21. 蟹工船(1953)
恐ろしい。何と救いなく、希望なく、未来もない。何よりも洋上独特の閉塞感を持つ「蟹工船」の存在自体が堪らなく怖い。そして、人間の、とりわけ無軌道な集団心理が放つ悲劇が怖い。 見所といってイイのかわからないが、CG全盛の現代においてもここまでの迫力はナイんじゃない?と感じてしまう海洋スタントが、ホンマに文芸作品か?と疑わしいくらいの気合というか、出来というか。当時にして「パーフェクトストーム」以上のクオリティと言っても言いすぎじゃない。恐るべし快作、恐るべし山村聡。 原作を読むもよし。「漫画で読む・蟹工船」を読むのもよし。しかし、機会があれば、映画版「蟹工船」も、是非。 [ビデオ(字幕)] 9点(2009-01-11 23:07:05) |
22. 風の谷のナウシカ
最近「原作版」をキチンと読んだのですが、読む前と後では作品の印象がガラリと変わりますね。原作版も、劇場版も、素晴らしい出来でした。 蛇足ながら、腐海でナウシカたちを襲ったトンボっぽい蟲を見て、急に「シャコ」が食べたくなった。あの蟲は、蒸せば美味いに違いない。 [DVD(邦画)] 8点(2008-09-17 21:36:50) |
23. かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート
「B級カンフームービーのカリスマ」と、噂に高いドニー・イェン。映画は未見だったので期待してました。破綻寸前の物語、隙だらけの設定、ケレンミたっぷりの登場人物等は「イカニモ」といった感じ。でも、アクションシーンのデタラメな格好良さに圧倒されちゃいました。イイね!テンポと勢いが半端無くイイ。全体的な完成度の安普請さを楽しく騙してくれるアクション作品の名作でしょう。この作品のツメのアカでも北村龍平あたりに飲ませるべき。 [DVD(吹替)] 7点(2008-04-07 01:20:37) |
24. 亀は意外と速く泳ぐ
悪ノリ気味で無駄な寄り道感もある笑いもソコハカとありましたが、こういう平凡リスペクト(?)作品は嫌いじゃないのでソコソコに楽しめました。冒頭の小田扉のパラパラ漫画、ラストシーンの飛行機、上野樹里の髪型オチは、秀逸。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-22 16:26:07) |
25. ガキ帝国
「パッチギ」の上流に「岸和田少年愚連隊」があって、その先の源流とも呼ぶべき位置に「ガキ帝国」があったという感じ。「パッチギ」や「岸和田」に比べてちょっとアク取りをし損ねたカンジの野暮な味が引っかかるんですよね。それも味なのか。台詞のドモリ方なんかも、変にリアルで面白いというか野暮ったいというか。キャスティングは文句なし。升毅と上岡龍太郎、若! [DVD(邦画)] 6点(2007-08-08 00:31:05) |
26. カオス(2005)
脚本は結構イイ感じで私好みなんですが、カロリー高いだけに健康的とはいえないアクションのジャンクさが正直しんどい。しかし、キャストや展開のテンポはイイ感じ。二重底ミステリとしても、うれしい誤算というか。 [DVD(字幕)] 7点(2007-06-14 01:26:37) |
27. 風を見た少年 The Boy Who Saw The Wind
《ネタバレ》 まず好印象だったのがマーケティングの勝負を捨てている点と、C・W・ニコルの思想の反映。これって、ここ最近のアニメからしてみれば大冒険だと思う。近年のアホみたいなテンションだけの子供騙し作品に比べれば数倍良心的。夢のない大人やオタクを相手にしていないという点もステキなのだが、名作だったか?と問われれば、やはり地味さが鼻につくというか。素朴さ?ナチュラルさ?それはそれで嫌味な感じがするんですよね。子供向けにしては(ゆえに、か?)説明不足な点も、誤魔化しきれていない勢いのなさ、というか。毒性は低い分だけに薬としても力量不足な気もします。まぁニコル作品「勇魚」を髣髴させたりするシーンなんかもオマケで加点かな。 [DVD(邦画)] 5点(2007-06-14 01:17:24) |
28. かもめ食堂
のんびりとして、さして退屈もさせず、美しいわけでもなく、感動するわけでもないのに、確かな面白さが存在する。邦画界の夜明けというか、午睡とでもいうか。否、白夜かも?笑。「アリー my Love」「セックス・アンド・ザ・シティ」「ブリジット・ジョーンズの日記」に負けずとも劣らない負け犬(BY酒井順子)のための叙情詩とも、いえる訳だが、そこまで不躾でないというか。面白かったです。予断だが・トンカツの添えにレタスという、王道に対しての明確なアンチテーゼは、大事だ。←勝手な解釈。かもめ食堂め! [DVD(邦画)] 8点(2007-04-07 23:00:36) |
29. カポーティ
《ネタバレ》 観衆や読者、発信する側すらをも求める「安易で刺激的なフィクション」と、画一的であるわけがない現実・事件・人間像。そのギャップの渦中にうっかり存在してしまった「作家」の不幸を、実に丁寧に、かつ静謐に描いた作品。作家としての矜持がカポーティ自身の筆を折ったのだろうか。原作どころかカポーティの存在すら知らなかった勉強不足の私だが、「冷血」カポーティに関する興味は、湧いた。 [DVD(字幕)] 8点(2007-03-18 21:02:24) |
30. 隠された記憶
画面から抜け出すかのような緊張感は他に類を見ないピリピリ感で、淡々と狂気じみていく世界観は流石でした。特に始まりの五分間の緊張感といったら…。この監督、半端じゃなくどこかおかしい。「点数付け難い」という意見には、超賛同。0点と評価もできるし満点ともいえるし…この監督にエンタテイメント性を求めるのは筋違いなんでしょうか、ねぇ。この評価は、全然アテにならない五点だと思って頂きたい。白旗。 [DVD(字幕)] 5点(2007-02-01 00:10:50) |
31. ガイバー
M・S・ジョージが東映漫画祭に監督としてオファーされ予算面の折り合いがつがずアメリカンなお笑いでお茶を濁そうとしたがあえなく撃沈。逆輸入カトゥーンヒーローも陽の目を見ず、国内のコアなファン相手に寡作といえるペースで単行本を発表…って、嘘ですよ!(でも、まるっきり嘘とも言えなくもないが)でも、見た後の感想としてはコレぐらいの嫌味も言いたくなるくらいの不出来さ。というか「S・マッド・ジョージもガイバー好きなのかなぁ?」と、当時アメリカでの日本コミックブームの兆しという時期に、妙な作品が世に出るんだなぁと、感慨深く思ったものである。 [ビデオ(字幕)] 2点(2006-07-02 16:19:52) |
32. カンフーハッスル
これを製作した人達になら、日本の馬鹿アクション漫画(ドラゴンボールを含む)を実写映画化してもらってもいいとさえ思える。こういう作品を制作するセンスは、何気なくありそうで、ない。というか、正しく「ありえねー」才能だと思う。ド派手で超濃口な演出や「シャイニング」な小技にも爆笑。 [DVD(字幕)] 9点(2005-12-12 01:22:40) |
33. カッコーの巣の上で
「僕の犬はとても臆病で、一人では街を歩けない。首輪をはめると、とても自由だ」と歌ったのは故川島英吾だったか。僕にも、ラストの自由への疾走はポジティブに受け止めることが出来た。感動した。が、如何しても消化仕切れない「悲しみ」が、少し重い。修行不足で、すいません。しかしこの作品のテーマの圧巻さは、例を見ない。傑作。 [映画館(字幕)] 9点(2005-12-02 19:55:35) |
34. 華氏911
各メディアのブッシュ批判がアリキタリになってる昨今、今更な感じ?前半は。まぁ、反ブッシュのプロバガンダな印象は確かに感じるが、あそこまで込み入って大統領に喧嘩上等!としているM・ムーアにゃ、感心しちゃいますよ。しかし、全体的に俯瞰してみると前半・後半のバランス感に欠ける作品ではあります。しかしM・ムーアの鮮度ってのも、落ちつつあるなと、感じちゃう私が俗物なのかもね。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-14 13:15:20) |
35. からくりの君
レビューあるのか!笑。じゃあ参加しよう。え~藤田氏の漫画はアニメに向きそうで向かない。と、思った。でもまぁ、頑張った方。エロっぽいのも、この作者の一寸した持ち味?が、反映されたと思っておこう。言及すまい。原作は補うに余りある骨っぽさも持ち合わせているし、藤田作品は泣かせる話も巧い。それだけにコアな原作ファンは、アニメの不出来に泣くことも多いだろう。・・・おっとこれじゃあ「藤田和日朗フォロー」だ!横道に反れまくってしまった・・・。「からくりの君」レビューだ。ん~・・・。どうも即席で製作したっぽい。インスタント臭さが残るのがこの手のアニメの宿命って言うんなら、もぉやめてしまえ。と、思う。 [ビデオ(字幕)] 3点(2005-09-17 10:35:21) |
36. ガメラ3 邪神<イリス>覚醒
《ネタバレ》 前田愛、妙に悪趣味。三作も続くとオタク票に縋らざるを得ないのか?触手とか、絡ませてんじゃねぇよ。笑。 3点(2004-08-28 11:57:15) |
37. ガメラ 大怪獣空中決戦
2・3世代を跨ぐが、世代を問わず、エンタテイメント性も削がず、クオリティーも高い。他の評にもあったが、キャスティングがピリッとしてない気もするけど、及第だと思う。佳作。 7点(2004-08-28 11:53:36) |
38. 回路
な~んかキャラクターの人間味の無さが、つらい…故に感情移入しにくかった。現実世界→歪曲→非現実へのプロセスが唐突っていうか強引で、別の意味で奇妙でした。飛び降り&飛行機落下のシーンは、白昼夢っぽさステキ、でしたが、合わせて一点。加藤晴彦の演技力に一点。都合、合計二点。 2点(2004-08-24 10:56:35) |
39. 哀しい気分でジョーク
グリーン・グリーンで泣かされちゃった。涙脆いので、スイマセン。ビートたけしで泣かされるとは思ってなかったんで、困った。 8点(2004-04-28 02:15:14) |
40. カンパニー・マン
V・ナタリのセンスは、「くらっ」とくるほどに、スキ。前作を越えきれないにしろ、この監督の才能は素晴らしい。次回作もこのクオリティーを維持して欲しい。 8点(2003-11-14 01:04:46) |