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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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41.  キング・コング(1933)
現代の視点から純粋に鑑賞対象として観た場合、確かに古すぎる特撮技術などに見どころは無いのだけど、製作年度である1933年から横たわる80年という歳月を意識せざるを得ないパワーを放つ作品でした。1926年の「メトロポリス」にはそんな感慨は湧かなかったけど、この「コング」にはびっくりしました。オリジナルから40年後に製作されたジェシカ・ラング版「コング」も当時の最先端の技術を注ぎ込んだ作品でしたが、本作を観た後では1970年代の撮影技術のレベルの高低よりこの第一作の頑張りを証明するような印象に変わりました。そして、2度目のリメイクはこのオリジナルへのオマージュに満ちていたことを今更ながらに知った訳ですが、ピーター・ジャクソン監督が本作を尊重する気持ちが分りますね。ジャクソン版で印象的だったコングがTレックスをやっつけた後に下あごをもてあそぶ仕草が、すでに表現されています。この作品の凄いところは、コングや恐竜たちを動かしただけではなく、その動きを「らしく」演出するために膨大なエネルギーを注いでいるところだと思います。自分たちで表現のハードルを上げて、それをクリアーするために工夫と努力を繰り返した人たちの姿がフィルムの向こう側に見える気がしました。商業映画の黎明期に、その地盤を固めた作品だったのだと思います。で、なんだかレビューの本質とは離れますが、この点数は「敬意」です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-12-01 18:08:52)(良:2票)
42.  CURE キュア 《ネタバレ》 
精神を病んでいる女房を「人生のお荷物」とぶちまける役所に戦慄しました。最も印象に残ったのがあれです。あれを言わせるための映画だったと思えるくらいです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-08-24 22:02:23)
43.  CUTIE HONEY キューティーハニー 《ネタバレ》 
サトエリのスタイルは抜群ですね。惜し気なくそれを披露してくれて、そのお色気は10点です。でも、キャラのあまりの天然さにちょっと違和感を覚える。70年代のテレビアニメは周囲に天然がたくさんいて、ハニーは根拠のない薄着以外は比較的マトモなキャラでした。それと比べると、かなり強引にバカっぽく作っています。アニメの世界をそのまま実写にすることで起こる違和感をバカで中和するようなアレンジ。でも、そのアレンジがハニーのお色気を幼稚なオブラートで包んでいるようで、勿体ない気がしました。私的にはもっとハードに極めて欲しかった。永井豪作品も「デビルマン」「キューティーハニー」が映画になりましたから、次は「マジンガーZ」あたりを観たいです。余談だけど、この主題歌、いい歳したおばさんたちがもの凄くカラオケで歌ってます。自分は昔のアニメバージョンの歌の方が好きです。
[DVD(邦画)] 4点(2011-08-18 22:49:38)
44.  斬る(1968) 《ネタバレ》 
みなさんが仰っている通りで「用心棒」や「椿三十郎」なんかと似たプロットです。よそ者が現れて、そこで起こっている事件に手を貸して去ってゆく。でも、当たり前だけど監督が違うと全く違うものになる。細かいストーリーの構成云々より、作品が持っている空気が違う。この可笑しみを湛えた作風は岡本喜八監督ならでは。先に挙げた黒澤映画は三船敏郎の一人舞台だけど、こちらはズラッと名のある俳優を並べて、その全員に見せ場を用意している。ときどき、出演者の顔が画面から飛び出すくらいにアップになるんだけど、困った状況でもみんなその表情がとてもイキイキしていて、変な喩えだけど陸に揚げられた新鮮な魚がピチピチと跳ね回っているような感じです。侍社会=管理社会という構図をちょっとIQが低く見えるほど皮肉っているが、その率直すぎる解りやすさも岡本監督の作風だと赦される。娯楽時代劇という意味で最近の「十三人の○○」などは、これに較べて進歩しているだろうか?
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-26 21:31:29)
45.  機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光 《ネタバレ》 
「ファースト」と「Z」の間を繋ぐティターンズ創設のお話ってオチなので、すっきりしない見応えになるのは当たり前にしても、コウとニナの青臭さがそれに拍車をかける。特に可愛く描かれている分、反動としてニナの自己中女ぶりには嫌気が募る。これでガトーがゆるいキャラだったらとても観れたものじゃなかったでしょう。以前に、この映画版を観た後にOVAを観たら随分と良い方向へ印象が変わったことを覚えています。それはニナに対する印象の違いだったように記憶しています。口直しはOVAで。
[ビデオ(邦画)] 5点(2011-01-25 19:56:41)
46.  機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 《ネタバレ》 
総帥という立場でいながらも、ねちねちとララァを殺された恨みを抱き続け、それを土壇場で口にするところが富野節だと思う。政治家がイメクラでの変態プレイ趣味をカミングアウトするような恥ずかしさ。ん、違う? 映画としては、ファーストとZを観ていないと、何のことか分からないほど突き放した創り方。きっと初めて観る人には台詞の単語が普通名詞なのか固有名詞なのかさえ分からず敵味方の区別も付かないが、ガンダム好きには観るたびに理解が深まるマニアックな構成が嬉しくもある。シリーズ全体で言うならば、Zでの質の劣化に呆れた私はニュータイプ概念が創る世界には興味が失せておりましたが、それでもシャアvsアムロには心躍りました。そのメインイベントへ辿り着く前に、周辺キャラを狂言まわしとばかりに殺してしまうシナリオの思い切りの良さに感嘆。そこそこ頑張っていたギュネイをまるで雑魚のように墜とすアムロの戦闘能力に、ファースト終盤の鬼神のごとき強さが再現されたようなカタルシスを覚えました。それと、シャアの「ブライト、やるな」って台詞がとても嬉しかった。縁の下の力持ちだったブライトさんに初めてスポットが当たった印象でした。本作もすでに20年以上前の作品になりましたが、実はアムロとシャアのお話なら、また創って欲しいと思っているのでした。
[ビデオ(邦画)] 8点(2011-01-12 21:43:37)
47.  キック・アス 《ネタバレ》 
これは凄い。面白い。上映館の少なさが惜しい。R指定だからか。そう、これは確かに視聴制限がかかる内容を孕んでいるけれど、そこを容認できる人には最高の作品になる可能性も秘めている。以前に「ダークナイト」のレビューで、ヒーロームービーはフィクション色を消すことが面白くする条件、みたいなことを書いたけど、本作は見事にその逆を衝いている。リアリティを重視した情けないヒーロームービーと見せかけて、フィクションとして大輪を咲かせます。正直に言うけど、私にとって本作の魅力のほとんどはヒット・ガールの魅力でした。実弾を受けた時の衝撃を知る訓練、って変なシチュエーションで登場する少女。父親から誕生日にバタフライ・ナイフをプレゼントされて、嬉々として手に馴染ませる少女。あきらかにローティーンの体型だけど、その戦闘能力はヘタレが多い本作の中で群を抜く存在感を放つ。父娘がやっていることは復讐以外の何ものでもなく、こちらをストーリーの本流に据えると悲愴で陰気な物語になりかねない。だからキック・アスの存在が大事だったと、観終わった後に気付く。主人公はキック・アスでも、物語は彼女を中心に組み立てられている。難関は少女の大量殺人を是とするか?という点。モチロン問題大有り。でも、キック・アスが正義の責任に目覚めて助っ人として参戦するくだりは、彼女の虐殺行為を緩和して見せ、ラスボスをキック・アスに譲ることで責任を等分した。ギリギリの線で上手く構成したと思う。最後に本名を名乗りあうシーンは、復讐が終わって彼女が普通の少女に戻れることを象徴する…って全然フツーの少女じゃないんですが。親父の親友の警察官と暮らし始めることは、申し分ないエピローグでした。マーベル・コミック原作の映画化に食傷気味だった自分に、新たなヒーローが誕生しました。
[映画館(字幕)] 10点(2011-01-11 21:58:22)(良:5票)
48.  機動警察パトレイバー2 the Movie 《ネタバレ》 
「戦争を知らない子供たち」という歌があった。その子供たちが国家機能の中枢に収まるほど「戦後」が続いた日本の、危機管理意識と平和ボケとシビリアンコントロールの脆弱を仮想的に描いた作品。自衛隊の治安出動があっさり決まったりするあたりがやや都合良いけれど、永田町周辺で黒いマイクロバスから汚いダミ声でがなっているおっさんたちの話より、これを観る方がずっとためになる。世界標準的に日本の平和ってやっぱりどこか歪んでるんじゃないか、という懸念にそれらしく回答してくれる。9/11以降のハリウッド作品には対テロ戦争ものが多いけど、こちらの方がずっと深くシナリオが練られている。日本はこういう作品を実写でやるといきなり陳腐になるんだけど、アニメなら描き切れる。それが誇らしくもあり残念でもある。押井守っぽい、理屈をこねくり回した台詞にイラっとするところもあるが「パトレイバー」という「容れ物」を借りて存分に作家性を発揮させた創造力に感服。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-05 21:16:10)
49.  96時間 《ネタバレ》 
わずか90分に詰め込まれた破天荒な愛情。ひっさしぶりの快作でした。まず出だしが秀逸です。娘の誕生パーティのシーンだけで主人公と娘・元妻・元妻の現在の夫の関係を見事に描写します。その関係性は後のストーリーに全て活かされ無駄がない。娘を誘拐した実行犯を携帯越しに「必ず見つけ出して殺す」と凄むシーンに痺れ、その後の展開に期待が高まる。「!!! 」 その暴れっぷりは期待以上。そこに正義や倫理や道徳はありません。目指すのは自分の娘だけ。他の誘拐被害者には目もくれず、自分の娘だけ。かつての友人の妻なんて、旦那に口を割らせるために腕を撃ち抜かれる。とばっちりも甚だしい。拷問で情報を吐かせた実行犯は開放せずに電流を流しっぱなし。きっちり公約を守ります。ここまで徹底したキチガイじみた追走の動機は娘への愛情。自分にとって大切なものを守るという一念。その純粋な一念に、娘のいない自分でさえ感情移入し、娘が「来てくれたのね」と言った瞬間に頬に伝うものがありました。そこまで揺らされると、やってることは無茶苦茶でも誰かのためにエゴを貫くことの意義に首肯せざるを得ない。リュック・ベッソン、やれば出来るじゃん。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-12-23 22:38:22)
50.  機動戦士ガンダムII 哀・戦士編
初回放送当時、黒い三連星とあだ名される三機のドムとガンダムの闘いは、過去のロボットアニメの戦闘シーンを全てひっくるめても、ダントツのトップにランクされる見応えがあった。今もなお、パロディとして使われているのを見るにつけ、当時の衝撃がうかがえる。いつも汚いジーンズを履いていた大学時代の友人のヤマグチは、テレビシリーズのこのシーンで「かあちゃん、来てみな。ジェットストリームアタックだよ!」と、母親をテレビの前に呼びつけて一緒に観たと言っていた。ずん胴で鈍重に見えるドムが素晴らしい機動力を持った機体で、黒くペイントされたシンプルなボディが、何色にも塗り分けられたガンダムなんぞより、よほど機能美に優れていた。しかも、先述のジェットストリームアタックなる必殺技まで持っている。「ガンダム」に登場したモビルスーツで、必殺技を使用したのはこの三連星だけだろう。だが、そのジェットストリームアタックを持ってしても、ニュータイプへの覚醒を始めたアムロ@ガンダムは倒せなかった。結局は主人公の引き立て役になってしまったけれど、私はドムと黒い三連星(ガイア・マッシュ・オルテガ)に敢闘賞&技能賞を贈ります。ちなみに三連星に亡き者にされたマチルダ中尉には助演女優賞を贈ります。今作では、テレビシリーズと比べてドムの凄みが少し薄れて見えたことがとても残念でした。こりゃ、ガンオタ丸出しのレビューだね。赤面。
[映画館(邦画)] 6点(2010-11-30 01:42:55)(良:1票)
51.  キサラギ 《ネタバレ》 
「十二人の怒れる男」などと同様、閉鎖空間の真相追及ミステリー。面白い。二転、三転、四転、五転、転、転・・・。めまぐるしく変わる状況に、前のめりに惹き付けられる。笑わせたり、呆れさせたり、しんみりさせたり、考えさせたり。観る側の態度をストーリーに合わせてジェットコースターなみに昇降させてくれる。立場の違う5人のそれぞれのキサラギ像が一人のアイドルに収束して行く。それは、アイドルに限らず人の記憶に残る誰かの「像」が他者との関係性の総体であるという普遍メッセージを包含する。その偶像概念の検証で終わると思っていたら、なんと土壇場で如月ミキを登場させる。微妙な容姿と歌と踊り。たしかにD級アイドルだけど、ちょっと得した気分になる。それがこの変な映画に、さらにブラックな色彩を付加する。「原作もの」の安易な映画化が多い邦画界で、舞台ベースとは言え、書き下ろしのオリジナル脚本の強さを見せてくれる映画である。アイドル文化をトレースしていることを評価するなら、アカデミー外国語映画賞くらい授与されて良いくらいの見応えだった。これはケッサク。宍戸錠の蛇足は見なかったってことで・・・。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-10-24 03:27:37)(良:1票)
52.  キラー・ヴァージンロード 《ネタバレ》 
アホくさい映画でした。必然の薄いストーリーの合間に変なネタを散りばめて、それを個々に楽しませるような作り方だけど、狙ってることが透けて見えるほど浅いので笑えない。全く面白くなかった。これは笑いのセンスの問題でしょう。作っている方は楽しいのかもしれないけどね。木村佳乃さんって、いつの頃からか思い切った三枚目が出来るようになっていて、元からの美形とのアンバランスで面白い女優になったものだと思いました。本作に関して云うと、上野樹里が霞みます。ということで、上野樹里を注目している人は多いと思いますが、軒並み残念な印象を持つ作品でしょう。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2010-10-17 00:54:49)
53.  キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~ 《ネタバレ》 
自分が物心付く前のアメリカ音楽シーンを見せてもらえるのは興味深かった。「サーフィンUSA」が盗作だったなんて初めて知りました。「ドリームガールズ」や「レイ」などと同じで、昇り調子の時は全能感を覚えるほど全てが上手く転がって行くようだけど、芸能世界の人気は下降線を描くもの。そのときに人間ドラマが始まるって感じでした。みなさん書いてますが、ビヨンセの歌唱力は流石でした。これ、いい映画だと思ったんだけど、レビューが少ないですね。周りに吹聴します。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-10-13 23:32:00)
54.  君に届け 《ネタバレ》 
原作は知りませんが、楽しませていただきました。多部未華子は注目している女優さんです。冒頭から中盤まで続くしつこいくらいの「貞子」ネタがとても愉快。本来は可愛い顔なのに、三白眼と豊かな黒髪が怖くて、それがエンターテイメントとして成立しています。彼女の予想外の考え方や反応の仕方も良い意味で期待を裏切ってくれるので全く飽きなかった。ストーリーはありがち、と最初は思いました。コンプレックスを抱えているけれど心根が優しい少女と、それを理解する男の子の学園ラブストーリー。でも、そんなありがちなお話とは違った新鮮さを覚え、それはなぜかと考えて気付いたのですが、爽子(貞子ではなく、こちらが正しい名前)ってコンプレックス少女じゃないんですね。自分の性格や容姿を嫌っている訳ではない。ただ、極端に素直で謙虚で健気。周囲と普通の会話が成立しないくらいにその性向が際立っているので、どうしても浮いた存在になるのだけど、心が悪い方向へ歪んで行かないのはコンプレックスが無いからです。だから「もっと頑張らなきゃ」とか「お役に立ちたい」なんて前向きに対応できるし、少数でも理解者がいると良い関係が築いて行ける。かなり悲惨な境遇なのに作品全体が爽やかさに満ちているのは、その特殊な爽子の性格設定のおかげだと思いました。実際には、ここまでの人はいないでしょうね。少なくとも私は会ったことが無い。だからあくまでフィクションですが、ピンポイントで発せられる言葉や行動には心が洗われるようでした。多部未華子は期待通り。
[映画館(邦画)] 7点(2010-10-03 10:23:44)(良:1票)
55.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 
実話らしい。ディカプリオは立派な犯罪者だけど、家族を大切に思い続けるから憎めない。被害に遭った人たち(主に銀行)の描写がないから犯罪感が希薄で、それは狙ってやっていますね。ちょっと視点が偏った作品ですが、ハリウッド作品らしい割り切りがあって気持ち良い映画でした。スピルバーグ作品という気負いなど無しで見るといいですよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-23 23:47:18)
56.  きな子~見習い警察犬の物語~ 《ネタバレ》 
落第気味のペアの奮闘を映すことは、親近感を覚える設定ではある。モデルとなっている実話があるらしいのですが、犬とのコミュニケーションを警察犬受験と並行させたことで視点が分散していて、人と動物の絆のようなテーマを描き切るにはやや力不足な作品でした。まず、警察犬へのチャレンジですが、あの試験に合格するためには、仕事と割り切って訓練しないと必要とされるレベルに到達しないのだと思います。このペアの実情が本作と同じような情景だとしたら、リアルきな子がまだ警察犬になっていないのは、教える側のスタンスに割り切りが無いからでしょう。進学塾のスパルタ教師は生徒の心情まで汲み取りません。犬とのコミュニケーションは、人の側がどれだけ犬のサインを感じ取れるかに掛かっているはず。杏子がきな子のことを大切に思っていることは伝わってきますが、そのサインを読み取る能力が進歩したような描写はありません。また、劇中でテレビ局の取材に意地悪な視線を感じるのは、人気だけが先行するという悔しい状況を煽っているからだけど、それも放置されたまま決着を付けていない。私の消化不良感はそのあたりが原因です。警察犬としての能力なんてそっちのけにして、杏子ときな子の絆にフォーカスした割り切りがあれば感動の度合いも増したのでは。犬は言葉が喋れないからこそ、コミュニケーションが成立したときの意義も格別なものになるはず。そこに、もう一歩踏み込んで欲しかった。夏帆と犬の相性は予想通りでとても良かったし、ホロっと来そうなシーンもいくつかありました。私の隣に座った年配の女性はずっと泣いていました。ただ、私は先述の理由でそこまでは入り込めず、上手く盛り上げてもらえなかった印象です。1本の映画としては普通の出来映えという評価です。
[映画館(邦画)] 5点(2010-09-22 16:15:43)
57.  記憶の棘 《ネタバレ》 
人が死ぬと、肉体と一緒に精神も滅ぶ。あたりまえだ。主人公が夫を失った心の傷を癒せたたのは、それが取り返せないものと諦めたから。この映画の論点は、少年ショーンが本当に生まれ変わりだったのかと云うことより、愛しかった人の精神がこの世にあるならば、宿っているのが10歳の少年であっても、それに縋ってしまった事実にある。少年ショーンが夫ではないと認識した主人公は婚約者との関係を元に戻すが、その気持ちが二番煎じであることを自覚しているのがラストの途方に暮れた描写である。生まれ変わりの真偽は別にして、彼女にとってショーンが唯一絶対の存在だったことが証明されてしまった訳だ。特定の記憶が新しい生活へ踏み出せない枷になっているなら、それは確かに「棘」かもしれない。終わった恋愛が全て「棘」になるとは思わないが、彼女のそれはもはや抜くことが出来ない。超常現象に気を取られるが、喪失感を見据えた作品だと思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-31 17:35:38)(良:1票)
58.  ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発 《ネタバレ》 
こりゃー楽しかった。ギララは松竹唯一の怪獣だけど、東宝・大映・円谷プロのネタが伊福部モドキの旋律も含めてふんだんに使われていて、最後まで突っ走ってくれました。分かりやすいネタから、カルト級まで。いくつ分かったか、誰かと自慢し合いたくなりました。自分が一番笑ったのは、ギララの命名にG8の議場にいきなり現れた少年。あれは「ギャオーと鳴くからギャオスだよ」ですね。神社の軒下に彫られたギララとタケ魔人はゴメスとリトラ。自分にとっては、ひょうきん族や各国首脳ネタはモノクロ世代の特撮怪獣ネタまで遡れない若い世代向けのサービスのような印象でした。そういえば、一瞬だけオリジナルの「ギララ」の映像がそのまま使われていました。あれも、監督さんの遊びのひとつなのでしょう。中年が飲み屋で昔に観た怪獣モノや特撮モノをネタに盛り上がっている気分をそのまま映画にしている。こんな思い切った企画は過去に無かったと思います。怪獣好きの中年必見。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-26 16:44:51)(良:1票)
59.  機動警察パトレイバー 《ネタバレ》 
本作の製作年度は1989年だから、20年以上前。まだ携帯もインターネットも普及していなかった時代。当時は10年ほど先を描いた近未来ものとしてそれなり仕立ててあるという印象だったが、観直して驚いた。個別の事象を正確に予言している訳ではないが、その後に社会を賑わした事柄が散りばめられている。OSが脚光を浴びたウインドウズ95が1995年。コンピュータ・ウィルスで侵略者をやっつけた「インデペンデンス・ディ」が1996年。アクアラインの開通が1997年。そして、9/11が2001年。それらを意識していたかのようなストーリーだ。OSに忍ばせたウィルスによるサイバー・テロを、都市の高層化を利用した大規模破壊テロへ繋ぐ計画の現実味には疑問符が付くが、発想は白眉である。IT環境と変貌する都市とこのシリーズの要であるレイバーが有機的に組み合わせてある。物語の中でそれを企てた帆場の真意は語られないが、彼が住いにしていた木造の廃屋から望む東京は、50階建ての「住宅」が林立するまさに現代の東京。20年以上前の描写に既視感を覚え、なぜか背筋に冷たいものが走った。都市開発というより文明に対するアンチテーゼ的な視点を漠然と感じたが、そこは台詞などで深堀りせずにレイバーのアクションで締めたことが却って余韻を残す結果になったと思う。幼稚な感のするキャラにこそ時代の流れを感じるが、内容は現在でも見応えのある普遍性を携えている。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-07-03 21:25:54)
60.  菊次郎の夏 《ネタバレ》 
まず、母子が離れて暮らしている理由に疑問を覚えずサポートしようという行為が浅はかです。多かれ少なかれ訳アリなはず。次に、いくら金が無いといっても浅草から豊橋に行くことに苦労しすぎ。ヒッチハイクでもいいけど、必ず寂しいところで降ろされてるのが理解できなかった。その2点でロードムービーの必然に違和感を覚えるともうダメだった。加えて言うなら、一般人に「ばかやろう」って言いすぎ。周囲に理不尽な悪意を撒き散らす描写に気分が悪くなりました。自分の生い立ちを随行する子供に重ねてからはいきなり優しくなりますが、それも自分勝手です。大きな子供の夏休み。これが青春映画だったら主人公が成長するんでしょうが、この菊次郎は変わらないですよ。なんだか認めたくないものがたくさん詰まっている映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2010-06-03 10:20:46)
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1462.16%
21316.16%
32069.69%
432315.19%
548322.71%
636917.35%
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81758.23%
9733.43%
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