2. クリード チャンプを継ぐ男
《ネタバレ》 私はシリーズモノの作品の中で、ロッキーシリーズが一番好きです。そんな自分が観た感想です。 本作、主役はアポロの息子・・・とは言えロッキー寄りの話になるだろうなと思い鑑賞。 この作品は完全のアドニスの話でした。ロッキーという映画史に残る名作のアナザーストーリー的な作品。ロッキーの世界観は残しつつ、新たな主人公の人生にスポットライトを当てている。作品の構成自体はとても面白かった。ファイトシーンは歴代最高の迫力だし、その他の出演者のキャラクターも良い。各ボクサーのキャリアが字幕で表示されたりする点など、ロッキーシリーズには似合わない演出だけど、これは新たな作品なんだと感じさせられた。フィラデルフィアライダーの若者の演出も同様。また、音楽面でもロッキーのテーマなど一切使用しなかった事もある意味評価できる。そう、これはロッキーシリーズではない新たな作品なのだ。 賛否両論あるが、ロッキーの描き方、悪くは無いと思う。どんな超人的なボクサーであっても、やはり人間だし、病気にもかかる。 本作ではリンパ節の癌に蝕まれてしまう。抗癌治療でベットに横たわり、副作用で嘔吐し、毛髪が抜け、精気も失せてしまう。 時代は過ぎるのだという事を表している。だから新たな登場人物も出てくる。そんな状況も上手くストーリーに絡めて表現出来ている。 以上、ロッキーシリーズの後を継ぐ作品としてとても良い作品だったと思う。唯一点を除いては。 それは、主人公アドニスのバックボーン・感情が描ききれていない点である。察することは出来る、ただそれでは不足であるし、非常に勿体無い。上記の通り作品自体は素晴らしいのに、今ひとつ作品に感情移入出来ないのである。アドニスのセリフ「自分の存在が過ちでなかったと証明したい」、そう、これをもっと描いて欲しかった。アドニス自体が飄々とした性格なのは良いが、恵まれた生活を捨てて、ボクサーとして生きていく決意をしたからには、もっと強烈な感情表現があったはずである。 本当に惜しい、勿体無い。 [映画館(字幕)] 7点(2016-01-06 10:39:04)(良:1票) |