1. グリーン・カード
《ネタバレ》 大嫌いなマクダウェルとべつにどうでもいいドパルデューが演じるラブコメだ。 マクダウェルは「セックスと嘘とビデオテープ」「フォーウェディング」と何を見ても不快だし、顔はともかくスタイルが悪すぎる=ますます女性に好かれないタイプ。 と、ズルズルしたスカートで体型をごまかすマクダウェルに鋭い視線を送りながら見るのだった。 が、かたやドパルデューもいいかげんメタボだし、そういう意味では釣り合いが取れていると言えなくもない。(「美女と野獣」などとは決して認めん。) ラストまで見て思った。この映画はドパルデューにしてやられていますね。メタボなうえに鼻がデカすぎハンサムとはとても言えず英語もヘタな彼。…どこもいいところはなさそうだが、それをラストで観客を泣かせてしまうという離れ業。 特に、渋滞してタクシーを降り公園を走る二人、別々の部屋で質問に答える二人、肝心な所でヌケているドパルデューや、自信に満ちたマクダウェル、エンディングに向けて盛り上げ方の演出はうまい。そして感動のラスト。移民局の役人を背に抱き合う二人。「ふり」が「本物」に変わる瞬間の爽快さ。 しかしフランス男はこれだから侮れないなあ。マチュー・アマルリックとかチビなのに色気があったりするし。フランス男は規格外の魅力、なのかもしれない。なんかちょっとくやしいわー。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-04-09 18:54:47)(笑:1票) |
2. クラッシュ(1996)
《ネタバレ》 ハギスの「クラッシュ」と間違えて見てしまった方にとっては、噴飯ものでありましょう。そりゃ災難でした。 どっこい私は衛星で放送を楽しみにしていたクチで、ひいきのスペイダー全盛期の美しさを堪能しようと…。や、スペイダーの美しさにはマチガイは無かった。確かにどの角度から見ても美男である。今のように太ってもいない。衣装がダサすぎるが、スペイダーのような美男であればそれもまた…。 が、この作品はスペイダーの美しさではカバーしきれないほど気色悪かったのであった。 基本はブラックジョークなんだと思う。悪趣味なコントなのだと思う。ラストシーンがあのように終わるのであるから、コントでいいのだと思う。 しかし全編に溢れて収まりきらないほどのえげつないセックスシーンは、私のような枯れ木状態の負け犬にはキツすぎた。ここまでエロを露出しないとダメかなあ。もう満腹なんですけど。 もともとコメディの素質があるスペイダーであるから、事故や障害によって性欲が刺激されハアハアとガッついていく様は笑えないこともない。でも、私は笑顔が凍りついて素直に笑えないのだー。 エロシーンの合間にブラックな笑いをはさんでいく、という試みは激しく観客を選ぶと思う。クローネンバーグにとって大爆笑のネタというものは、一般人が見ると笑顔が凍りつくレベル。…天才は孤独だなあ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-12-02 17:15:02)(笑:1票) |
3. グッドフェローズ
《ネタバレ》 このくらいテンポよく軽妙に見せてくれれば文句はない。 スコセッシは、話を面白くする要素をいくつも盛り込んでいる。まず、ジミーとヘンリーがアイリッシュであること、そのため裏社会で生きるに「第2市民」のごとき位置から一生抜け出せないであろうこと、それなのに仲間内で最も異常な人物であるトミーを「生粋のイタリア人」にしたこと。 トミーがマザコンで、ママは変な犬の絵を描くことや、ヘンリーが文字通り〝女難〟で破滅していくこと。 これらのどこまでが実話なのか知らないが、なんとも面白い話に仕立てたものだ。 ヘンリー自身はギャングとしては大した人物ではないのだが、こいつは何しろ実力者へのゴマすりがうまいということを武器に、コバンザメ式に成り上がる。そして最後には、俗な言い方をすると「命根性が汚い」ために裏切って司法取引する。法廷で突然観客に向かって語り出すというけったいなシーンは、法治主義である現代社会を鋭くついている。「法律なんてものは空洞だ。すべての他人はアメとムチでどうにでもなる。」でも、もうやめたんだ、〝殺されたくないから〟。 〝順番を待たないですむ〟ことや、〝より良い席を用意してもらえる〟ことって、それ自体は大したことじゃないように見えるけど、己にその「価値」がないのにそれを望んでしまったら、その〝代償〟はとても大きい。大きいんだ。普通の人は「アメ」か「ムチ」がなければ、他人にサービスなどしないんだから。 そして、ヘンリーに群がった女(妻を含め)たちというのは、とても頭が悪いか、そうでなければ自分に対して誠実でない。なぜなら彼女たちは、ヘンリーにくっついていることで〝おこぼれ〟を享受しながら、〝順番を待たないですむ〟〝より良い席を用意してもらえる〟の担保を見極めようとしなかったか、見ないふりをしたか、どちらかであるからだ。 これは古今東西の女性に共通する重要課題であり、軽視してはいけないと思う。あなたはどうですか?「なぜこんなに良い待遇が受けられるのか?」と冷静に判断できますか?それとも見ないふりをしますか? なんてことを考えてしまいました。ヘンリーと女たちについて。「グッドフェローズ」は面白いです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-11-07 18:11:05) |
4. クローン・オブ・エイダ
《ネタバレ》 この監督さんのことは全く知らないし、1回目視聴後はエイダがティルダ・スウィントンだということすら気付かなかった。これはもしかして、何回見ても、エイダとの交信が可能になった仕組みはわからないようになっているのでは?ラストで子供にエイダの記憶が移植されていることが判明するが、その理由も。私の貧しい想像では、どうにかしてエイダのDNAを手に入れて、その並列を打ちこんだあげく、自分のDNA情報をなんらかの形で組み合わせたのか?もうそれは他のレビュワーさんにおまかせしたい。 ともかく死んだ人間の情報を集めて「育てゲー」をやってるようなものと思おう。このエイダが次から次へとものすごい哲学的な深いことを言うんだわ。とくに終盤。いちいちポーズにして「今の言葉の意味は…」とかみしめてから、次のセリフに行かないとついていけないくらいだわ。これはたぶんかなりフェミニズムな映画で、エイダを「全く新しい女性像」として描いている。男や子供になんら価値を感じず「他のもの(研究)」に取り付かれている女性。エイダが「名を残す」ことをしきりと希望するのは、逆に「女が名を残せない透明人間のような存在」であったことを言っている。つまりはエイダの生きた時代、女とは子孫製造マシーンであり、歩く「内助の功」であった。エイダは「透明人間」でなく「人間」として成功したかった。男と同じ肉体的時間的条件で研究がしたかった。才能ある女性なら当然思うことだ。でもできなかった。けれどラストで「自分の人生には不満足だけど死んでいく」ことを選ぶ。 「死があるからこそ生きることはすばらしい」この言葉、よくよく考えても分からないほど深い。エイダがもしもこの作品の通りの女性だったとしたなら、生まれるのが100年以上早すぎたということだ。いつの時代も、早く生まれすぎた人間は一生苦しんで生きる。その人生は本人にとっては「悲劇」そのものだが、他人からは「天才」または「変人」と呼ばれる。 ティルダのビクトリア朝的な美しさ、入魂の演技は文句無しだが、主役の女優さんのカギ鼻にどうしてもなじめなかったので彼女に感情移入できなかった。ショートカットにしてからなおさらコワい。魔女顔だと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2006-03-02 21:14:52) |
5. クライング・ゲーム
《ネタバレ》 分かってるけど楽しめる。スターゲイトの人ですね。ここまできれいなら切らないんだろうか? ヘドウィグには悪いけど、レベルが違うキレイさだよね。出番ちょっとしかないけど元彼の黒人が絶妙。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-23 19:37:26) |
6. グリーンマイル
《ネタバレ》 大好きです。ダラボンよくやってくれた。この作品のトム最高です。「よき職業人、よき家庭人」て、ある意味本人のキャラに近かったのでは。離婚してるけど。この看守役、ほどよいリーダーシップが最高ですね、「アメリカの良き男性」の象徴ですな。キングは本当はこういう男性になりたかったのであろう。うん、こういう男の人がいっぱいいたら、世の中良くなると思うよ。モースもよし。テーマは「罪と罰」「正義を行うことの困難」「神の業の不思議」あたりでしょうか、キングだからね。老人ホームもほのぼのしてよし。これを見ると、アメリカはまだまだ大丈夫なんだろうなあ、と思いますね。こういうヒーローをまだ描けるところが。 [DVD(字幕)] 9点(2005-11-20 16:15:20)(良:1票) |
7. 蜘蛛女(1993)
《ネタバレ》 レナオリン知的でかっこよくて好きです。「蝿男」と「蜘蛛女」に出るとは、ジョークなのか。 なんか「痛い」感じのする映画だったなあ。「ハンニバル」より先に自力切断だ。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-16 23:04:03) |
8. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
《ネタバレ》 これってガスヴァンサントだったのか。ずいぶん前に見ましたが。なんか、「シービスケット」を見た後のような、「やられた」感がありましたね。「そんなつもりじゃなかったのにー」とウルウルしてしまう、うまい映画。アメリカ映画はどうしてやたらと幼児虐待が出てくるのかなあ。「フォレストガンプ」のロビンライトとかね。近作では「バタフライエフェクト」もそうだし。「ギフト」もね。そんなに多いのですかね、性的虐待が。アングロサクソンは性欲が強くて乱暴で、見境がないですね、と冷ややかーに言いたくなってしまうではないですか。マットはやはり名優だったのか。「ボーンアイデンティティ」でしびれ中です。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-13 18:04:59) |