1. 皇帝ペンギン
どうでもいいことだが,現実ありのままを指向するのがドキュメントというわけではない。どんなドキュメントであっても,必ず作り手の意思が映像に映し出されるし,相手が人間ならば,対象者の「撮られる意識」も絡んでくる。カメラが介在することで変化・固定化する「現実」を,意識的に取捨選択して,作り手の意図に沿った形で再構築されたもの,それがドキュメントだと私は思っている。そういう意味では,この映画の主役は確かにペンギンだけれども,別にペンギンが演技をしているわけではない以上,その本当の「主役」はペンギンの営みを通して見える人間の心の動きなのだともいえる。ペンギンの生態を紹介するような,NHKの教養番組的ドキュメントというのは個人的に大好きなのだが(プロフィールをごらんあれ), この映画のように,かなり作り手の意識というか美意識の入り込んだドキュメントというのも意外に心地よい。特に求愛ダンスの艶っぽさは秀悦。ただし,映像の美しさにくらべ,音楽は決定的に弱いと思う。そこが残念。 [DVD(吹替)] 7点(2006-03-17 00:10:15) |
2. ゴスフォード・パーク
《ネタバレ》 「神は細部に宿る」という言葉があるが、この映画はそんなふうに始まる。アルトマンいわく、様式とはすなわちディティールだ。戦前という貴族の光が消え去らんとしている時代、そこに生きる人間達もまた「様式」の中に生きていた。この映画では執拗にディティールが語られる。猟銃、自家製マーマレード、コンストラクト・ブリッジ、ゴシップ、カネ、色・・・どいつもこいつも紋切り型で杓子定規な人間ばかりで、個々の人間性よりもそういう「形」こそが「階級」であり、ひいてはミスター○○であり、ミセス○○なのだといわんばかりに。だから観る者が登場人物の区別がつかずに混乱するのも当たり前で、それはアルトマンの狙いにハマっている証拠なのである。しかし、そこにアメリカ人(新時代の隠喩)という異物が投入されたとき、そしてカントリーハウスの主人(旧時代の隠喩)が殺されたとき、登場人物それぞれの人間性がほのかに現れ始める。ヘレン・ミレンの号泣は、そのクライマックスで、このあたりになると、誰がどうなのかがハッキリ彩られて見えてくる(少なくとも私はそうだった)。私が思うにアルトマンは階級社会の崩壊と、それにともなう人間性の解放を描きたかったのではなかろうか。この映画を観れば、アルトマンがミステリ仕立てのストーリーなど重視していないことなど誰にでもわかる。だからそれをどうこう言うのは、それこそ野暮だろう。肝心なのは「人物の書き込み」でも「殺人事件の顛末」でもなく、「ディテールの積み重ねとその崩壊」なのだから。冒頭、強い雨のシーンから始まるが、ラストは快晴であったのがそのことを暗示していると、私は思ったのだがいかがだろうか?。雨にぬれた従順なメアリは旧時代の人間のありかたであったが、ラストでスターに軽やかに別れを告げ、女主人に痛烈な一撃をくらわすメアリの姿は、「様式=ディテール」に囚われずに生きることのできる、そんな新しい時代の到来を確かに予感させるのだ。 9点(2004-03-23 00:16:29)(笑:1票) (良:1票) |
3. コンフェッション(2002)
観ていて痛々しい。 3点(2004-02-17 10:06:18) |
4. コクーン
《ネタバレ》 老人たちは「若さ」や「不老不死」を手に入れるけれど、だからといって幸せになったわけではない。若さを手に入れられなかった人からの嫉妬を受け、永遠に生きるために友や家族と別れなければならないのだから。ロン・ハワードだからはっきりとは言わないのかも知れないが、この映画にはアメリカで当時流行っていたであろう「健康ブーム」とか「皺取り整形」みたいな、「老いる」ことがまるで罪悪であるかのような風潮への彼なりの批判もかなり含まれていると思う。「老い」という重いテーマを取り上げながらも、映画自体は重くならずにどこかほんわりしたところがある。そこもいい。 8点(2004-02-04 10:10:53) |
5. こちらブルームーン探偵社<TVM>
あ,これ観てた!懐かしいーーーー!今のいままで忘れてた!シビル・シェパード&浅茅陽子の組み合わせがとってもセクシーで,凄く好きだった。詳しい内容はもう覚えてないし,大したことが起こるわけじゃないが,軽妙ながらも男女の機敏がある大人のドラマという印象がある。内容からして女性ファンが多かったんだろうと思うけど,男の私も好きだったな~。NHK海外ドラマを観るキッカケになったドラマです。皆さんもおっしゃってるようにこれは映画じゃない。でも,こういう「間違い」なら大歓迎だ! 8点(2004-01-27 10:15:34) |
6. コンタクト
テーマは割り合い良いんだけど,神様とかそういうのが出てくると急に白ける。ハリウッド映画では結構使われているような気がするが,個人的には夢オチなみに陳腐だと思うし,何より宗教的な独善を感じるのが嫌だ。単に話が広がって収集つかなくなったときの必殺技,みたいな匂いもプンプンするしなあ。ホントいい加減やめて欲しいと思う。 4点(2004-01-18 14:26:42) |
7. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
ハードな世界観とメタリックな質感,スピーディなアクションは素晴らしいのだが,なんだか進化の袋小路に入った恐竜のように,行くところまで行ってしまったという印象を受けた。こういう進化の方向が正しいかはともかく,ここまで進化し個人的な思索の場になってしまったのならば,もはやカルトであり一般受けは難しいだろう。 7点(2004-01-17 12:35:28) |
8. この森で、天使はバスを降りた
7点(2004-01-08 16:17:00) |
9. ゴッドファーザー PART Ⅱ
9点(2004-01-08 12:33:24) |
10. 氷の微笑
5点(2004-01-08 12:24:46) |
11. ゴッドファーザー
9点(2004-01-08 10:53:13) |
12. 恋するための3つのルール
ヒュー・グラントの軽い持ち味が良く出た映画。肩肘張らず、気楽に観られるラブコメで、イギリス英語とアメリカ英語の違いに関するちょっとした知識があれば、レストランのシーンで爆笑するはず。エンドサインもひねりが効いていて楽しい。原題は「ミッキー・ブルー・アイズ」。結構洒落たタイトルと思うが、邦題はどうか。また、演出がややタルいのも残念。もうちょっとテンポがあると締まった良い映画になったと思う。 5点(2003-12-30 22:19:14) |
13. 告発
「スミス都へ行く」とか「十二人の怒れる男達」に通じる青臭い「正義」。それを照れもなく大上段に掲げた映画を作れるアメリカが羨ましい。抑えた演出と,ケビン・ベーコンの鬼気迫る演技が素晴らしい。 7点(2003-12-24 11:34:19) |