいいですけど。  色彩溢れる世界から冷たい氷の世界へのメタモルフォーゼ、画面の隅々まで彩られた美しさ。  切ない物語の中で笑いで楽しませてくれるオラフも愛らしく。  表現はCGに変わっても、夢と伝統のディズニーアニメの世界を十分に堪能できる作品だと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2014-03-14 21:43:08)(良:2票)
43.  THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! 《ネタバレ》 
 ゲームは『1』『L4U』『2』と持ってますが、何しろ360信者なので『アイマス』はとうの昔にオワコン化してるわけです。バンナムがそれまで支えたユーザーを裏切った後の『アイマス』なんてどうなろうが知ったこっちゃありません。  なのでこの映画にもお金を払う気は一切ありませんでしたが、特典フィルムに釣られてつい。   で、感想ですが360信者にとってだけでなく『アイマス』自体マジでオワコン化してるんだなぁ、と思わせるような作品で。amazonでフィギュアが特価ばっかになってきてるとかいう現実もありますけどね、そもそも作品を送る側がもう終わらせちゃってる状態。   何しろレギュラーメンバーが春香以外、全員枯れちゃってるんですよ。茶飲み友達かってくらいになーんの葛藤もドラマも無く悟りきって仲良くまったり過ごしてるだけ。成長っていうか、もう全員黄昏迎えてるやん。   で、その代わりに馴染みの無い新規キャラのダンスチームにドラマを置いてるのですが、これがもうありきたりのドラマを延々と引っ張り続ける訳ですね。  「春香、さっさと会いに行け」と心の中でツッコミ入れてから45分、春香ウダウダ。ドラマ的にさっさと解決できるレベルのものを物語の核にしちゃってるんでとっても退屈な話。あくまで『アイマス』なので春香視点で描かなくちゃならないからダンスチーム側のドラマを大きくしきれませんし。   で、これが凡庸な解決を経て「よく動く」と評判のラストのライブシーンへと繋がるわけですが、よく動くのはカメラワークで、キャラのアニメートなんて結構雑。動かし過ぎでちゃんと表情が認識できませんし。  このライブシーンでキッチリ全員の表情見せないでどうすんだか。しかも一曲で終了。何やってんだか。   『アイマス』ってお気に入りのキャラを選んで育成するゲームじゃないですか。ファンの贔屓キャラを画面上で生かしてあげてこそでしょ。それがちゃんとできないような作品じゃ失格かな。これまでのキャラ全員をキチンと立たせてあげられる事ができなかったって点で、映画化は成功したとは思えません。   つーか『Wake Up,Girls!』の方がデキはダメダメだけどよっぽど面白くない?
[映画館(邦画)] 4点(2014-02-15 21:18:34)
44.  悪の法則 《ネタバレ》 
 その「黒幕」が統べるように「七つの大罪」の一つ一つをまとったような存在として頂点に君臨し、それはまるで悪魔の具象化とも言えます。その影響や誘惑を受けた者がそれぞれに様々な形で罪を犯し、それが各々の破滅に繋がってゆく、そしてそれを予言するかのような象徴的なセリフの数々。そう考えるとこの映画、どうも宗教的な説教クサいシロモノって感じがします。   この世に悪魔ってモノが存在するのならば、それはやはり人の中から生まれるものですよ、発端はごく小さな選択であっても誤りは誤りであって、過程にいかなる分岐を持とうとも、到達する結果は最初の誤りが導くものですよ、自らの欲望は他者の欲望と決して調和する事なく果てなき諍いを生むのですよ、まあ、そんな映画。   作品世界はなんていうかハリウッド版『もう誰も愛さない』、あるいはセリフいっぱい版北野映画、もしくは残虐版テレンス・マリック映画みたいなもんで。  描かれる事自体はごくごく単純で特に難解ってわけではなくて、元々あまり物語のディティールなんかは伝えようとしていないように思います。   ひたすら鬱々とした展開が続くのですが、その魔性とか残虐性とかに何らかの抗い難い魅力があるのか?というとそうでもなくて、ただひたすらにグロテスクな生(或いは性)と死とがあるばかりで、それはリドリー・スコットって人のカラーなのでしょうかねぇ。『ハンニバル』や『ブラックホーク・ダウン』『プロメテウス』にも通じる、即物的描写が生み出す露悪趣味っぷりに辟易。主人公が受け取ったDVDの中身のように「見せない事で伝える残虐さ」もありはしますが、ならばそのスタイルを通しても良かったんじゃないかと。せっかく長々とセリフで説明しているのですから、それをわざわざ具体的に映像でトレースするのは悪趣味としか思えません。   大量の象徴的&説明的セリフに埋められる事によって逆に映画に生まれる隙間、その密度の無さを「独特の空気感」とか表現するよりは(元々そこまでのセンスを最近のリドリーが持っている気はしないんですよね)、なんか退屈なモン見たって言っちゃった方が私としては自分に正直かな。   見終わって「これからの人生、決して長くはないのだからなるべくならもうこういう映画は見たくないなぁ」としみじみ思わせてくれる作品ではありました。
[映画館(字幕)] 4点(2013-11-18 23:04:47)(良:1票)
45.  R100 《ネタバレ》 
 最初の方、クラブのドアホンを押すシーン、一度立ち去ろうとした後に呼び止められ、ドアの前に戻るのですが、ここでイマジナリーラインを越えちゃってます。一瞬「あーあ」って思うのだけれども、ちょっと待った、そのドアは本来反対側からは撮れない構造になってるじゃん、って。つまりワザとそう撮ってる、その時点で「世界」は変わっているのかと。   そういえば、冒頭、冨永愛を捉えたフェティッシュな画、あの美醜の共存するゾクゾクする表情や仕草、あれは鏡の中にあったかも。つまりこれは松ちゃん版『鏡の国のアリス』なの?って。   卑猥だの下劣だのと忌むべきものとして扱われ、でもそれが無ければ滅ぶという厄介な「性欲」というモノに向き合った映画。その嗜好や妄想が完全に閉じたものであるならば、それはそんなに厄介ではないわけですが、現実には誰もがそれを潜ませて日常を送っているわけですね。そんな性を露わにしようとしているのかもしれません。あからさまな建て前として去勢されたような態度を振りかざす人々を笑うような。   だけど中盤以降、理解を拒絶し始めます。むしろこんな事、理解するな、と。  本編を映画内映画へと引きずりおろし、客観視し、考えながら見ていた人間に大した意味が無い事を解説し、観客の心理すら代弁してしまう事で、言い訳がましく逃げているようにも思えます。  でも、本当に逃げたんでしょうか?  松ちゃん自ら「卑怯な映画」と言っておりますが、本当の意味での卑怯な映画は色々とあって(一方的妄言・妄想オチみたいなヤツとか)、この映画はそれらに比べて同様に、更に卑怯なのか?というとそうじゃない気がするんですよね。   繰り広げられる不条理な事象にバランスを取るように繰り出される言い訳、その打ち消し合いを経てなお澱のように残るモノ、そこにこそこの映画の真価があるように感じます。勿論、何も残らない人もいるでしょうし、不快なモノしか残らない人も多いでしょうが、その不快さも含めての真価なのではないかなぁ、と。   今までの松ちゃんの映画はちょっと眉をしかめながら見てるようでしたが、今回はクローネンバーグやデヴィッド・フィンチャー的なニオイが感じられて不覚にもワクワクしてしまった、っていう。銀残し風の色調にレトロな美術、そこにボンデージファッション置いたら結構クるモノあるし(笑)(注:だけどSでもMでもないっす)
[映画館(邦画)] 8点(2013-10-08 16:09:55)(良:2票)
46.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 
 冒頭にモノローグで説明される設定世界に「んなアホな」と思うのですが、それを具体的にビジュアルとして提示し納得させてしまうセンス・オブ・ワンダーっぷりに惚れ惚れさせられました。もう、終始その映像に魅了されっぱなし。   ところが、お話はかなり雑です。  記憶喪失だったヒロインが都合よく記憶を取り戻すあたりでこれは怪しいと思い、主人公が行き当たりばったり状態で10年前のミスを繰り返す事に呆れ、最終的にタナボタ式突如怒涛のハッピーエンドに脱力。  しかも前置きで世界を変える事まで匂わせながら、結局物語はごくごくパーソナルな部分のみで完結してしまい、世界が変わる事については「それはまた別の話」とファンタジーの定型文を投げつけてくるあたり、せっかくの設定を台無しにしている感が。  大体、主人公は実は大した事をしていないんですよね。世界を変える?アイテムは叔母さんから継承されたものだし、最終的に話をハッピーエンドに持ち込むのは元同僚のボブの力で主人公はただ絶望してるだけでしたし。主人公ってば大量得点を許した中継ぎ投手程度の存在。  中盤以降の脚本の腰砕けっぷりにはガッカリ。   それでもその独特な美術世界をたっぷりと堪能できたのですから、あまり悪い点は付けられない感じで。モノトーンの荒れた世界から空を見上げるとそこにはまばゆい都市が広がっている、一発で独自の世界観をバーンと示してくる画を見るのは本当に気持ちがいいです。オフィスやダンスホールのビジュアルにもクラクラきちゃいました。   ところでトイレのシーン以前から思ったのですが、あの逆さに飲むカクテル、あれ、オシッコになったらやっぱり上に向って放出されていくんでしょうか? やっぱり下の世界に降り注ぐんですかねぇ。やーねー。
[映画館(字幕)] 7点(2013-09-13 23:03:58)(笑:1票)
47.  アフター・アース 《ネタバレ》 
 「本当に恐ろしいのは目に見えるものではなく、目に見えないもの、そして見えないこと。それによって他者との繋がりを断たれ、孤立した存在にされてしまうから」   それは『シックス・センス』から『ハプニング』まで、シャマラン映画に共通するモチーフ(すいません、『エアベンダー』だけは私の中で上手く消化できません)。  ならばこの映画は、とてもシャマランらしい作品と言えるかと。   この作品でのポイントは「殻」。宇宙船という殻から見知らぬ世界に放り出された少年が、殻に逃げたままそこから出られずに姉を死なせた過去に苛まされながら、自身の心の殻を破り父を救う。  その過程で頻出するシャマラン的エッセンス。危険な森を非力な人間が目標を目指して一人進む物語は『ヴィレッジ』、他者との繋がりが断たれ孤立してゆく恐ろしさを描いた点は『ハプニング』、行動や意識・無意識、更には周囲に存在する物事にも意味が存在するという点は『サイン』を思い起こさせます。   元々、シャマラン映画は、殻に閉じこもる、そして殻の外側に出る事による事態の変化を繰り返しています。孤立の恐怖と、そこからの解放、そしてその解放を促す存在についての物語。  『レディ・イン・ザ・ウォーター』は、孤立した存在を救う側からの視点の映画ですが、基本は同じ。   少年の命を脅かす凶暴な怪物アーサ、でも、たった一匹捉えられ、自らの殻から放り出された視力を持たない存在であるアーサは、つまり少年の心の象徴であったのではないでしょうか。見えないがゆえの狂気、それは陥った事態も置かれた環境も全く理解できず孤立したがゆえに恐怖に駆られがむしゃらに進んで自らを危機に陥れてしまう少年の姿に重なります。  地球の生命達も父が言うような危険な存在ではなく、孤立した少年に対して解放を促す存在だったように思えます。   完全にスミス親子のための企画のように見えながら、そこにシャマラン的記号が溢れ、これは思わぬ御馳走でした。  もっとも、毎回見ている間よりも見終わった後にあれこれと頭の中でこねくりまわす時間の方が楽しいという点で、シャマラン映画ってどうなのよ?って状態ではありますし、そもそもそういうシャマラニズム?そんなモンはどうでもいいであろう大多数の人にとって果たしてこの映画が純粋に楽しいものであるのかというと甚だ疑問であったりはするのですが・・・
[映画館(字幕)] 8点(2013-07-03 20:20:24)(良:2票)
48.  悪の教典 《ネタバレ》 
 大島優子の弁護をする訳じゃないですが(笑)、私にはこの映画、中身なんてなーんにも無しの単なるスプラッターホラーにしか見えませんでした。   映像的には面白いところがあります。電車の中でドアや手すりがずーっと奥まで重なって左右に揺れ動いてるとか、車の中で対話する二人をずっと雨が降る外から捉えてるとか。伊藤英明はいい人の表情のまま凶悪、って役を見事に演じてますし。   でも、登場する生徒達の大多数がドラマを与えられず単に数を重ねるための殺られ要員でしかなく、数少ないドラマを抱えた生徒達もそのドラマを結実させる事なくどんどん処分される状態、そこには抵抗や共闘のドラマも、理不尽な死に接した悲劇・無常感すらも無く、見世物としての血しぶきが飛び、数字としての死体が転がるばかり。東大を目指す秀才のあまりに類型的な描き方なんて悪意を持っているようにすら思えます。   この映画、人間的な魅力のある描写は唯一「凶悪な殺人犯がいい人を演じている時」だけ。他は皆、身勝手であったり病んでいるように映ります。その、負の土壌の混沌から神と悪魔とが生じ、粛清と浄化へと至るのですよ、みたいなメッセージがある・・・のかって言うと、そこまで深く描かれたモノなんて感じられず、単に人殺しエンターテイメントがやりたいだけ程度にしか映らないんですよねぇ。   明るい教師の実体が明らかにされてゆくシチュエーションは面白かったのですが、見終わって「人がいっぱい殺されました」以外の何も残らない映画で、それはそれでアリなんでしょうけど、でもこの設定ならもう少しやり様があったんではないの?と思ったりするのでした。
[映画館(邦画)] 5点(2012-11-22 14:32:32)(良:4票)
49.  アルゴ 《ネタバレ》 
シュレッダーで細かくバラバラにされた写真が子供達の手によって形を成してゆく「モンタージュ」、つまり映画的なる行為はイランの人々も行っていた訳で。決して世に出る事のない偽映画をネタに展開された人質救出作戦ですが、事件から22年の月日を経た後、ここにこうして実際の映画として結実したのですから、見事なオチが付きました、としか言い様がない訳で。映画はシリアスで緊迫した状態がずっと続く、にも関わらず笑えてしまったりワクワクしてしまったり。そしてそれをもたらすのは映画という要素。最初の懐かしいワーナーのタイトルから最後の『スター・ウォーズ』『スター・トレック』まで「映画」で飾られ、事実を元にした、政治的な背景を持つ映画であるにも関わらず、つまりこれは映画についての映画。演じる事を求められる人々、1つの形を成すために陰で動くスタッフ。クロスカッティングを駆使してスリルとサスペンスを盛り上げるそれはそれは濃密な2時間。存分に映画を堪能して満足している中、突然エンディングに流れる「声」にさーっと現実に引き戻され、なんであんな「声」を入れたのだろう、あれでは国家としてのアメリカに寄り過ぎていてメチャ醒めるわぁ、と思ったものの、それもまた「映画」なのだと。映画をネタに人を騙し人を救った事を描いた映画が、映画は政治の道具として機能する事もあると示唆しているようにも思えました。見終わった後も色々と考えを巡らせられる、よ~く味わえる映画です。
[映画館(字幕)] 8点(2012-11-01 07:16:59)(良:3票)
50.  アイアン・スカイ 《ネタバレ》 
八方美人的な作りで意外に冴えないのはナチという題材を主役に扱う事の難しさゆえか、はたまたクラウドファンディングのせいでしょうか。場面転換時にいちいちダラーっと月面基地の風景を捉える退屈なショットは『スター・ウォーズ』新エピソードのルーカスへの皮肉か(エピソード1~3のDVD、チャプターどんどん飛ばしてみて)、マジなのでしょうか。ウド・キアに口から血を流させて『処女の生血』の再現でござい、ってやってみせるのはいいとしても、どうも「その程度?」という歯痒い状態が続く感じの映画でした。これが一気に冴えを見せるのが真の悪であるアメリカがその力を発揮するシーンから。それまでのナチゆえの後ろめたさ、言い訳がましさと打って変わって、アメリカが悪としての破壊力を見せつける単純な気持ち良さ。でも、それって創作において昔はナチ、今はアメリカを悪として設定しておけば、とりあえず安心安全なんじゃない?みたいな安直な選択。それじゃ自ずと到達点は低いところに見えてくるでしょうて。今のアメリカだってナチと大差ないじゃん!って? エンドクレジット部分の凡庸なこと。志したのはその程度?
[映画館(字幕)] 5点(2012-10-18 16:03:03)
51.  あなたへ 《ネタバレ》 
伴侶の死によって止まる時間、それを動かそうとしたのはその亡き妻の遺志だった・・・『幸せへのキセキ」のマット・デイモンや『ファミリー・ツリー』のジョージ・クルーニーや『ソラニン』の宮﨑あおいはそこから自身が未来に向かって歩み出す訳ですが、健さんは亡妻が誘った旅を通して触れあった他人の時間を動かした訳です。それは長い時を生き重ねた経験と、そして限られた未来ゆえのちょっと切ない生の姿。そんな残された時間を生きる旅を、触れあう人々のドラマと美しい日本の風景で情感豊かに彩る作品・・・だったら良かったのですが、豪華ゲスト陣共演!みたいな作りになっていてガチャガチャと騒がしい映画になってしまっていて。大体、みんなそういう人に見えないんですよね。タレントさんそのもの。脚本通りにセリフを言わされてますという状態で、それはもうバラエティドラマの如き世界。健さんがこれまで刻んできたイメージに頼り切った映画で、健さんの既に出来上がっているキャラがあるからこそ、そういう雑なバラエティノリでも通用させられますよ、って感じがするんですよね。だけどそんなに健さんにばかり頼れるほどの余裕があるの?って。ゆっくり次代へ継がれ老いたる存在は退いてゆくって、この映画が描いた事なのに当の映画そのものはその事に無自覚っていうのは、一体どんな皮肉なのでしょう? それはまるで集まった高齢の観客まで道連れに朽ちていこうとしているようですらあります。
[映画館(邦画)] 5点(2012-09-29 19:19:16)
52.  アナザー Another(2011) 《ネタバレ》 
冒頭、全身麻酔の中で夢を見たってエピソードがあるのですが、多分、全身麻酔中に夢は見ないかと。私の経験だとそもそも時間の概念も消失しますから。「じゃあ今から麻酔しますね~。1~2回、息を大きく吸って」って言われた次の瞬間に「起きて下さ~い、手術終わりましたよ~」って。アレ、意識ごと断ち切られるような感じで夢見るスキなんて無いわ。さて、この物語、始めに結論ありきでそこから肉付けをしていったのだと思いますが、物語が進んでコトが見えてくると共にどんどんつまらなくなってゆく困った映画。もうこれは全て夢でした、現実なんてものは曖昧なもんです、くらいな状態に逃げちゃった方が良かったんじゃないってくらいに「それは無いわ」ってツッコミばかりになってしまう訳で。えーと、学校や周囲がそもそも呪いというか祟りというかを認識している訳じゃないですか。3年3組作らなければいいじゃん。3-3は欠番。つーか、幾らでも回避方法がありそうなんですが。人が何十人も死んでて、だけど状況は受け入れてるってところが不思議で仕方ないや。原作ではそこに理由付けしてあるのかもしれませんが。で、結局胸の痛みは何? 人形は何? そもそも「教室の死人」と死んだコとの関係は? ホラーとしての飾り付けをペタペタとしているけれど、そこに繋がりが存在していなくてひたすら雰囲気ばかり。そのワリに袴田センセやテープにペラペラと理屈を喋らせちゃうんですよね。日本のホラー色で『ファイナル・デスティネーション』作ってみました、みたいな映画でしたが(人体の脆さもよく似てます)、もう少し死んでいった者の悲しさの方を描いて欲しかったなぁ。死んだ人は返らないんだよ、もっと前を見ようよ、みたいな結論もイヤだし。ハンパな役割しか果たせなかったドールの雰囲気はとても良かったです。あそこだけステキ。
[映画館(邦画)] 4点(2012-08-15 20:12:46)
53.  アベンジャーズ(2012) 《ネタバレ》 
『マイティ・ソー』同様、途中まですげーツマンネーの。延々ゴタゴタと内輪もめで混乱してるだけ。話の起点からして内輪もめみたいなものだし。物語は主に『ソー』と『キャプテン・アメリカ』を見てないとワケ判らんって状態だし(『アイアンマン』と『ハルク』は見てなくてもそんなに判らないほどでもなく)。だけどその2作は元から大して面白くないのであんまり印象にも残ってないっていう。一方的に追い込まれてボロボロになってなんとか食い止めて、っていう状況を長々と描き過ぎるんで見ているこちらのテンションがまるっきり持続できないワケですわ。元々こちらがこれまでの映画全部ひっくるめて面白いと思ってるのは社長とスカヨハくらいのモンで、その二人が出てくるとこだけは面白いけど、出番はさすがにそんなに多くないって状態で。やっとこさここから逆転ですよーってところ(全体の7割くらい過ぎたあたり)からはさすがにウハー!CGアクションすげー!って状態で楽しめるんですけどね。そこが面白いのだからあとはガマンしてね、みたいな状態はツライなぁ。もう退屈しちゃってお尻痛かったわ。お祭り映画なんだからゴチャゴチャ文句言うのは野暮とか言われそうだけど、お祭りならお祭りらしく、全編ハデにコッテリと楽しませて欲しいですね。「これまでの予告編的映画を全て見ている事を前提に」ではなくて、せめて最初のうちに各ヒーローに活躍シーンを与えてキャラ紹介しておこうよ。これ一作では色々と伝わらなさ過ぎ。1本では情報をちゃんと伝える事のできないダラケ気味なモノを「これが映画だ」とか言われても、ああそうなんですか、としかねぇ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-08-14 13:39:42)(良:3票)
54.  アタック・ザ・ブロック 《ネタバレ》 
エドガー・ライト、ニック・フロストというキーワードで期待を抱いたのですが、なんだか思っていたものと全然違った感じで。「不良少年グループVSエイリアン」っていかにもバカバカしく楽しませてくれそうな題材が、何故かかなりマジな映画になっていて。となるとひっかかってしまう箇所が続出。何しろ冒頭で女性をナイフで脅して金品を巻き上げる少年路上強盗グループ、そいつらが主役な訳ですから感情移入なんて生まれようもありません。この連中が笑わせてくれる訳でもなく、さりとてドラマらしいドラマを見せてくれるでもなく、ただ彼らが住む団地を舞台にエイリアンと戦い、メンバーの何人かが犠牲になり、って、ありがちな低予算B級モンスターパニック映画として流れてゆく感じで。ストリートギャングものとしての側面が強く、低所得者のコミュニティ状態な団地に暮らす子供達が、生活環境の影響でまだ幼いうちから社会からはみ出してゆく姿が描かれる点がこの映画独自の個性。でも、そこに入り込むエイリアンが何らかの象徴として映画に正しいメッセージを刻みつけているのかというと甚だ疑問で。まるでエイリアンは抗争の中の一勢力みたい。主人公は捨身の行動によってエイリアンを退治する訳ですが、その彼を英雄として讃えるラストシーンに感じる違和感、彼は自らの行為に対する落とし前を付けただけで、称賛に値するだけの事をしたのだろうか?と。悪に手を染めた少年を最終的に肯定するところにまで持ってゆくだけの説得力は無かったように感じます。そういう背景を持った物語であるならば、もう少し痛みを感じられる映画であった方が良かったと思うんですけどねぇ。でなきゃ意外なシリアスさの中で死んでいった仲間達も浮かばれないでしょ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-07-10 23:02:15)(良:1票)
55.  愛と誠(2012) 《ネタバレ》 
原作の連載をリアルタイムに読んでいた身からしたら「これは『愛と誠』ではなくて、ただのパロディでしかない」と思いました。最初のうちは。今やアナクロなお笑いにしか映らないであろうものを、何故わざわざ引っ張り出してきてわざわざ笑ってみせるの?っていう憤りに近い感情が強かったのが事実です。その時代を生きてきた人間にとっては自分が生きた過去に対して笑って済ませてしまえるような割り切りなんてとても持てる訳はありませんしね。ところがこの映画、そのアナクロ感覚を笑ってみせているようでありながら、徐々にキッチリ真剣に原作の持つ純愛の世界へと誘ってゆく訳です。どう見てもヘンなキャラでしかなかった筈の面々が語る愛が、いつの間にか胸に迫る感情の発露へと昇華されてゆくのです。そう、岩清水の「早乙女君、君のためなら死ねる」のセリフがお笑いから真剣な純愛へと受け手の意識が変化してゆくように。これは何というか、上手いなぁ。前半のバカ映画ノリを全編通してしまっていたとしたらボロクソに貶していたかもしれませんが、バカに見えても熱かったんだよ、っていう過程をキッチリ見せてくれたのでとても良かったなぁ、と。これを嘲笑うだけの時代になっちゃってたとしたら、それはなんだかとても悲しい事で。妙に女優が生きている映画でしたが、特に武井咲演じる早乙女愛はお笑いキャラであってももう最初から自分の中の早乙女愛の具象化という感じで最初から最後までホワホワと見つめておりました。あのお姫様カットは自分くらいの世代には直撃しますな。1972年にあのステンレスの銀色ピカピカに黄色のラインな総武線はないわぁ、真っ黄色じゃなきゃダメだわぁ、と他が70年代の雰囲気の再現に腐心していただけにそこはなんか残念な感じでしたが、安易な『グラインドハウス』からの引用だけに止まらない時代性の表現も今の日本から失われつつある熱さを感じさせて心にたぎるものがありました。昔は良かったなんていう懐古主義ではなく、実は時代を越えて愛に真剣である事の普遍性を説いた名画だったと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2012-06-25 06:58:02)
56.  アメイジング・スパイダーマン 《ネタバレ》 
『(500)日のサマー』の監督ならば、もっともっと変わった匂いのする『スパイダーマン』が見られると思ったのですが、印象としてはちょっとジミになっただけの『スパイダーマン』。より深くドラマを描くっていう訳ではなくて、単にメリハリが減っただけという感じ。叔父さんが殺されてしまう原因を作ったのはピーターなのに、そこに対する反省とか後悔とかが抜けていて、怒りによる親父狩り状態、そしてそこから正義に目覚めてゆくっていう感じに見えるのはどうなんでしょう。自分に対する怒りがその行動に駆り立てているのですよ、って言うにしては自己を正当化する主張ばかりしてますしねぇ。街の人々の反応もごくごく薄いので(具体的に描かれるのは子供を救われたお父さんとその仲間たちくらい)ヒーローものとしての爽快感にも欠けますし。完全な焼き直しを回避するための細かな変更が、結果的にはウジウジとして地味な印象を与えてしまっている気がします。アクションシーンも前シリーズの時点で十分にCGを使いこなしている感じだったので、今回は更に進化した映像が見られるという程でもなくて。さっさと正体を知ってしまうグエンの存在は良かったですけど、エマとしては『ラブ・アゲイン』や『ヘルプ』の方が表情が多彩で良かったな。でも、前シリーズからして登場人物がごく狭い範囲の話で『スパイダーマン』世界っていうのはそういうものなんでしょうね。「責任が伴う」っていうメッセージも。その繰り返しって点でリセットするだけの意味はそんなに感じませんでした。それにしてもこれ見よがしに登場するVAIOとかAndroid携帯とかソニーミュージックの日本専用エンディング曲とかスパイダーマンはソニーの広告塔ですか? 『ミステリー・メン』のキャプテン・アメイジングや『タイバニ』を地で行ってるようなものね。
[映画館(字幕)] 5点(2012-06-25 06:30:49)(良:1票)
57.  アーティスト
ハリウッドメジャーが100周年を迎える今、アカデミー賞がこの映画を作品賞に選び、『ヒューゴの不思議な発明』をノミネートした事には大きな意味、意義があると思います。これは『ヒューゴ』と対を成すような、まるで2つで1つの作品として成立するような映画。『ヒューゴ』がハードウェアとしての映画を最新のCGと3Dを駆使して描いたのに対して、こちらはほぼ同じテーマをクラシカルなスタンダードサイズのモノクロ画面にサイレントで描いています。技法は真逆ではあるけれど、どちらも装置としての映画を語るために明らかにその装置そのものを意識した作りになっているという点がポイント。本来、装置なんてモノは脇役、目立たなければ目立たない程いいのだとは思いますが、今の時代にスタンダードだったりモノクロだったりすると、これが逆に目立つ訳ですね。本編の中ではトーキーというテクノロジーの進化が鍵になって物語が展開するのですが、観客に「映画から音が出るという事」を思いっきり意識させます。その不自然っぷりは主人公の心情を際立たせ、変化の過程の中で時代に取り残されていった者へのリスペクトを描く事で、映画への愛、映画の悦びを具象化していると思います。っていうか、やっぱり映画っていいよね。だってそんなに理屈っぽくならなくても、この映画を見ている間、とても幸せだったものね。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:21:46)(良:1票)
58.  アンフェア the answer 《ネタバレ》 
それまで全く『アンフェア』って見た事がなかったのですが、冒頭にこれまでのあらすじがあるから大丈夫、ってフレコミだったので・・・って、なんにも判りゃしません。この映画だけ見た限りでは、一体何が面白いんだかよく判らないってゆー。『羊たちの沈黙』の安直なコピーみたいな部分がキモって訳ではないですよねぇ。騙し騙され、って部分が重要なのかな? でも、それはワリと早くから読めます。アレが裏で、だけど更にアレが、みたいなところまで。予告編の「お前は馬鹿か」が本編で延々と出てこない時点で予告は実はネタバレでした、って状態ですしねぇ。いちいちネタばらしの巻き戻しと言うか回想みたいなのが出てくるあたりがこの作品のキモなのかもしれませんが、脚本が雑で、果たしてソレはアリなのか?というエピソードが連続しているために、そこで膝を叩いて納得、ってワケにはいきません。このタイトル、ミステリーサスペンスとしてちゃんと筋を通せてない脚本自体がアンフェアです、って意味なんですかねぇ。せめて篠原涼子をもう少しキレイに撮ってあげるべきだと思いました。延々しかめっ面な上にいちいち汚れてたんじゃねぇ。余談ですが劇中とても気になったのが「USB」。登場人物全員がUSBメモリの事をUSBって言ってたのですが、見ていて規格というかコネクタの形状ばかり頭に浮かんで。アレ、フツーにUSBって言いますかねぇ?
[映画館(邦画)] 2点(2012-03-07 23:45:53)
59.  アーサー・クリスマスの大冒険 《ネタバレ》 
前半の、クリスマスプレゼントを世界中の子供達に届ける、そのクリスマスカラーに溢れたアクションとスペクタクルの世界はワクワクしてとても楽しめました。だけど、たった一人、プレゼントを渡し損なった子供のために、主人公アーサーとおじいさん、一人のエルフが制限時間内にプレゼントを届けるという冒険物語になってから、なんかどんどんテンションが下がってしまい。出発時の旧型のソリに乗ってのワクワクは、おじいさんの迷惑っぷりを原因とする物語の空回りの繰り返しによってどんどんと冷めてしまい、後半は退屈し始める始末。あれ、せめておじいさん原因は1つ2つに止めておいて、もっと他の新たな難関が、ってカタチにすれば良かったのにね。孤島に墜落して物語が落ち込んでからの逆転展開もあまり盛り上がりになってない感じ(あの、周回軌道を描くソリを捉まえるって部分に説得力のある流れがないような)。四散したトナカイの回収は本編中でしてくれないと気になっちゃって仕方なかったですし。結局、サンタクロース一家の、一家族の物語として閉じている、そこに今一つ魅力が足りない気がしました。主人公と父母、お爺さん、兄。この限られたドラマを語る人々にあんまり魅かれる事がありませんでした。もう少し面白味のあるキャラが居て良かったと思うんですけどね。あと一人、家族が居るだけで良かったんじゃないかな。つーか、ヒロイン不在映画なワケで、それだけでなんかね・・・
[映画館(吹替)] 6点(2011-12-04 20:17:21)
60.  アントキノイノチ 《ネタバレ》 
人と繋がっていないと生きられないのに、人によって傷付けられ壊されてゆく心。その繊細な役どころを岡田将生が好演しています。物語は『おくりびと』『サンシャイン・クリーニング』とネタカブリしておりますが、現実に押し潰されそうになりながら人の死に触れる事で生への再生をさせてゆく姿がじんわりと染みてきます。ところが中盤以降、段々と雰囲気が怪しくなってしまい。母に捨てられた娘に母の手紙を無理矢理届けるエピソードの甘さ(あそこで手紙を受け取らせてしまう、更に手紙を読ませてしまう)に嫌な予感。続く柄本明の通俗的エピソードに更なる嫌な予感。そしてシリアスな役を演じるとどうも冴えない榮倉奈々を襲うあまりに陳腐な展開(世の創作物の中でこれまでに一体何百回何千回繰り返されてきたんでしょう?)に、感動させよう泣かせようと押し付けてくる意図とは逆にささーっと冷めまくり。いくらなんでも今時あれはないわ。岡田将生(と原田泰造)のせっかくの好演が、やたら陳腐な展開によって妙に安っぽいものとして閉じてしまったような感じがしました。立脚点はいいのに物語としては陳腐という致命的な欠点は原作時点で存在していたのかもしれませんが、もう少し他のテというのがあったように思えてなりません。ちょっと残念な作品でした。
[試写会(邦画)] 6点(2011-11-13 21:13:06)(良:1票)
080.32%
1220.87%
2421.67%
31234.89%
431912.67%
548419.23%
654521.65%
745518.08%
829811.84%
91827.23%
10391.55%

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