1. コーンフレーク
《ネタバレ》 磯部鉄平監督は知名度的には大した事ないかもしれないが、この人の作品は大好きなものばかりだ。 そんな磯部監督作品群の中でも本作がベストかな。 才能的には売れっ子監督のあの今泉力哉さえも超えてるとわたしは思っている。 交際6年で同棲中だが「愛情」のうち「愛」の方が欠けてしまった倦怠期の男女を描いている。 もはや居心地が良すぎて何となく交際を続けている状況。 二人とも見た目はめちゃくちゃ綺麗とまではいかないけど、愛着を感じるキャラで、見ていてどこか落ち着く不思議感。 男の方がかわいい女のコから誘われて浮気まがいなことをしてしまうところや、女の方が涙ながらに別れを切り出すところ、すべてが愛すべき人間臭いシーンだ。 ウォン・カーウァイが『天使の涙』のバイク二人乗りで魅せたなら、磯部監督は自転車二人乗りで魅せる。 『キッズ・リターン』の危険な自転車二人乗りに匹敵する危なっかしさとインパクト。 それと磯部監督は夜の撮り方が徹底的に巧い。 デジタルなカリカリの美しい映像でもって、魅力的に夜の情景を切り出す。 それは見ているだけで心地よい。 今後の磯部監督の活躍に大いに期待できる逸品。 [インターネット(邦画)] 9点(2025-01-19 13:14:21) |
2. 甲州街道から愛を込めて
《ネタバレ》 いまおかしんじ監督の作品なので苦手なベッドシーンは覚悟していたが、この監督の作品は面白いからそれでも見てしまう。 とは言え、かなりクセが強い内容なので見る人を選ぶかもしれない。 汚言症、投げ銭依存、フリーター、売れないミュージシャン。 そんな若者四人が集い交わる青春ロードムービー。 喧嘩しつつ別れつつ抱き合い泣く。 そんな調子でリズム良く進んでいく。 世の中のはみ出し者たちかもしれないが、それぞれ人間らしい感情を持っている。 そんな憎めない者たちが繰り広げる僅か数日の物語。 ベッドシーン(都合二回)や横浜銀蝿のジジイ(ウザい)が出てくるクサいシーンを除けば、なかなかの良作なんじゃないかな。 少なくとも自分は結構好きだ。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-01-12 20:49:09) |
3. 豪傑児雷也
《ネタバレ》 豪傑な児童である「雷也」くん主演の映画と思っていたら、どうやら違ったようで、「児雷也」というのが名前らしい。ややこしや〜。 ところでたまに挿入される日本語さえも怪しく読めない。 日本語なのに読めないのがもどかしい。 大正時代の日本語は難しいらしい。 児雷也っぽいお侍さんが煙と共に蛙や蛇に化けるのだが、あまりに貧相で泣けてくる。 同時代の他国のサイレント映画と比べると、だいぶ劣っているように思う。 [インターネット(邦画)] 1点(2025-01-06 08:36:37) |
4. 午後3時の悪魔
《ネタバレ》 カラーなのに、若松孝二が撮ったようなモノクロ映画的な異世界。 都会の中のエアポケットに入り込み、周囲の喧騒とは断絶されたような感覚を味わえる。 これだけでも十分面白いし、好み。 トンネルの中で警備員に襲われはしたものの、結果的にはお金を盗んだことにならず、家族も傷害保険で事なきを得た。 ハッピーエンドとも言える終幕だが、いっときの悪夢的な時間は何だったのか、あの男は本当に自殺したのか、独特の余韻を残す面白い短編映画だった。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-12-10 17:03:58) |
5. 転がるビー玉
《ネタバレ》 この手の日本映画には大体7点以上は付けるんだけど、これはどうも付ける気が起きない。 なんというが、主演3人それぞれの人物造形が甘い。 薄っぺらいキャラクターなので見ていても気持ちが入っていかない、入っていけない。 部屋の感じもいかにもオシャレに作りました的で、全く生活感がない。 吉川愛のとてつもない美しさ、特にラストシーンの緑のノースリーブワンピ姿を拝めたのが唯一のご褒美か。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-10-24 20:32:57) |
6. 小間使の日記(1946)
《ネタバレ》 序盤でギャアギャアうるさいセレスティーヌに幻滅し、セリフの応酬に疲れ字幕を読むのもかったるくなった。 後半は執事が逃げようとするが何故だかみんなに妨害され、挙げ句の果てには倒れるか死ぬかしてしまい、都合よくセレスティーヌと息子が結ばれる。 つまり、うるさい上に都合が良すぎる展開。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-09-19 19:43:30) |
7. 午後の網目
《ネタバレ》 まず思い浮かんだのが悪夢。 ループしまくる不条理な悪夢を見ているようだ。 次にホラーだということ。 鏡の顔をした黒装束の人間、どう考えても怖い。 そしてラストシーンも怖い。 つまり、私にとってこれは悪夢でありホラー。 悪夢もホラーも大嫌い。 だからこれも嫌いだね。 [インターネット(字幕)] 1点(2024-09-16 17:12:43) |
8. これがロシアだ
《ネタバレ》 1920年代のロシアとか、もう想像がつかないくらい縁遠い世界で、もはや意味がわからん。 前半は高層建築物の美しさや個性に魅了された。 中盤は街の様子が繰り返し映され、やや中だるみ。 後半はスポーツなどが描かれ、少し集中力が戻った。 当時としては斬新な映画技法がふんだんに使われている。 アメリカのサイレント映画に出てくるお化けのような顔つきの人たちと比べると、本作に出てくる人たちの顔貌は自然な感じだった。 何故だろう、それが一番の驚き。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-09-14 15:11:51) |
9. こちらあみ子
《ネタバレ》 あみ子のやらかしが手に余った家族は、やがてあみ子を隔離する方向に向かうが、あみ子はその障害ゆえに隔離された事に対して文句も言えない。 家族の一方的な行為にただ従うのみだ。 例えば、もっと親達が老いた時に子どもの将来を案じて、子どもが安心して生活できる場所を確保するために隔離という形を取るなら仕方ない。 けども本作の隔離行為はそういった類いものではなく、まだ若い父親が子どもを婆ちゃんの家に置き去りにする行為だ。 年老いた婆ちゃんに何かあったらどうするのか。 末永く未来まで考慮した隔離とは言えない無責任な行為。 この結末によって障害児の直面している社会的な危機を問題提起したかったのかもしれないが、物語としてみたときにあまりに酷いオトシマエとしか言いようがない。 [インターネット(邦画)] 4点(2024-07-28 12:06:08) |
10. コーポ・ア・コーポ
《ネタバレ》 アパートに住まう住人たちの群像劇スタイル。 内容は取るに足らないエピソードばかりなんだけど、ほっこりする内容のものが多く、まったり味合うことができた。 馬場ふみかの金髪がとにかく印象的。 スエットのズボンも良く似合っている。 大阪の街を堪能できるのもポイント高し。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-07-01 00:06:54) |
11. この日々が凪いだら
《ネタバレ》 最後の最後まで沈鬱な気分で見ていた。 けどラストで一気に晴れた。 途中、自身の辛い過去の影響でかなり滅入ったが、そんな辛いこともありながらのあのラストだからまあオッケーかな。 人生辛いことが多いし、うまくいかないこともあるけど、最後に良いことがあればいいじゃん的な単純さはある。 でもその単純さが大事。 終わり良ければ全て良し。 明日から少しだけ踏ん張れる気がした。 あ、そうそう!書き忘れそうになったけど、羊文学の音楽はやっぱりとても素敵だった。 羊文学の音楽が確実にこの映画を一段上に引き上げている。 音楽が映画に与える影響は大きいね! [インターネット(邦画)] 7点(2024-06-17 22:36:02) |
12. Calling
《ネタバレ》 愛と再生の物語。 妻が病んでしまい、奇行の数々を行うも、夫はそれを黙って受け入れた。 それは妻に対して愛があるから。 そしてついに妻は静かに微笑み、再生の一歩を踏み出す。 妻がもし病んでしまったら、ここまでのことが出来るか? でもここまですれば、妻は再生するのかもしれない。 そんなことを考えさせられる映画だった。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-06-01 08:59:25) |
13. コレクター(1965)
《ネタバレ》 彼を単なる猟奇的犯罪者、サイコパスと言ってしまえばそれまでだが、ストーリーが実に秀逸であるからして、映画作品として十分に評価に値すると言えよう。 まずは主演二人の演技が自然で、わざとらしさがなく、この悲劇的な話をリアルに感じさせてくれる。 並の作品ならば、終盤のスコップで殴った場面で彼女はなんとか逃げ延び、ハッピーエンドとなるだろう。 だがこの作品はそんな安易なストーリーを語らない。 そこがこの作品の魅力だろう。 舞台になるお屋敷だが、庭に地下壕がありそこには隠し扉がある。 お屋敷の周囲は緑豊かではあるが、近くに家はなく孤立した立地。 このお屋敷が厳かでありどこか不気味で、本作に絶好のロケーションだ。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-05-25 23:22:18)(良:1票) |
14. 今晩は愛して頂戴ナ
《ネタバレ》 馬で汽車を止めるシーンには驚いたけど、それまでのストーリーが面白くない。 無くてもいいような余計なシーンがいくつか出てくるため、テンポが悪いし話も少し分かりづらい。 主人公の見た目はサイレントの世界からそのまま飛び出してきたかのような顔立ち。 やたらモテる設定だが、そこまでカッコ良くもない。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-05-11 10:21:46) |
15. 今夜新宿で、彼女は、
《ネタバレ》 さっきちょうど新宿駅を電車で通過しながら、この映画を見ていた。 そんな訳で、とても身近に感じられる映画だ。 ストーリーとしては取るに足らないが、新宿を舞台にした臨場感やスピード感が見どころだ。 明らかにメンタル病みの女性が主人公で、特別美人でもないし不細工でもない。 これが何気にリアルかもしれない。 田舎から東京に出てきているらしく、田舎の母親から電話がかかる。 何か聞かれても大丈夫、変なことはない、みたいに無問題と答える女性。 大いに問題ありなのだが、田舎の母親には異状なしと答える。 これがなかなか興味深い。 こんなの見たら、田舎の親は安心して娘を東京に行かせられないよ! とまあ、娘を持つ親からしたら、ちょっとしたホラーだね。 監督は女性だが、おそらくリアルな東京、いや、新宿を知っている人なんだろな。 そう感じた次第。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-05-02 19:55:58) |
16. 五番町夕霧楼(1963)
《ネタバレ》 あまりに悲しすぎる物語。 家族の病気を治すため、そのお金を稼ぐために遊郭に売られた女性。 そこに惚れ込む脂ギッシュな中年男性。 女が元気な内は熱心に遊郭に通うも、女が病気になったら途端に居なくなる。 最後は遊郭の仲間の女性たちが面倒を見てくれた。 女の芯の強い優しさに心を打たれた。 男は最後は冷たいところが確かにあるよね。 その点、なんやかんや言うてても、女性は最後の最後は優しいもんだ。 木暮実千代と千秋実の熟練の演技が印象的。 [DVD(邦画)] 6点(2024-04-27 11:34:52) |
17. 腰抜け二挺拳銃
《ネタバレ》 いわゆるフツーの西部劇だと思っていたらコメディだったが、インディアンは殺しまくるし意外と残酷な内容。 面白さと残酷さが同居した不思議な映画。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-04-04 22:46:47) |
18. 極楽特急
《ネタバレ》 ストーリーの細部まで理解できなかった。 なんか話の進み方が慌ただしく感じた。 泥棒男はお金持ちの夫人に惚れたんではないのか? なのになぜ泥棒女と逃げる? 主人公の泥棒男の心情を理解できず。 スピード感があり過ぎて、私には理解がついていかないようだ。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-03-21 22:58:18) |
19. 恋人たちは濡れた
《ネタバレ》 1970年代の香りがプンプンと漂う素晴らしき演歌の世界。 場末の居酒屋にポルノ映画館。 この雰囲気だけで十分満足なのに、やはり絵沢萠子の濡れ場連発! こりゃ見たくない、気色が悪い。 ひなびた海沿いの町に謎の男が帰ってきて、過去はあまり明かされない。 お世辞にも綺麗とは言い難い女と絡みつつ、行き当たりばったりの荒んだ日々を過ごす。 なかなか退廃的で1970年代を満喫できて楽しい。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-02-07 10:15:09) |
20. 恋ひとすじに
《ネタバレ》 男の方の過ちだね。 女の方は被害者。 心中したようなものだから永遠の愛となったのかもしれないけど、これは男がいけないよ。 人妻なんかと付き合っていたのは取り返しのつかない不覚だ。 不義密通の恐ろしさを思い知らされた作品。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-01-04 20:39:47) |