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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ザ・プラネット 《ネタバレ》 
アルゼンチンのフェルナンド・カブサッキというギタリストのアルバムに、18人の映像作家がアニメーションをつけたものとのことである。「アルゼンチン音響派」というものを代表する人物だそうだが、特に何かそういう派閥があるというよりは、現代アルゼンチン音楽の新しい動きを担う人々という意味らしい。最近では2020年1月(入国制限の前)に来日公演したそうで、日本でも一定の人気があることになる。 映画としてみればオムニバスともいえるが、CDをプレーヤーにかける/外す実写映像が入っているため映像作品としては不純な印象で、要はアルバムのPVなのかと思わせる。音楽はフォルクローレとかではなくギターも入ったインストゥルメンタルの曲集で、ジャンル的にはよくわからないが、環境音楽のようなのもあり普通に楽曲として聞けるのもある。 映像面では、まとめていえばアニメーションだろうが手法はそれぞれ自由にやっているようで、静止画中心のものや実写を使っているものもある。純粋に抽象的なものは多くなく、具象的だが意味不明というのが目立つ気がするが、後半になるとストーリー性のあるエピソードも出る。せっかくなので少し褒めるところを探すと、個人的には三頭怪人と三頭バエの話で、描かれているもの自体は汚らしいが色調が好きだ。またスーパーガールの宅急便はイヌの最期が悲哀感を出していた。 いま見てそれほど斬新さを感じるものでもなかったが、音楽と合わせて息抜き程度に見ればそれなりかとは思った。明らかに性的な表現があるので子どもには見せられない。
[DVD(字幕なし「原語」)] 3点(2020-12-05 08:29:56)
2.  サイレン FORBIDDEN SIREN 《ネタバレ》 
背景設定としては15世紀の出来事を発端にして、1976年の事件と29年後(2005年)の今回の事件がつながっていたことになっており、いわば八つ墓明神の祟りのようなものが一貫していたらしい。「赤い服の少女」の赤い服は、むかし疫病(天然痘)の患者が着せられたものかと思ったが関係ないか。また赤と疫病からは「赤死病の仮面」を連想するがだから何だということはない。ちなみに海底ケーブルの切断というのは確かに不気味だ(2003年、伊豆半島沖の初島)。  内容としては、最初から薄っぺらいので真面目に見ようとする気が失せる。南の島(設定は伊豆諸島付近だが撮影は八丈島)で、陽光がさしていながら陰のある雰囲気を出そうとしたようでもあるが、変な外国人居住区とか変な住民、変な像、変な儀式など上っ面だけ適当に作った感じなのは気が抜ける。煙草の銘柄がKYONだとかいうのは全く面白くない。 観客を飽きさせないよう見せ場をつないでいるようではあるが、何かあるのかと見せておいて結局何もなく肩透かしだとか、光過敏性発作を起こしそうな場面(DVDの最初に警告が出る)が延々と続いてだれるなど、それほど感心されられるところはない。最後に意外な展開もあるが、「まさに奇跡」と言い訳したり、こじつけじみた説明でごまかしたりするのでうまく騙されたという気もしない。 ただ光の明滅とか大音響など刺激的な作りなのは特徴的かも知れない。鉄塔の場面では、台詞がかすむほどのサイレンに代わって大仰な背景音楽が鳴り続ける中、空が赤くなっているのが見えたという趣向は悪くなかった。 そういうことで別に恨みはないが、好意的ではないので低い点にしておく。  なおキャストとしては、主演の市川由衣という人は19歳くらいで可愛く見えるが、今回また変な役をやっている高橋真唯(当時)も、この人らしい個性的な可愛さを見せている。ほかは可愛くない。
[DVD(邦画)] 3点(2020-07-25 08:25:41)
3.  さよなら、クロ 《ネタバレ》 
時代設定としては映画館の場面と劇中で流れる曲から前半が1967~68年、後半が1976年ということになる。映像的にはそれなりに昔っぽい風景で、これで考証的に正しいのかはわからないが、60年代と70年代で微妙な差を出しているようではあった。ちなみに鉄道は、長野市から松本市と別の方向に行く長野電鉄だったようである。 原作は読んでいないが、劇中教員が素行不良の生徒の人格を貶めるような発言をして、それで当人らが騒ぐわけでもなく率直に受け止めていたのを見ると、そういう時代だったということもあるだろうが、さすが進学校らしく物のわかった連中とも取れる。また先人の名言で「質問もしなければ批判もしない」は笑った(全くその通りだ)。  話としては犬の物語かと思ったが、犬自体が何か特別なことをするわけでもなく、ただそこにいてやがて死んだだけのように見える。しかしそのように、動物が無心にその生涯を全うしようとするのがいわば生命の基本の表現であり、それは人にとっても同じだろうというなら一つの考え方である。 また、犬が病気で死んでも寿命のうちと思えばそれまでのところ、あえて手術して数か月間?(生徒の顔ぶれが同じ)延命し、死んでしまったあとは人間並みに葬式まで挙げていたのはやりすぎ感がある。しかしこれは人も動物も同じく生き物だということを表現するために、人をケモノのように描写するのでなく、逆に動物を人間同様に扱ってみせたということかも知れない。 冒頭で名前が並ぶ愛護団体もそういう面で推薦していたのかも知れないが、ただ問題は、この犬がそれほどの思いを寄せられるに至った事情が素直に納得できるよう作られていないことである(単に長期間学校に住んでいただけ?)。ほかにも劇中人物の行動や展開に作為的・不自然・説明不足な点が多く、どこまで原作通りなのかわからないが、どうも映画化の段階で無理があったのではという気がした。  キャストとしては、何といっても伊藤歩さんが可憐で好きだ(高校時代は可愛い)。劇中では変な男にキスされずに済んでよかったが、犬に口をなめられるのはいいとはいえない。また三輪明日美嬢は今回個性を抑えて普通の友人役に徹している。秋定里穂さんはキャスト配列順では下の方だが、終盤になると重要人物グループの一角に位置づけられていたのが意外だった。「ウォーターボーイズ」(2001)では女子高生役だったが、今回は普通に大人の女性の顔を見せている。
[DVD(邦画)] 4点(2020-05-03 20:29:15)
4.  櫻の園 -さくらのその- (2008) 《ネタバレ》 
[2020/4/12視聴] 1990年の旧作の続編のようなもので、前回が1980年代とすれば20年くらい後である。この映画の学校でも過去に毎年「桜の園」を上演していたが、平成9年(1997)に停止され、それを11年後(2008)に再開したのが今回の物語ということになる。季節の面でも今回は4月14日の前日?から始まり、桜が散った後の情景も加えて、最後を6月で終わりにしていたのが旧作の後という印象を強めている。 ちなみに部員の姉の差し入れとか(今回はシュークリーム)、終盤のツーショットなどが旧作との連続性を感じさせる。ほか序盤で学園ホラーっぽいところがあったのは個人的に好きだ。  前回からの流れでいえば演劇の上演は学校の伝統だったはずだが、劇中の教頭の考えはそうではなく、生徒が学校の決まりに従う校風の方を伝統と思っていたらしい。そのような前時代的な(前々時代くらいか)規制に主人公一派が従わず、“あきらめないことが生きる価値”(上戸彩の歌)という感覚で上演を実現させ、新しい伝統(=校風)を作ったという前向きな物語ができている。全体的に軽い印象はあるが、旧作の古風な話を同時代の若者が受け入れやすいよう作り変えたということなら意味はわかる。 最後はかなり都合のいい結末で、教頭のそれらしい言葉も適当に格好つけただけのようで意味不明だったが、要は時代が変わって自分も老いたことを自ら認識したというなら悪くない。もう変われなくなった者は去り、前に進んでいける人間に後を託すべきということだ。 ちなみに演劇の出演メンバーが、自分の役の台詞を使って上演に向けた決意を語った場面は何気に感動的だった。旧作よりもかえってこの映画の方が、元になった戯曲も読んでみるかという気にさせるところがある。  ところで旧作とはっきり印象が違うのは美少女を揃えていることで、大島優子嬢を含めたカワイイ系女子には和まされる。製作委員会のオスカープロモーションから主演の福田沙紀、舞台監督役の武井咲のほかにも著名女優を特別出演で出しており、前回とは映画の作り方自体が違うということらしい。 主演の福田沙紀という人は若干きつい雰囲気だが(一応かわいい)、役柄との関係ではいい感じを出している。また前回の主人公に相当する役の寺島咲という人は、美少女と言い切るには微妙な容貌なのも旧作に似ているが、終盤の自撮りの場面では目の覚めるような美男に変わる一方で倒錯的な可愛さを見せていた。
[DVD(邦画)] 6点(2020-04-18 08:58:03)
5.  サンタクロースになった少年 《ネタバレ》 
原題も英題もクリスマス物語である。主人公の名前は一応聖ニコラオスから取ったようだが、話自体はキリスト教と関係ないので異教徒でも無宗教でも見られる。そもそもフィンランド語のクリスマスJouluもサンタクロースJoulupukkiもキリスト教とは関係のない言葉のようである。 時代としてははっきりしないが、豊かでもない庶民が懐中時計を持っているからにはそれほど大昔でもなく、もう19世紀に入った頃のことではないかと思った。電気はさすがに通じていなかったが、村の人口が増えたというのは前近代を脱したという表現のようでもあり、孤立的な昔話ではなく現代に直接つながる出来事と取れる。 撮影場所は、フィンランドでサンタクロースが住むとされているラップランド地方とのことで、なだらかな山容が特徴的に見える(実は見たことがなくはない)。季節の変化も印象的で、これが現地の風景だとほれぼれした。ほかに師匠と主人公が家具を売りに行った場面は南部の都会トゥルクの大聖堂で撮っている。  内容としては完全オリジナルのサンタクロース誕生秘話を極めて誠実に作っている。師匠と一緒にプレゼントを配ったとか、親友の娘が家を訪ねて来た場面は少し感動的だったが、ただ全般的に展開が駆け足すぎて、大河ドラマを一晩だけの総集編にしたようでもある。後半で突然ヒゲオヤジに化けたのも唐突な印象で、個人的には健気で賢明な少年と、親友や師匠とのやりとりをもっと見ていたかった気がした。 自分の志を世の父親連中に委ねて、本人は空から子どもを見守る存在に昇華したという結末(多分)は悪くないとしても、主人公自身が自分の家族を持つという選択はなかったかとはどうしても思ってしまう。主人公の心境は正直よくわからなかったが、家族と思った師匠も去ってしまって一人残された家で、妹代わりかと思った人物の忠告も聞かず、他人の子どもを自分の子のように思うしかない状態に自ら追い込んでいった面がなかったのか、と思うと少し寂しい結末だった。  その他の事項として、プレゼントをしておいて知らないふりをする主人公もそうだが、顔の怖さを前面に出す師匠とかツンデレ少女とかがシャイといわれる国民性の表現のようで面白かった。個人的にも以前に現地へ行った時に、不愛想で物も言わないが親切なフィンランド人というのが本当にいたのを思い出した。
[DVD(字幕)] 6点(2019-12-21 09:55:55)
6.  惨劇館 夢子 《ネタバレ》 
2004-02-23に作品登録されていながらレビュー数0だったので見た。御茶漬海苔というホラー漫画家の「惨劇館」をもとにした映画化らしい。 原作がどういうものかは知らないが、これを見る限りは中高生向け?のソフトな猟奇サスペンスのように見える。一応は21世紀らしく児童虐待とか援助交際とか、変質者が女子中学生を監禁して惨殺するとかいった刺激的な要素もなくはないが、何より主人公が純真そうな制服女子高生というところがいわゆるジュブナイル的な印象を出している。ホラーではあるのだろうが超自然的要素は主人公の予知夢だけで、基本的には頼りになる(実際はなっていない)探偵を相棒にしたミステリー調の展開である。 物語の骨格は意外にしっかりしているようだが、しかし結果的にはどうも褒めるまでには至らない。主人公が予知夢を頼りに人を救うことを決意しながらも、肝心の人物を救えなかったことを悔いての「ごめんね」とか、あるいは全ての原因になった人物の「もう終わりにしよう」など、理屈としてはわかるが軽すぎる。また終盤のスリリングなはずの部分がかったるいので見ていられないとかCGの甲虫が意味不明だとか、何のせいかわからないが画質が悪すぎるといった問題もあり、決して嫌いではないが不足な部分のかなり多い映画という印象だった。  キャストの関係では美波(名字なし)という人の初主演映画で、当時はまだ15歳くらいだったらしい。フランスとのハーフのため洋風の美少女で、外見的には可憐なところと大人っぽいところが交代する感じだが、人物設定としては無邪気で可愛らしい少女になっている。時機を失しないうちに同じ主演でシリーズ化でもできればよかったのだろうが、それなら例えばポスタービジュアル的にももっとこの人を可愛く見せればよかった気がする。 またその妹役が貫地谷しほりという人で、姉役の美波と実年齢が逆転しているのは変だが、この姉妹が自宅でいかにも今どきの女子中高生風のやり取りをしていたのは面白かった。今どきといってももう十何年も前だが。
[インターネット(邦画)] 4点(2018-12-25 22:36:20)
7.   《ネタバレ》 
以前に「Jホラーシアター」の名前で無料配信されたのを見て以来である。 この監督の映画は見慣れていないが全体的な印象は悪くない。「赤い服の女」は顔がかなり怖いが、変に実物感を出しているのが触れるゆうれいといった感じで、風に乗ってひらひら飛んでいく姿はけっこう気に入っている。また外科医の関連では飛び降りも印象深かったが、特に取調べの場面が、舞台の四方を目いっぱい使った一人芝居のようだったのが印象深い。  ストーリー的にはよくわからないところもあるが、自分としては特に刑事と女2人の三角関係が気になった。刑事の彼女が部屋にいたときに、何かを睨むような顔をしていたので意識(牽制?)はしていたらしく、旅行に行けと言ったのも危険を回避させるためだろうが、しかし刑事が「赤い服の女」を優先して本物の彼女を追い払うような態度だったのは、された方からすれば傷ついたのではないか。それでちゃんと決着つけたにしても、その後になってやっと真相を思い出すというのでは「目の前にいるはずの人が、全然私を見ていない」というのと同じに見える。 恋人とはいえ年齢がかなり違うのは職務上で知り合ったことを思わせるが、心根が優しく諦念が強いように見えるのも昔の境遇を想像させるものがある。刑事を恨んでいたわけではないようだが、ストーカー女よりも自己主張が弱い分、この人の心情を思うと見ている方も心が痛む映画だった(小西真奈美さんも嫌いでない)。  ところで劇中の地図によれば、問題の病院があったのは現在の江東区東雲2丁目の海際のようで、公開当時も今も東京ビッグサイトに至近の場所である。また映像に出ていた場所も、警察署の名前になっていた有明や、近頃耳にする機会の多い豊洲が中心だったように見える。当時としては、要は臨海副都心開発の頓挫で放置状態のようなイメージだったのかも知れないが、今になってみればまた2020年に向けて関心が集まっている地域のはずで、この映画の制作時とは早くも場所感覚が違ってきているのではないかと思われた。 ほか以前から思っていたのは、刑事とその彼女が身長は大して違わないのに顔の大きさが明らかに違うことである。これは男の方を何とかしろというよりは、小西真奈美さんが小顔なことを称賛すべきものかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2018-12-07 18:52:19)(良:1票)
8.  THE レジェンド -伝説の勇者- 《ネタバレ》 
邦題が俗な感じで全く信用する気にならない。原題の“Stara baśń. Kiedy słońce było bogiem”は英語でいえば“Ancient Tale: When the Sun Was God”のようで、要はポーランドにキリスト教が導入される以前、太陽を信仰していた頃の昔話である。 この辺の歴史はよく知らないが(それをいえばどこの歴史もよく知らないが)、ポーランド王国の最初の王朝「ピャスト朝」につながるピャスト家の創始に関わる映画であるらしい。年代としては9世紀あたりのようで、日本では平安時代に当たる。史実とも限らないが全部が創作ということでもなく、年代記に書かれた内容をもとにして、英雄とか恋愛とか当時の風習などの見どころを加えて娯楽性を高めようとしたものらしい。大昔の話ということで若干のファンタジー感も出してある。 話の大筋としては、部族連合の長?だった王が絶対権力を得ようとして失敗し、代わりに皆の支持を集めた者が王になって、サクソン族やバイキングといった外敵に対抗する体制を整えた形になっている。王の専制を否定する点で、後世のいわゆる「貴族共和国」のようなあり方を目指していたようでもある。  しかし実際見て思うのは著しくスケールが小さいことで、せいぜい田舎の村同士で抗争している印象しかないが、逆にこの時代のこの場所では実際この程度のものだった、というようにも取れる。少々古くさい映画に見えなくもないが、それでもCGを入れたりしているのは一応21世紀の創作物である。 考証的に正しいのかわからないが興味深かったのは、夫が死ぬと妻が生きたまま一緒に火葬される風習(本当か?)やバイキングの行動様式といったものである。湖水に守られた木造の城塞は目を引くが、これに当たるものが実際にKruszwicaという場所にあったらしい。また舟で渡る聖堂の島はアルノルト・ベックリンの「死の島」を意識していたように見える。ほか王が籠城を決めた後に、何が行われているかをしばらく説明せず、王子の死で一気にわからせるといった少し気の利いた展開もあった。 登場人物としては、ヒロイン役のマリーナ・アレクサンドロワという人はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」では可愛らしいロシア女性を演じていたが、この映画でも注目せずにはいられない可憐な美女になっている。主人公の男もけっこう格好いいのでヒロインとはお似合いだと思ったが、この男に横恋慕した船着場の娘はかわいそうだった。
[DVD(字幕)] 5点(2018-06-04 21:25:50)
9.  THE3名様 スピンオフ 人生のピンチを救うパフェおやじの7つの名言<OV> 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、本来「THE3名様」とは2000年代から発表されてきているマンガ作品で、これを福田雄一監督が実写とアニメで映像化しているが、その実写版のスピンオフとして、脇役レギュラーの「パフェおやじ」に焦点を当てたのがこれである。 今回の趣向は「パフェおやじ」がたまたま近くにいた他の客の会話を聞いた上で名言を放つというもので、エピソード7つのオムニバスのようになっている。しかしその名言自体は単なる感想レベルの表層的なものでしかなく、そこに解説を付けて名言のように見せているが、それもこじつけにしか思えないものが多い。ネタバレ的に一つだけ書くと、脚本があって役者が演じているからには当方としても見た目そのままとは思っておらず、このやりとりの裏に何があるのかと思っていたところで「他に何かある」では、まるきりそのままではないかと呆れる。人生を変えるほどの発言があるとは思っていなかったが、せめてもう少し気の利いたものがあればよかったがと思う。 制作側としては主に「パフェおやじ」の動きで笑わせようとしていたらしいが、個人的にはこの監督の作る笑いに素直に乗れないことが多く、今回もそれは同様だった。ただ各エピソードに出る役者(の顔など)を見ているのは面白い。ちなみに第2話「夫婦喧嘩」に出た姉弟のうち姉役(伊藤沙莉)が、年若いのになぜか声がハスキーで迫力があると思ったら、「幕が上がる」(2015)でオヤジ声を出す部員(たかだ/高田梨奈)役と同じ人なのだった。子役時代からTVドラマなどに出ていてキャリアの長い人で、昔からこれが特徴だったということらしい。
[DVD(邦画)] 3点(2017-04-10 00:03:27)
10.  THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間 《ネタバレ》 
45分という中途半端な長さだが、同じく女優のアクション映画「ハード・リベンジ、ミリー」(水野美紀主演、44分)と同時公開だったとのことで、2本合わせてそれなりのサイズということらしい。 中身に関しては、まずいたいけな少女を人体改造するという発想自体が気に入らない。君に×××の力を与えた、今日から君は○○○だ、と口で言えば済むものを、あえて物理的改造(手術台のようなもので白衣を着た者がする)にこだわる必要などあったのか。そういうものが好まれた時期だったのかも知れないが、史上最初の仮面ライダーの時点で、改造された人間の悲哀がにじんでいたことを知っている世代としては全く容認できない。 また変身ヒーロー物として見た場合、ラストで悪が滅ぶわけでもなく、当面の謎を残したまま次の戦いを待つ形で終わるので、要はTVシリーズの第1回に相当する内容しかないことになる。もしかするとシリーズ化を目論んでいたのかも知れないが、本物のTVシリーズなら30分番組の枠に収めるはずのものを45分もかけてやった形であるから密度は低く、これで次回に期待しようという気も起こらない。  一方アクションという点では、主要人物の女子高生役2人がけっこうハードに頑張っていたようで少し感心した。この2人は当時「美少女クラブ31」なるものに所属していてアクション志向などでは全くないだろうから、少し指導を受けただけで一応のアクションをこなすというのは基礎的な運動能力が高いのだろうと思われる。ダンスをやっているとこういう動きも無理なくできるのかと思ったりもした。 またこの女子高生役2人が期待どおりの美少女なのは大変よいことである。基本的には中村静香という人が出ているので見たわけだが、今回は主演の清水由紀という人も好印象で、劇中の事態に対する女子高生としてのリアクションが(リアルかどうかは別として)非常に可愛らしい。メイキングでは監督が、「変身ヒーロー物の作品」として作ったが、できてみると「これはアイドル映画なんだ」と思ったとのことで、それはまことに同感である。 なお変身ヒロインの名前はTHE MASKED GIRLなので仮面ガールだろうが、主人公がせっかく二輪車を愛用しているわけなので“ライダー”という言葉を使えなかったという気はする。具体的にどうすればいいかは思いつかないが。
[DVD(邦画)] 2点(2016-11-24 22:22:24)
11.  最後の晩餐(2004) 《ネタバレ》 
わざわざ好んで見るものでもないが監督の名前で見た。2006年にスコットランドのホラー映画祭("Dead By Dawn” Scotland's international horror film festival)に出品したとのことで結構評判がよかったらしい。 内容としては造形物やグロ描写にリアリティがなく、その一方で料理は普通に食えそうに見える。また同情したい登場人物が誰もいないこともあって、結果的に人肉嗜食自体にはそれほど嫌悪を覚えず、かえって人を食うに至る過程に一定の説得力を持たせた映画になっている。妙な理屈をつけて正当化しながら実は残虐描写の方で客を呼ぼうとする映画などよりよほどましである。 また登場人物としては、食われ役の三輪ひとみと香港の女優はさすがの美貌だが、一方で後半に登場する初老の刑事がまた強烈な印象で、これはいわゆる怪演の部類と思われる。主人公がこの汚い男まで食ったりしなかったのは当然だが、そのことからすると逆に、食うならやはり美女だという発想そのものは間違っていない気がした。 なおストーリー的には、主人公の同僚2人に対する感情が不明瞭なため、最後に式場でしでかしたことの意味がわからない(「光る通り魔」の真似?)。せっかくなので、もう少し人の心を打つような要素があってもよかったのではと思う。 ただ映像面と音楽はそれなりの印象だったので点数は少し高目につけておく。
[DVD(邦画)] 5点(2016-03-20 18:49:50)
12.  THE JUON/呪怨 《ネタバレ》 
邦画の劇場版1を基本にしてOV版1の発端部分その他を加え、わけのわからない箇所やおふざけを除いて再構成した結果、非常に筋の通ったまともなホラー映画になっている。邦画版の特徴だった時間の前後もわかりやすく単純化されており、初めからこういう風に作ればよかっただろうが、と思わせるものがある。 真面目な映画のため、特にOV版にあったような笑いを誘う場面は目立たなくなっているが、かろうじてバスに乗っていたバカップルのようなのは存在自体が微妙に可笑しい。また細かいことだが、外国人教授が少年の額に手を当てようとしたときに、瞬時に少年が避けて無表情に睨んだのはネコの動きのようで面白かった。 ただ個人的に不満なのは女優が全般的に可愛くないことで、これは邦画版との大きな違いに思われる。邦画版と一対一で対応している人物も多いが、邦画版のあの人物がこれかと思うとあまりの可愛げのなさに呆れてしまう。その中で主役はかなりいい方で、終盤で日本人看護師と並んだところを見ても外人にしては大柄でないのが好印象だった。  ところで中盤過ぎに日本の刑事が、毎度の冒頭に出る辞書的説明をまるで日本全体の事情のように一般化して語っていたが、これはわが国に関する著しい誤解を生む恐れがある。映画全体としても日本の風景の中に外人多数を連れ込んだような違和感があることもあって、“日本にさえ来なければこんな目には遭わなかった”という教訓的な感じの映画になっている。タクシーの窓に「ようこそ日本へ」というシールが貼ってあったのは皮肉のようだがこれも笑うところなのか。 この当時はともかく現在は訪日外国人数が著しく増加しており(2004~2014の10年間で倍以上)、外国人観光客などを対象にした民泊の動きも全国的に活発になっている。そういうときに、古風な日本家屋には何が憑いているかわからない、というこの映画は水を差すのではという話だが、まあそういうことも含めて外人には受けるだろうと思うべきか。劇中の家の内部も微妙に外人受けしそうな作りのようでもあり、これが日本への旅情を誘うことになるとすれば幸いである。  [2020/02/16追記] 2015年の時点では、当時のインバウンド拡大の風潮に乗って外国人観光客を無条件で歓迎するようなことを書いてしまったが、その後に民泊の弊害とかオーバーツーリズムとか(感染症のリスクとか)の問題が出て来て、今となってはあまりよろしくない書き方だった気がする(反省)。政界や経済界の思惑はともかく個人の立場としては、人数や金の問題というよりも、日本に関心があって日本のことをもっとよく知りたいお客さんに来てもらいたい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-12-12 13:55:18)(良:1票)
13.  さとうきび畑の唄〈TVM〉 《ネタバレ》 
森山良子氏の著名な持ち歌を取り入れたドラマで、最初と最後の現代パートは歌詞のシチュエーションを映像化したものである。ここでは歌の主人公のほかに態度の悪い女子高生もついて来ていたが、これは新しい世代にも伝えていきたいとの趣旨だろう。この歌は情景イメージを含めて時代の記憶を伝える力を持った優れた音楽作品であり、後世に残ってもらいたいというのは自分としての願いでもある。これを見たあと自宅にあったCDを引っ張り出して聴いてその思いがさらに深まった。  ドラマ本編に関しては、歌の主人公(新生児)も出て来てはいるが、全体的に騒がしい感じのため歌に喚起されるイメージとの間でかなりのずれがある。しかし歌自体のドラマ化が目的ではなくネタとして使っただけだろうから、合うとか合わないとかを問題にしても仕方ない。また悪玉にわざわざ過激なことを言わせておいて、そこに善玉が「同じ人間じゃないですか!」などと当たり前のことを突っ込んでみせるような安手のドラマだが、それもまあテレビだから仕方ない。 劇中の主張の中では、学徒動員の青年の考えは普通に理解できる。また親は戦争で死ぬために子を産んだのではないというのもその通りだが、しかし「戦争のない国を作って下さい」というのは具体的に何をどうすればいいと思うのか。戦争がない方がいいというのは平和な市民社会の誰もが願う当然のことだが、相手があることなので自分の国だけでは決められない。むしろ戦争を起こさないために、現実的な対処として何が必要なのかをシビアに考えることが大事であり、そこに沖縄戦の記憶を伝える意味もあるだろうと思われる。 ちなみにこのドラマでは主人公夫妻が関西出身という設定もあり、結果的に“沖縄の利害は国内他地域と相反する”といった分離主義的な印象が強くなかったのは幸いだった。もっとも制作当時は東アジアの国際情勢が現在と異なっており、この時点でそんなことはほとんど誰も考えていなかっただろうが。
[DVD(邦画)] 2点(2015-05-05 00:09:24)
14.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
登場人物の多い映画だが、主人公とヒロインに限ってみれば著しく都合のいい青春ドラマである。内気な男子が自分では何もしないのに、年上女子が勝手に手を握ったり抱きついたりしてくれて、その上「あの子をよろしく」とまで言われて本当はうれしいのに迷惑顔できるような、年少男子の願望丸出しの気恥かしいストーリーになっている。ただ、よろしくと言われたのは主人公しか知らないことなので、あとは自分でがんばれということだろう。   また、映画に出るインターネット上のサービスがコミュニケーションや商用機能だけでなく、インフラなどの社会システムまで担っている設定は不自然に思われる。しかしパソコンやネットには詳しくとも実社会とは接触不良の青少年が、自分も現実世界を救うヒーローになれる、と感じられるシチュエーションを準備するためには、多少無理でもこうする必要があったということか。ネットやゲームを馬鹿にする母親(=劇中の主婦連)を見返してやるというような展開は大人気なく、これもまた年少者に極めて甘い内容になっている気がするが、それでも最後は主人公が新しい人間的なつながりを作って終わっていたので、まあよかったとすべきだろう。   ところでこの映画では、インターネットに依拠しない旧世界の「つながり」と、ネット上の新しい「つながり」が競うように危機に対処していたが、前者代表の曽祖母が電話で言っていたのが、要は“あきらめるな、元気を出せ”というだけなのは大変拍子抜けだった。本当の大事件なら関係機関では落胆する暇もなく対策に奔走している最中だろうから、この人は明らかに的外れなことを一生懸命言っている。福島第一原発の所長を電話口に呼び出すようなもので、相手先の組織的対応を邪魔しているようにしか思えない。これがリアルの「つながり」というならお粗末なことで、この映画自体が実社会と接触不良のように感じられた。   以上、前作に引き続き青少年向けの作りになっているが、対象範囲はさらに狭まった感じである。自分としては普通に面白い娯楽大作という以上の評価はできないが、映像面や人物描写ではいいところが多かった。消防3兄弟、自衛隊員と漁師のオヤジが格好いいが、ヒロインも可愛いと思う(実は予告編の「…1名なの!」という場面につられて映画を見た)。またラストの写真は素直にほめたい。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-11 17:31:44)(良:2票)
15.  サヨナラ COLOR 《ネタバレ》 
監督兼主演には何の思い入れもなく、主演女優が目的で見た。昔あこがれたマドンナが、今は普通に世間ずれした顔の大人の女性になっているのだが、心を開けば昔のままの(劇中人物というより主演女優の)笑顔がよみがえるというのがいい。筆談の場面は自分のことのように嬉しかった。  ところで、愛する者に生命を捧げるというのは本来泣ける話のはずだが、この映画の主人公が複数の女性を周囲に配した上、一番いいと思ったのだけに特別にこだわっているのは傍から見ると嫌味である。また自分の生命をヒロインに気前よく与えるならともかく、死んだ後まで出てきて恩着せがましく自己アピールし、一生かけて代償を払わせるつもりなのは自己犠牲どころか自分本位で、こうなるともうヒロインにとって本当によかったのかどうかわからない。別の医者にかかっても助かったのではないのか(執刀したのは中島みゆき先生だし)。これほど主人公のしつこさを徹底しなくても感動的な映画にはできたはずだが、そこを譲らないのが監督の自己満足映画ということか。 ただ、それでこの映画が気に入らないかというとそれほどでもなく、しょうがない奴だと笑って済ませるような感覚である。劇中にも出てきていたが、みんな笑って許しあえる同窓会のような雰囲気があり、本人が瀕死の白鳥のなりきりをやっていたのも、バカな奴が余興をやってみせたような印象だった。手放しでほめる気にはならないが、何か憎めないところがあるというのは認めざるを得ない。  なお編集で落とされた映像も含めて、この映画は海の風景に開放感がある。人が死んだら海の向こうに行くともいうが(自分の地元では山に行くが)、この映画は現世と来世の接点で展開したストーリーだったということか。本来この映画で提示するはずだった死生観のようなものがきちんと前面に出ていれば、主人公の身勝手な印象も少し薄められていたかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2012-06-23 21:24:58)
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