1. 清須会議
《ネタバレ》 時代設定のせいか(お陰か)、あざとい『三谷色』は薄まり、個人的に一番観やすい三谷映画でした。 138分の長さを退屈させないだけでも好感。比較的、穏やかに楽しみました。 とはいえ、あからさまなドタバタコメディ展開はこの映画の中では、浮いていて違和感がありました(特に旗取りや滝川一益のくだり全般)。 お市の描き方はあまりにもキャラとしての深みがない事。 いくら悲惨な過去があろうが、全く好感すら持てない、非常にイヤな女にしか見えず・・ そのお市に惚れてアタックを掛ける柴田勝家も感情移入しづらくなりました。 そもそも勝家全体の描き方も間抜けが過ぎるかと・・ とやかく言いましたが過去の三谷作品の中では個人的に良かったです。 [映画館(邦画)] 7点(2013-11-10 20:55:52) |
2. 飢餓海峡
《ネタバレ》 3時間という長い上映時間は全く飽きずに映画を堪能出来ました。三国連太郎、伴淳三郎、左幸子の重厚な演技は素晴らしく本作の屋台骨を支えています。特に前半のドキュメント的な不穏な描写は息を呑みました。中盤からの左幸子演ずる娼婦・八重が三国演ずる犬飼に出会ったことによって、生きる支えを得て力強く生きていたのに、再び犬飼と再会を果たした時のあまりにも皮肉な結末は胸に詰まります。映画的魅力が数多いのでこれだけで十二分に評価に値する映画だと思います・・・が・・不満もあります。まず再会した八重を犬飼が殺した後、たまたま目撃した若い使用人を殺害し、犬飼は二人の死体を海へ捨て心中という形で偽装しますが、これはお粗末過ぎでしょう・・八重は犬飼の新聞記事を所有したままだし、そもそも二人には何の関連性もない、すぐボロが出るのは目に見えてます(普通なら死体を発見されないように隠すはず)。実際にあっけなく犬飼が疑われて取調べされます。しかも、その犬飼の警察の捜査シーンは丸ごとカットで長々と刑事達が調査結果を報告するだけで捜査のサスペンスも感じられず味気ありません。あとは、ほぼ高倉健演ずる刑事と犬飼の会話のみで物語が進行するので前半と中盤の躍動と比べると、かなり後退した感は否めません。犬飼が事件当時に極貧の中、どこまで切迫していたか、その背景をもう少し時間を割いても良かったのでは?と思いました、そこが足りないので牢屋で犬飼が初めて慟哭するシーンもこちらにはあまり気持ちが伝わって来なかったです。色々不満を述べましたがトータルで見るとやはり、エンディング時には『あー映画を観た!』という満足感は得られてしまうので個人的には好きな部類の映画なんですね。 [映画館(邦画)] 8点(2009-11-01 19:50:38) |
3. 96時間
《ネタバレ》 リーアム・ニーソン父さんが、前半は娘を病的に心配してオロオロしたり、目の前でデレデレする姿は新鮮に見え面白くて笑ってしまうほどでした。そして中盤以降は娘救出一人部隊長として暴走・・お父さんはジェイソン・ボーンかと見間違うぐらいの格闘と頭脳のキレ味は相当な上に、リーアムの重厚な存在感も合わさりボーンとは、また一味違う魅力のキャラクターに創造されているのは良かったです。たまたま怒りのリーアム父さんに出くわしてしまった悪党はお気の毒さま・・・。終盤に向けてさらに暴走は拍車がかかり、しまいには事件に関係の無い女性に直接、危害!もう行く所まで行け!しかしクライマックスに対峙する悪党の中途半端な存在感で決着はインパクトが大分、薄れてしまい『えっ?』という感じでした。もうひと盛り上がり欲しかった感じもしますが、93分と短めで冗長なシーンもなくギュッとまとめてくれたのは好感持てます。あとボディガードする有名歌手とリーアム父さんとの関わりは、本筋とあまり関係なかったのは残念ですね。この映画は内容だけ見ると、ただの突っ込み所いっぱいのB級アクション映画にすぎないと思うのですが、リーアム・ニーソンのただ事じゃない存在感のお陰で(バリバリ、アクションをやる姿が微妙に似合ってない所もいい!)簡単に素通り出来ない魅力の映画になっているのは確かなようです。 [映画館(字幕)] 7点(2009-08-23 16:45:50)(良:1票) |
4. CURE キュア
《ネタバレ》 サスペンス映画として、とても良く出来ていた作品だと思います。 ですから終盤の難解な展開でも色々自分で解釈したり考えたりするのも悪く無かったです。(最悪なのは展開がつまらない上、訳が分からん映画です) 個人的に好きなのは二回あるファミレスのシーンでしょうか一回目に食事を残し覇気のない役所、二回目は妻の死の後のシーンにも関わらず憑き物が落ちたように心地よく食事している姿は滑稽な程です(これで妻の死は役所の仕業と暗示させる) ラストシーンの投げっぷりはゾッとしますし・・ 二回、三回見てその度に様々な解釈が出来て楽しめたりする映画でした(万人向けかどうかは微妙) [DVD(邦画)] 8点(2008-09-15 19:04:17)(良:2票) |
5. キングダム/見えざる敵
《ネタバレ》 冒頭から無差別殺戮テロやサウジ入国の緊迫の展開に最初っから目が離せない。 サウジアラビアは名前は有名だけど私は何もこの国の事を知らなかったと痛感。 サウジの現状のドラマと事件の捜査のサスペンス感も絶妙なバランスで成り立っていて良く出来ている。そして終盤の戦闘の迫力は半端なく手に汗を握ってしまった。 ただFBI捜査官達があそこまで戦闘が強いのはちょっと違和感を感じた、リアルな要素を盛り込んだ映画だったので余計にそう感じた。何せ弾が殆ど当たらないなんて・・。 ただラストはアメリカ映画お得意の『正義は勝つ』的な流れに見えたら、しっかりとその流れを絶望的に断ち切る決定的セリフが衝撃であった・・。 そこを一方的な『正義』の論理で誤魔化さず描いたのは大変に評価できる。 [DVD(字幕)] 8点(2008-04-12 17:09:35) |
6. キサラギ
《ネタバレ》 ハッキリいいましてこの作品が何故、こんなにも高評価なのか分かりません。 キャラクターの素性が分かる展開では唐突に場面の上に新しいシールをペタペタ貼るような感じの汚い反則技の連続です。 伏線と呼ぶには実に幼稚でお粗末なレベル。 元は舞台劇のせいか、殆どセリフだけの物語進行で映画を観てるような気がしない。 ラストの展開である事実が判明し、主人公にとってその事実はとても良かった的な着地になっていますが、でもアイドルが焼死した悲惨な事実は変わらないのに全員ニヤついているので『何だお前等は!』と引いてしまいました。こんなので心が温まるもんかい! ラストの死んだアイドルが映像で顔が思いっきり出たのには閉口しました。今まで顔を隠していた演出が全く無意味になりましたしね。 非常におかしな作品ですよ、これは。なんだかなー [DVD(邦画)] 3点(2008-02-28 18:56:03)(良:2票) |
7. キル・ビル Vol.2
《ネタバレ》 VOL.1のアクション満載な破天荒な展開とは全く異なる重厚な雰囲気でじっくりと物語を見せる傑作VOL.2でした。正直、最初はあまりにもVOL.1とノリが違うのでとまどいも覚えたのですがVOL.1ではまず見られなかったブライドの内面と仇のビルの男女の切ないドラマが次々と出されていていつの間にか引き込まれて行きました。最後のビルとブライドの会話は近年観た映画の中でも屈指の名シーンでした。VOL.2を観終わった後でまたVOL.1を観るとブライドとビルの感情移入の度合いもまるで違うと思いますのでそれを確認してみたいです。あと残り二人の殺し屋との対決ですが、しがない用心棒と成り下がるバドはやはりブライドにしっかりと殺されて欲しかったなぁ・・生き埋め中のパイ・メイとの修業の回想がほぼ唯一、VOL.1の名残が見えて緊迫した展開にホッと一息つける所でしょうか・・。エルとの対決は短いながらもオーレンとの闘いより何倍も凄まじい迫力で興奮しました。そしてあの決着で妙に納得しました。ビルとの対決はその前のシーンである意味、対決していたのであの短さで十分でした。最後の五点掌爆心拳のキメ方は絵的に少しあっけなく見えたのでもう少しツボを突く1点、1点をしっかり見たかったです。VOL.1で見限った人はあの方向性がキル・ビルのすべてと誤解されてVOL.2を素通りしてしまう残念な事も考えられるのでやはりそういう意味でも1本の映画としてまとめて欲しかったと思ってます。9点はVOL.2を見て1本に完成したキル・ビルの点数にしました。 9点(2004-04-24 20:08:34) |
8. キル・ビル Vol.1(日本版)
うーむすごかった・・ここまで破格な展開だと単純に気持ちいいです。 心配要素だったアニメーション導入も違和感なく入り込めていました。 80人斬りもすごくただ感服!VOL.1ですので途中で終る訳ですがマトリックスより全然、次回への期待が高まりました。 でも賛否分かれそうだな・・ 8点(2003-10-25 20:23:31) |
9. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
上出来の娯楽映画だと思います。最後まで展開が失速する事がなく楽しめました。ディカプリオ映画、初鑑賞でしたがいい役者だと思いました。ただ最初の所の転校先で教師になりすますシーンは後に詐欺師になる素質を見せる伏線なのでしょうが、冒頭から見ていてとてもこういう事をするヤツに見えず唐突で不自然に感じました。よく出来た映画なのでこういう些細な所とか気になってしまいます 8点(2003-09-30 02:02:45) |
10. 恐怖の報酬(1953)
フランス映画では一番好きです。このドロドロとねちっこい演出も最高です。前半40分以上に渡る連中のドン底生活の巧みな描写も飽きません。イヴ・モンタンのムンムンと漂う男臭さにもヤラレました。最初はダンディでボスの貫禄だったが徐々に臆病ダメオヤジに変わるシャルル・ヴァネルの演技も素晴らしかったです。底意地の悪いラストは妙に痛快に感じてしまいました。でも故郷に帰したかっかな・・後年、着色技術が施された本作のカラーライズ版はさらに暑苦しさが増してお薦めです。 10点(2003-06-17 00:22:34) |