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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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41.  アウトロー(2012)
『ユージュアル・サスペクツ』のクリストファー・マッカリーが脚色したとは思えないほど平凡なお話には少なからずガッカリさせられたのですが、それでも作品を貫くハードボイルドな雰囲気には魅了されたし、スリルとユーモアのバランスも絶妙なものでした。かつて『誘拐犯』を撮ったマッカリーだけあってラストの銃撃戦には見応えがあったし、全体としては、程よくまとめられた低脂肪の娯楽映画と評価できます。。。 ただし、ジャック・リーチャー役をトム・クルーズが演じたことについては、やはり賛成できません。トムは相変わらず頑張っています。カースタントは自らこなし、銃の扱いや格闘技も一通りマスターしており、必要な努力はすべてしてきているのですが、それでもジャック・リーチャーに必要な“凄み”や“神秘性”というものが致命的に欠けているために、彼がしばしば口にする「俺を怒らせると死ぬぞ」という脅し文句が空回りしています。これは20年前のスティーブン・セガール、現在ならジェイソン・ステイサム辺りのゴリゴリの強面が演じるべき役柄だったように思います。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-06-30 02:00:42)
42.  ア・フュー・グッドメン 《ネタバレ》 
ブラッド・ピットやキアヌ・リーブスが世界的な人気を獲得する以前、ハリウッドはトム・クルーズのものでした。90年代前半のトムはまさに絶頂期にあり、派手な見せ場のない本作も、アメリカ国内だけで1億3千万ドル(2013年現在の貨幣価値に換算して2億5千万ドル)という規格外の大ヒットとなりました。さらには、アカデミー作品賞ノミネートというオマケまでくっつき、このジャンルの映画としてはかつてない大成功を収めた作品となったのです。。。 上記の通りビジネス面では大ホームランだった本作ですが、トム様の全盛期も今は昔、現在の目で見ると、それほど高評価を受けるような映画ではないというのが率直な印象です。頭は良いがグータラな男と、地味だが真面目一直線の女、そして家庭を愛する地味な男がチームを組んで巨悪に立ち向かうという構図は面白いものの、重要な場面は必ずと言っていいほどトム様の独壇場で、チーム戦としての面白さがまったく追求されていません。劇中、やたらと野球の話が出てくるのでチームワークを描いた映画になるのだろうと思っていたのですが、それは私の思い過ごしだったようです。さらには、彼らに対する悪人達のキャラ造形は非常に薄っぺら。ジャック・ニコルソンとキーファー・サザーランドというカリスマ的な俳優の力によって何とか帳尻は合っているものの、ここまで単純な悪人にはあまり面白みを感じませんでした。。。 本作の原作と脚本を書いたのは、後に『ソーシャル・ネットワーク』を手がけるアーロン・ソーキンです。ソーキン印の勢いある会話劇としてはよく出来ているのですが、証拠を追いかけながら真実に達するという法廷ものの醍醐味はほとんど追求されていません。事実や論理の積み重ねなどはなく、相手の手落ちを誘導する法廷での舌戦のみで話が進んでいき、知的興奮を求めると少なからず裏切られます。ジェセップ大佐が若造の仕掛けた罠にまんまと引っかかって罪を白状するクライマックスなんて、あまりに単純すぎて白けてしまいました。。。 とまぁ悪口を多く書きましたが、スタッフも役者も一流の映画なので、2時間はきっちり楽しめる娯楽作には仕上がっています。全盛期のトム・クルーズは本当にキラキラで、彼を見ているだけでもテンション上がるし。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-12 02:05:00)
43.  アイアンクラッド
ジョン王といえば、英国史上でもぶっちぎりのバカとして名を残す人物。そんなジョン王がマグナカルタを覆すために北欧人の傭兵を雇い、自分に楯突いた諸侯を殺して回るという事件が発生。その王に対抗するは、十字軍への従軍経験を持つ騎士を筆頭とした7人の戦士達。なぜ7人なのか?それは黒澤明が決めたから。戦局は南イングランド制圧の拠点となるロチェスター城へと絞られ、7人の戦士が1,000人の傭兵に立ち向かうという熱い構図が用意されます。タイトルの『アイアンクラッド』とは鉄壁の防御のことであり、主人公達が籠城するロチェスター城の守りを意味していると思われます。同時に、アイアンクラッドには【破ることのできない規律】という意味もあり、こちらはマグナカルタや宗教上の掟のことを指していると思われます。。。 この映画、アクション映画としてはなかなか手堅くまとめられています。リドリー・スコットの『キングダム・オブ・ヘブン』を意識したと思われる戦闘シーンは予算以上の迫力を見せているし、過剰なほどの残酷描写も映画の雰囲気に合っています。クライマックスに向けてどんどん盛り上がっていくというペース配分もよく、娯楽策としては十分に楽しめる内容となっているのです。。。 ただし問題もあります。まず、戦闘シーンでは寄りの画が多すぎる上にカットも割りすぎで、見ていてストレスを感じました。また、主人公の扱いが非常に悪く、肝心な場面に限って気絶しているという扱いはいただけませんでした。「よし、やってやるぞ!」とフルアーマーで敵の大軍相手に討って出るも、ロクな見せ場もなくすぐにボコられるという無様な展開などは必要だったでしょうか?さらには、愛のない結婚生活を送る城主の妻と、禁欲の誓いを立てた主人公との禁断の愛にも感動的なものがなく、このサブプロットは丸ごと不要だったと思います。。。 もうひとつの大問題は、英国史についての知識がないと何が何だかわからないということです。ジョン王とは一体何者なのか、マグナカルタとは一体何なのかという知識が最低限必要だし、ノルマン・コンクエストを知らなければ、なぜフランス人やデンマーク人がイギリスの内乱に干渉してきているのかも分かりません。英国人にとっては常識であっても外国人にとってはよくわからない部分が丁寧に説明されていないため、予習が必要な映画となっています。
[DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 01:02:57)
44.  アタック・ザ・ブロック
エドガー・ライトとニック・フロストの製作チームと言えば、ジャンル映画に並々ならぬ愛情を注ぎ、パロディという体裁を取りながらもジャンルの王道をきっちり捉えた良作を多く生み出している安心のブランド。『遊星からの物体X』を連想させるイントロにはじまり、50年代風の着ぐるみモンスターが暴れ回る本作も、やはりジャンル愛に満ちています。映画は相変わらずの完成度の高さで、序盤から無駄な場面は一切ありません。ノンストップアクションながら早すぎず遅すぎずの絶妙なテンポを終始維持できているし、合間に挟まれる少年たちの友情物語には過不足がありません。さらには、オールドファッションな題材に躊躇のない暴力描写を付加することで現代的な活劇へと映画全体を昇華させており、一時期のピクサー社をも連想させる程の安定した仕事ぶりには毎度惚れ惚れさせられます。。。 以上、客観的な完成度の高さは認めるのですが、私個人としては、それほど感じるもののない映画でした。私の思うところは【あにやん】さんのレビューの通りで、主人公の少年たちに感情移入ができなかった点が大きな問題。誰もが自分を投影できる普通の少年少女が主人公であってこそジュブナイルSFは成り立つようであり、少年ギャングという特殊な人種ではうまくドラマに入り込めないのです。特にマズイと感じたのが序盤の恐喝場面で、夜遅くまで仕事をしていた若いナースから財布を奪う連中に、どうやって感情移入すればいいのでしょうか。この手の侵略SFにおいては、犯罪者や厄介者がまず侵略者の餌食となり、その展開に観客が溜飲を下げるというのがお決まりのパターン。良くて『ドーン・オブ・ザ・デッド』のCJ。彼らは侵略者に襲われこそしても、英雄になるタイプではないのです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2012-12-26 17:12:45)
45.  アポロ18
古くは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』、最近では『パラノーマル・アクティビティ』がとった手法をSFに応用した作品なのですが、本作の映像はかなり洗練されています。フィルムの切れ目や損傷を入れるという工夫によって記録映像としてのルックスを完璧に作り上げており、本当に月面で撮られたかのような仕上がりとなっているのです。プロデューサーを務めたのは『ナイトウォッチ』や『ウォンテッド』で異様なまでの映像センスを披露したティムール・ベクマンベトフ、彼の手腕は疑似ドキュメンタリーでも冴え渡っています。誰だがよくわからない俳優さん達の演技も上々であり、映画としては水準以上に仕上がっていると感じました。。。 ただしこの映画、基礎となるアイデアがあまりに薄いことがボトルネックとなっています。どこかの映画で見たような古臭いワンアイデアで押し切った内容であり、SFらしい知的な驚きが皆無なのです。せいぜい30分程度にしかならないアイデアを無理矢理長編化したために話の密度は薄く、中盤ではかなり退屈させられました。技術的にはレベルの高い映画だけに、もう一捻りが欲しいところでした。
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-21 18:02:55)
46.  unknown アンノウン(2006) 《ネタバレ》 
ハリウッドが得意とするソリッド・シチュエーション・スリラーの中でも、アイデアだけを取り出せば史上最高とも言える作品。「自分以外の誰が敵で誰が味方なのかが分からない」という定番のシチュエーションにさらに捻りを加え、「自分が被害者側なのか犯人側なのかすら分からない」という突拍子もない設定には恐れ入りました。監督はよくぞこんなアイデアを思いついたものです。。。 ただし、そんなインパクトある設定と比較すると、肝心の内容は今一つであると感じました。舞台に散りばめられたヒントをつなぎ合せて真相に辿り着くというのがこの手の映画の定石だと思うのですが、一方で本作は登場人物達に記憶が蘇ることで自然に謎が解消されていくという生温い進行となっており、知的な駆け引きを期待すると裏切られます。また、「自分以外の4人のうち、一体誰と組むべきか?」という心理戦にも魅力がないし、「自分は善人なのか?悪人なのか?」と自身の人間性と向かい合うドラマとしても、話がうまく広げられていません。優秀な俳優を多く揃えながらもこれを活かせておらず、設定に頼り切った内容となってしまったことは残念で仕方ありませんでした。。。 それでも、85分というコンパクトな作品としては充分に面白い映画ではあると思います。ラストにはきちんとサプライズも仕込まれており、水準を超えるサスペンス映画であることは確かです。
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-09 01:18:04)(良:1票)
47.  アーティスト
サイレント映画を観るのは久しぶりだったので、開始後数分間はかなりの違和感を覚えました。セリフがないというのはこんなにも不思議な感覚なんだなぁとあらためて感じ、逆説的にではありますが、トーキーとは革命的な発明だったということを思い知らされました。オスカー受賞により本作はサイレント映画を見たことのない観客の目にも触れることとなったはずですが、そうした観客が本作をどう感じたのかが気になるところです。。。 監督はサイレント映画を徹底的に研究したというだけあって、本作はサイレント映画の醍醐味をきっちりと味わわせる内容となっています。陳腐な物語にオーバーアクト、そして良い人だけが出てくる良い話、これぞ古典の味わいです。こうしたサイレントでしか成立しえない物語を作り上げ、その魅力を現代の観客に思い出させたという点において、本作はその企画意図をまっとうする完成度に達していると評価できます。ただし、問題もあります。ペピーが大スター・ジョージに対して抱いていた憧れが、どの時点で恋心に転化したのかが明確に描写されていないために、ラブストーリーとしては筋の通らない話となっています。また、落ち目になってからのジョージが後ろ向き過ぎてイラっとする点も引っかかりました。優しい運転手に賢い愛犬、そして苦しい中で最大の援助を与えてくれるペピー、これだけの人々に支えられながら、依然として過去にしがみつく主人公には感情移入しがたいものがありました。要するに、ドラマとしての完成度は高くないのです。本作が成功したのはあくまで”器”の完成度の高さであって、”中身”に魂は宿っていませんでした。。。 作品賞受賞の本作を筆頭に『ヒューゴの不思議な発明』『マリリン/7日間の恋』『マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙』と、今回のアカデミー賞には懐古的な傾向が目立ちました。古き良き時代を懐かしむ空気というのは、現代の世相が良くないことの裏返し。内容の賛否はともかくとして若い感覚に溢れた作品(『ノーカントリー』『スラムドッグ・ミリオネア』『ハート・ロッカー』)が賞レースを賑わせていた数年前と比較すると、やや寂しい傾向であると感じます。
[DVD(字幕)] 6点(2012-10-07 01:48:10)(良:1票)
48.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 
人種問題をテーマとした映画は多くありますが、いずれの作品も「差別は最低の人間のすること。みんなで仲良く暮らせる社会を目指しましょう」という結論ありきの物語で、時にうんざりさせられます。もちろん差別はよくないことなのですが、時に挑戦的なメッセージを投げかける芸術という世界にあって、判を押したように優等生の意見ばかりでは物足りなく感じます。そんな不満を持っている中で鑑賞したのが本作でした。公開時から非常に評価が高く、IMDBでは「タクシー・ドライバー」や「時計じかけのオレンジ」と肩を並べる程のスコアを獲得している作品だけに、他の映画にはない独自の切り口があるのではないかという期待がありました。。。そんな心境での鑑賞でしたが、期待は半分満足し、半分は裏切られたという印象です。この映画の特異な点は差別する側を主人公とし、その主張を大きく扱っていること。差別主義者デレクは有色人種に対する憎悪を喚き散らします。「黒人はいつまで被害者面するつもりなのか?」「社会を乱す元凶である不法入国者に税金で援助を与えるとは何事か?」。客観的に聞いてその主張にはある程度の説得力があり、アメリカ社会が直面している現実のある一面を言い当てているように思います。もしかしたら、口には出さないだけで多くの白人が腹の中では考えていることなのかもしれません。それを主人公にズバっと言わせてしまった点で、本作は価値があると思います。しかし、その後の処理には不満が残りました。家庭内で暴力を振るうは、有色人種の経営するスーパーを襲撃はのやりたい放題。「こんな主張をする奴はこの通りの最低野郎です」と言わんばかりの演出で、結局いつもの人種映画に戻ってしまうのです。主人公が改心する後半のドラマも面白かったのですが、社会派作品としてはあまりに月並みな展開で物足りなさが残りました。前半における主人公の主張を真剣に突き詰めれば意義のある内容になったのに、それをあっさり放棄して安全・安直な方向へと映画の舵を切ってしまったわけです。どうやら、人種問題の渦中にいるアメリカ人監督には超えられない壁があるようです。その点、アメリカ社会の外にいるヨーロッパ人監督が撮った「マンダレイ」などは人種問題の核心を突いていて、社会問題に対する考察という点で本作よりも意義がありました。
[DVD(吹替)] 6点(2011-01-14 21:37:47)
49.  荒鷲の要塞
こういう映画を見ると、映画の技術というものは確実に進化しているのだなと実感させられます。主人公には弾が当たらないのにドイツ兵はバタバタと死ぬ、ドイツ兵はバカみたいに主人公の罠に引っ掛り続ける等、この時代の映画の見せ方は現在のアクション映画とは比較にならないほど稚拙だと言えます。また脚本の練り方も現在の水準からすればつっこみが非常に浅く、味方の中に3人も二重スパイがいながら主人公達や観客が翻弄されるという展開がない(彼らを巧く使えば前半の山場になったはずなのに)、いち早く潜入に気付いたゲシュタポ隊長をすぐに殺してしまう(彼を好敵手にすれば盛り上がったはずなのに)、救出したカーナビー将軍は一言もしゃべらず主人公達のうしろにくっついてるだけで存在感ゼロ(あのチームではただひとりの異色な存在だったんだから、彼にも見せ場を与えれば話の幅がもっと広がったのに)、スパイいぶり出し工作という最高のアイデアがセリフだけで説明される(話の展開とともに少しずつ全容が明らかになれば最高に面白かったはずなのに)等、おいしくなりそうなところを相当素通りしています。とにかく主人公達が圧倒的に強く、彼らの計画が式次第通りに進んでいくだけなんですね。相当困難なミッションをやってるわけですから、一筋縄ではいかない展開の方がおもしろいのに。警戒厳重な拠点に潜入しながら、周りが敵に囲まれているという緊張感もないし。そんなわけで現在の水準と冷静に比較すればレベルの高い作品とは到底言えませんが、だからと言って現在では評価に値しない作品だというわけでもありません。年代ものの映画特有の雰囲気とでも言いますか、現在では到底出せない絶妙な空気を映画全体が放っているのです。困難なミッションを与えられた主人公達が超人的な活躍をして当然のように成功を収めて帰還する。戦争ファンタジーとも言えるこのような話をお笑いにすることなく真っ当な映画として成立させるのは、現在ではちょっと無理だと思います。この時代の映画だからこそこのような設定でも素直に成立しているのであり、古風な脚本、レトロな撮影、往年の俳優の存在感など映画全体が放つ昔ながらの空気に馴染むと、「今だったらこう作ってるのにな」なんてことを考えるのは野暮。そういった意味では十分に評価すべき作品であると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2006-11-07 23:44:45)(良:1票)
50.  アンダーワールド/エボリューション
前作と本作を見た感想は、面白くなりそうな駒を揃えているのに、いまいち不発なのはなぜだろうということです。ブレイドやマトリックスの露骨な後発作品ではあるものの、ヴァンパイア族とライカン族の抗争という新機軸を持ってきた前作にはバカバカしくもはじけた映画になることを期待していたのに、どうにも不発。予算が拡大した続編も前作と作品の質は同等で、いまいち盛り上がりに欠ける印象です。レン・ワイズマンという人物はプロデューサー向きの人物であって監督には不向きなような気がします。このシリーズ、面白くなりそうな駒は揃ってるんですよ。ヴァンパイアとライカンというふたつの種族を登場させることで、ヴァンパイア単品で勝負している他の作品よりもアクションやキャラクターのバリエーションは確実に広がっています。さらに続編の本作は「最強の始祖vs新世代の混血」という燃える構図を準備しており、そこにヴァンパイアの特殊部隊なんかも絡んできて良い意味でマンガ的。撮影は美しいし、出演者も良くハマってるし、アクションやSFXも頑張ってるので普通にやってれば間違いなく面白くなりそうな映画なんです。これだけの駒を揃えてきたレン・ワイズマンはなかなかのもんだと思います。ただし肝心の演出が平板で、作品全体でのテンションの配分が全然できていません。見せ場の連続なのにどこか退屈。ラストのバトルなんて、最強のヴァンパイア&ライカンにパワーアップしたヒロインがぶつかるという最高に盛り上がるべきパートなのに、「さぁいよいよ決戦だ!」みたいな高揚感のないまま戦いがはじまり、それぞれの力量を十分に見せ切らないまま終わります。マンガ的な話なのにマンガ的な盛り上げをしないのがいけないんだと思います。その辺の描き方が抜群にうまいドラゴンボールでも見て勉強すべきですね。決戦をはじめる時の盛り上げやヒーローを登場させるタイミング、各キャラの力量の描き分けなど、ハリウッド映画ができないことを日本のマンガは余裕でやってますから。
[DVD(吹替)] 6点(2006-10-29 21:02:51)(良:2票)
51.  アンダーカバー・ブラザー
雰囲気と言い、笑いと言い、「オースティン・パワーズ」の完コピでしたね。とはいえ、こちらの設定の方が数倍バカバカしいわけですけど。マイク・マイヤーズの屈折したナルシシズムが気になった「オースティン・パワーズ」に対して、こちらは素直に楽しめたし。とにかくアンダーカバー・ブラザーのキャラ設定が最高すぎです。アフロにやたらこだわるってのがいいですね。銃で撃たれても、真っ先に気にするのは命よりもアフロだし。そういう細かい部分で笑かしてくれるだなんて、やっぱりいいコメディーなんですよ。ただ残念だったのは、DVDに吹き替えがついてなかったこと。吹き替えがあればこの3倍は笑えたと思います。
6点(2004-09-04 01:46:35)
52.  アフター・アース
2000年代には年に何本もの主演作が公開されていたものの、2008年の『ハンコック』以降はそのペースがピタリと止まり、2010年代には『MIB3』にしか出演していないウィル・スミス。見た目は衰えていないので『バッド・ボーイズ』のような役柄もまだまだ行けそうな気もするのですが、当の本人は、40歳を過ぎた実年齢にパブリックイメージをどう合わせていくかで迷っているのだろうと思います。そんな中、自分自身で物語を考え、監督も自身で選任したという本作には、スミスが目指そうとしている方向性が込められているように思います。。。 人類を救った英雄にして軍隊の最高司令官という設定は相変わらずなのですが、その全盛期の活躍は数秒の映像で示されるのみであり、登場場面のほとんどは動けない状態。スミスは、表情とセリフのみでの演技を自らに課しています。従前のパブリックイメージを下地として利用し、人類の英雄という荒唐無稽な設定を観客にうまく飲み込ませているという点は戦略的にうまいと感じたし、その一方で、首から上だけでの演技も、必要なレベルには達していたと思います。本作においては、「若さ」から「成熟」へのパブリックイメージの転換と、高い演技力のアピールという二つのことを同時に行っているのですが、その目的はきちんと達成されているという点では感心させられました。こういうことが出来てこそのスター俳優なのですが、トム・クルーズやブラッド・ピットが10年ほど苦しんでいるこのステップを、たった1作でサラっと流してしまったという辺りに、ウィル・スミスの非凡さが現れていると思います。。。 その犠牲となったのが、息子のジェイデンでした。ウィル・スミスの映画としては悪くない出来だったものの、ジェイデン・スミスの映画としては最悪。彼は終始生意気なガキンチョで、好感を抱かれる要素が皆無なのです。ジェイデン演じるキタイの成長譚という体裁をとっているものの、その点はあまり深堀りされていません。冒頭、キタイは個人としての能力は高いが協調性に欠けるという問題が提示されます。ならば、これはキタイが協調性を獲得する物語とすべきなのですが、結局は個の力を強くすることで危機を乗り切るという、理解に苦しむ内容となっているのです。イヤな奴がイヤな奴のままラストを迎える、これでは観客から嫌われて当然ですね。これを演じたジェイデンには、お気の毒と言うしかありません。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2014-02-24 00:44:22)(良:2票)
53.  愛、アムール
老老介護という平凡なテーマに、『アムール』という直球勝負のタイトルですが、そこはミヒャエル・ハネケ作品だけあって、一筋縄ではいきません。この映画、ラスト近くのワンシーンを除いては極めて単調。映画全体の密度が非常に薄く、かなりの眠気に襲われます。もちろんこれは監督の意図したところであり、テーマを煮詰めれば当然にこの構成に行き着くわけですが、この意図された退屈さをどう感じるかが、本作の評価の分かれ目だと思います。私は、この単調さに音を上げてしまったクチなので、本作への評価は低めになってしまいましたが、少なくとも一度は見る価値のある映画だと思います。テーマの掘り下げ方は素晴らしいし、俳優達の鬼気迫る演技や、ダリウス・コンジによる撮影など、見るべきものは非常に多いので。
[DVD(字幕)] 5点(2013-10-18 00:33:56)
54.  悪魔を見た 《ネタバレ》 
熱い民族性がそうさせるのか、韓国映画のバイオレンスとにかく凄い。当該分野において、韓国映画界は間違いなく世界最先端を行っています。本作も例に漏れず、躊躇のない暴力描写、剥き出しとなった感情の衝突、質の高い演技と、見所の多い作品に仕上がっています。最狂の猟奇殺人犯vs殺人スキルを身につけたエリート諜報員という燃える図式も百点満点であり、少なくとも前半部分は最高クラスのバイオレンス映画としてまとまっていました。。。 ただし、後半になると物語は大脱線をしてしまいます。猟奇殺人仲間が登場したり、猟奇殺人犯が諜報員を出し抜く行動を取り始めたりと、やりすぎ感が出てしまうのです。特に、プロの諜報員であるスヒョンが、殺人鬼とは言えスキルは素人のギョンチョルに圧倒されるという展開は非常にマズく、スヒョンが無能に見えてしまうという結果をもたらしています。このテーマであれば、表面的な主導権を握っているのは終始スヒョンであり、彼は圧倒的な殺人スキルによってギョンチョルを極限まで痛めつけるが、歪みきったギョンチョルの心までは征服することができず、ついに禁断の手段に訴えてしまうという筋書きにした方が良かったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2013-03-07 00:28:02)(良:2票)
55.  アイアン・スカイ
監督を務めたティモ・ヴオレンソラとは初めて聞く名前なのですが、母国フィンランドでは有名なクリエイターのようであり、本作は決してパッと出の新人監督が勢いで作り上げた映画ではありません。確かに、兵器やコスチュームデザインのかっこよさや、戦闘シーンの迫力や面白さには圧倒的なものがありました。スペースナチスがマンハッタンを攻撃する場面では大作映画並の手慣れた演出が楽しめるし、ナチスが誇る最強兵器「神々の黄昏号」の起動シーンにはSF映画に必要な仰々しさが宿っていました。10億円に満たない製作費でここまでのものを作り上げたことは驚異的であり、戦闘シーンについては満点に近い評価を与えられると思います。。。 ただし問題は、人間が映っている場面が驚くほど面白くないということです。感情移入可能な魅力的なキャラクターが一人も見当たらないし、かといって強烈な毒を放つ個性的な悪も登場しません。さらには、風刺映画を標榜しながらも、その切り口に新鮮さがなかった点も大きなマイナスでした。ナチスやアメリカを悪とするなんて、あまりにありきたりで面白くありませんよ。道化を装って社会のタブーを突っつくことこそがこの手の作品の使命だと思うのですが、その点、本作は危険なネタを扱っていないためにまったく見応えがありません。『チーム・アメリカ:ワールド・ポリス』くらい突き抜けないと、この手の映画は面白くないのです。
[DVD(吹替)] 5点(2013-03-03 00:45:45)(良:3票)
56.  あしたのジョー(2010) 《ネタバレ》 
「山P主演で『あしたのジョー』実写化」の一報を聞いた時には「日本映画界による原作レイプは来るところまで来たか」と思ったのですが、完成した作品は意外にも誠実な仕上がりとなっています。時代やキャラクターの再現度は非常に高く、なかなか見応えがあるのです。同時期に製作されたヤマトが「アレンジ」という便利な言葉を振り回してマンガ映画特有の難しい点や面倒な点から逃げ回っていたのに対し、本作はそんな困難に真正面から挑み、ある一定の成果を挙げてみせたという点で、非常に評価できます。懸案事項だった山Pにしても、彼は体も演技もきちっと作り込んできており、「アイドルだから」という甘えが一切ありません。おいしいところはすべて伊勢谷友介に譲っている点でも好感度が高く、彼の起用は失敗ではなかったと思います。ただし「映画として面白かったか?」と聞かれると、答えは「NO」です。ボリュームのある原作を2時間強に納めたため展開が駆け足にならざるをえず、ひとつひとつのエピソードが消化しきれていません。その一方で力石が死んだ後のエピローグが無駄に長く、本作は時間配分の面で完全に失敗しています。また、試合の場面では劇画の再現にこだわりすぎてアクション映画としてのテンポ作りが放棄されており、ひとつひとつの画は素晴らしくても、これを繋げたところで手に汗握るファイト場面にはなりえていません。監督も役者も期待通りの仕事はしたが、それ以上の映画には出来なかったというところでしょうか。
[DVD(邦画)] 5点(2012-02-12 01:44:07)
57.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
演技は良い、撮影も良い、テーマも良い、映画全体も上品にまとまっていて、いかにも賞レースで評価されそうな要素を多く持っているのですが、惜しいところで良作になり損ねたという印象です。スッキリしなかったのはマイケルの心理描写が雑だったことで、彼の葛藤は何となく推測できるものの、それをエモーショナルなドラマに昇華しきれていませんでした。レイフ・ファインズという瞳だけで演技のできる俳優に終始頼りっぱなしで、作り手の側がマイケルの心情を整理しきれていなかったことがその原因。冒頭、恋人から「あなたの気持ちがわからない」と言われたところからマイケルの回想が始まりますが、映画を観終わってところでハンナとの関係がマイケルの人格形成にどう影響したのかがまるで見えてきません。ひと夏の経験が少年の人生をどう変えたのかを表現できていないのでは、この題材の映画化作品としては失敗でしょう。オスカーも納得のケイト・ウィンスレットの熱演や、一風変わったホロコーストネタの料理(ホロコーストに関わった者を単純に断罪するのではなく、無知ゆえに殺戮に加担した者を罪に問うべきかという珍しい問いかけがなされます)など良い点は多くあるのですが、主人公マイケルの人物像がブレブレでは話になりません。
[DVD(吹替)] 5点(2011-04-24 16:51:07)
58.  暗殺者
ウォシャウスキー兄弟がオリジナルを作り、それをブライアン・ヘルゲランドが手直ししたという、今となっては驚くようなメンバーによって書かれた脚本はかなり魅力的です。ただドンパチ撃ち合うだけのアクションではなく、タクシー車内の防弾ガラスを挟んでの銃撃戦や、部屋にある日用品を利用したマンション室内での銃撃戦など、すべての見せ場には他の映画にはない一工夫がなされており、なかなか丁寧に考えられています。暗殺者という泥臭そうな仕事でありながら、当時まだ珍しかったEメールによってその指示がなされるというアイデアはウォシャウスキー兄弟ならではですが、いくつもの修羅場をくぐりぬけてきたベテラン暗殺者が、パソコンの前でぶつくさ文句言いながら愛想のいい返信をする辺りの捻り方もなかなか面白いと思いました。彼と組むこととなる女性ハッカーのキャラクターもよく出来ています。隣人の生活を覗き見ることを趣味としており、唯一の生き甲斐はネコを溺愛することというかなり危ない人なのですが、そんなエキセントリックな彼女が魅力的に描けているというギリギリのバランス感覚は、やはり脚本家がうまかったおかげでしょう。。。残念だったのは、新人脚本家達によるエッジの立った脚本を任されたベテラン監督の腕前が、あまりに安定しすぎていたことでしょうか。脚本のとんがった部分のほとんどが監督の安定した手腕のために丸く削られてしまい、人物像の作り込みや設定の面白さがほとんど伝わってきません。中年のベテラン暗殺者と若い女性ハッカーという、特殊な専門能力は持つものの社会性ゼロの二人が、お互いに弱みを補完しあいながら危機を乗り切ることが物語の骨子であったはずなのに、二人の人間的な弱みの描写が決定的に欠けているため、よくあるバディ映画にしか見えません。二人とも、暗殺者やハッカーであることを除けば常識的な普通の人にしか見えないのです。二人の病的な部分や、人間的な衝突をもっと描くべきでした(ブライアン・ヘルゲランドが参加している以上、オリジナルの脚本にはそのような描写があったはず)。そこに来て、アントニオ・バンデラス演じる明らかに危ない若手暗殺者のキャラだけが異常に立っており、この辺りのバランスの悪さも映画の出来を残念なものにしています。
[DVD(字幕)] 5点(2010-05-26 22:17:47)
59.  アミスタッド
脚本はよく作り込まれています。奴隷商人、アメリカ海軍、スペイン王室らの利益が複雑に絡み合い、さらに国際条約や国家間の力関係、アメリカ国内の対立までが影響を及ぼすかなり厄介な裁判をテーマとしながら、事件を取り巻く環境の交通整理がうまくなされています。マシュー・マコノヒーに「この裁判の本質は所有権争いである」と言わせ、どうすれば黒人奴隷達が裁判に勝てるのかを観客に対して事前に提示したことで、話がグっとわかりやすくなっています。このようなストーリーテリングの工夫には好感が持てます。証拠や論理を積み重ねていき、裁判を有利に導く様は小気味よく、法廷ものとしてなかなかのレベルです。しかし残念なのは、当のスピルバーグが本作を法廷ものとして描く気がなく、法廷で論理を積み重ねることよりも、いかに感動的なセリフを言わせるかを重視したこと。感動過多というスピの悪い癖がここでも出ています。また、アフリカ出身で西洋文明には馴染みがないはずの黒人奴隷が聖書に関心を持ったり、西洋の価値観である「自由」を叫んだりと、黒人の白人化が目に付きました。「奴隷制度に反対を叫んで、奴隷達そのものに無関心な人間」という印象的なセリフがありましたが、本作の作り手達にもこれを自問していただきたいところです。一方、スピお得意の残酷スペクタクルのインパクトは絶大で、本作の壮絶さはシンドラーのリストをも超えています。言葉でのみ語られてきた歴史を、迫真の映像で見せられるとここまでショッキングなものかと驚きました。ロスト・ワールド、プライベート・ライアン、そして本作と残酷描写が際立つ作品を3つもほぼ同時に作り上げたスピの絶倫ぶりは、さすが巨匠なのです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-18 21:22:05)
60.  アルマゲドン(1998)
【2011.12.16レビューを変更しました】 本作を最後に見たのは10年以上前のことで、一度見ればわかるバカ映画なので特に再見する気にもならなかったのですが、脚本家としてトニー・ギルロイとJ・J・エイブラムスがクレジットされていることに気付いたことから、今回もう一度見てみることにしました。。。 その結果なのですが、印象は相変わらずのバカ映画でした。科学考証のいい加減さには、この際目を瞑りましょう。科学考証をまともにやったSF大作は「コンタクト」と「サンシャイン2057」くらいで、大半のSF映画は適当なものですから。マイケル・ベイの演出にも、特に問題点は見当たりません。銃撃戦やカーチェイスといった得意のアクション演出はほぼ封印され、見せ場のほとんどをVFXが占めるSF超大作という自身初体験の企画ではあったものの、これに対して意外にも器用に対応しているのです。ベイは力押しのバカ監督だと思われがちなのですが、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」でも初体験の3D技術を見事に使いこなしていた辺りを見ると、実は相当な勉強家なのだと思います。ドラマパートも無難にまとめていて、この企画に要求されている仕事は十分にこなしています。 問題の中心は、その脚本のデタラメさにあります。スタンパー親子の確執が物語の横軸であったにも関わらず、シャトル打ち上げ前に二人が和解してしまったり、人類滅亡の危機なのに冗談ばかりで誰も焦っておらず、挙句に「訓練で疲れたから休暇をくれ」とまで言い出す始末。宇宙に飛び出してからは危機の連続なのですが、それらの大半が人災であって、ミッションそのものの困難性に起因する危機は皆無。中盤では、通信が途絶えることに焦った役人が遠隔操作で核爆弾を起動させようとする展開があるのですが、この危機を乗り切った後にもシャトルとヒューストンの通信は普通に続いており、だったらあのひと悶着は何だったんだろうかと呆れてしまいました。こうした脚本上の問題点は、数十人の脚本家に分業で書かせるというブラッカイマーの方針に原因があります。反乱シーンはロバート・タウン、大統領演説はトニー・ギルロイ、全体のセリフはJ・J・エイブラムス、アフレックとブシェミのセリフはスコット・ローゼンバーグといった具合に執筆作業を細分化してしまったために、全体でみると支離滅裂な内容となったようです。
[DVD(字幕)] 5点(2004-09-07 10:33:40)(良:2票)
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