1. ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷
5行でまとめたら凄くいい映画なんだろうな。 薄っすらと人物描写の中で死にゆくであろう様を 想像させるのが良い。 しかし、死にゆく人を想像させるということは そうじゃない人をあぶり出すことにもなる訳で。 思えば、主役というものが希薄な映画な感想。 主役、ってのに捉われるのは愚かではあるけども、 少なくともかなりの時間を割いて描いている。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-01-09 21:29:35) |
2. サスペリア・テルザ 最後の魔女
《ネタバレ》 ジャンルを問わない良い食材を闇鍋にしたような味わい。 ホラーとしても、スプラッターとしても、コメディとしても それぞれの一面がある。 魔女とそれに対抗するものの構図は面白く もう少し幕間がスムースなら(時間を設けていたら) 素直に良い映画だったな、と思えそう。 ただ、ラストの魔女の倒し方はいかん。 いくらなんでも雑で、この映画をつくるのが 大変で早くクランクアップさせたかったのか、と思うほど。 惜しい。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-12-19 23:44:37) |
3. 殺人の追憶
最初は田舎と都会の人の渡世についての皮肉モノか、 と思わせつつ、 悲惨さをきっかけにしっかりと泥沼に足を突っ込んで捜査を始める。 悲惨さの描写は秀逸と思うが、 同情の描写はやや物足りないかなという印象。 とはいえ、無垢な少女に貼ってやったバンソウコウというもので 嫌というほどに心が毟られるものではあるか。 私は正直なところ映画が何を描きたいのか、 よりも何を描いたか、が気になる性分です。 最後のシーンは、無念さというよりも、 どこまでもこびり付く記憶を どこかで強いヘラで削り取って欲しい、 そんな風に見えました。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-12-14 22:23:36) |
4. サマー・オブ・84
幸せそうな環境で、微笑ましく子どもたちが探偵ゴッコを演じていたら 狂気にぶちあたったでござる。 という感じで、子どもの個性はあり、 終盤までは犯人が犯人らしくなく描かれるあたり なんとなしに楽しめる。 ただ、エンドにあるような平和なところにこそ狂気があるという教訓めいたものは 浮かびませんでした。 まぁ、この環境でこの警官がおって、 不安なことはない生活送るわな。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-12-11 21:31:48) |
5. サーミの血
自分が属するもの、の流浪の映画である。 差別的な扱いもそこにはあるが、差別そのものよりも 自分がどこに行っても、まるで帰る場所では無いと告げられるように、 行く先々で居場所の無さを感じる。 そこで出生から考えてみるに、囚われているのは部族というしがらみなのか。 そんなことは決してない。 自分は自分だ、というのが湖で空に向かって浮かんで欲しいというシーンと思う。 力強く生きているつもりでも、 外からの干渉がこれほどまでに強い。 哀しみが哀しみを呼ぶ、そんな映画で観ているのが辛かった。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-12-04 00:19:18) |
6. ザ・ブルード/怒りのメタファー
《ネタバレ》 誰一人まともな人がいないような感覚で映画を見進めると、 その思いが間違いだったのか?と自問する時間が訪れる。 精神科医というのがまず特異であるし、 娘と二人暮らしで心に疲れを持ち病む父親もまた辛そうで凡庸でない。 なんとなく奥さんは精神科医にマインドコントロールされているのでは、、、 が見事にひっくり返される様は見事な展開。 後味は決してよくないが、見なければよかったとも思わない、そんな映画。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-01-01 23:07:04) |
7. THE ICEMAN 氷の処刑人
良心の呵責というものがなく、 ひたむきに、純粋なる良心がゆえの殺人。 頻繁ではない家族とのシーンだが、 たまに観る団欒だからこそ、 主人公の殺人への徹底ぶりが見え、 その迷いの無さに戦慄を憶えてしまう。 陰の中にあるかのような世界の描き方で、 見る側の気持ちも晴れることなく、 突如として逮捕されるシーンにはインパクトを感じた。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-07-28 19:20:12) |
8. サベージ・キラー
- 攫われ侵された耳の不自由な女の子の憎悪と無念 - 長い年月迫害を受けてきた小さな民族の恨み 2つの復讐が1つのかなしい身体に宿って、 緊張感ある殺人がおこなわれる。 バーので振り返った際に女の子が立っているホラー感はしっかりしているし、 壊れゆく身体をグロテスクに操作するシーンも見応えがある。 彼氏の女の子を守りたい、という一心でひた走るシーンは心をうつも、 やはり最後はあまりにもかなしい一幕。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-04-09 18:16:38)(良:1票) |
9. ザ・セル
犯人の狂気をその所作で示すのでなく、 深層心理を映像美として描き出しているところが面白い。 抱えるトラウマ、それを基にした全能の恐ろしい存在、 入り込んでいき、いいように侵されるシーンは恐怖をかき立てる。 ただ、逆に捜査官の心理に犯人を呼び込むシーンは、 当然せつなさを感じつつも、なにか物足りなさ、違うのではないか という印象をもった。 犯人の心理は今なお危うい、だからこそ全能の存在をもつ心理に 恐怖を感じていたところ、 捜査官の心象風景の中で無力化され、 子ども時代のような儚い存在に戻されてしまう。 なんと儚いことだろう。 事件そのものの残虐性の描き方に物足りなさを覚えつつ、 深層心理に入り込む展開は好みでございました。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-03-30 14:37:35) |