1. キートンのセブン・チャンス
《ネタバレ》 突飛な設定に引き込まれ、オクテなキートンが700万㌦!目当てのプロポーズでの様々な「撃沈」模様に笑いが止まらず、新聞広告に話の道筋が見えてきました。 「ウォーミングアップは終わった。お楽しみはこれからだよ」 スケールの大きな緩急自在の疾走劇はサバクトビバッタが思い浮かぶ化物軍団(失礼)からの逃走でありメアリーのもとへ駆けつける爆走で、爆笑しながらもジーンとくるものがありました。 鮮やかなオチに後味も最高。キートンの至芸を堪能出来た大傑作。 余談ながら、受付嬢でのジーン・アーサー出演に驚きです。 [インターネット(字幕)] 10点(2021-01-31 05:02:48) |
2. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
寅八の一挙手一投足、一言一句に胸を打たれました。質屋の親爺さんの言葉も胸に染み入るものでした。終戦直後の制約の中でこれほどの作品が作りあげられた事にも深く感動しました。 [DVD(邦画)] 10点(2014-07-04 22:15:19) |
3. 飢餓海峡
《ネタバレ》 三時間の長さを全く感じなく、片時も目が離せませんでした。十年ぶりに再会したシーンに考えさせられます。願いを叶える事を心の支えに生きている時の幸せは成就した時に終わりとなる。ままある事なのでしょう。犬養の涙は八重を思ってのものではなく自身を思ってのものでしょう。犬養の自ら幕をひいた行為に、人の一生は大小の差はあれ飢餓の中で過ごすものであり、如何なる時においても貪り尽くす行為は身の破滅を招く事を知らしめられます。日本映画ここにありの作品です。 [ビデオ(邦画)] 10点(2004-07-13 17:10:41) |
4. 鬼畜
ラストの親子のシーンは、自分が見た日本映画の中で最も印象に残るものである。高校生の時以来何度見ても泣けて、泣けて、泣けて・・・映画を見て涙した唯一の作品。 10点(2003-12-23 20:35:45)(良:1票) |
5. キング・コング(1933)
《ネタバレ》 退屈さにリタイア寸前のところで登場したコング。その顔とカクカクした動きに失笑「何じゃこりゃ、ハズレだこりゃ」 しかしながら、 そこからエンディングまでのコングの一挙手一投足に釘付けに。破壊と殺戮の限りを尽くすケダモノが見せるアンへの一途な思いを表現する映像技術に拍手喝采、凄いとしか言いようがない。 アンの悲鳴に飛んで行き繰り広げる恐竜達との肉弾戦の超ド迫力。「ボクの彼女に指一本触れさせんぞ」「く、苦しい、負けてたまるか」「・・・死んだか・・・死んだな、よし」「どんなもんじゃい」「怪我は無いかい、やっつけたからね、もう大丈夫だよ」 気絶しているアンの匂いを嗅いで「ハァ~ン、可愛いね、好きだよ」 エンパイアステートビル頂上での最期「ボクがそんなに怖いかい、嫌いなのかい、さようなら」 唯々切なく胸が痛い、そういう作品じゃない筈なのに。 アンを始めとした人間たちが深みが無いのが歯痒い(-1点)ものの、怪獣映画の金字塔たる傑作。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-07-30 01:19:12) |
6. 恐怖の報酬【オリジナル完全版】
《ネタバレ》 2018年11月24日劇場鑑賞 1953年版鑑賞済。2018年11月にデジタルリマスター化したオリジナル完全版(監督に無断でカットした短縮版上映から40年後の本邦初公開)上映という事で駆けつけました。冒頭からエンディングまで「映画を作る狂人」ウィリアム・フリードキンの一ミリの妥協も許さないかのような気迫に圧倒されます。非道の殺し屋、外道のテロリスト、邪道の投資家、極道のギャング、4人それぞれの本国では生きてゆけなくなり肥溜めのような地に流れ着く過程を丹念に描く事で、圧巻だった300万ドルつぎ込んだという吊り橋シーンに於ける、地べた這いずり回る毎日から何としても抜け出したいという思いが浮き彫りにされます。罪に対する罰が与えられた結末はやるせないものの、やらずに後悔するよりはやって後悔したほうがマシなのだと思わされます。40年かけて復活させたフリードキンに祝辞を贈りたい傑作。 [映画館(字幕)] 9点(2021-02-28 01:58:21) |
7. キャスト・アウェイ
手に汗握った映像。トム・ハンクスの熱演。理詰めで見応え満点の展開。「何一つ希望が無くても息をし続ける」(台詞に+1点)チャックの生き様が強烈な印象を残す傑作。「ウイルソ~ン」涙溢れる名場面でリプレイタイムとなりました。 [DVD(字幕)] 9点(2020-07-17 16:50:59) |
8. 彼奴(きやつ)は顔役だ!
《ネタバレ》 珍妙な邦題ですが、原題が示す「狂騒の20年代」を生き急いだエディ・バートレットを描いたギャング映画珠玉の逸品。WW1復員兵に対する冷淡な社会で職にあぶれタクシー運転手として密造酒と知らずに届けた事がきっかけでアウトローとしてのし上がり、大恐慌でタクシー運転手に逆戻りしてしまう。時代背景の説明が簡潔的確で同じ様な人が他にも居たように思えます。エディ演じるジェームズ・キャグニーに心底見惚れ、落ちぶれてからの姿は神がかり的で、ラストの階段を駆け上がる姿を歯を食いしばり息を止めて観ていました。彼と絡むハンフリー・ボガート、グラディス・ジョージも絶品で、前者の命乞いのシーンと後者の(彼との関係はの問いに)「一生分からないわ」も忘れじの名シーンであります。プリシラ・レイン、ジェフリー・リン共に今一つ魅力に欠けるところに-0.001点としました。 [DVD(字幕)] 9点(2019-01-31 02:37:07) |
9. 希望の降る街
魅力的だった喧しくないケイリー・グラント、惹き込まれた気風の良いジーン・アーサー、惚れ惚れした生真面目なロナルド・コールマン。サスペンス、コメディ、ロマンスの塩梅が絶妙な脚本上で展開する三角関係を堪能し、とりわけ男同士の友情に胸熱に。本作のリプレイタイムはコールマンの右ストレートパンチ一閃シーンで背中に殴るオーラが滲んでおりました。他にも忘れ難い見事な演出シーンが満載の傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-11-17 23:58:12) |
10. 教授と美女
《ネタバレ》 よく練られたストーリーでの登場人物全ての一言一句に亘る軽妙洒脱さが心地よい。生真面目で朴訥なゲイリー・クーパーに胸がキュンキュンさせられる。ギャングのボスの情婦だと知った際の「君のような女性の事を何と言うのだ」刺すような一言に私の胸も痛む。余韻の深い結末を見届けて、ビリー・ワイルダー監督作品のようだと思ったら脚本を担当していたそうで、なるほど納得の極上の作品。 [DVD(字幕)] 9点(2017-12-15 02:34:58) |
11. 奇跡の人(1962)
初見。食卓での長回しシーン。共にオスカー受賞も納得のアン・バンクロフトとパティ・デュークが体現する究極の「迫真の演技」が圧巻。獣の調教ではなく、世界を知り自身で考えて行動出来る為の教育を施すというサリバンの尋常ならざる信念が、自身の悲惨な境遇に起因しているところが感慨深い。 [DVD(字幕)] 9点(2017-09-16 23:57:27) |
12. キートンの蒸気船
キートン初体験。センスの良いBGM、列車到着のシーンから期待感にワクワク。当時どのように撮影されたのか街を襲う怒涛の大嵐、ポーカーフェイスのキートンの身体能力の凄さ。呆気にとられながら大笑い中笑い小笑いさせられる中で親子の絆にしんみりさせられる。期待以上の傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-06-02 01:41:27)(良:1票) |
13. キッチン・ストーリー
予備知識なく観ましたので物語の設定に面食らい、最後まで鑑賞できるのか不安でしたが杞憂に終わりました。クライマックスのない淡々とした展開でしたが、何故か目が離せなく、最後まで退屈を感じる事はありませんでした。ぬるいめの温泉で芯から温まったかのような余韻を残す作品でイザック、フォルケ、グラントの交流にスウェーデン、ノルウェーのみならず、国と国の関わりという事についても考えが及びました。何気ない「ありがとう」の一言が本作では値千金の響きがありました。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-02 01:29:56) |
14. キングスマン: ファースト・エージェント
苦手なレイフ・ファインズへの不安が吹き飛ぶ秀作でした。ボーア戦争、WW1の歴史絵巻に父子の絆を盛り込んだ脚本が秀逸。喪失感からヨレヨレになったファインズが立ち直る姿はベタながら、人は見た目より中身ではなく見た目が中身を作り上げるのを改めて感じるところでした。監督らしさを見たラスプーチンを初めとする一味の親玉の正体が、う~ん、イマイチ(-1点) キングスマン誕生に相応しい物語に満足出来た作品です。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-07-12 00:52:49)(良:1票) |
15. 狂恋(1935)
《ネタバレ》 医学を征服した天才外科医の私なのだから、舞台女優のイヴォンヌも征服出来る!狂信に満ちたゴーゴル博士。ハリウッドデビューのピーター・ローレの血の通わない語り口にゾッとさせられ通しの怪演ぶり。列車事故で両手が潰れたピアニストである恋敵なフィアンセを陥れようとナイフ投げ名人にして殺人罪でギロチンにかけられた男の手に付け替える。落語「犬の目」のような話で何となく展開も分かるのですが、当然ながら笑い話ではなく哀れな結末に行き着きます。博士の終盤の暴走ぶりがいまひとつだったものの、短い尺に詰め込まれた見事な脚本でのキレのよい展開に緊張が途切れる事の無かった秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-03-27 12:50:34) |
16. 汽車を見送る男
本日クロード・レインズ誕生日と言うことで鑑賞。 スカーレット・ストリート(1945)を彷彿させる内容。 哀れでやりきれなくさせられたエドワード・G・ロビンソンに対して、坂道をブレーキ壊れた10トントラックが爆走するかの如く暴走するクロード・レインズに別の意味で哀れでやりきれなくさせられました。 生真面目な顔、猜疑心溢れる顔、美女を前に締まりのない緩みきった顔、鬼の形相、狂ってしまった顔。 名優の名演を堪能させてもらえました。 ザ・性悪女と呼ぶべきミシェル演じるマルタ・トーレンの美貌と迫力が特筆もの(31歳早逝が何とも惜しい) マリウス・ゴーリング、ハーバート・ロム、アヌーク・エーメ(やっぱりお美しい)が脇を固め、短い尺ながら濃密な物語で、全編で流れる汽車疾走音・汽笛が耳に残ります。 輸入盤DVDで英語字幕しかなく、大体筋立ては分かるとは言え、何故警部が捜査しているのか分からないところを始めとしてやはりもどかしいものがありました。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2021-11-10 16:32:49) |
17. 恐怖のまわり道
短い尺で少なそうな制作費($30,000だそうで 驚)でありながら、1992年にアメリカ国立フィルム登録簿にB級作として最初に登録されたというのも納得の秀作ノワール超掘出物であります。冒頭から結末まで目が離せずMIPアン・サヴェージ登場からはハラハラし通し。初めてお目にかかる女優さんですが、スーザン・ヘイワードを思わせる顔立ちでベティ・デイヴィスを凌ぐ悪女っぷりが素晴らしい。とってつけたようなラストショット(-1点)はヘイズコードによるものなのか、無粋なことです。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-25 09:56:27) |
18. 絹の靴下
アステアが霞んでしまったシド・チャリシーの魅力に尽きます。白眉はレッド・ブルース。元バレリーナならではの身のこなしで軽やかに翻るスカートにクラクラしました。傑作のリメイクも傑作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-24 01:40:00)(良:1票) |
19. 霧の波止場
フランス映画ならではの哲学的な台詞がゲージュツ的な白けるものではなく、詩情豊かで聞き入りました。ミシェル・シモンとピエール・ブラッスールの見下げ果てたゲスっぷりが際立っており、予感通りの結末に物語が導かれてゆきました。ミシェル・シモンの本質を見抜いていた(!)頑固で義理堅い犬の存在感も印象深い。脱走兵というセリフが皆無であってもそうだと分かる主人公が辿る運命を見事な演出で紡ぎあげた傑作。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-21 22:54:24) |
20. 吸血鬼ドラキュラ
初見。色気と気品が溢れるクリストファー・リー、端正なピーター・カッシング、最強コンビに挟まれて劣らぬ存在感を示したマイケル・ガフ、肉感的な美しさが目を惹いたメリッサ・ストライブリング、キャロル・マーシュ。ゴシックホラーブームの先駆けとなった傑作と呼ばれるのもなるほど納得。最強コンビの格闘シーンは作風に合わないと感じたところがほんの少し残念です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-02-03 23:06:50) |