1. キートンの大列車追跡
《ネタバレ》 メカニックで言うとさすがに危うい。列車も大砲も、小道具一つに至るまで現代の感覚で見ると玩具のようだ。しかし、この発想とアクロバティックな動きは、この手作りの感覚でこそ驚きを増す。例えるなら戦前のプロ野球選手のバットやグローブの写真を雑誌で見たとき、(よく、このようなグローブで硬式球の弾丸ライナーをさばけるな・・・)と疑問に感じたことが、次々と、想像を遥かに超えた技術でもって、鮮やかに目の前で証明されるような感じがする。その卓越した技術と、それに裏付けされたこころざしの高さが、画面の中から煮えたぎっている。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-15 08:58:53) |
2. 祇園の姉妹(1936)
《ネタバレ》 何とも堪えられない映画ですね。この時代の情景が見事に切り落とされ、尚且つ時代を経てもさほど変わらないであろう人間の内面にグッと迫っているのですから。丹念に作り上げられた作り手の気迫がジワ~ッと迫ってきます。流れゆく夜景を駆使した車中のシーンひとつとっても、当時のハリウッド映画にも無い拘りや工夫が感じ取れます。しかし70年以上も昔の日本映画ですが、レストランで“横文字のメニューが分からない”と工藤がおもちゃに任せるシーンを観ると“今の自分も大差ないな”と苦笑してしまいました。 [DVD(邦画)] 8点(2008-09-29 06:46:15) |
3. 希望の降る街
《ネタバレ》 この時代でサスペンスの要素がある映画って、人間の行動を非現実的にデフォルメして伝えてるところが多く、今観ると肝心の緊張感がごっそり抜けおちてしまってるように感じます。よって巧いな、面白いな、と思えても、傑作とまではなかなか思えないことが多いですね。本作もそういう映画の一つかなと思います。その中でも押し寄せるデモ隊に、ライトキャップ教授が空砲一発 →ブラッケンを突き出す場面はかなりの爽快感を味わいました。本作もケイリー・グラント熱演なのですが、ロナルド・コールマンの役柄の方により感情移入してしまいます。ラストの締めくくり方、粋ですね。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-23 10:25:08) |
4. キス・ミー・ケイト
全編を通してキャスリン・グレイソンとハワード・キールのハーモニーが最高に気持ちいい。そして主演の二人だけでなく、まるでオムニバスのように出演者ほぼ均等にレビューシーンが振り当てられているという意味では、かなり異色の作品。そして歌も踊りも多種多様のてんこ盛りなのに、そのいずれもの楽曲とパフォーマンスの質がめちゃ高いというのが、本当に凄い。 ギャング二人のタップや、際だつアン・ミラーなど、その異色の構成が多くの名シーンを生んでいるが、やはり極めつけは、終盤の"From This Moment On" この楽曲のクオリティ、孤高の躍動感、アン・ミラー、ボブ・フォッシー・・・、音楽とダンスと映像の魔術。狙ったのではなく、産み落とされた奇跡のように感じる至高のシーンに乾杯!という訳で今回全面改訂です。 [DVD(字幕)] 8点(2007-03-11 23:28:50) |
5. 巨星ジーグフェルド
《ネタバレ》 あの巨大なセットが、ゆっくりゆっくり回って、様々なショウが延々と繰り広げられる1カットのシーン、鑑賞している自分の瞳孔が少しずつ、少しずつ大きくなって、最後には全開になってしまう。ジーグフェルド・フィリーズ、最高。おそらくはカラフルな色彩が、殆ど白になってしまい、白だらけの画面、いやっちゅう程白い。それを自分なりの色をつけて想像するのもまた楽し。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-01-28 22:25:21) |
6. キートンの探偵学入門
《ネタバレ》 ハイリスク、ハイリターンな上にハイセンス。自分の中のモノクロ、サイレントのイメージを根底から覆されたのがバスター・キートン!全部素晴らしいけど、特に暴走するバイクの疾走間、そして最初に映画内映画のアイデェアを発明した上にこんなラストで締めくくられては、後からやる人がとても太刀打ちできません。 [DVD(字幕)] 9点(2006-11-20 06:38:17) |
7. キートンのセブン・チャンス
《ネタバレ》 前半の細かなギャクを散りばめた展開も味わい深いですが、ギアが入った後半の圧倒的なこと!走って逃げて泳いで走る、そしてとにかく笑える。驚きと爆笑で満ち足りたこの鑑賞後の余韻。1920年代のこの作品を観ると、映画の進化とは一体何なのか?ということさえ考えてしまう。 [DVD(字幕)] 9点(2006-11-18 21:57:24) |
8. キートンの恋愛三代記
《ネタバレ》 正直爆笑と言うよりも圧倒と呼ぶに相応しいギャクの連打!ほとんどが後のアニメーションとも言えるアイデェアを実写でやり倒しているこの凄さ。映画に体をはっていることが恋愛に体をはっていることにオーバーラップし、もう様々な感情が揺さぶられっぱなしです!受身を取らずに地面に倒れる小さいカットに土俵際の攻防で顔面から落ちる若乃花を彷彿とさせる(逆か!)凄みを感じ、勝手な想像だけど些細なシーンで見せる気の遠くなるような訓練に裏づけされた超一級の芸の凄まじさ。キートン、カッコイイ! [DVD(字幕)] 8点(2006-11-18 21:56:17) |
9. 疑惑の影(1943)
《ネタバレ》 この凡百とも思えるラストを持ってしても、流石はヒッチコックと唸らせて余りある傑作。巧い、本当に巧い!これぞ映画のエッセンスの究極。そしてこの普通のテレサ・ライトの光り輝き様は、ちょっと凄まじいモンがありますね。 [DVD(字幕)] 9点(2006-10-14 21:40:51) |
10. 北ホテル
マルセル・カルネ監督の、これぞこの時代、フランス情緒いっぱいの素敵な作品。この雰囲気とシーンごとの味わいだけで、もう充分楽しめます。タイムスリップして、あのホテルで1週間ほど滞在したいです。 [DVD(字幕)] 6点(2006-08-19 21:50:20) |
11. 恐竜100万年
《ネタバレ》 いろんな意味で男のロマンを結集させたような本作、自分も結構ワクワクしながら楽しめました。台詞が無いうえに、言葉も無い。ある意味サイレント以上にサイレントな、吃驚仰天の本作ですが一気に鑑賞させてしまうのは力技とも言えるでしょう。 [DVD(字幕)] 5点(2006-07-23 06:10:06) |
12. 絹の靴下
シド・チャリシーの息を呑む美しいバレエ、そしてダンスの大ダービス!アステアが唄うテーマ曲"ALL OF YOU"そのメロディと優雅なアレンジもGood!。まさに洗練されつくしたゴージャスな一品。ホテルの部屋で着替えながら踊るシーンはサイコー。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-23 06:08:18)(良:1票) |
13. 教授と美女
これはもう、グンバツに面白い!そしてバーバラ・スタンウィックの独壇場ですね、居候にも関わらず堂々としたスタンウィックの振る舞い(全てがサイコー!)ゾロゾロついて行く教授たちの様が最高に楽しい。あぁ~、終始バーバラ・スタンウィックの魔性にKOされまくりです。ヤバイ、ブッチギリの愛しさに脳みそウニ状態。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-25 11:46:41) |
14. ギター弾きの恋
その音楽的趣向とノスタルジックな味わい、本作に限らずウディ・アレンは僕の為に映画を撮り続けているのかと錯覚してしまいます(すみません!)確かにラストは『道』っぽくてニヤリ。何とも言えない余韻を残す繰り返し観たくなる作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-05 00:27:00) |