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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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1.  キック・アス 《ネタバレ》 
これは凄い。面白い。上映館の少なさが惜しい。R指定だからか。そう、これは確かに視聴制限がかかる内容を孕んでいるけれど、そこを容認できる人には最高の作品になる可能性も秘めている。以前に「ダークナイト」のレビューで、ヒーロームービーはフィクション色を消すことが面白くする条件、みたいなことを書いたけど、本作は見事にその逆を衝いている。リアリティを重視した情けないヒーロームービーと見せかけて、フィクションとして大輪を咲かせます。正直に言うけど、私にとって本作の魅力のほとんどはヒット・ガールの魅力でした。実弾を受けた時の衝撃を知る訓練、って変なシチュエーションで登場する少女。父親から誕生日にバタフライ・ナイフをプレゼントされて、嬉々として手に馴染ませる少女。あきらかにローティーンの体型だけど、その戦闘能力はヘタレが多い本作の中で群を抜く存在感を放つ。父娘がやっていることは復讐以外の何ものでもなく、こちらをストーリーの本流に据えると悲愴で陰気な物語になりかねない。だからキック・アスの存在が大事だったと、観終わった後に気付く。主人公はキック・アスでも、物語は彼女を中心に組み立てられている。難関は少女の大量殺人を是とするか?という点。モチロン問題大有り。でも、キック・アスが正義の責任に目覚めて助っ人として参戦するくだりは、彼女の虐殺行為を緩和して見せ、ラスボスをキック・アスに譲ることで責任を等分した。ギリギリの線で上手く構成したと思う。最後に本名を名乗りあうシーンは、復讐が終わって彼女が普通の少女に戻れることを象徴する…って全然フツーの少女じゃないんですが。親父の親友の警察官と暮らし始めることは、申し分ないエピローグでした。マーベル・コミック原作の映画化に食傷気味だった自分に、新たなヒーローが誕生しました。
[映画館(字幕)] 10点(2011-01-08 23:56:40)(良:5票)
2.  銀河鉄道999
劇場公開されたのは自分が高校2年生の夏。「宇宙戦艦ヤマト」でブレイクした感があった松本零士氏だけど「男おいどん」あたりからのファンの自分にとっては、この「999」が彼のエッセンスを詰め込んだ初めての映画という印象でした。旅に出て、人に出会い、冒険を経て成長する。わずか2時間の枠の中で、その流れが破綻せずに納得できるストーリーに収まっているのは見事でした。アニメーションの背景の美しさに初めて感動した映画でもあった。ラストシーンは美しい弦の調べと共に、野沢雅子の熱演に涙しました。「いま、万感の想いを込めて汽笛が鳴る…」。城達也のナレーションが深い余韻を残します。若者が持つ未知なるものへの漠然とした憧れと、それを希求するエネルギーが実感できる時期に出会ったことで、自分の奥深いところに何かを刻んでいる映画です。大学入学に際し、故郷を離れる新幹線のシートに座った自分は、メガロポリスで999に乗り込んだ星野鉄郎でした。
[映画館(邦画)] 10点(2008-08-05 16:57:20)(良:1票)
3.  キング・コング(1933)
現代の視点から純粋に鑑賞対象として観た場合、確かに古すぎる特撮技術などに見どころは無いのだけど、製作年度である1933年から横たわる80年という歳月を意識せざるを得ないパワーを放つ作品でした。1926年の「メトロポリス」にはそんな感慨は湧かなかったけど、この「コング」にはびっくりしました。オリジナルから40年後に製作されたジェシカ・ラング版「コング」も当時の最先端の技術を注ぎ込んだ作品でしたが、本作を観た後では1970年代の撮影技術のレベルの高低よりこの第一作の頑張りを証明するような印象に変わりました。そして、2度目のリメイクはこのオリジナルへのオマージュに満ちていたことを今更ながらに知った訳ですが、ピーター・ジャクソン監督が本作を尊重する気持ちが分りますね。ジャクソン版で印象的だったコングがTレックスをやっつけた後に下あごをもてあそぶ仕草が、すでに表現されています。この作品の凄いところは、コングや恐竜たちを動かしただけではなく、その動きを「らしく」演出するために膨大なエネルギーを注いでいるところだと思います。自分たちで表現のハードルを上げて、それをクリアーするために工夫と努力を繰り返した人たちの姿がフィルムの向こう側に見える気がしました。商業映画の黎明期に、その地盤を固めた作品だったのだと思います。で、なんだかレビューの本質とは離れますが、この点数は「敬意」です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-12-01 00:58:13)(良:2票)
4.  96時間 《ネタバレ》 
わずか90分に詰め込まれた破天荒な愛情。ひっさしぶりの快作でした。まず出だしが秀逸です。娘の誕生パーティのシーンだけで主人公と娘・元妻・元妻の現在の夫の関係を見事に描写します。その関係性は後のストーリーに全て活かされ無駄がない。娘を誘拐した実行犯を携帯越しに「必ず見つけ出して殺す」と凄むシーンに痺れ、その後の展開に期待が高まる。「!!! 」 その暴れっぷりは期待以上。そこに正義や倫理や道徳はありません。目指すのは自分の娘だけ。他の誘拐被害者には目もくれず、自分の娘だけ。かつての友人の妻なんて、旦那に口を割らせるために腕を撃ち抜かれる。とばっちりも甚だしい。拷問で情報を吐かせた実行犯は開放せずに電流を流しっぱなし。きっちり公約を守ります。ここまで徹底したキチガイじみた追走の動機は娘への愛情。自分にとって大切なものを守るという一念。その純粋な一念に、娘のいない自分でさえ感情移入し、娘が「来てくれたのね」と言った瞬間に頬に伝うものがありました。そこまで揺らされると、やってることは無茶苦茶でも誰かのためにエゴを貫くことの意義に首肯せざるを得ない。リュック・ベッソン、やれば出来るじゃん。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-12-19 20:07:01)
5.  キサラギ 《ネタバレ》 
「十二人の怒れる男」などと同様、閉鎖空間の真相追及ミステリー。面白い。二転、三転、四転、五転、転、転・・・。めまぐるしく変わる状況に、前のめりに惹き付けられる。笑わせたり、呆れさせたり、しんみりさせたり、考えさせたり。観る側の態度をストーリーに合わせてジェットコースターなみに昇降させてくれる。立場の違う5人のそれぞれのキサラギ像が一人のアイドルに収束して行く。それは、アイドルに限らず人の記憶に残る誰かの「像」が他者との関係性の総体であるという普遍メッセージを包含する。その偶像概念の検証で終わると思っていたら、なんと土壇場で如月ミキを登場させる。微妙な容姿と歌と踊り。たしかにD級アイドルだけど、ちょっと得した気分になる。それがこの変な映画に、さらにブラックな色彩を付加する。「原作もの」の安易な映画化が多い邦画界で、舞台ベースとは言え、書き下ろしのオリジナル脚本の強さを見せてくれる映画である。アイドル文化をトレースしていることを評価するなら、アカデミー外国語映画賞くらい授与されて良いくらいの見応えだった。これはケッサク。宍戸錠の蛇足は見なかったってことで・・・。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-10-24 01:50:16)(良:1票)
6.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編
ガンダム・ファンの視点に立つと、劇場三部作はアニメーション・ディレクターの安彦良和氏のリライト原画鑑賞会みたいな色彩がありました。特にこの「Ⅲ」は安彦氏がTVシリーズの終盤で体調を崩して作画に参加できなかったこともあり、その意味合いが強かった。安彦氏の手によって描き直されたセイラさんは凛々しかったです。また、冒頭のムサイ艦隊との戦闘シーンも映像的には映画のオリジナルに近く、テンポの良さとガンダムの突出した強さに痺れましたね。「ニュータイプ能力を戦争の道具にされるだけだ」。これはシャアのアムロ評です。では、戦争の道具ではないニュータイプとはどのようなものなのか? 地球の重力圏を離れたところを住処にした人類が、その環境によって進化を促される。これがニュータイプ。その中味は知覚域の拡大。富野総監督曰く、分かり合う能力。ファーストがテレビで放送されていた頃は冷戦の真っ只中でした。米ソの軍縮協議のニュースなどを見ていて、自分は大国のトップがニュータイプだったら何が起こるかを夢想していました。それは、正確な嘘発見器を体内に標準装備したようなもので、他者の言動に対して中途半端な評価は存在しない。物事は、信用できるものと出来ないものに二極される。すると、少なくとも相手に害意が無いことが知覚できれば、疑心暗鬼の兵器製造などはしなくて済む。これが自分の「戦争の道具では無いニュータイプ」観でした。夢のある概念だと思ったものです。予知や透視や念動力などとは毛色が違うので、劇中では「超能力」という言葉を使わないように配慮していることが分かります。「ガンダム」以前のロボットアニメには超能力者は出てきても、人類進化が描かれたものは無かったでしょう。今作が「ファースト」という呼称でその地位を維持しているのは、やはりこのニュータイプ概念があったからだと思います。シリーズ全体の山場でもあるアムロとララァとの邂逅には、その戦闘シーンの迫力と心象描写の融合に鳥肌が立ち、アニメーション表現の新たな地平を観た気分でした。もう30年も昔の話です。惜しむらくは「Z」「ZZ」「逆襲のシャア」と連なる作品の中で、この概念を発展・展開できなかったことです。
[映画館(邦画)] 9点(2010-01-31 04:04:40)(良:1票)
7.  岸和田少年愚連隊
面白かったです。それは文字通り、笑えるからでしょう。仮に同じストーリーをペシミスティックに描けばとことん陰惨な映画になったはず。両親の不仲とか家庭裁判所のシーンなどは平静に観られたものじゃなかったかも。でも、それが分かっているから、笑いのオブラートに包まれた展開でもパワーを感じるのだと思います。自身が置かれた様々な状況を振り切るように喧嘩に明け暮れる馬鹿どものバイタリティだけを描いた作品ですが、私は清々しさを覚えました。彼らの馬鹿騒ぎが終焉に近づいたときに感じた淋しさは、その馬鹿騒ぎも立派な青春だったことの証しでしょう。私も大阪の出身ですが岸和田の方面には降参です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-12-01 20:11:51)(良:1票)
8.  機動警察パトレイバー2 the Movie 《ネタバレ》 
「戦争を知らない子供たち」という歌があった。その子供たちが国家機能の中枢に収まるほど「戦後」が続いた日本の、危機管理意識と平和ボケとシビリアンコントロールの脆弱を仮想的に描いた作品。自衛隊の治安出動があっさり決まったりするあたりがやや都合良いけれど、永田町周辺で黒いマイクロバスから汚いダミ声でがなっているおっさんたちの話より、これを観る方がずっとためになる。世界標準的に日本の平和ってやっぱりどこか歪んでるんじゃないか、という懸念にそれらしく回答してくれる。9/11以降のハリウッド作品には対テロ戦争ものが多いけど、こちらの方がずっと深くシナリオが練られている。日本はこういう作品を実写でやるといきなり陳腐になるんだけど、アニメなら描き切れる。それが誇らしくもあり残念でもある。押井守っぽい、理屈をこねくり回した台詞にイラっとするところもあるが「パトレイバー」という「容れ物」を借りて存分に作家性を発揮させた創造力に感服。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-03 14:31:37)
9.  機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 《ネタバレ》 
総帥という立場でいながらも、ねちねちとララァを殺された恨みを抱き続け、それを土壇場で口にするところが富野節だと思う。政治家がイメクラでの変態プレイ趣味をカミングアウトするような恥ずかしさ。ん、違う? 映画としては、ファーストとZを観ていないと、何のことか分からないほど突き放した創り方。きっと初めて観る人には台詞の単語が普通名詞なのか固有名詞なのかさえ分からず敵味方の区別も付かないが、ガンダム好きには観るたびに理解が深まるマニアックな構成が嬉しくもある。シリーズ全体で言うならば、Zでの質の劣化に呆れた私はニュータイプ概念が創る世界には興味が失せておりましたが、それでもシャアvsアムロには心躍りました。そのメインイベントへ辿り着く前に、周辺キャラを狂言まわしとばかりに殺してしまうシナリオの思い切りの良さに感嘆。そこそこ頑張っていたギュネイをまるで雑魚のように墜とすアムロの戦闘能力に、ファースト終盤の鬼神のごとき強さが再現されたようなカタルシスを覚えました。それと、シャアの「ブライト、やるな」って台詞がとても嬉しかった。縁の下の力持ちだったブライトさんに初めてスポットが当たった印象でした。本作もすでに20年以上前の作品になりましたが、実はアムロとシャアのお話なら、また創って欲しいと思っているのでした。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-08-23 23:37:36)
10.  嫌われ松子の一生
悲劇をエンターテイメントとして扱い、でもしっかり悲しませる。初めて今作を観たときはその語り口に驚き、とても新鮮味を覚えました。邦画の歴史の1ページに刻まれるくらいに意義のある作品だと思います。子供の頃に心を動かされたおとぎ話に触れたような、現実感はないけれど重く響く見応え。それはリアリティに乏しいストーリーと、画面の隅々まで神経の行き届いた絵作りのアンバランスから生み出される。まさに、大人のおとぎ話という形容が嵌ります。お涙頂戴ではなく、反対に笑いで綴られた悲劇からは、経験したことのない類いの悲しみが沸き起こる。笑われることを宿命付けられたピエロの存在自体が持っているような深い悲哀という印象でした。凄い映画だと思います。この監督からは明確で強力な作家性を感じます。お世辞じゃなく、世界を相手に個性を発揮して欲しいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-17 23:46:35)(良:1票)
11.  疑惑(1982) 《ネタバレ》 
現在、あの二人と同じ役をこなせる女優がいるだろうか? 特に桃井かおりの憎らしさは振り切れていて、鑑賞者の心をダークサイドへ突き落とす。誰かあの女を痛い目に会わせてくれないものかと願ってしまった。もう製作者の思う壺だ。自分にとっての一番の見どころは、無罪判決後の二人の会話。社会的立場という意味では天地の開きがある二人だが、桃井かおりのひと言はスタンスの優劣を逆転させる強烈な一撃だった。「私は私が好き。あんた自分が好きと言える? あんたみたいな女、みんな大ッキライよ」。娘との別れで凹んでいた岩下志麻の傷口へ、ピンポイントで塩を塗り込みました。とびきりクールな岩下志麻でもスルー出来ない捨て台詞。ワインを浴びせ返したが、あれは桃井かおりの完勝です。憎まれっ子、世にはばかる。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-02-18 11:34:56)
12.  鬼畜 《ネタバレ》 
映画としての見どころは、岩下志麻の鬼ぶりと緒形拳の葛藤だろう。特に岩下志麻。でも彼女を「鬼畜」とは思わない。鬼畜は両親を形容した言葉です。産まれる瞬間までは平等のはずだけど、生まれた直後から環境に翻弄される子供たち。言いたいことは山ほどあるけれど、まとめる自信がないので以下に集約。生活力のない大人が親になってはいかん。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-02-14 13:47:43)
13.  きみの友だち
観始めてしばらくは何が言いたいのかが良く分からなかったんだけど、途中からジワーッと自分が子供の頃のことが思い出されて、はっとしました。誰にも共通することだと思うけど、小学生から高校生に至る頃の友だちとの繋がりって、その頃でないと享受できない特殊な関係だと思います。幼稚園の頃の友だちは、いわゆる遊び友だちで、一緒に遊んでいれば満足でした。大学に入ると、友だちより彼氏や彼女の方に意識が占領される。その間に挟まれた頃の友だちは、お互いに自我が成長する時期でもあり、とても不安定な関係だった。でも、多くを語らずに理解しあっていたようにも思える。とげとげしい部分と、許しあう部分がハーモニーを奏でるような関係。好きな友人は独占したいような気持ちもあったかな…。この映画は、そんな年代の密度の濃い友だちの関係を見せてくれます。自分は鑑賞中に何人も昔の友だちの顔が浮かびました。歳を重ねるに従って、そんな友だちとも自然と疎遠になります。期間限定の関係とも言える。それでも彼らは、自分にとってかけがえの無い親友なんだと思わせてくれる映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-11-09 01:42:56)
14.  キングコング対ゴジラ
前作から7年。アメリカからキングコングをゲストに迎え、エンタテイメント作品として復活したゴジラ映画。前作でアンギラスと闘ってますが、今作がその後の怪獣対決もののオリジナルでしょう。圧倒的に強いゴジラ。人間味溢れるコング。その対決に人間ドラマがコメディタッチで軽妙に絡み、大変よくまとまっている。その後の作品も常にこれくらいのレベルを維持してくれたらなぁ…。後にボンドガールを務める女優が二人も出ていて、それを意識して観ると贅沢な気分になれます。
[映画館(邦画)] 8点(2008-11-18 22:56:57)(良:2票)
15.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
鑑賞したのはひと月ほど前。平日の昼間にも拘わらず、けっこうな入場者数に驚きました。鑑賞後は今年を代表する邦画作品であることを納得しました。作品レベルと迎合性のバランスと云う意味です。 予備知識ナシで観に行きました。男女の中身入れ替わりはかなりやり尽くされている設定。なので、冒頭で期待感が萎んだのは確かです。でも、その後に?がたくさん浮かぶ展開となり、?を消化しながら最後はこの監督らしくまとめた。そんな感想です。 東京 ⇔ 飛騨、物語の現在 ⇔ 3年前 ⇔ 現代。若い男女の間に「時間」と「距離」を設定し、それでストーリーを作る。時間と距離は恋愛を彩る重要なファクターですが、新海監督はアニメでそのテーマに取り組み続けている稀有な方です。しつこいくらいw 本作の時空の隔たりはSFと云うよりミステリーとファンタジーの要素が強く、目的はやはり情の高揚にリンクさせること。突っ込みどころを抱きながらも、それなりに高揚させてもらいましたから及第です。それと、いつも通り空の描写が素晴らしかった。広さ、奥行き、色彩。惚れぼれするほど上手ですね。 ティーンのありふれた感情を描くために相当に極端なことをやっていて、それがこの監督の確固とした個性である、と以前「ほしのこえ」のレビューに書きました。本作でも「極端」は相変わらずで、SF設定としては甘々だと思います。中身が入れ替わってもカレンダーくらいは見るだろう。でも、災害回避の大義をストーリーの中核に据えたことで、個性を維持したままマスターベーション感が和らぎました。それが多くに受容された大きな理由だと思います。青春ラブストーリーSFアニメ。私がもう少し若かったらもっと感激していたでしょうが、そこそこ年配でも楽しませてもらいましたよ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-11-27 15:25:40)
16.  凶悪 《ネタバレ》 
悪い奴らはあんなものでしょう。凡人とは違う倫理観は見どころでした。でも本作のテーマは主人公の心情の推移だと思いました。 事件への食い付きから真相に対する探究心は真にジャーナリストらしい。でも、その熱意が中盤以降は危ういものに映ります。分かりやすく台詞になっていました。「このままでは、奴は無期懲役にしかならない」。つまり死刑を望んでいる訳です。ジャーナリストが「殺意」を持って報道に携わる。その是非を問う、すごく真面目な作品だったと思います。 プレーンな視点で事実を伝えるのが正しい報道の在り方なのでしょう。でも、そこに刺激が伴わなければ受容側の興味を惹けません。実際の報道にも何らかの方向性が付与されています。本作は極端な例ですが、偏った報道があって初めて生まれる反対意見もある訳で、そのせめぎ合いもジャーナリズムには必要だと思います。本作が見せた主人公の行き過ぎは、ジャーナリストの負の側面を見せたことに意義がありました。 ジャーナリズムの質を問う内容に家庭問題まで絡めたのは蛇足だったかも、ですね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-25 14:24:52)(良:1票)
17.  キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー 《ネタバレ》 
アヴェンジャーズを観る為の予習で鑑賞。1作目よりイイですね。同じく予習的なスタンスで観た○イティ・ソーの2作目より格段に面白かったです。主人公を始めとした登場人物の個性の立ち方の違いかな…。ヨハンソンが出てるだけで私は楽しく見られるのですけど。 現代的には「堅物」の範疇に入るロジャースですが、どこまでも真っ直ぐな人物像が気持ち良い。おそらく昭和ヒトケタ(ほとんど死語)。自分がやるべき事に迷いを見せないロジャーズが困惑するのは友人の件だけで、このあたりのコントラストが作品を締めていました。 70億を守るために2000万を殺す。350人に1人、0.3%の割合です。テロリストへの対応には攻勢のスタンスが取れません。仮に2000万人以上が被害に遭うようなテロが画策されるのなら本作の方法論はアリかなと思ったのです。でも、そんなことを書いたレビューをアップした途端、0.3%側にまわされる確率がグッと高まるのでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-08-15 10:45:56)
18.  Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 
北野監督が初めて撮った青春映画らしいのですが、今更ながらに既視感の無い青春映画でした。極端な成功や失敗が描かれていません。達成感とか願いが叶うとか、あるいは絶望するとか、そういう映画的なストーリーから離れたところに本作の見応えを覚えました。 作品の中で、人が成長している印象がありません。シンジ君が良い例です。ボクシングは上手くなっても対人的にオドオドした態度は変わらず、他人の言葉に流されて生きている。曲折はあっても、生き方のベクトル自体は簡単には変えられないものです。 でも、作品を締める言葉は「まだ始まっちゃいない」です。流した汗や努力の量に必ずしも比例しないのが人生ならば、挫折を繰り返しても諦め切れないのが人生なのです。エンディングで高校時代と同様にチャリに跨る二人の、決して順調とは言えない現状と台詞のギャップこそが、人生そのものだと思いました。 それは別に「青春」だけの話では無く、すべての年代に普遍する真理だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-06-09 01:26:42)(良:1票)
19.  巨神兵東京に現わる 劇場版 《ネタバレ》 
「Q」の上映前にいきなり始まった思わせぶりなモノローグと映像。最初は予告編かと思っていたけど、庵野氏が展示映像として「ミニチュアの特撮」に取り組んだという記事をどこかで読んだことを程なく思い出しました。巨神兵が実体化してからエンディングまでは、東宝特撮怪獣映画を軽く凌ぐ重量感と繊細さ。「ナウシカ」の中で王蟲を軽々と吹っ飛ばしたビームが街に向けて放たれたらどんなことが起こるのか。その描写には説得力がありました。また、鳥居越しに巨神兵を写すアングルなどは「地球最大の決戦」のキングギドラのオマージュで、古めの特撮ファンへのサービスだと思いました。 何を感じたかと云うと、突然やって来る災厄です。モノローグがそれらしいことを語っていたからではない。東日本大震災をビルの高層で体験した時に覚えた命のか細さ。あの非日常的な感覚が東京の破壊映像で蘇りました。 後に「Q」との符合を考えると、劇中で描写されなかった「サード・インパクト」って「火の七日間」のことではないかとも思いました。「セカンド・インパクト」は大質量隕石の落下に類似する気候の変化だったけど、「サード・インパクト」は巨神兵=エヴァのコピーが大量発生して地上を焼き尽くしたのではないかと…。 その真偽は別にして、「インパクト」という言葉で片付けている未曾有の大量突然死を感覚的に「補完」する意図があったのではないかと思った次第です。 ともあれ、「Q」を観に行って中味の濃いオマケを貰い、得した気分です。
[映画館(邦画)] 7点(2012-11-27 00:14:39)
20.  奇跡(2011) 《ネタバレ》 
「かわいい子には旅をさせろ」という諺がありますが、あれは子供の成長を促すというより、親に対しての戒めの色合いが強い。「過保護になるな」という意味で。子供たちが自らの意志で積極的に「旅」をしたらどんなことが起こるのだろう。本作はそんな映画だったと思います。九州を縦断する新幹線が初めてすれ違う瞬間を見る。その他愛無い目的も、遠く距離を隔てた場所で起こるので、小学生たちにとってはただ事ではありません。計画から準備、資金繰り、親や周囲の大人たちとの調整など、途上の苦労や工夫は、思い込みが激しい分だけ力強い経験値となって蓄積されます。幼児が「初めてのお遣い」で世界を拡げるように、彼らも「初めての旅」で世界を拡げました。「お遣い」との違いは、自分たちが受けている外界からの恩恵を実感したことではないかと思います。その自覚は彼らの内面をひと回り太くし、大人への第一歩を刻ませました。家族4人が一緒に暮らす「奇跡」をスケープゴートにしながら、自然とその過程がテーマになっている構成がとても良かったです。新幹線がやって来る直前、この「奇跡」を目指したアクションの記憶をフラッシュバックさせる演出に感心しました。複雑な想いや状況をひとつの方向性へと昇華させる刹那の心情を見事に表現していると思います。子供たちの成長のために、本当に大切なことは何なのか。教育機関などにクレームを付けることを生き甲斐にしているモンスターペアレンツさんたちに見て欲しい映画です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-08 18:07:10)(良:1票)
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432315.19%
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