1. 愛しのジェニファー
《ネタバレ》 登場人物たちは決して笑わないけれど、見ているほうはゲラゲラ笑ってしまうタイプのエログロコメディ。 そうですコメディと呼ばせてもらいたい。冒頭のシーンで、すでに主人公のラストシーンが想像できてしまうというオチ割れ甚だしい話であるのだが、それでも見せてしまう、途中で笑えるから、アルジェントってばすごいやつ。 しかしまあ、ジェニファー役の女優さんはよく引き受けたものだと思いまスだって、どんなに演技をがんばっても誰にも顔を覚えてもらえないじゃないですか。出るだけ損だと思いますけど、あのピンと張ったバストだけはみんなの記憶に残るでしょう。 1時間もらってホラーを作るとして、これくらい面白いものを作ってくれたら私は満足です。アルジェントはもっとコメディに精を出してもらいたいです。素晴らしいです。満点にしたいけど短時間ということで。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-04-01 16:43:20) |
2. イルマーレ(2006)
《ネタバレ》 こういうのはいい。 常日頃俗塵にまみれて身過ぎ世過ぎに汲々とし、厭世観にとらわれつつあるそこのあなた、おすすめですよ。 「ユーガットメール」と同系統の、大人の童話である。まだ巡り合えぬ二人が、文章を通して惹かれあう。そして、有り得ないことだが、最後はハッピーエンド。 ラブストーリーには障害が不可欠だが、「距離」でも「言葉」でも「性別」でもなく「時間」を持ってきた、というところが新鮮だ。韓国でそんなような作品があったみたいだが、そちらは未見。…悪いけど、「大人の童話」として楽しむには、現実離れした容姿の登場人物や、風景が必要だ。アジアに生きる私にとっては、アジア人が演じるラブストーリーには親近感こそ感じても、空想の世界に浸ることはできぬ。というのが本音だ。 それで、あっさりさっぱりと、余計なものを極力省いたこの作品、そのシンプルな芸風は良いと思う。 「大人の童話」として消費されるためには、「ストレス」を極力排除しなければならない。しかし、ドラマ性は持たせなければならない。よって、微妙なバランスを必要とする。あっさりと仕上げなければならない割には難度が高くなる。この作品は、成功したほうだと思う。 で、キャストである。大好きなサンドラ。もはやダイエットもせず、ボサボサ頭で撮影に臨むという、作っているのかいないのかよくわからないその手抜きぶりも、サンドラだから許す。往時のデブラ・ウィンガー並みの胴太ボディは、衣装の工夫などでは隠しきれず、後姿など「おばさん」全開であるのだが、顔は相変わらずの可愛さだ。「28DAYS」の頃の完璧ボディを思い出すと、悲しくなるが、許す。 そして、キアヌ。なんだなんだ、最初の頃のアゴのたるみっぷりは。こちらもダイエットとは無縁に撮影に臨む。いくらスターとはいえ、すごいなあ。 それでまあ、キアヌにこの手の情感を求めるのは最初から無理があるのであり、だからこそ余計な情感が邪魔であるマトリックスとかコンスタンティンに抜擢されるのだが、今回は、私としては初めてキアヌに寄り添うことができた。サンドラ効果であろう。悪くなかったと思う。 他のレビュワーさんも言っているが、アメリカではラブストーリーに建築家はもってこいなのか?その理由がよくわからんが、確かに多い。 太めの二人が、気楽に臨んだこの作品、私は結構好きです。選曲もよし。 [DVD(字幕)] 8点(2007-04-18 22:59:21) |
3. イノセント・ラブ(2004)
《ネタバレ》 個人的に苦手としているコリン・ファレルだ。 しかし今回は、人間離れしたどちらかというとよりサルに近い役であったので、例のサル顔もあまり抵抗なく見られた。 それにしてもひどい邦題で、これは「さいはての家」で行くべきでしょう。(故鷺沢萌の〝さいはての二人〟を思い出します) ジョニーの男遊びを見ながら、どうせそんなことになるであろう、とだいたい想像はついてしまう。 というか、ロビン・ライトが出ると、エイズオチになるのはなぜか?という気もしますね。 これはジョニーがエイズにならなければ、「田舎に飽きたクレアが家出を繰り返す」とかそんな程度の不幸で終わる話なわけです。エイズですべてをオトすというのはなあ。やっぱり「フォレスト・ガンプ」の2番煎じの感は免れない。 男性の作り手は男2人に女1人の三角関係を描くのが好きみたいです。(「スリーサム」といい、「レスザンゼロ」といい)そこのところに、私は「夫や父親としての役割が2分の1で済んだらどんなにいいだろうか」という男性側の隠れた願望を感じてしまう。 「2分の1ならやってみてもいいんじゃないかな」とかね。表向きはマッチョ神話で生きてきたアメリカだからこその、隠れた願望と言えるのではないか。 クレアは、ジョナサンがエイズで闘病して死ぬところを娘に見せたくない、ということで出て行ったのでしょうが、「自分は接着剤でしかなかったのか」という思いも当然あったでしょう。クレアにしてみれば、本当に愛していたのはジョナサンで、ゲイのジョナサンと人生を分かち合うために、ジョニーを交えた三角関係で妥協したというのが本音でしょうから。進んでいるように見えたって、女なんですから。あくまでもジョナサンとの1対1の関係の次善策として、変則的な関係を選んだと私は見る。 そういう意味で、出て行ったことに説得力を持たせるためには、お母さん化したロビン・ライトより、まだ女としての欲望や生々しさが感じられるもう少し若い女優さんにしたほうがよかったかなあ、という気がしました。ちょっとシワが目立ちすぎるな。 特筆すべきは、サルに近いジョニーという人に、手に職を持たせ、プータローでなく職業人として位置づけたところです。これが映画に厚みを持たせたと思う。フツウならホームレスになるか誰かに養ってもらいがちなところですが。 NY生活での70年代ファッションなども楽しめます。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-21 21:22:16) |
4. イカとクジラ
《ネタバレ》 まっフツーの国の人が見れば、問題点は明らかなので、この「メストアップ」な状態はアメリカ人のセックスに対する優先順位が高すぎるから起こる。 それは女の数が足りない期間が長く続いたという不幸な歴史をしょっているためだが、それにしても、もういいかげん自分らで気がついたらどうなのか。 人生にセックスというオプションはあるが、酸素や食料と違って、なくても死ぬということは、ないんだ。けど、あそこの国の人たちは「セックスの相手の確保」と「恒常的にセックスで満足を得る」ことが、呼吸や食事と同じかそれ以上に必要なものと思い込んでいる。…それで、しなくてもいい苦労をしたり、余計なトラブルがいっぱい起きてる。 大人の価値観が子供に伝わって、子供たちも、セックスが一大事だと思いこむ。 セックスは、してもしなくてもいい。オプションだから。 この作品の中で、最終的に長男がそのことに気がついて、「この国の大人たちはなんかおかしい」と表現してくれれば、わざわざこういう作品を作った意味もあると思うんだ。 でも、そういうふうにはならなくて、なんだか「不安の正体」を直視しに博物館へ行く、もう「不安」から逃げないぞ、みたいな「少年の成長系」締め方になる。 違うんだって。その不安は、大人たちがヘンだからあーたたちが巻き込まれて発生したんであって、あーたの親だけじゃなくて国全体がヘンなんだって。確かに、父が学歴だけが自慢の貧乏で嫌味なインテリだったり、母が淫乱だったりという、その家庭ならではの特殊事情はあるにしても、「国がしょってる問題」のほうが大きいんだって。 こういう終わり方をしては、根本的な原因がまたうやむやになるだけだ。 フツーの国では、やたらと子供にセックスの話なんかしないし、上の子が高校生になってまで、両親がセックスの相手を必死に求めていたり、自分の親と親友の親がデキてたりなんてことは、たま~にはあってもそんなにはないんだって。 結婚=キングベッドで夫婦が一緒に寝る、という鉄則なんか、そもそも無い国だっていっぱいあるんだよ。40過ぎても週に数回セックスしないと愛が無いなんて、誰が決めたんだ?だいたい、「愛」がなくなったら離婚しなきゃって、誰が決めたんだ? アメリカ人は、優先順位を考え直す時期をとっくに過ぎているんだけどなあ。 でも、べつに啓蒙する気がないならなんでこんな映画をつくるかな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-10-19 20:32:34)(笑:1票) (良:1票) |
5. イン・ハー・シューズ
《ネタバレ》 トニ・コレットはお姉さん女優だ。「アバウト・ア・ボーイ」のヒッピーお母さんでしたよね。 キャメロン・ディアスはまぎれもない妹女優だ。「彼女を見ればわかること」の盲目で発展家の妹役、はまってましたね。彼女には1%も「お姉さん性」を感じない。 この作品は前半のヤな感じが、後半でみごとにうっちゃりにもってかれた、そんな大技を感じる映画でした。 ひたすらローズの気持ちになってマギーに憎しみをつのらせる前半。「そうだこんな下品な女死んでも直るもんか」「早く追い出せ。私なら2時間と持たぬ」とこぶしを握りしめるのであった。 フロリダに行ってもお行儀が悪く自分中心のマギーに、「どうしたバーサン、こいつの根性をビシビシ叩きなおしてやれ!」とイライラするが、話は意外な方向へ。マギーがなぜにアバズレとなったか、その理由がはっきりする。LDだっただけでなく、それに対するきちんとした指導も受けられず成長し、大人になった今もそれを隠し続けている彼女。他人の愛情の真贋について、異常なほど猜疑心が強い彼女。「あら、それなりに可哀想な子だったのかも」なんて気持ちになったりして。 一方のローズにも、これまでしがみついていたものをあっさり捨てたことにより、新たな運が訪れる。 そうなの。それって真実で、女の場合は今持っているものを思い切り良く捨てないと、次のものが来ないみたいなのよ。そこが「男の運」と「女の運」の違いなのよね。と「運命研究家」の私はつねづね思っているのです。「ユー・ガット・メール」におけるメグ・ライアンもそうでしたよね(映画だけど。) 姉妹それは決して「仲良し」だけでは成立しない関係。「憎たら可愛い」のが妹。そういう私は姉。 ともかくすっきりハッピーエンド。殺人も犯罪も超常現象も起こらないがたまにはこういうのもいいじゃない。 [DVD(字幕)] 7点(2006-07-29 16:26:01)(良:2票) |
6. 愛しのローズマリー
斬新な発想による見せ方は映画としてはよろしい。 しかしこれは、男女なんて最初はどうしたって見た目で惹かれ合うんじゃん、という動かしがたい事実に対するアンチなのかしら。見た目は「その人」じゃないのかしら。あんだけ太るには、四六時中食べているに決まっていて、四六時中食べているからには、そのような内面を所有しているということなんだけど、それは「その人」とは切り離していいのかしら。個人的には人をみるには「外見5:話す内容および書いたもの3:部屋の様子2」で妥当と思っている。心には形はない、他人には決して見えない。外に現れたものが「その人」である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-29 15:05:19) |
7. イル・ディーヴォ
《ネタバレ》 はっきり言って、イタリア人でなければちんぷんかんぷんです。それでなくても難解な作りになっていて、意味のわからないシーンがいっぱいあります。いったいあの正装ディスコはなんなんだよなあ。 せめてモロ誘拐事件を描いた「夜よこんにちわ」を見ておくとよいと思います。 あのとき拘禁中のモロが、アンドレオッティの悪口をせっせと書いては送っていたなんて、知りませんでしたね~。 さて、イタリアといえば「芸術と汚職の国」という印象ですが、もはや「汚職と芸術の国」という気がしてきますね。 そして私はこの作品によって、「俺らの国では汚職と芸術が共存している」と世界中にバラしてしまったことが…すごいような気がする。 そうなんです。アンドレオッティらが〝活躍〟していた20数年間の間も、イタリアの人々は「日本人よりはるかに幸福感を持って生き」、「汚職に悩まされて芸術活動が停滞する」ということも特になくて、次々に作品を生み出していたわけですよね。 確かに、アンドレオッティのような人は壁に悪口は書かれるでしょう。誰にも心から尊敬してはもらえないでしょう。 しかしなあ、ここにいたってイタリアの人々は〝アンドレオッティ的なるもの〟と共存できるのだということが確実になったと思うのだ。なんたって本人は数々の罪を逃れたうえ、今だってベルルスコーニのような大して変わらぬ下品なオヤジに任せているんだもの、イタリアの人って。 すごく複雑な心理なんだと思いますね~この国民性。政治家に清潔や人格は全然期待しない。一部で勝手に殺し合っていても気にしない。でも時々ハッと我に返って悪者を糾弾してみるけれど、本気でやってるわけでもない。まるで満腹の猫がネズミをいじめるような…。 地方の貧しい出身であるアンドレオッティは、ニクソンを連想させます。名遂げた後の境遇も似ていますね…。しかし、アメリカ人はニクソンを許さなかったと私は思っています。反動でカーターのような超ベビーフェイスを選んだのですから。 その点イタリア人はいろんな意味でオトナですし喰えませんわ。ホホホ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-05-18 21:20:39) |
8. インベージョン
《ネタバレ》 脚本もあんまり良くないですが、それに輪をかけて演出が下手なのではないでしょうか。 いっぺんに現れる異変ではなくて、少しずつランダムに起こる変化によって「この世の中が自明のものではなくなるかもしれないという恐怖」を感じさせなくてはならない映画ですが、そこの描き方がうまくない。もう、感染者は怪物みたいに撮っちゃってるしすぐわかる。それダメ。雰囲気だけなら「アンビリーバブル」のほうがまだマシだった。 母性愛偏重路線にちゃんと乗っかっているうえ、「免疫少年」を連れてヘリで脱出という「28週後」で見たシーンも入ってるし、まったく独創性のない脚本で、こんなんが金になるのなら私だってできそうだ。 しかしまあ、主役がキッドマンという時点でもう、コケているし…彼女の役者生命はもう終わったのではないでしょうか。あまりに出すぎたため、もはや何をやっても「ニコール・キッドマンが何かしている」としか脳が認識しません。大幅に老けて美貌を失いでもしない限り、もう使えない女優です。 豪華なキャストを集めて凡作を作るのはハリウッドの常になってしまいました。悲しいです。ジェレミー・ノーザムは前髪を下ろしてはいけないし、金欲しさにこんなものにまで出て名前を落としてほしくないですね。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-14 21:50:37) |
9. イン・ザ・プール
《ネタバレ》 普通に楽しめる映画かな。 私には松尾スズキの演技はいまいち印象に残るものではなかったが。あと、市川の強迫神経症ぶりは、かなり甘すぎる気がする。悲壮感が全くなくて、「そういえば、強迫神経症だったっけな」という程度である。市川の責任ではなく、脚本演出だけれども、実際の患者とはかなり違うのではないだろうか。たとえば中森明菜を思い浮かべれば、本作の市川との違いは明らかであろう。 患者のうち、私が最も面白いと思ったのは田辺誠だった。自分ではストレス社会をうまく泳いでいるつもりの彼が終始クールなモノローグ。これをオダギリや市川のドタバタの合間にはさむところがおもしろい。編集にセンスを感じるし、田辺自身のコメディセンスも感じる。 さて監督はオダギリのような美男子にこれでもかの情けない演出を加えまくったところ、なんとなくいじめ感がありますね。おそらく多くの〝オダギリほどかっこよくない〟男性は溜飲を下げたことでしょう。…が、ここまでみじめな演技をさせられても、〝やっぱりオダギリジョーはかっこよ〟かったのでした。かっこいい人は何をしてもかっこよくなってしまうのですね…。という実験だったような気もする。 私的にはオダギリと市川の部屋のインテリアが興味深かった。最近は邦画もインテリアに手を抜かなくなって喜ばしいことだ。 難をいえばやっぱり、悲壮感を排除したことにより〝心の病気〟のワリには各キャラクターに深刻さが欠けていること、「ハメをはずせ」というメッセージをあからさまに出しすぎたことでしょうか。大変お気楽な作品になっています。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-10-13 16:16:37) |
10. イン・ザ・カット
《ネタバレ》 原作、監督、プロデューサー全部女。〝作り手〟はずばり「男の作った映画ばっか幅を効かしてるんじゃないわよ」女軍団である。 それも、一筋縄ではいかない強面のおばさんたちだ。男性のスタッフはさぞやビビっていたことだろう。 不思議なことに、NYでの撮影でありながら、どうにもヨーロッパ感がする。原因は「いまいち汚い」ことだろうなあ。ここでは、新しい建物とか、ツルツルしたものが一切映っていない。加えて、屋内はどこも小汚く、何日も掃除していそうにない。これが「ユーガットメール」と同じNYか?という感じがします。 〝人間〟も同じ。毎朝シャワーをあびてヒゲを剃っているような小奇麗な人など1人も出てこない。 ここにメグ・ライアンだ。クリーンで小奇麗なアメリカを体現してきた彼女。しかし、他の出演者と同じく、カンピオンの手にかかると、髪はボサボサ、服はヨレヨレ、今朝はシャワーを浴びてませんというそこはかとなく不潔な仕上がりに。メグ・ライアンをここまで不潔っぽく撮れることはすごいかもしれない。 さて、〝切り傷〟とはなんなのか、それは「男性に傷つけられてしまうという恐怖」ですね。 ここでは、スケートの場面にも表れているように、心理的にも、肉体的にも「好きになった男性は私を傷つける」という意味です。切り刻んでほしいという隠れたM心理ではなくて、怖れです。 フラニーはそれをずっと怖れていたのだけれど、マロイにのめりこんで、「ケガをするかもしれないけどそれでもしかたない」と思ってしまうわけです。そしてやっぱり危ない目にあってしまいますが、自力で切り抜け結果オーライとなるわけで。恐怖を克服したというおはなしですね。別に強烈なセックスを強調しなくても成り立つ話だと思うんですけど。 ジェニファー・ジェイソン・リーは、あんなキューピー体型で堂々の下着姿、すごいと思います。自分ではあの体型についていったいどう思っているのか、とても興味があります。 このごろ個人的に気に入っているケビン君、今回もイケてました。彼は、「ビューティーショップ」のオカマ美容師とかほかにもカメオ出演があるけど(きっと人がいいのだろう)毎回強烈な印象を残します。「バイバイママ」でも、ちょっとしか出ませんでしたね。ケビン君はこれからもカメオ俳優として(も)がんばってもらいたい。 *マロイ役をレグイザモにしたら、かなりイケたのではないかしら。 [DVD(字幕)] 6点(2006-11-14 23:06:44) |
11. インビジブル(2000)
《ネタバレ》 エリザベスシューがいくらなんでも太すぎる。惚れていたジョシュブローリンもおっさん化していて悲しかった。それでなくても出演作少ないのに単なるワキ役だしー。「人間の条件」とは、ですかあ。やっぱ見えてないとダメなのか。ときどき見えなくなってしまいたいけど。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-25 22:05:09) |
12. インファナル・アフェア
《ネタバレ》 中野翠が絶賛していたので、1から3まで見てみたが、「編集のしすぎ」。 サム役、警視役は味があってよし。ただ、主役の2人の若いときバージョンの役者が、中年役に似てないので、どっちがどっちかわかりにくい。「3」が最悪で、「編集がそんなに楽しいなら一生やってろ」と言いたくなった。精神科医は現実味なし。個人的には、「だましたりだまされたりするのを見るのがたまらなく好きな(中野翠のような)人向け」とする。 [DVD(字幕)] 6点(2005-11-06 23:32:10) |
13. インサイド・マン
《ネタバレ》 ああこりゃあ、作り手がオチを過信しすぎているよなあ。 「どうだ驚いたか!すげーと思うだろー。」と喜ぶあまりに、作品としての出来に手を抜いてしまった結果、初めて見せられた人間は「なんだかなあ」と思うようなものになってしまっている。 銀行強盗の話に唐突に「ナチス」を出してくるあたり、強引だよなあ。「だから盗んでもいいんだ」って言われてもなあ。だいたい私は犯罪賛美ものは好かんのだ。スパイク・リーだからがまんして見たのに。 はっきりいって、ナチとかじいさんの過去なんか出さずに、「銀行強盗です。金目当てです。んで、頭使います。」ってことでよかったのに、と思う。せっかくのジョディ・フォスターも中途半端な役回り。哀れなユダヤ人を食い物にしてのし上がったじいさんと同じく、じいさんと組んだマデリーンも同じように「その道」の階段を登り富と力を貯えてゆくんですか、なるほど。それがどうなの。何を思えばいいの。 なんだか知らないがアラブからアルバニアまで出てくるあたり、人種が入り乱れてのいつものスパイク・リーらしさは感じるが、「25時」のように鑑賞後までじんわり来るような視聴後感はゼロ。即忘れてしまいそう。 しかし、監禁と暴行が完全に無視されて、「物が盗られなかったからいいじゃん」てな感覚には映画とはいえついていけぬ。スパイク・リーの考える正義とはそんなんでいいのかアメリカさんよ。身体の自由の権利はどこへ。 [DVD(字幕)] 5点(2006-10-13 23:50:32)(良:3票) |
14. IZO
《ネタバレ》 三池って人のことはよく知らないが、団塊の世代っぽいな。違うかしら。それでは私が斬りましょう。三池さんてきっと、小さい頃はいじめられっ子でさ、体も細くて病弱だったわけ。そんで、大人になってからも、いろいろいじめられたと本人は思っていてさ、いじめたやつを見返したくて怨念で死にきれないのよ。そんでこんなものつくっちゃったの。特に体が大きい奴とか、チンピラとかに怖い目に合わされてさ、「天誅」下さないといられないわけ。こんなふうにしか解釈できないけど。「体制」とか言ってるけど、「自分をいじめたやつへの仕返し」でしょうよ。「システムを破壊する」がテーマなら、運営している人間を殺すところを見せるだけではナンセンスなだけだ。「位相」って意味不明だし。あえていうなら「僕より強い奴と弱虫な僕」の力関係のことですか?とにかく変なおっさんの歌がうるさい。それと中山一也がマッチョすぎて二流プロレスラーにしか見えない。あの股間プロテクターはなんなの?? 貞操帯に見えてしまう。→「パッチギ」鑑賞後。やっぱり「痛くない」のは三池さん自身がケンカ慣れしてないからでは。 [DVD(吹替)] 5点(2006-01-13 22:51:33) |
15. いつまでも二人で
《ネタバレ》 面白くはないですね。ゆる~いです。 人が死なないからユルいとかいうことではなくて、それぞれのキャラの悩み苦しみが生きていない。「ここで不妊に苦しんでください」「ここで嫉妬に燃えてください」という感じが強くしてしまうのです。 ロージー役に黒髪ショートの女を当てるという安易さがこの作品のユルさをよくあらわしています。 洋モノに黒髪ショートの女が出てきたら、そいつの一人勝ちでモテまくるということです。その場合、恋敵はごくフツーの西洋人女のことが多い。私はこのパターンが大嫌い。 お盛んな男女がいろいろな組み合わせで励んでいる映画ということしか思い浮かばないですね。 それにしても、あの管理職氏は当然の職務を果たしているだけなのにあんな目に遭うなんて理不尽極まりないと思います。公私の区別がつかずに仕事中に抜け出すのが当然の権利だと思っているヤツは嫌いです。マジメに仕事をしている人にたいして、融通の利かないヤツとひとくくりにしてみんなでバカにする作り手はもっと嫌いです。お互い浮気をしたくせに、妊娠が発覚したら何事もなかったように元に戻るというお粗末な筋書きで、全体的にバカしか出てこない映画ですね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-05 15:38:20) |
16. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 …ひとことでいうなら、「ハリウッド映画ですね」だ。 だってさ、作り手に日本人が一人も入っていないじゃないの。脚本は2世だか3世だか、どうせ味噌汁の味も知らないようなアメリカ人でしょ。で、ハギスだスピルバーグだ。 やはり、よその国の兵隊のことを勝手に描く、ということで、かなり遠慮しいな内容となっているのは仕方ない。「ラストサムライ」よりはなんぼかマシという程度であって、これはれっきとしたメイドインアメリカ。なじみの日本人俳優が出ているからといって、ごまかされてはいけない。 まずもって、二宮演じる西郷の、その振る舞いおよびメンタリティーの有り得なさ。下っ端の日本兵が、こんな生意気なワケがない。これは、まんまアメリカの兄ちゃんの感覚を「若いやつはどこでもだいたいこんなもんやろ」と持って来ただけ。 ケン・ワタナベ。これはもう、見事なまでにハリウッド受けすることだけを考えたそのまんま。大正もしくは明治生まれの日本人将校が、こんなハタから見てわかりやすいかっこよさを発散するワケないじゃないか。ダメ。映画「東京裁判」でも見て、「本物」の振る舞いをちょっとでも勉強してみたのか、ケン・ワタナベよ。それとも国内受けなんてことは、もはや関係なしか。 本物に見えたのは最後まで付き従った「藤田」のみだった。 で、ひとつだけ、イーストウッドが「勝負」に出たな、と驚いたシーンは捕虜虐殺。これを入れるというのは、アメリカ国内の逆風を計算に入れているということだから。 さて、太平洋戦争末期、北方領土のどこかの島で、似たような実話があったという。それは、陸軍中野学校(スパイ養成所として有名)卒業生の士官が指揮をとった最後の戦いで、弾薬も兵力も乏しい中、中野学校得意のゲリラ戦法を駆使して、ソ連軍に対し驚異の粘りを見せた。そして、無駄死にを防ぎ、決して玉砕を許さなかった、という。 私は、「硫黄島」を見ながら、その実話を思い出さずにいられなかった。その防衛戦のことを思うと、栗林の指導者としての優秀さが全く伝わってこないような、盛り上がらない脚本にはがっかりだ。(かといって、〝有終の美〟を追求する所までいってるワケでもなし) …クリントはさあ、「硫黄島」は日本の製作サイドで作ってもらって、対抗作で「星条旗」を当てる、というふうに、なんでできなかったのだろ。クロサワが死んでいるせい? ↓花守湖さん、同感です。 [DVD(字幕)] 4点(2007-06-29 01:00:11)(良:3票) |
17. イーオン・フラックス(2005)
《ネタバレ》 なんにしてもこういうのを見るとマトリックスの1とつい比べてしまう。 作り手とて同じ思いだろうなあ。 ストーリーの核である「イーオンはキャサリンのクローンで元はトレバーの妻」というのをサラッと出しすぎる。そんで「400年間キャサリンへの思いを引き継いできたというトレバーの悲しみと苦しみが生み出す重み」がゼロ。 ついでに「妹を殺されたキャサリンの悲しみと恨み」も全然描けていない。 もっとついでに「あんな地べたから遠いとこで400年間も人間離れした生活をし続けているキーパーの精神世界と重み」も、ポッスルウェイトという怪優を使っていながら猫に真珠豚に小判。 とにかく軽いですねー。 セロンはわりとお尻が大きいのでアクションには向かないのではないかと思った。 [DVD(字幕)] 4点(2006-10-07 21:05:15) |
18. インビジブル2
《ネタバレ》 これはバーホーベンの名前だけ飾って、つられた客を騙して見せようとしただけの低予算の駄作映画なのだった。監督も脚本も凡才以下である。 スレーターはここのとこ本当にB級のチョイ役ばかりやっているがどうしたのか。カレの今後の俳優人生がちょっと心配。 [DVD(字幕)] 2点(2007-06-24 13:25:41) |