1. コラテラル
《ネタバレ》 少し前の話だ。 友人が急に電話を掛けてきた。同じ学校の同期だった彼は、大変な仕事をリタイアしてなにやら大きな事の準備をするらしい。同時に全く合っていない仕事をなんとかギリギリにこなし続ける自分の能力を過剰に評価する会社に困り果てているのだという。僕は緑の箱から引き抜いたたばこに火をつけようとするけど、火花ばかり飛ぶライターに一向に火が着かない。羨慕の中頷きながら話を聞き、お互い大変だよなと笑っていると、 「起業のことだけど、手伝ってくれないか」などという。 詳細の一歩手前くらいの話をおもしろおかしく説明するこの事業は、確かに僕の能力とかぶっている。 「そういう訳で、損はさせない。固まったら連絡するから一度会って説得させてくれよな」と友人は電話を切った。 タクシー運転手のマックスはじきに独立するのだという。そこに乗り合わせたヴィンセントは大きな仕事の最中な訳だが、彼は本物のプロだった。恐らく軍人として訓練を受け研ぎ澄まされた技術を修めたはずなのに、何故かいま彼は素人を相手に一方的な殺人を行っている。 マックスは彼の職業意識と、従業員然とした自分の人生を見比べて覆い隠せない落胆を自分の中に見咎めてしまったようなのだが、ヴィンセントの職業そのものを受け入れることができない。 しかし、受け入れることができないのはヴィンセントも同じだった。自分の人生を作り出す道を選んだ先駆者だったはずだが、その手前にいるマックスに自分を重ね、その背中を押すようにマックスを殺さなかったヴィンセントは、やり直せない人生の幕引きを、マックスに任せた。 この映画を時々思い出す。地震の後、仙台にいた友人から連絡は来ない。不安と期待で蜷局を巻いていた気持ちはもう無い。彼があの日どうなってしまったのか、その後なんとか知ることはできた。もう彼と会うことは無い。 僕はずっとマックスのように、しもしない起業のことを得意げに吹聴し続けるのだろう、ずっと。僕の人生は11年の3月で止まってしまった。背中を押してくれるヴィンセントのような人間との危険な遭遇はもう映画の中だけの話だ。 だから、美しい夜景と、巻き添えを食うマックスと彼の行為の巻き添えを食うヴィンセントの、二人の短い物語には何となく憧れてしまうんだ。 というのを同級生から聞いて、自分の無個性さに自殺しそうになった。 [映画館(字幕)] 8点(2012-05-05 11:29:53) |
2. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 アレ、おかしい。面白い。凄く面白いし良く出来てる。 伊坂幸太郎っぽさって実はあんまり反映されていなくて、台詞回しとかキャラクタの心理描写なんかが上手く演出されてしまって元の味わいはない。おなじセリフやシーンなのに違う感じがするのは映画というものの性質上仕方が無い。 で、どうかというと結構良い。文字だとどうしても表現のしようが無い部分が簡単に画で迫ってくる。とは言え、迫力と引き替えの緊迫感のトレードオフなんかも生じる訳で、この辺はやっぱり割り切って楽しめる。 話はやはり良い。どうにもならないけど、どうしようもなく存在する恐怖感というのは結構古典的だ。プロット的には一般的な陰謀のど真ん中あたりを想定していて、ありきたりな「こうではないか」を聞いたら「そうですよ」と言われかねないほど画に描いたような暗殺の陰謀だったりするのだろう。つまり誰の手にも負えないリアリティの中に放り込まれたフィクションの人物劇であって、彼が勝ち残れる望みははっきり言って無い。個人や個の集まりなんていうものは社会や世界インフラの中ではその利用客体に過ぎず、主体的な改変をなし得る存在ではない事実が主人公に襲いかかる。それを最後まで完徹して見せて、見えてくるのが本当のテーマ、個の限界性と「とにかく死ぬな」だ。 恐らく打ち破る話というものを期待してしまうとがっかりしてしまうのだと思う。だけど、とにかくどう言う形になったとしても生き残った。殆ど何も持っていないし、生き残った後に元通りの大きさの幸せがある予感も全く無いのだが、それでも生き残って人を気遣う気持ちを残している。 良かった。ほんとにそう思うのだった。 [ブルーレイ(邦画)] 8点(2012-03-27 00:15:09)(良:1票) |
3. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0
《ネタバレ》 CGの品質設計が悪い。改悪じゃないのかと感じた。モデリングしているなら、そのパースで画にしてしまえば良かったのでは?と思うのだがゲームのおまけCGみたいなまま製品にせざるを得ないほど予算カッツカツだったのだろうか。作り始める前の検証不足か、予算不足と思われる。 日本のCGのレベルは日本製RPGを作ることに最適化しすぎて、ガラパゴス化してしまっているんではないだろうか。これではちょっとした外圧で絶滅するような気がする。現実にゲーム業界ってその入り口ではないだろうか。と、2011年くらいに考えてたが、今は一層そうなんじゃなかろうか。 CGをそのまま絵にぶっ込んでしまうというのはあまり感心できない。有名作品にやってしまうのは考え物だ。CGを使うということのリスクの高さをよく理解した上で始めるべきだった。 レンダリングするだけが絵じゃないぞ。パースを伴ってぐりぐり動く普通のアニメに見えるCGアニメも多数ある。一方で同年のスカイクロラは非常に良くできていた。違和感を演出として機能させていた。この映画の場合は全く違う制作会社が作っていて、宣伝の道具だったのではないかという気さえする。スカイクロラでは作画の統一性があったが、こちらは別物感が強かった。もう一手間掛ければ良かったのに。 一方でパネル表示のような、コンピュータ然とした演出は新しくなったことでグッと現実感を増した。この部分ではイノセンスのような洗練を感じた。しかし各戦闘シーンが待ちすぎでマッタリし過ぎていることや、狙撃のプロットが雑なことが悔やまれる。そこ直せ2008年製なんだから! 人形遣いの声だが、これってたまたま入った擬体を介さないやりとりなら擬体の声帯は関係ないのではと思った。実際はどうあれ内容の濃さを考えたら、人形使い自身のアイデンティティに依存するはずの声だろうと思うし、それを説明するために家弓家正だったのではないか。オリジナルは意外性とか面白さとかを狙って声を男にしたわけではないだろう。絵的にわかりやすい方向に変更して受け入れ口を広げる措置だろうけど、好かない。 緊張感や、統合される事への違和感が薄れてしまってはテーマがぼやけるようにしか思えない。 が、何回も見てると慣れてしまって、なるほどいつもの攻殻機動隊だ。攻殻機動隊なら何でも許せてしまう。ズルいなこう言う作品。 [ブルーレイ(邦画)] 8点(2011-09-19 17:28:55) |
4. コクリコ坂から
横浜の街で昔、デートをした。半世紀も昔の事ではないが、今となっては大昔だ。当時にぎわっていた巨大観覧車がそこにあるだけでなんか嬉しい空気があったり、工事中だった地下鉄をせっせと建設会社ががんばって作っているのをぼんやり眺められるバーがあったり。あぶない二人組の刑事が走り回ったり。そういう時代だって十二分にカビが生えるほど立派な大昔である。 地方出身の彼女は、有ろう事か、こんな暴言を私に浴びせるのだった。それも自然に他意もなく悪意もない。 「なんか、東京の方が栄えてるよね」 ちょっと待て。いや待ってください。そりゃまぁ東京の方が栄えてますよええ、全然栄えてるし遊び場もいっぱいですよはい。だけどね、違うの。違うんだ。関内駅をでて歴史の詰まった市庁舎とかポンコツスタジアムを眺めつつ、古風なビルを誉めながら中華街に向かってみなさいって。という説明にも分散しててどこがメインなのか分からない、とか私らは今横浜で何してるわけなのだとか痛いところをついてくるのはよしてください、とおのぼりさん二人である。 で、この横浜と今の横浜は、実はあんまり雰囲気の変化のようなものを感じたりはしないのだけど、ゲド閣下の作り上げた横浜は、あんまりにも美しすぎるじゃありませんか。 この雰囲気をどこかで感じて、猫が私の顔をじっと眺めている気配にふと浮かぶ。あれか、江ノ島とかの感じ。微妙な下町感を残した横浜の町並みに郷愁や憧れを感じながら、かわいい主役の女の子がほんとにかわいいなぁこれなんて感心しながら時計をみると十時四八分である。 又かゲド。オイちょっと待て、話し全然落ちてないだろ。 [映画館(邦画)] 4点(2011-09-01 01:28:38) |
5. 告白(2010)
《ネタバレ》 この悪意満載の映画には正直、興奮した。結末どころか中身が全部わかっている以上、映画になったときに期待するのはどの辺まで小説のアイデアを拝借してまるで違うものが作られているかということだが、ここまで同じ話なのにここまで面白く、映像や音の威力というものの神髄を見たかのようだった。 後味が悪いことや、倫理観が壊れてしまうような感覚、自分が知っている子供世界との差異へのたじろぎのような不快感は、すでに全く同じような原作の感想を方々で見ている。この作品が持つ不快感というのは明らかに作り込まれた不愉快であり、人造であるが、自然と作品の主張であるかのように存在感がある。 人工物であるという、隙のようなものがある種の箱庭感、安心感を醸すのだがこの作品に神経を逆なでされた人たちは、策略に乗せられても現実世界をもう一度認識することで強い不快感を顕わにする。それはこの作品の中で広がるいやな世界を否定することで現実世界の安心感を確かめたということだと思う。 しかし、これほどの不快感を人に与える暴力的なお話であるというところに私は何とも言えない魅力を感じてしまう。原作のもつ人に煩累を植え付ける暴力性を否定する書評やレビューが自然と、その嫌悪感の虜になった人たちの評価を浮き上がらせる。なんというか巧妙な心理操作がたまらない。心地よささえ感じてしまった。 松たか子がなぜかすんごい美人に見えて、吸い込まれるように感情移入してしまう。言い逃れする余地を存分に残し、最後には仕返しのためなら無差別に殺してみせる。実行犯を仕立て上げておきながらなお、すべてを失っている彼女は、真実が露見したら自殺するから良いもんね位の軽い薄ら笑いを浮かべた。「私が命の重さとか言っちゃって面白かった?ケケケ」的な確信的な薄ら笑い。が、なぜかすんごい爽快感だった。なんだこのザマーミロという爽快感。 なんかオレ変なんだろうなきっと。 [映画館(邦画)] 9点(2010-06-13 01:09:44) |
6. コブラ
《ネタバレ》 ああもうむっちゃくちゃ。これは金払っては観られないだろうなぁとか、放送されていると必ず観てしまったりする映画。 この映画のどこにそんな魅力があるのかさっぱり解らないんだけど、子どもの頃はとにかくこれとかゴリラとか、子供心にスタローンとかシュワルツェネッガーの中でも出来損ないだなって解ってたけどなんか観て、「うわぁ」とか言ってる。でも観ちゃうわけだ。 やっぱりあれかなぁ。絶対行きたくないような荒涼とした外国観っていうのが妙に引きつけるんだろうか。いったいどこの国なんだって位メチャクチャなんだけど、なんか良いんだなこれが。 [地上波(吹替)] 5点(2010-06-06 18:19:34) |
7. 子猫物語
この嗜虐性は中国とかのヤツと同じヤツ。 [地上波(邦画)] 1点(2010-05-22 16:01:32) |
8. この森で、天使はバスを降りた
《ネタバレ》 面白かった。大変良くできた話だったと思う。 やむを得ない(とみるか、それは関係ないとみるかは人次第だが)罪で長期の服役を終えた女性の人生と、アメリカの地方の生活観を巧みに織り交ぜている。これが男性であったら、成立しない話だがキレイな女性であるというところにいきなり説得力が発生している。巧いな。 まっとうな人間であるパーシーは、本質が善良であるが故に追い込まれ罪を犯してしまったことが後の方になってわかる。ことの原因を知ろうが知るまいが関わる人間に否応なく齟齬や嫌悪感を生む結果となるが、そのことをわかっていてなお新しい静かな町で新しい静かな人生を送ることを想像し、期待する人間には厳しい結果となった。 しかし、元に戻すすべのない間違いを経て、いろいろな行き違いやわだかまりが解決したその風景に感動した。素直に良い映画だと思えた。また社会的な問題や、90年代でさえ残る心を病んだベトナム帰還兵の問題など、それを意識させないさじ加減で物語の中核に据えてくる手腕に舌を巻く。 それだけではなく主演女優の美しさや雰囲気満載の邦題、脇を支える俳優たちのしっかりした演技力等見所が多く実に良くできた映画だ。良いお話を見て喜べる、実に良い作品だった。 そうそう、液晶テレビにアップコンバートしたDVDを映し出すのは現状仕方のない最善手であるが、BDとは比較にならない。やはりこうした作品こそBDで売ってくれないかと思う。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-04-18 18:58:57) |
9. コマンドー
《ネタバレ》 昨年、ちょっとした大事件があった。 コマンドーの日曜洋画劇場版吹き替えバージョン(玄田哲章版)収録盤DVDが発売された。それはコマンドー伝説が地上に現れ、4半世紀を経て神話として結実した瞬間であり、コマンドーを心の中どこかに置き忘れたすべての人にある種、警告として権現した瞬間であった。 だが忘れてはいけない。伝説は神話となったが、それを収める聖典は不完全なものだ。完全なHDソースと日本語吹き替えを収録したBD盤がリリースされることで我々はすべてを備えたそれを手にすることができる。2010年現在、売られているBDはDVD盤に劣る模造品であり、文明的な価値は薄い。 しかし、やがて地上に現れるであろうそれを購入したとしてもテレビ放映を高ビットレートで録画しながら、リアルタイムで見てしまうのだろう。 [地上波(吹替)] 7点(2010-04-04 18:45:29)(笑:1票) |
10. ゴッドファーザー PART Ⅱ
《ネタバレ》 面白いんだよなぁこれ。アルパチーノのじっくり見せるストーリーと、わかりやすくスピーディーに進むデニーロのストーリーと、構造が違う話が同じ映画に絶妙のバランスで配列されてるし。悶絶するほど面白い。1より好き。 特にラスベガスの微妙な力関係が変遷し始める瞬間をじっくり見せ、そのフラストレーションを暴力的に解消させる流れに少々の疑問を持たせる作りは秀逸。ほんとにこれで良いと思ってんのか?と、思わされていてもその答えを表情から伺うことができない。含みを持たせないことで持たせる。そして世界観を誰にも壊させない。 この不愉快な感じが良い。デニーロパートの清涼感にさえ疑問がわいてくる。そういえば、この話自体は疑問どころか間違っている世界なのに、魅力がある。その道徳や倫理感をぐらぐらさせる3時間。それが終わると徐々に現実の道徳観に戻ってくる。そういう異次元を体験できるのがまた良い。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2010-01-11 18:32:00) |
11. ゴースト/ニューヨークの幻
楽しくていい気持ちになれる映画だ。 あこがれのような気持ちと、切ない感じと、サスペンスと、笑いまで絡めてしまうこの映画には90年代の入り口らしいスマートさと80年代末の何でもありが同居している。そういういろんなものが混じり合った結果、いろんな楽しさが生まれているのに味としてはゴーストっていう映画にまとまっているところがスゴイ。 音楽の使い方とか、ろくろのシーンとか明らかに飛び道具だし後から客観的に考えるとどう考えても雰囲気作りのためだけの要素なのに、見てるときは全然気がつかない。むしろのめり込まされているわけで、どうにも巧い。特に美術的だったりする訳じゃないし、サスペンスとして一級であったり、巧妙な人間関係や恋愛でもない。 だけど、穴無く作り込まれた様々な要素は結果的に記憶に残る映画として形になっている。一方で全部入りのような安直さがあり、他方でまじめ。だけどまじめに拾いあげられてみると固まりとして安直に見えない。ハリウッドらしい技巧に富んでいる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-09-09 22:00:24) |
12. 荒野の用心棒
《ネタバレ》 もうですね、しびれるんですよこれは。ほかの西部劇にない、主人公の薄汚さがたまらんのです。 12チャンの西部劇ばっかりみてる小学生にはなんだかイーストウッドが出てくる西部劇は異次元な訳です。もうコイツが出てくると、場がめちゃくちゃになる、誰が死ぬのかわからなくなる、悪党の意味がわからなくなる。と、無茶苦茶なアウトロー加減にしびれまくるわけです。 本作でもまたろくなことしない上にボコボコにされますから。で、最後にやっつけちゃうんですからたまらん。何にもしなくてもカッコいい上に強いんだからそんな卑怯チックなことしなくったって良いじゃん。とか思っても全然思い通りになりません。そういうヤツなんですよ、イーストウッドが演じるガンマンは。 にしてもジョンウェインだったら絶対こんなことしないよなぁ。よくこんなメチャクチャな西部劇作るよな、すごいオリジナリティだよ。って中学生までずっと思っていたら、もの凄いパクリ盗作映画だったと聞いて、もの凄くしびれた。 主人公どころか徹頭徹尾、なんて汚え映画なんだ!と。 [地上波(吹替)] 9点(2009-08-16 05:14:34)(良:1票) |
13. 氷の微笑
《ネタバレ》 これを公開当時今はもう無いであろう湘南の劇場で見た時、 たしか、確か記憶では。確かにそういう気がしたんだけど、シャロンストーンが足を組み替えるシーンでぼかしがなかった気がする。 もうそれだけで評価が正常な心理で付けられない訳で、少年少女で見に行ったあの帰りに皆そこに触れなかったのはやはり見えていたからなのではないだろうか。 サスペンス物としてもエロティック物としても秀逸な本作。後に何かの番組でたしかバーホーベン自らがシャロンストーンが犯人であることとその証拠をいちいちくどくどと、どうしても聞き入ってしまう話しぶりで解説していた。やっぱり犯人は彼女だったんだろうな、その後はどうなるんだろう・・・と想像した瞬間、たしかマイケルダグラスは殺されないでしょなどと身もふたもないことを言っていた気がする。何というかプロらしく物語のバックグラウンドまで提供するとか、そういう所もセットで考えて非常に良くできたイベント的な映画だったんだな、とか非常に感慨深い。 でも、そうじゃない。問題なのはそこじゃなかった。 あのときの少年少女達は時が経ちすぎれば離ればなれになっており、あのスジは今ではすっかり永遠の謎になってしまっている。 [映画館(字幕)] 7点(2009-07-25 15:23:29) |
14. 荒野の七人
《ネタバレ》 もう大好きです。この映画はきっと死ぬまで時々思い出したように見続けるんだと思います。 一番最初にみたのがいつだかわからないくらい私の人生の中に自動的にインプットされていて、このカサカサした風景とか悪人とか7人が常に昼間の12チャンに流れているような、そういう錯覚すらしてくるくらいの作品です。 7人の侍のリメイクであったということを知ったのは小学生の頃。その頃にはすでに数え切れないくらいの回数をみていて、オリジナルではないということになんというかものすごい感銘を受けたのを思い出します。 小学生の頃、西部劇が映画であるという概念がなく、とりあえず12チャンに回すとやってるアメリカのお話。っていう認識であったのが懐かしい。 なんていうか、7人の侍の方が確かに情緒のようなものは深いのですが、ラストの寂しさや落胆にも似た空白感はこちらの方がわかりやすく、本当に楽しさや美学というものの概念が詰まった作品に思えますが、やっぱり「大切な映画フィルター」がかかってるんでしょうね。 これと続・夕日のガンマンは映画という概念ではなく、言葉とか歩くとかそういうレベルでインプットされています。 テレビに映っていると無条件に見入ることができるお話です。問答無用で完璧に集中してその世界に連れて行ってくれる映画、とにかく最高の2時間なんです。 [地上波(吹替)] 10点(2009-06-07 00:01:52) |
15. コナン・ザ・グレート
《ネタバレ》 相当面白い。シュワルツェネッガーの初期作品の中では相当なシリアス作品で、この手のファンタジーものとしては特に面白い部類の映画ではないかと思う。 シュワルツェネッガーの演技そのものもなぜか非常に説得力があり、わりとシリアスな脚本と暗く綺麗ではないストーリーが相まって独特の雰囲気が滲んでいる。この映画がB級なのかA級なのかと言われればどちらかと言えばB級よりではあるんだろうけど、言われているほどのそう言ったテイスツにあふれているわけではないように感じる。 特に、こういった映画には珍しく、吹き替えが思ったよりしっくりこないのが特徴で何となくしゃべり方で説明的無理矢理キャラを作り出すことがうまくいっていない。でももしかしたら演出ではなくて音源の状態が良くないからかもしれないけれど、原語との間の違いも大きいと思う。 もちろん子供が喜ぶ要素も多く、必ずしも現代の大人向け映画ではないだろうけど、30年近く前にこれだけ静的に神話的な世界を映像化したというのは相当な手腕だと思う。今観ても何か、生きていく柱となる標的にぶれずに立ち向かう話の筋が意外と現代的であり、チャンバラ以上にきちんと見える決闘や決戦のシーンの迫真さに気がつくと手に汗を握っているからだ。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-05-31 01:49:45) |
16. 交渉人(1998)
《ネタバレ》 頭脳戦ではないけれど、スピーディーな展開とやりとりが秀逸。 ラストのすっきりさも最近のようなアホかと思うどんでん返しよりよっぽど良い。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-01-24 16:14:00) |
17. ゴーストバスターズ2
最後がなぁ・・・いまいちちょっと。 子供の頃観たにしてはつまんなくはないけど・・・っていう感じでした。 [地上波(吹替)] 6点(2008-10-12 00:19:59) |
18. ゴーストバスターズ(1984)
子供の頃観たから面白かったです。 この異世界感が良いんですよ。 [地上波(吹替)] 7点(2008-10-12 00:18:46) |
19. ゴースト・ドッグ
だるい雰囲気が良いです。 レオンのオマージュなんでしょうか?話にオリジナリティはないんですが、見せ方にオリジナリティがあります。 なんかかっこいいんですよね。 で、どこまでふざけてるのか、海外にはゾッコンのかたも多いこの映画、その境界が全然分かりません。 でもその結果ものすごい味が生まれてるんですよね。 [映画館(字幕)] 7点(2008-08-25 21:53:03) |
20. ゴジラ(1984)
記憶をかなり美化してますが、薩摩剣八朗さんのファンなのでつまらないとは思わないです(汗) ゴジラの動きの良さでかなり救われているんじゃないかと思います。 こういう現実路線に近い映画を使って、今リメイクして欲しいものです。 そういうことをやって、過去出来なかったことに向き合ったり、技術の限界を変えていかないとほんと邦画って駄目になると思う。 ハリウッドが積極的にやっているんだから、そう言う大きな流れが起こっているうちにやっとかないと時代遅れの勘違いになるんじゃないかと。 ハリウッドのリメイクをみると、ネタ切れなんてとんでもないって分かります。題材が枯渇したわけでもない。発想だけで終わらせないで技術の積み重ねをちゃんとやってるんですよね、向こうは。 もっとも、邦画が今やると素人のマネーゲームでプロが駄作を生んでしまうような歴史を繰り返さないとも言えません。 [映画館(邦画)] 6点(2008-08-24 13:42:14) |