1. 暗殺の森
主人公マルチェロの孤独感を、青を基調とした完璧な映像美で表現されている。時代に流されることしかできない男、それに翻弄される者達、サスペンスに芸術性が伴った傑作。ラストの仲間をファシスト呼ばわりし、保全を第一に考えるマルチェロの姿に痛烈な社会批判を感じる。 10点(2002-12-11 23:59:08) |
2. アルカトラズからの脱出
実話を元にしただけに脱出劇に派手さはないが、脚色を抑え忠実に作っている感が伝わり良い。独房で築くのさえ難しい人間関係に信頼が生まれる過程を見事に表現したところはドン・シーゲルの手腕だろう。それが、最後のバッツが取り残される展開に、成功者と失敗者の両面を味わえる功績を生んだ。個人的にはフランス映画の「穴」が脱獄物で最高であるのには変わらないが、脱獄物の定番でしょう。 9点(2003-02-08 16:15:02) |
3. アニー・ホール
ウディ・アレン独特のセリフ回し、ダイアン・キートンとの息のあった掛け合いが好きな人は、文句なしにはまるでしょう。もうほとんど、反則技の域、内容が乏しくてもなんだか許せてしまう。いや、この映画は内容も素晴らしいですよ。 8点(2003-02-25 00:16:22) |
4. アメリカの友人
タイトル名、監督がヴィム・ヴェンダース、前知識がなかったため、人間同士のふれ合いがメインと勘違い。そのため、カウンター気味に鑑賞していたが、基本がサスペンスとはいえ映像の美しさ、特に汽車内トイレでの殺人は焦り、不安が映像から伝わるような緊迫感が味わえる。ロード・ムービー三部作の後だけあって、作品にみなぎる自信が感じられる。ただ個人的には、ほんわかと優しい気持ちにさせてくれるロード・ムービーの方が好みかな。 6点(2003-04-01 18:21:43) |
5. 暗殺のオペラ
芸術性に優れた「暗殺の森」に比べ、サスペンス色が強い作品。相変わらず映像は美しいが、印象に残るシーンが意外なほど少ない。暗殺された父の真相を暴くストーリーだが、仲間であった肉屋、教師、映画館主も呼び名は個性的で憶えやすいが、人物描写が浅く、犯人探しに興味がわかない。個人的にベルトルッチには、絵画のようなカット、記憶に残るシーンを望んでいるので、物足りなさが残る。 6点(2003-02-19 23:46:31) |