1. カリートの道
危険だと分かりきった道を一瞬のためらいも見せず進んでいったカリート。何よりも義理を重んずるのがヤクザ社会、義理を通した報いを受けるのもヤクザ社会、夢の世界までの最後の一歩を踏めなかったのは自明の理なのでしょう。ホームでの一瞬の笑顔は結末がわかっているだけに切なさが際立つ、私のパチーノ名場面集の一つです。ホームを運ばれていく際の台詞は、パチーノの眼が語っていましたので個人的には不要でした。ドアチェーン越しに「かかってこい」とばかりに挑発したゲイル、特筆もののゲス振りを見せてくれたクラインフェルド、この二人もカリートと共に忘れじのキャラクターです。私の忘れじの作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2004-01-01 02:59:38)(良:1票) |
2. カナディアン・エクスプレス
テンポ良く起承転結が展開され、スーパーマンではない検事補のビリー・ワイルダーを思わせる一言一言の台詞でもっての機転を利かせた理詰めな奮闘ぶりに手に汗握ります。ラスボスだろうとの予感が当たった人物との対決に脱力させられたのが非常に残念です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-03-21 15:08:35) |
3. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 深刻ぶらず心地よさだけを求める事を信条とする表面上の穏かさとは裏腹の激しい心情を持つ夫婦の朝も昼も夜も離れずに暮らす10年の歳月。客は「今は魅力でも何時か消える、魅力を感じなくなったら他のを探すだけ・・・」と語ります。苦楽を共にする、表裏一体の愛憎。これらの心地よくない部分を受け入れる事を拒否した女房の幕引き。残された亭主の佇まい。浮世離れしたお伽噺にほろ酔い加減の心地よさとほろ苦さを噛み締める作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-05-18 14:49:04) |
4. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
そもそもこの作品、アイアンズが出演しているので観ました。頭はクール、ハートは熱いアラミスを優雅に演じる姿には満足しました。そして、初めて観たガブリエル・バーンは衝撃でした。眼差しがたまらなく、もうメロメロです。突撃シーンや最期のシーンは胸をかきむしるような、のたうちまわるような(初めてビデオで観た時、部屋で転がっていました。)たまらない気持ちになります。いい歳して何ですが、時々観ては喜んでいます。何時か劇場で観てみたいです。 8点(2004-01-15 15:26:19) |
5. カンザス・シティ
民主党大物政治家のお陰で禁酒法が治外法権だったというカンザスシティ。大っぴらに飲み食い出来るのだからジャズが栄える土壌となったのでしょう。ジャズ愛好家の方には大いに楽しめるシーンが満載。ムチャクチャな不正投票はタイムリーなエピソードで、ご立派な民主主義が笑えます。落ち着くところに落ち着いた結末に何の感慨も無く。「ショート・カッツ」は20分でリタイアでしたが、本作は監督らしからぬ作りが幸いしたのか完走出来たので良しとします。 [DVD(字幕)] 6点(2021-01-17 00:10:48) |
6. ガッジョ・ディーロ
ロマが描かれた本作は「黒猫・白猫」の突き抜けたハチャメチャさは無く、楽曲も今一つ。ウルルン滞在記のような物語に惹かれる事も無く。理不尽な仕打ちを受けている事実を知ったところと素人さんとは思えなかったイシドールを演じた役者さんに加点。 [DVD(字幕)] 6点(2019-02-14 14:09:47)(良:1票) |
7. ガスパール/君と過ごした季節
他人の痛みを知る者同士寄り添って生きる姿が風景同様カラリと描かれている。野暮を承知で言うならばコソ泥行為はやめて欲しかった。 [DVD(字幕)] 6点(2018-10-31 14:37:57) |
8. カットスロート・アイランド
《ネタバレ》 主演の男女、悪の親玉それぞれが華に欠けていて、島もお宝もアッサリ見つかる展開も相まって盛り上がれない。ドッカンドッカンを気楽に眺めているぶんにはまずまずかなといったところ。ギネス認定大赤字作品というのは意外でお金の使いどころを誤ったのでしょうか。こき下ろす程ではない作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2023-02-28 23:38:56) |
9. KAFKA/迷宮の悪夢
ジェレミー・アイアンズ、アレック・ギネス共演と言うことで鑑賞。理不尽系統の物語に相応しい二人は美しいモノクロ映像(+1点)に映えるのですが、置いてけぼりを食らった感で歯痒い思いであります。カフカに精通している方には楽しめるのでしょうか。本筋から外れますが「君が出世できない理由は、機械的に仕事をしているだけで、自分から仕事に興味を持つことをしないからだ」には激しく同意するところです。 [DVD(字幕)] 5点(2021-03-26 06:58:28) |
10. カジノ
ニッキーとジンジャーのこれ以上内無い程の浅はかさでもって巻き起こすしょうもない騒動に味わいは皆無で、監督特有の暴力描写も薄汚さしか感じられず辟易。デ・ニーロは二人に翻弄されるばかりで何時もの凄みはなくガッカリ。観れば分かるのに、いちいちナレーションをつけてくれる「ご配慮」は失笑モノ。俳優が熱演するほどに薄ら寒さが募り、冗長さにもウンザリ。監督のお粗末さを痛感した作品です。 [DVD(字幕)] 3点(2009-08-30 14:44:28) |