1. 傷だらけの栄光
《ネタバレ》 いわゆる「アメリカン・ドリーム」の成功物語としては、まあ楽しめました。前半での素行不良の物語も、なかなか容赦ない。それでも成功できたというところが重要で、失敗してもやり直せる社会はやはり健全でしょう。それだけに過去をネタに強請られるという展開は、考えさせられるところがあります。ボクシング選手といえば硬派なイメージがありますが、女性には奥手でユーモラスな部分もあるところもよかったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-11 22:39:19) |
2. 奇跡の丘
有名なエピソードの連続で、キリスト伝入門としてはなかなかよいのではないでしょうか。「超人」としてのイエスと、平凡な人間である両親や弟子たち・民衆との対比がよく表れており、こうした表し方もうまいと思います。全般的にリアルな演出で、この映画においては聖書の内容が真実かどうかは、争う余地がないようです。音楽はバッハのようなクラシックだけでなく、ゴスペルなども使われていて面白い。特に最初と最後の"Gloria"が印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-12 20:54:03) |
3. キングコング: 髑髏島の巨神
《ネタバレ》 せっかくの割引の日ということで、IMAX3Dで鑑賞。かなり面白かったです。人物紹介もそこそこに髑髏島へ乗り込み、あとはとにかくアクションのつるべ打ち。途中での原住民との出会いもいい具合に箸休めになっています。適度にドラマを盛り込み、大上段に振りかぶっていないところが効果的でした。小道具の使い方もうまい(どうも最近、こういう映画を見たという記憶がありません)。まあ難点は、いつ怪物が襲ってくるかわからないのに、けっこうお気楽な雰囲気のところでしょうか。もう少しユーモアも入れてほしいところですが、この話の流れだと難しいかもしれません。ともあれ、次作の設定がどうなるのか、いろいろと想像をかき立てるところもあるし、娯楽作品としてよくできていたと思います。特に「コング対大ダコ」というのは嬉しかった。 [3D(字幕)] 9点(2017-04-03 16:09:58) |
4. 銀座カンカン娘
《ネタバレ》 なかなか楽しいコメディ。序盤で歌いまくるのでミュージカルかと思ったら、その後は普通に劇中歌として歌ってました。「歌うこと」をアピールする目的だったのかな? それはともかく、前半は明朗な喜劇だったのですが、徐々にシリアスな方向に持っていったりするのはうまい。とはいえ基本的に最後までコメディっぽいので、ケンカの場面とかちょっと違和感を覚えました。最後も志ん生師匠の独演会で、貴重なのでしょうが主役の2人が消えたりしてこれも「?」という終わり方。それともあれも笑うところだったのかな……? とはいえ、全体的には楽しめました。とりわけ、オーバーオールにベレー帽の高峰秀子がキュート! [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-08 08:10:44) |
5. 喜劇 駅前競馬
《ネタバレ》 脚本が藤本義一ということでどうかと思ったのですが、『駅前弁当』よりはまとまっていたでしょうか。藤田まこと演ずる馬太郎が引っかき回し役で、口八丁手八丁で森繁らをだましていくのが前半。相方の野川由美子が鹿子(2人合わせて馬鹿)というのは気が利いています。 このシリーズ、森繁・フランキー・伴淳のトリオが主役のはずですが、今回は駅前町内会のメンバーに三木のり平が加わっていて、伴淳は牧場主として後半合流するというのが変わっています。これだけで見ればそうかという感じですが、シリーズを通して見てみれば、変化球になっているのかもしれません。純朴な田舎ものの伴淳・町内会のお調子者ののり平という配役も、合っていると思います。 3人組の奥方が淡島千景・乙羽信子・大空真弓と壮観で、3人揃ってラーメンをすすっているところなど、そうそう見られないかも。しかも亭主に子作りをせがむという設定で、興味深いものがあります。本作は、こうした出演者の掛け合いが見どころで、お話の方はそれほどでもありません。掛け合いといっても、コメディとしてはやはり古色蒼然としていてそれほどおかしいわけではないですが、顔ぶれを眺めているだけでそれなりに満足してしまえる作品でした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-06-05 18:27:08) |
6. 喜劇 駅前弁当
《ネタバレ》 このシリーズは初見ですが、「社長シリーズ」を見ていて予想したとおり、面白くない。そもそもストーリーがあるようなないような案配で、埒もない会話が延々と続いていくだけ。社長2人が目下の者をやたらとぞんざいに扱うとか、喜劇どころか見ていて不愉快です。最後の方はちょっと人情噺っぽくなってちゃんと納めていますが、それまではどうにもこうにもなりません。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-06-04 17:17:42) |
7. 巨人と玩具
《ネタバレ》 増村監督らしく、早口でわめき立てるようなセリフ。しかし業界自体の性格が表れているようで、ピッタリしていました。内容的にも現代にまで通じる「サラリーマン残酷物語」であり、マスコミの裏側に垣間見られるいかがわしさや非情さをうまく描いていたと思います。それを体現していた高松英郎もすばらしいけど(若くて最初は誰かわからなかった)、虫歯の野添ひとみもキュート。「大衆は何も考えていない」などの鋭いセリフも飛び出し、とにかくパワーのある作で、「笑うのよ」っていう締めもなかなか考えさせられます。60年近く経っても風刺精神が生きているというのは、人間の本質を捉えているからなんでしょうね。『三丁目の夕日』シリーズが好きな人も、一度見てみればいいんじゃないでしょうか。 本作のDVDを販売しているのが角川というのも、偶然ですが面白い因縁です。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-03-12 11:37:34) |
8. キャット・バルー
《ネタバレ》 コロムビアの自由の女神がアニメに替わり、銃を乱射するところでコメディ宣言しています。しかし、見てみるとまったく笑えないし、終始退屈。基本の話は所有地争いにからむ復讐譚なのですが、それとお笑いの要素が木に竹を接いだようでしっくり来ないんですね。要するにシリアスなのかコメディなのか中途半端。物語の説明をする2人の歌もうっとうしくて邪魔。どうもこの映画のセンスにはついて行けません。もちろん、緊張感なんてものはハナから期待しませんが。リー・マーヴィンは熱演すればするほど、見ていて白けました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-01-03 15:55:25) |
9. 吸血鬼ドラキュラ
《ネタバレ》 まあまあ面白い。ジェームズ・バーナードの音楽がタイトルからしておどろおどろしく、戦慄するような内容を予期させるのですが、実際はどちらかというと雰囲気重視。ドラキュラが女性を襲う場面なども、あまりあからさまに描いていません。その一方で、序盤での女吸血鬼との争いや、終盤でのヘルシングとの対決など、見せるところはちゃんと見せてくれます。心臓に杭を打ち込む場面もしっかり2回出てきます。ドラキュラの最期も見ものでした。 それにしても、本作でのヘルシング先生(劇中では終始"Doctor"としか呼ばれていまぜん)は、知人の女性がドラキュラの被害に合うのを阻止できない、まるで金田一耕助のような役まわりでした。おかげでそんなに偉い先生とは思えなくなってくるのが少し残念。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-24 22:24:32) |
10. 銀座の若大将
《ネタバレ》 いやー、期待以上に楽しめました。本作では青大将の出番は少なく、単に嫌味な敵役という感じ。もっとも、試合で若大将を応援するあたりは、面白いです。お話はどちらかというと、若大将をめぐる恋のさや当てが中心。そのためか、今回は若大将も澄ちゃんに対して好意を持っていることを、はっきりさせています。こういうところがあるためか、明快な話なっていました。ライバル役では団令子が終盤でいいところを持っていきます(クレジットも、星由里子の前だし)。前作に比べると、かなり存在感が増しています。もうひとりの北あけみも、色っぽくてステキ。こうしたヒロイン連の競演が、本作の大きな魅力でした。 また、上原謙の出番も前作より多く、加山雄三とのからみも多くて楽しめます。久太郎と幼なじみという設定が利いていました。 最後の試合の場面では、細かいカット割りで、応援している客席を盛んに映していたのが印象的。めまぐるしいんですが、ボクシングをダラダラ映すよりはよかったと思います。ここでは妹役の中真千子がかわいくてチャーミング。全体として、女性が輝いている作品でした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-10-14 19:22:21) |
11. 北国の帝王
《ネタバレ》 なかなか硬派の映画ですな。男にとって重要なことは「誇りと品性」であるということを、2時間かけて描いています。大恐慌時代というのはあくまで背景ですし、列車の無賃乗車も単なる手段というか、「誇り」を描くための一例にすぎない。日本でも「武士は食わねど高楊枝」と言いますが、男には金がなくとも捨ててはいけないものがあるという、心意気がすばらしい(女性にあるのかどうか、それはよくわかりません)。たしかに無賃乗車というのは犯罪ですが、そうした行為にも誇りを持ち、品格を持って臨む。だからこそ、A・ナンバーワンは“帝王”と呼ばれるのです。シャックもシガレットも、帝王の前ではただの俗物。「高貴な魂」の輝きを見せてくれた作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-29 22:20:12) |
12. ギターを持った渡り鳥
《ネタバレ》 小林旭が若い頃の映画を見るのは、たしか初めてだと思います。なにかヌーボーとした感じで、あまり腕っ節が強く見えません。一応、格好をつけてもそれなりに決まっていますが。対する宍戸錠もなんだかもっさりして見えます。「無国籍アクション」なんて言われますが、意外とバタ臭くないキャスティングは面白いです。 始まっていきなり滝と外国人船員との殴り合い。そのままアクションのつるべ打ちかと思ったら、普通のドラマになってしまいました。ジョーが登場した後半からは主に拳銃の撃ち合いで、個人的には好みではありません。しかし、やはり小林旭では、腕にものをいわせるのは合っていなかったということでしょうか。あと、金子信雄の親分は、実は娘思いという一面を出すのかと思ったら、そこは強調されず腹黒親父になってしまいました。そのためか娘のポジションが今ひとつ決まらなかったような気がします。 本作でいちばんの見どころは、函館の風景でしょう。いやまったく、絵になる場所ばかり。ぜひとも行ってみたくなりますが、今の函館はどんな様子なんでしょうか。とにかく、撮影はたいへんすばらしかったです。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-09-04 19:38:30) |
13. 切られ与三郎
これも「題名だけは知ってる時代劇シリーズ」の一本ですね。本作の場合、歌の方で名前を知っているパターンですが(余談ですが、あの歌の歌い出しを長い間「粋な黒兵衛御輿の祭り」だと思ってました)。 で、映画としてはかなりよかったです。ひとことで言うと、時代劇らしい時代劇、由緒正しい時代劇という感じ。風情や情緒といったものが感じられ、そうしたものを表現できるだけの余裕があるという気がしました。撮影も美しい。 出演者では、浦辺粂子のおばあさんが印象的。冨士眞奈美がお嬢さん役とは驚きましたが、キンキン声で話すので、うるさいし全体から浮いている感じ。しかし、最後はいいところを持っていきましたね。 [地上波(邦画)] 8点(2014-06-30 22:16:15) |
14. 飢餓海峡
《ネタバレ》 本作における「飢餓」は「貧困」とも言い換えられるでしょう。犬飼にしろ八重にしろ、偶然大金を手に入れたことから、貧困から抜け出すことになった。それはいいのですが、それ以前の貧困、飢餓ぶりが言葉で語られるだけなので、観ているこちらには実感が湧かず、空々しい感じしかしません。特に八重は、金をもらったことを十年間も感謝し続けるわけです。それほどまでに嬉しいことだったのでしょうが、以前の八重に対してこちらは特に思い入れがないものですから、その態度が過剰で、ある種偏執狂的にさえ思えてきます。製作当時の観客にとってはある程度想像できたのでしょうが、現代人にはかなり困難でしょう。現代でも若者の貧困など問題になったりしますが、やはり本作で描かれているものとは質的に異なると思います。題材となった洞爺丸事故や岩内大火を、時代を戻して利用したわけですが、結果として「その時代ならでは」というのが強くなりすぎたと思います。 もう一つ疑問なのは、三国連太郎が演じた人物は何者なのか。最初は犬飼多吉と名乗るので、それが本名かと思ったら、のちに樽見京一郎という名で登場する。しかも樽見という人物は実在していて、母親もちゃんといるらしい。では樽見が本名で、犬飼は偽名だったのか。それならば、どういういきさつで偽名を名乗っていたのか。このあたりがまったく説明されていません。八重に対して「犬飼」と名乗った以上、これが本名か否かは、八重との関係を考える上で重要になってくるはずです。それが不明というのは、納得がいきません。 結論としては、本作では筋を追うのに手一杯で、主要人物の掘り下げが浅く、結果として不十分な内容となったように思われます。感情的に怒鳴り散らす味村刑事も、全体の雰囲気から浮いてしまっています。まあ、ああいう人物も必要だと考えたんでしょうけど。もっともよかったのは、伴淳の弓坂刑事。この人だけは、首尾一貫して魅力を感じられました。 [映画館(邦画)] 6点(2014-06-28 20:57:40)(良:1票) |
15. 銀座の恋の物語
《ネタバレ》 一応恋愛ものですが、夢をめざす青春ものの要素もあり、そのコンビネーションはよかったと思います。トランペットを吹く青年も、ありがちですが効果的でした。ただ、後半ジェリー藤尾の行動がややご都合主義的になったのは残念。あくまで青春ものはおまけの要素ということでしょうか。さらにそのおまけとしてついてくる(?)江利チエミの使い方は少々もったいないかも。だいたいこの映画、脇役に味のある人をそろえていますが、正直そんなたいそうな映画かいな、とも思います。ラブロマンスとしては、後半の記憶喪失が少々強引ですが、記憶が戻るきっかけが気が利いていてよかったです。これまで見た蔵原監督の作品では一番見られましたが、どれもいまいちまとまりがないのは、この監督の好みなんでしょうか。 それはともかく、いちばんの見どころは、メガネをかけてハツラツとした和泉雅子だったりして。あと、浅丘ルリ子の髪型がサザエさんにしか見えないんですが、これはやっぱり江利チエミが出ているからでしょうねぇ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-20 19:28:44)(良:1票) |
16. キング・アーサー(2004)
《ネタバレ》 最初の戦闘は各騎士の紹介のようなものですが、それぞれ戦い方に特徴があって、まるで戦隊ものみたいな印象を受けました。そのためかどうか、なんだか安っぽい映画だなぁという感じ。悪役のマーリンがいかにもという雰囲気で、かえってがっかりです。なぜ「魔法使い」と呼ばれているのかも不明でした。自由とか平等とか、いかにもアメリカ人好みの要素を重要ポイントに使っているのも安っぽさの一因でしょう。それにこの内容なら、別にアーサー王でなくてもかまわないという気がしますし、“伝説”のアーサー王物語の方が、よっぽど面白いと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-01-20 22:14:10) |
17. キューティ・ブロンド/ハッピーMAX
《ネタバレ》 ワシントンの政界へと舞台を移してグレードアップした結果、おバカ映画となってしまいました(笑) そういう視点では、それなりに楽しめました。友愛会全員集合による大行進とか、研修生がいきなり踊り出すとか、呆れつつ笑ってしまいます。一番うけたのは友愛会のあいさつで、まじめにバカやってるな~ってのがわかって面白い。しかし最後の演説でもっともらしい話になり、果ては「アメリカ万歳」になってしまったのでは、それまでとトーンが違いすぎてついて行けません。どうせならアメリカ議会や国そのものをしゃれのめす余裕がほしかったところ。それとアメリカで法案を通す手順は最後まで理解できませんでした。そのあたりもあくまでアメリカ人向けの作りになっていて、残念です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-14 21:57:40) |
18. キューティ・ブロンド
《ネタバレ》 これはエルの性格設定がすべてでしょう。お金持ちだけどタカビーなところがなく、ポジティブで友達思い。友愛会の会長を任されているのも納得です。高価なものを身につけても嫌みにならないところがステキ。頭のよさも端々に表現されています。裁判ではかなり運がいいわけですが、全体がコメディタッチなので、大きな傷とはなっていません。卒業演説でのシメも決まっていて、かなりいいできだったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-13 22:18:08) |
19. キッド(1921)
《ネタバレ》 ちょっと引っかかったのは、いきなり「女の罪は、子供をもうけたことだった」と出ること。子供を置き去りにしたあとでは「十字架を背負うキリスト」の絵が挿入されます。そうなると、終盤の天使のシークエンスも、単なる夢ということですませられないような気がします。チャップリンの商売も、子供にガラスを割らせてそれを修理するという、罰当たりなもの。その罪作りなところが最後にどう収まるのかと思ったのですが、その点は期待はずれでした。宗教的な意味をのぞいてもいい映画でしょうが、その背景に何があるのか、そのところが気になります。 ちなみに、音楽と一部効果音(ガラスの割れる音)が入っていました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-28 10:20:43) |
20. 危険がいっぱい
《ネタバレ》 どうもフランス製のサスペンスって、もっさりしてるんですねぇ。切れがないというか。アイデア自体は面白いし、自身がギャングに追われる原因とフランスでの事件が似ている(どちらも妻の浮気がらみ)というのもいいと思います。しかしどうにも怪しい雰囲気が感じられず、なんだかのんきな感じがします。なんかもったいないですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-21 11:20:52) |