1. ザ・エージェント
二十数年ぶりに鑑賞したのだが、本当に素晴らしい人間ドラマ。主人公は35歳。ちょうどそれまでの仕事や友達や恋愛に悩んで、そして結論を出さなければいけない年代。はじめはイケイケでノリよく挫折も知らずに生きてきた主人公が、ある日仕事への疑問をきっかけに、本当にやりたい仕事って何?、本当の友達って何?、本当に欲しい恋愛って何?、っていう疑問に真摯に向き合うようになるプロセスがものすごく丁寧に描かれていて、またトム・クルーズが悩む主人公を等身大に演じているのが素晴らしいと思った。自分が最初にこの映画を見た二十代の時、面白いと思った記憶はあるけど、でもこの映画がなにかその後の自分の人生に影響を与えているわけではなさそうだし、正直内容を理解できなかったのかもしれない。でも自分が主人公の年齢をはるかに超えて40代になった今、トム・クルーズが演じていた悩みがよくわかる。じゃあ自分がそういう30代の悩みをきっちり乗り越えて、きっちり結論を出せたのかはわからないけれど、でもなんだろう、この映画を客観的に見て、自分を振り返れるようになったんだなあと思うと、年を取ったことも悪くないなと思う。再びこの映画を見られてよかったなと素直に思った。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2020-07-26 07:51:11)(良:1票) |
2. ザ・マジックアワー
《ネタバレ》 期待ほど面白くなかったなぁというのが、正直な印象。三谷が書くコメディーの面白さの根源って、人が時間や空間の制限に追い詰められたときに、マジメにありえないことをやっちゃう、その瞬間を捉えていることにあるんだと思うんですよね。そういう意味では、「ラヂオの時間」はホントによくできていて、一度始まっちゃったらもうやめることのできないラジオ生放送で役者やスタッフたちが見せる、ありえない言動一つ一つがたまらなく面白かった。ところが本作では、場所もいろいろ、いつまで続くのかもわからない状況で、だんだんとありえない言動がわざとらしく見えてしまっていた。とくに後半、みんなが「街を出よう」なんていい始めて逃げ道作っちゃったから、頑張って演技を続ける意味がなくなってきて、エンディングの大立ち回りが霞んでしまったのが非常に残念。三谷のコメディーは「ラヂオの時間」や「王様のレストラン」のような密室劇でこそ輝くことを、改めて確認した。 [DVD(邦画)] 6点(2009-01-24 16:55:07) |
3. Sad movie/サッド・ムービー
往年の月9ドラマを1年間分まとめて、ムリヤリ2時間にダイジェストしました、みたいな。とくに家族とか、会社とか、そういう関係をぶった切って、個別の関係だけを描こうとするところがいかにも月9らしいと思ったのだが、バブルを乗り越えて大人になってしまったおいらにとっては、そんなものはリアリティ皆無のおとぎ話で、世の中そんなに美しいものばっかじゃないだろ!!と、毒づきたくもなった。もっといろいろあるでしょーが、人生。 [映画館(吹替)] 3点(2006-12-05 00:00:41) |
4. 最後の恋のはじめ方
《ネタバレ》 それで結局、俺なんかが彼女をゲットするにはどうしたらいいんだ~?? [DVD(字幕)] 6点(2006-05-04 21:52:27)(笑:1票) |
5. ザ・インタープリター
テンポ良く進み、適度に頭を使う、良質なサスペンス。主人公の背景が少しずつ明かされていく過程で次々と起こる出来事にハラハラさせられ、飽きなかった。ただ、国連を舞台にしながらなんとなく話が小さくまとまってしまっていて、しかも頭使わせるわりにストーリーにメッセージがあるんだかないんだかわからないところに、小さな苛立ちを感じないこともない。娯楽作というには、主人公の背景は重すぎた。そういう意味では、少し中途半端な作品。 [映画館(字幕)] 6点(2005-06-01 18:10:32) |
6. さよなら、クロ
《ネタバレ》 タイトルが示すようにこの映画の中心はクロの死と別れの場面であり、それらの映像には不思議と普段感じる事のない、敬虔な気持ちを呼び起こす力があった。それは多分、物言わず、しかし誰からも愛された「犬」が主人公であったからこそだと思った。だからこそ、正直、この映画の中に、あんなにしょぼい恋愛ドラマが必要だったのだろうかと甚だ疑問に感じた。クロの生涯を、人間ドラマと重ね合わせて描きたかったのはわかるけど、なんだか結局どちらも中途半端になってしまって、もったいなかった。 5点(2004-05-27 19:47:49) |