1. 石のゲーム
目で見るオルゴール。定刻になると、刹那の輝きを得たかのごとく踊り出す石たち。そして用済みになるとそれらは無感情に吐き出され、旋律の残滓と化し、味気も何もないアルミのバケツに遺棄される。そしてその後に訪れる、圧迫感を感じてしまう程の力強い静寂。何がどうという訳でもなく、何かが精神病理的。美しいけれど、何かが決定的に怖い。 7点(2004-07-29 19:23:07) |
2. イージー・ライダー
刹那の時代。殉死の世代。保守と革新との間の軋轢に押し潰された、野卑でタフながらも脆弱な夢。この時点で一旦、アメリカの何かが死んだ。1つの死んだ時代を描いた、アメリカの現代神話。これを不朽の名作と捉えるか、時代の遺物と捉えるか否かは、個人個人の価値観次第なのかも知れない。 7点(2004-07-05 18:28:39) |
3. いとこのビニー
マリサ・トメイ可愛い!あの趣味の悪ぅーい服すら1つの魅力にしてしまえる彼女の魅力。彼女は「特別美人じゃないけど演技派」などとよく言われているけれど、私は充分美人だと思うんだけどな。全体的に可愛い作品だと思う。一歩間違えたらダサダサになってしまいそうな映画だけれど、総評すると“佳作”と言ってもいい位のレベルに仕上がっている。 7点(2004-02-26 20:50:50) |
4. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
当初は「あまりにもアメリカ的でレスタト役は無理」などとトム・クルーズを全否定していた原作者が、変身した彼を見て一転、大絶賛したという話は有名だけれど、確かにあのトム・クルーズがあんなにノ~ブルでヨ~ロピア~ンな風貌に変身出来るとは思わなかったので驚いた。うん、地味に驚いた。ブラピも綺麗でした。キルスティンも。バンデラスもスレーターも出てたな。今考えるとかなり豪華キャストだったんですね。 7点(2004-02-23 19:24:35) |
5. イグジステンズ
肉迷路というか、内臓迷路に迷い込ませてくれるような作品。実は恥ずかしながらそれまでクローネンバーグ作品を観たことがなく、こんなタイプの作品に触れたことがなかったので、その雰囲気は楽しめた。世界観の提示に対して展開の練り込みが足りないような気はするけれど、オリジナリティー溢れるグロテスクな世界観の構築には圧倒されたし、ジュード・ロウも美しかったし、なかなか楽しめました。それにしてもいちいちエロいですね、小道具の造形が(笑)。 6点(2004-02-10 20:59:41) |
6. 依頼人(1994)
スーザン・サランドンはハマり役だったし、ブラッド・レンフロも良かった。トミー・リー・ジョーンズもムカつくんだけど憎めない役がハマっていて上手い。少年の行動に何だか納得が行かなかったり、ストーリーにご都合主義を感じてしまう感は否めないけれど、サスペンス映画なんてそんなものだ、と割り切って見れば充分楽しめる作品。 6点(2004-02-10 19:51:56) |
7. 生きてこそ
昔、友人にこの映画を観たと言ったら、「どう、気持ち悪かった?」と1番に聞かれた。思うに、この映画に関しては世間では「人肉を食う映画」というキワモノな部分だけが1人歩きしているような気がする。だけれどこの作品において考えるべきはそこではなく、それが意味するものが何かということだ。はっきり言って別に好きな作品ではないけれど、今思い起こすと妙に思うことがある作品だな、と思う。「人を食う」ということは宗教的戒律を破ること、つまりは破戒だ。しかし私は宗教とは神の視点だとか戒律ではなく、人の意思が作り上げた常識とモラル、つまりは自縛でありイデオロギーなのではないかと思う。こういうことを言うとマジで怒られそうだけれど(汗)、宗教と神は全くもって別の所にあるのではないかな、と。アンデスには神がいるという。きっとその神こそが、本当の意味での神。人間の思想でどうこう料理出来るような域を超越した何か。モラルや常識という宗教の自縛に苦悩する人間達をただただ包むような存在。この作品にはそんな、宗教的境地など超越した神の目線を感じる。死んで行く人間も、生きて行く人間も、その他のあらゆること全ても平等な目でただただ見ている神の視線。だから人間がどう足掻いてもどうでもいいんです。人間は弱く勝手でいいんです。きっと、生きてこそ、なのです。生きてこそなんぼ、なのですよ。 5点(2004-01-26 19:50:40)(良:1票) |
8. インデペンデンス・デイ
アメリカ万歳アホ映画で、根底に流れるものが決定的にアホなことは間違いないのですが、ここは大人になって、純粋にエンターテイメントとして評価してみます。するとこれ程そつなく出来ているものもなかなかないということで、結構高評価。展開はわくわくするし、いやらしくない程度に人間ドラマも入っている。そしてあの爆破シーンは映画史に残る位に上手く出来ていると思うし、全体的な流れもテンポもいい。論理は滅茶苦茶だけど、ストーリーは別に破綻していない。終始同じテンションを貫いています。非常にバカでいいですよ。全く何も考えずにアメリカンな感じにポップコーンとコーラを持って劇場で観るには最高です。アメリカ人になったつもりで。いや、むしろ無理矢理自己洗脳してアメリカ人の目線にでもなって観ない限り、こんな映画なんぞ腹が立ってしょうがない。 8点(2004-01-21 21:06:02) |
9. 愛しのローズマリー
こんな映画は真面目に観てはいけないのだと思いつつ、「なんだそりゃ。やってらんないよ」と不愉快になる箇所が幾つも。人間描写や人間哲学が滅茶苦茶なくせに、人間についてきちんと考えた人間ドラマだよ、と片付ける姿勢が嫌だ。駄目だ、ムカつく。人間を二極化する安易な考えが嫌い。安易過ぎます。 2点(2004-01-15 16:49:09) |
10. イン・ベッド・ウィズ・マドンナ
中学生時代、やたらマドンナ好きの人に強引にビデオを貸されてしぶしぶ観た。ん?…これは映画じゃなくてドキュメンタリーでしょ?と思ったのだけれど、いや映画だよ、ということで。その微妙な作りにちょっと困惑してしまった。マドンナ好きにはたまらない作品なのだろうと思うけれど、彼女に対して何の興味もない人が観て楽しめるかどうかはちょっと怪しい。私にはノー興味な作品でした。 3点(2004-01-13 16:10:56) |
11. イル・ポスティーノ
私にとって、ある程度主人公を好きになれる、ということが映画を見る上ではかなり重要なのだけれど、この作品はそういう意味では駄目だった。主人公の依存心が嫌だった。最初は目的の為に詩人に依存していたのだけれど、最後には詩人に依存することが目的になったような気がする。そんな自己中心性と弱さが嫌でした。私自身が頼りない人間なので、近親憎悪を感じたのかも知れない。それでも主演男優の、文字通り命をかけた演技には最敬礼。あの痩せ細った、気力を振り絞るような姿が忘れられない。 5点(2004-01-12 15:29:03) |
12. イベント・ホライゾン
《ネタバレ》 小さい頃、たとえば夏の夜、見上げた宇宙の広さをふと考えて空恐ろしくなったあの感じ。とても人間の矮小さでは敵わない、あのリミットなしの存在感。あの畏怖に近い恐怖。そんな恐怖を感じた。私は結構好きです。認めます。普通はアメリカ産のホラーはいつも恐怖にオチを付けるでしょう。悪魔だとか吸血鬼だとか宇宙人だとかモンスターだとか。それでいつも安っぽくなる。最後まで得体の知れないものの怖さを大切にしない。その点でこの作品は異色。終に恐怖の正体を何も明らかにしないままで終わる。だからこそ恐怖の本質を味わえた。想像力のたくましい人ほど怖い作品ではないかと思う。「怖い」という感情でホラー映画のレベルを計るなら、私にとってはこれが1番です。見かけや表層じゃない、本当に怖いのはいつも、精神世界に抵触するものです。 7点(2004-01-03 21:38:15)(良:1票) |
13. E.T.
子供は、変な思想とか大志なんか持たなくていい。半径数メートルの近しい者を、理屈なんてなく、ただただ守りたい。それで世界が完結していていい。勝手だけど、とても大事な気持ちです。いやらしい理屈なんか抜き。そう考えたらいい映画です。 8点(2003-12-31 20:29:33) |
14. いまを生きる
机に立たなかった生徒もいる。それがこの映画が名作と言われる所以かな、と思う。全員立ったら金八になる。 8点(2003-12-20 19:55:54)(良:2票) |
15. いつか晴れた日に
何だろう、この映画の繊細で美しい雰囲気は。貞淑という殻に押し込められていた時代の女性の、分別のコルセットに縛られた多感。そしてラストの控えめな情熱の発露。エマ・トンプソンが泣き出すシーンは、大好き。女優として、彼女は少し鼻に付く硬質でお高い雰囲気があり、それ程好きでもないのだけれど、この映画の演技は素晴らしい。認めなければ嘘。ケイト・ウィンスレットもいい。奔放で自分に正直な女性を好演。原題の「分別と多感」は、貞淑な姉と奔放な妹のこととも取れるし、姉の揺れる心の内のことでもある。ダブル・ミーニングの良い題です(もちろん、邦題も良いよ)。あと、ヒュー・グラントのバランスの悪さは、世界中の人々が気付いている。気付いてないのは本人だけです。 9点(2003-12-19 15:12:42)(良:1票) |
16. 妹の恋人
ノスタルジックで、どこかファンタジー色のある、ほのぼのとした可愛らしい恋の物語。女性に受けるタイプの映画、という感じ。私もジョニー・デップのキュートさに惚れ込んでしまった。DVDを友人に貸すと、「何か、堂本剛に見えた」とのこと。ああ、私も分かる。確かに目元が何だか似ていると思った。そして彼が作中で見せる「チャップリンの黄金狂時代」の“パンの踊り”などなど、様々なパフォーマンスは必見。とにかくジョニー・デップの芸達者ぶりには感心してしまう。 8点(2003-11-30 22:00:29) |
17. IT/イット〈TVM〉
原作は本当に本当に大好きなのだけれど、このドラマ化作品は悲しい位しょぼい。原作の面白さは折り紙付きなんだから(「ドニー・ダーコ」でお母さんが読んでましたね)、もう幾らでも話が膨らんでいきそうなのに、全然生かしきれていない。特に後半の失速ぶりは有名ですね。確かにあまりにもひどすぎる。いつかきちんとした技術と脚本とキャストでリメイクして欲しいなあ…と切に願っている作品の1つであります。ジョナサンが昨年に自殺したというのは最近まで知りませんでした。…残念ですね。合掌。 3点(2003-11-29 20:58:22) |