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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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41.  神経衰弱ぎりぎりの女たち
吹き替えアフレコの声によってすでに家を出てしまった男との擬似掛け合いをしながら気持ちの高ぶりを抑えきれなくなる女。あるいはテレビから流れるその吹き替えられた声に正気を取り戻した元愛人。映画、演劇を作品内に潜り込ませるというアルモドバル的展開はこの初期作品でも存分に取り入れられている。現実と虚構の倒錯をコミカルに味付けしてゆく。男の身勝手さによって神経衰弱となり復讐心にとりつかれた元愛人の姿に自分を見る。そこから男に依存しない自分を見出してゆく。ドタバタ喜劇の様相のなかにはっきりと「女の自立」が描かれるのもまたアルモドバル映画の真髄と言えよう。ただこのドタバタの部分が人間関係のこんがらがり具合も相まって、頭の中で整理しながら見なくてはいけない(それほど大層なことでもないが)のに、意外とドタバタが本筋とかけ離れすぎているような気がする。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-16 10:59:48)
42.  少女ムシェット 《ネタバレ》 
貧しいことがまるで罪だと言わんばかりの世間の目。大人が課した少女の過酷な人生は、仮に小さな幸せが訪れたとしても不幸という大きな波にさらわれてしまう。野鳥が罠にかかってもがく。誰かが罠から外すという奇跡が訪れないかぎりこの野鳥の行く末はもう決まっている。どんなに抗おうとも無駄。弱い者の定め。どこかに少女の人生が好転する機会があっただろうかと再見してもやはり見当たらない。少女の人生は少女以外の罪深い大人たちと大人たちの作った社会によって決められているのだ。そのことを実に簡潔にして深く描いている。しかも少女の行動を通してのみで。少女は最後の最後に運命を捻じ曲げる。いや、ここでも彼女は自らの意思での行動を拒否しているのかもしれない。高いところから低いところへ転がるという現象に身を任せる。転がることにけして抵抗はしまい。これは運命なのだ。そう思って転がっているのだとしたら、キッツイなあ。映画はこの悲しい転がりを美しく映してしまう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-21 15:41:46)
43.  自殺サークル
54人の女子高生たちが「いっせいのーせ!」と手を繋いで地下鉄に飛び込む。この壮絶な画を撮りたかっただけの映画、だったとしてもだからダメってことにはならない。映画は本来、見せたい画がまずあってそこから物語が作られるほうがいいに決まっている。見せたい画ができたから物語を変更するのだってアリだ。「物語」ありきの映画より「画」ありきの映画のほうが、、というより映画は「画」ありきでなきゃいけない。しかし園子温監督は実は「画」よりも「物語」よりも「思想や哲学」が先にある人なんじゃないかと思ってる。「思想」を表現する手段として「画」があり「物語」がある。作品自体が園子温なのだと言ってもいい。特に初期作品はその傾向が強いと思われる。で、集団飛び込み自殺のシーンだが、このシーンはやっぱり「画」が「思想」を超えている。「画」を見せることの魅力に負けているというか、それが映画作家のあるべき姿なんだろうけど、そのことで映画的であっても園子温的ではないように思った。というかこの人はこの後に「映画」と「園子温」が混ざり合った独自のワールドを作り上げるのだが、この作品はまだその混ざり合いを試行錯誤している段階の作品なんだと思う。いや、面白いのは面白かったんですけどね。でも続編はもっと面白いです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-30 11:39:29)
44.  新幹線大爆破
新幹線が爆破されても炎と煙の中からスローモーションで出てきそうなソニー千葉ちゃん。深刻な表情を大袈裟に表現できる宇津井健。二者二様のオーバーアクト俳優に、いつもなにかうじうじとしたものを内に秘めながらいろんなものを背中に背負い込んでる高倉健。俳優の持つ色をそのまま出させて、オールキャストを堪能させる。走り続ける新幹線に訪れる、正にノンストップな危機をスリリングに回避してゆくのだが、この手に汗握るサスペンスに先に書いた濃厚で熱い演技が加わることで特撮のショボさをやり過ごさせる(いや、マジで)。素晴らしい。犯人グループの背景をチマチマと語るところでどうしても停滞してしまうのが勿体無い。語ったところで社会派になってるわけでもなし。『サブウェイ・パニック』のようにそこは省いたほうが絶対面白い。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-01 14:13:47)
45.  昭和枯れすすき 《ネタバレ》 
『青春の蹉跌』(神代辰巳)が74年か。この頃って役者を街中を歩かせてビルの上から撮ったり、半ばゲリラ撮影的に撮ったりして都会の生々しい喧騒を映し出すのが流行りだったのだろうか。それとも単純に予算の関係か。当時の町並みや風俗が見られてそれはそれで面白いからいいんだけど(特に当時の上映されてる映画の看板がいい)、なんかそこだけ取ってつけたような感じがしてしまう。あと、全体のストーリーはサスペンスってことになってるみたいなんだけど、もうサスペンスの部分、つまり妹は犯人か?ってところは先が見え見えでいまひとつ盛り上がらず、でもサスペンスは兄と妹の男と女の関係にも似た復元不可能な亀裂というメインのドラマのための道具立てだったりするならそれでもいいのだが、そうでもないから困ってしまう。この映画のウリが分からない。
[DVD(字幕)] 4点(2009-02-17 13:30:44)
46.  処刑ライダー
近未来的な車&コスチュームがただカッコイイだけでお話の内容に全くそぐわないということを誰も考えていないだろう大雑把さ。ライダーが悪童たちの集まる自動車修理工場にやってきて破壊するだけ破壊して何故そこで殺さない?というなんにも考えてないシナリオ。ムリヤリなお色気。ベタベタな展開。独特の80年代臭と懐かしの音楽たち(ビリー・アイドル!)。ここまで書いて自分でもけなしてるのか褒めてるのか分からなくなってきた。いや、かなりショボイはずなんだけどなぜかこのショボさがそそるのだ。80年代を生きてきた者にだけ分かる単なるノスタルジーか?
[DVD(字幕)] 5点(2008-12-10 17:15:08)
47.  昭和歌謡大全集 《ネタバレ》 
昔オバタリアン、今アラフォー。ここで登場するオバサンたちはこの中間くらいの位置付け。ただしオバサンを敵視する男たちの持つオバサン概念はおもいっきりオバタリアンなわけで、今やあの時代のそれこそ原田の言うところのゴキブリを押しのけて最後の生き残りとなるという、女を捨てた、図々しい、そのうえ集団で闊歩するまさにオバタリアンなオバサンなんていないわけで(いるかもしれないけど)、どうも時代錯誤感を拭えない。見た目、ここに登場するオバサンたちのように美しく生活力もあり、ある意味男前なオバサンたちというのはいかにも今どきだったりするので、結局オバサンたちをどのように描きたいのかがイマイチ分かりづらい。殺しのシーンは一人目サイアク。生々しすぎ。次の殺しサイコー。目が点になった。あと、ロケットランチャー(?)凄すぎ。復讐だからとターゲットはあくまで一人であって他を殺すことに反対した松田龍平が最後に街ごと破壊してしまう復讐の連鎖の恐ろしさ(というより滑稽さ)がバカっぽい作品に苦味を加える。ってほどでもないか。むしろ、オバサンたちをちょっとマジメにそれぞれの葛藤やらを描いちゃったりしてるところがバカっぽさに水を差しててイヤかも。
[DVD(字幕)] 3点(2008-12-09 13:32:01)
48.  シンシナティ・キッド 《ネタバレ》 
若いギャンブラーが自信満々に登場すると、昨日書いた『ハスラー』のニューマンよろしく往々にして挫折というものが待っているものである。そこから起死回生するのが通常のパターン。ところがマックィーンは自信満々であってもイヤミではなく、クールな佇まいは延々と続くのだろうと思わせてくれる。画面に映っているのはキッドではなくマックィーンその人だ。だから挫折なんて考えられないのである。映画はまさにそのとおりに進み、マックィーンはマックィーンとして勝ち続ける。それでも映画になるのがマックィーンなのだ。と、思わせといてなんとも寂しい挫折で終わらせるという逆どんでん返し。なかなかお目にかからない展開だけにこれはこれでOKなのだが、如何せんマックィーンなもんだからイマイチ挫折感が伝わらないのが残念ではある。言葉少なくアクションも皆無の淡々としたポーカー映画の中でアン=マーグレットの生き生きとした存在が際立つ。サイテー女をここまで魅力的に演じられるのも珍しい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-02 14:30:22)
49.  シークレット ウインドウ 《ネタバレ》 
『恐怖のメロディ』を彷彿させるように湖から湖畔の屋敷へと流れるように見せてゆき、そのまま窓が映されたかと思うと窓を通ってソファーで眠るジョニー・デップをとらえるというヒッチコックに目配せしたような演出が、けしてイーストウッドほどの安定感もなければヒッチコックほどの驚きもないのだが、なかなかオープニングから楽しませてくれるではないかと期待が膨らむ。が、お話がしょぼい。そのうえ一応サイコサスペンスなんだろうが、全くドキドキしない。おそらくジョニー・デップがキマリすぎなのだ。寝癖全開の頭に小汚いガウンがここまでキマッテしまうのも凄いが、その凄さが映画に勝ってしまっている。ジョン・タートゥーロと役を入れ替えたほうがいいと思う。ブラビ主演の二重人格映画じゃないけど男前はやっぱり虚構のほうが合ってる。
[DVD(字幕)] 5点(2008-08-19 12:24:47)
50.  JUNO/ジュノ
16歳で妊娠してしまった女の子の物語ではあるのだが、本人が悩むには悩むのだがそれほど深刻に悩むタイプではなさそうで、まわりも意外と淡白な反応で、だから終始明るいノリで映画は進んでゆくのだが、終わってみれば16歳で妊娠してしまったってことは映画の中でも実は然程重要なことではなく、ある女の子が「好き」「愛する」ってどういうことなのかという素朴な、それでいて重要な問いに答を見出すという実にシンプルな青春恋愛ストーリーで、妊娠は過酷な状況でも明るさを失わずに突き進んだ女の子を演出するためのものでしかなかった。もちろんそれはそれでいいのだが、それにしては妊娠にまつわる交々が大勢を占めているのが不満。もし十代の妊娠を描きたかったのだとしたら明るく元気でというアプローチには全く問題はないが、もっともっと命の尊さを真剣に描く側面が欲しい。ようするにどっちにしても多少の不満が残る。ジュノのキャラは若い世代の自然体みたいなこと言われてるけれど、あんなに返しの言葉がポンポン出てくるのはそうとうに頭が良いわけで、あきらかに面白おかしく装飾されたキャラだと思うのだが、誰が見たって装飾されたキャラだとはっきりわかるくらいにもっと極端なキャラにしてくれても面白かったと思う。ジュノのキャラが映画の魅力のほとんどなんだし。
[映画館(字幕)] 5点(2008-07-28 15:29:23)(良:1票)
51.  シリアナ 《ネタバレ》 
石油メジャーの利権、延いては国家の利権のために他国の政治に介入するどころか暗殺までしてしまうアメリカ。CIAの暴露本を元にしたフィクションは複雑な社会情勢やCIA内部の繊細な描写によって、またニュースフィルムばりのロングショットを効果的に使うことで実話っぽく語られてゆく。だからこそ暗殺が実行されたときの衝撃はインパクトがある。しかも奥さんと子供たちが犠牲になることでたかだかゼニのために非道な手段を行使するアメリカがひたすら憎憎しく思えてならない(フィクションですけど)。また間接的な弊害として生まれるテロという泥沼の構図も本来もっと複雑であるものをわりとわかりやすく見せていると思う。デイモンもアナリストとしての利権が前提として登場するが資本主義社会の中でのギリギリのアメリカの良心的存在としてアメリカ(国民)を擁護する。が、ここのドラマがちとシツコイ。デイモンの家族のいろいろ、中でも子供の死はなんの効果を狙ってるのか。それがあったから王子と特別な関係を持つことができたという設定なのだが、それだけで死なせてしまうの? 国家テロ憎し!の効果を狙った王子一家暗殺は、悲しければ悲しいほどにシーンの意義があるってもんだが、相当の効果の無い子供の死は極力避けてもらいたい。
[DVD(字幕)] 5点(2008-07-02 16:45:04)
52.  シューテム・アップ
こりゃ、たまらん。銃撃戦のてんこ盛り。『トゥモロー・ワールド』に続いてまたしても赤ちゃんに翻弄されるクライヴ・オーウェンが終始難しい顔をしながらひたすらかっこよくむちゃくちゃハードボイルドで強烈にスタイリッシュなガンアクションをキメまくる。なのにそこには常に「おバカ」がある。こんなにも「おバカ」と「かっこよさ」が同居してしまっていいのだろうか。これでもかってくらいにいろんな銃撃戦がある。「かっこいいー!」と「んなアホな!」を同時に言葉にしたいのだが口がひとつなので「んなアホな!」になってしまうのが心苦しい。車を正面衝突させるのになんでシートベルトをはずすんだろう(咄嗟に『ペイバック』の正面衝突シーンでのメル・ギブソンのマウスピースを思い出した)と思ったら、おいおいおいおい。そう来ますか。大笑い。あと、銃撃戦のオンパレードなので当然人がガンガン死にます。この映画のおかしなところはかっこいい銃撃戦のあとにはちゃんと死体を映しているところ。ふつう映さんでしょ、この手の映画は。でも死体の処理までわざわざ描く。空中での銃撃戦の後の死体にはあきれてしまった(そこまで徹底しますか!)。たまたま『ランボー 最後の戦場』のすぐ後に観たんだけどどちらも徹底的に人が殺されまくるのにその「暴力」の描き方が対極。あえてその残酷さを強調する「ランボー」に対し、マンガチックに、いわば死を軽んじたような描き方。でも死体をしつこく映し続けるってのがミソ。たんなるファッションでもたんなる「おバカ」でもなくシニカルな後味という深い味わいまで持つ特異な「おバカ映画」。サイコー!
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-24 11:48:33)(良:4票)
53.  親切なクムジャさん 《ネタバレ》 
『オールド・ボーイ』同様に周到に計画され長い年月をたっぷりとかけた復讐が描かれます。『オールド・ボーイ』のときは復讐だと思ったら復讐のための準備にすぎなかったという驚きがあったり、復讐の理由が隠されたままストーリーが進行したりで、最後まで好奇心を刺激するストーリー展開で引っぱっていたが、今作では誰が何のために誰を復讐するのか、そしてどんな復讐なのかも早々にわかっちゃう。一応は隠しながら進行するんだけど、早めに真相を観客にばらしちゃう。なぜかというと、復讐を終える段になって新たな展開へと移行させて全く異なる趣向で新たなる復讐劇へとなだれ込むというお話だから。これがどうにも好かん。「親切」はあくまで「復讐」のための準備に必要な計画的なものという冷酷なキャラかと思うと、殺人に加担してしまったことへの罪にものすごく葛藤するという本当に優しいキャラになったりとよく掴めないキャラクターにも不満が残るが、この複雑なキャラが後半のお話のために必要なものになる。でも、いらんでしょ。後半のお話は「意外な展開」のためだけにあるようにしか思えんし、後半のお話でクムジャさんが変わるのだとしてもダラダラと描きすぎ。だいたい見せるなよ、泣きじゃくる子供を殺すとこ!お話上で親にビデオを見せるのはいいとして、俺に見せるなっちゅうの!!ビデオ見て怒ったり泣いたり気絶したりする親を映しときゃいいでしょ!!  クムジャさんの「早く死んでね」と文字にすると最後にハートマークが入るような可愛らしく優しい言い回しは最高にステキ。
[DVD(字幕)] 3点(2008-06-04 13:59:30)
54.  17歳の風景 少年は何を見たのか
少年はなぜ母親を殺したのか。延々と自転車を走らせる少年。どこまでも続く道。時折道から逸れてみる。波打ち際の砂浜はかなり走りにくそうだ。しかし道の無い場所はすぐなくなる。海岸沿いの自然の岩々の間を抜けるための人工の道の強烈な違和感。だだっ広い草原の山を見渡す人工の道の気持ち悪さ。どんな過酷な場所も風景として見渡せるように先に誰かが作った道があり、少年はその道を歩いてゆく。歩かざるを得ない。少年は何を見たのか。それはこの便利で窮屈な世の中だ。旅すがらに出会う人たちの言葉(戦争の傷や漁業の衰退といった時代やお国の政策に翻弄される、あるいはされた人たちの話)は常に反体制派にいる若松監督の声だろうか。この部分はちょっとくどさを感じた。最後のどこか悲しげで痛々しい叫びは心に響く。
[DVD(邦画)] 6点(2008-05-20 16:19:25)
55.  実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
若松監督は当時の世論がそうであったように革命に全霊をかける青年たちを支持していたらしく、それゆえに青年たちの凶行ばかりがクローズアップされているこの事件の背景をちゃんと知らせたいと思った、というニュアンスの記事を読んだ。だから「あさま山荘事件」よりもそこに行き着くまでを丁寧に描き、その組織自体が生まれるべくして生まれた当時の日本の社会情勢と簡単な時代の流れを当時のフィルムとナレーションを使って説明してゆく。芸術性よりもメッセージ性に重きを置いている映画だと思うのだが、若松監督の映画はどれもそうなのだが、監督の「伝えたいという想い」の力強さがそのまま芸術性を引き出しているように思う。国家権力に立ち向かう若者たちは立ち向かうために組織をつくり、組織の中の権力を手に入れるため、また維持するために凶行に走ってゆく。弱いから徒党を組む。そして弱いから権力を欲す。「人は愚かである」という言葉では片付けられない。生きた時代、生きた場所によって誰もがこの事件の主役になり得、殺す側、殺される側になり得たということがこの映画を見るとよくわかる。長い上映時間中、けして目をそらすことができない。映画が真剣にこちらに語りかけてくるから。
[映画館(邦画)] 7点(2008-05-19 16:42:14)
56.  十三人の刺客(1963)
東映の娯楽時代劇をコンスタントにこなし、実際この年だけでも4本の映画を送り出している工藤栄一だが、映画会社からしてみれば、どちらかというと扱いにくい監督だったのだそうです。大枠では映画会社の意向に沿ったかたちで作られてはいるものの、当時の娯楽作にしては相当の後味の悪さを残すのが工藤監督の味付けだったからです。この作品では、剣の実力ではナンバー1と思しき武士のその鍛錬と精神集中を存分に見せた後に露呈させる無様な死に際だろう。しかしこのスッキリしない部分こそが魅力の監督でもあります。豪華キャストによる大殺陣はまるでエキストラによる農民一揆のようで、どうみてもかっこいい戦いは存在せず、唯一最後に見せるおそらく映画会社が求めるところの片岡千恵蔵と内田良平によるかっこいい武士道対決が反対に空々しかったりする。あと、里見浩太郎と丘さとみの美男美女コンビも妙に浮いている。甘いマスクが作風と合ってない。
[ビデオ(邦画)] 6点(2008-02-27 13:16:00)(良:1票)
57.  ジェリー
いろんな解釈ができる?うん、まあ解釈は自由ですけど、ガス・ヴァン・サントは観客をどこかに導こうとしているわけでも何かを言いたいわけでもなく、解釈の自由を提供しているわけでもないと思う。観客には何も求めない。ということは商業映画にあらず、まさに実験映画。二人の男が歩く。だだっ広い荒野をひたすら歩く。その姿を延々と撮る。それだけ。その中から画面に「何か」を出現させる試み。二人がまだ危機感を覚えない初日に走るシーンがあるのだが、完璧に二人を収め続けるカメラの異様なまでの滑らかな動きに一種の恐怖感を感じる。何をも見逃さないとするカメラ。雲が流れる空、光の度合いの変化、それでも何も起こらない、そんな中で響く足音は恐ろしいまでに二人の不安を、あるいは焦りを見せ付ける。広大で美しい絶景はそのあまりの広大さと美しさによって絶望を見せ付ける。とんでもない作品である。この作品は後年、ガス・ヴァン・サントを初期ガス・ヴァン・サントと後期ガス・ヴァン・サントに分ける記念碑的作品になる。
[DVD(字幕)] 7点(2008-02-20 13:15:06)
58.  処刑人
冒頭の教会シーンが異様に意味深なんだけど、てっきり過去に何かがあって何かを成し遂げようとする兄弟の話なのかと思ってたら全然違った。うーん、この教会のシーンはいったい何だったんだ?頭の切れるFBI捜査官のデフォーが殺人現場からプロファイリングしてゆく過程で、我々も殺人シーン(というよりアクションシーン)を見てゆく。そこでそのガンアクションのかっこよさとデフォーの頭の切れっぷりを同時に堪能する。さらにやりすぎデフォーに大笑いする。銃撃戦再現シーンのデフォーは完全に『プラトーン』のセルフパロディでしょ。女装は衝撃。何が衝撃って見た目の強烈さもたしかに衝撃なんだけど、何よりもその必然性の無さが衝撃的。笑うところなんだろうけどあまりに気持ち悪くて半笑いだし。予想とはずいぶんと異にする展開の作品でしたがじゅうぶん楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2008-02-08 14:32:53)(良:1票)
59.  ジョンQ-最後の決断-
『狼たちの午後』を彷彿させる社会派ドラマではあるが、社会派ドラマについてまわるリアリティを追求せずに、登場人物たちを極端にキャラ分けする寓話的とも言える手法で見せてゆくというのは昨今のメジャー映画事情に明らかに逆行していて、そのぶん非常に分かり易い。この分かり易さこそが良きハリウッド映画だったのではないだろうか。主人公はただ子供を助けたい一心で犯罪に及ぶのだが、映画は極端なキャラクターでもって歪んだ社会を次々と露呈させることで主人公の行為を許容させようとする。営利最優先の病院経営者は病気の人間を助けるという病院の本来あるべき姿を消し去り病院システムの問題をさらけ出させる。名声に執着する警察署長は早急さにこだわりより良い解決策を考えることもなく警察の本来すべき仕事をせずに警察システムの問題をさらけ出す。ガードマンも金に見合った以上の仕事をしようとしない姿は金が全ての社会をさらけ出し、メディアの主人公の訴えには腰が重く事件が起きてはじめて動く姿にはやはり金銭および名誉至上主義をさらけ出している。主人公の会社も保険会社も社会問題を露呈させている。この映画のいいところは、ここまで明確なキャラ分けをしているにもかかわらず、さまざまな問題はすべて社会にあるのであって人にはないとしているところ。だから主人公も誰も憎まない。ただ、いくらリアリティを求めないにしても病院長の心変わりは急変にすぎる。もうひと粘りしてほしかった。
[DVD(字幕)] 6点(2008-01-25 12:32:02)(良:1票)
60.  Gガール/破壊的な彼女
唐突にできた空き時間にシネコンに飛び込んだはいいが限られた空き時間ではコレしかなかったので半ば仕方なしに観たというのが正直なところなのだが、大当たりとはいかないまでも拾い物をしたという満足感は大いに得ることができた。スーパーヒーローといっても当然長所ばかりであるはずもないのだが、これまでのあらゆるスーパーヒーローの短所は必ずと言っていいほど負の一面、あるいは暗黒面として描かれ、ヒーローたちは自問自答し悩むのだ。しかしGガールの短所ともいえるヒステリックな嫉妬心は、あくまで普通の女の子としての短所であり、けしてスーパーヒーローであることと結び付けようとはしない。そして普通の女の子としてスーパーパワーを使うのだ。だから突拍子もない無茶苦茶な行為もそこには不自然さはなく、むしろ人間的でイヤミも嫌悪もなく爽快感すら呼び起こす。ラストがまたいい。資質に合った仕事に出てゆく者と送り出す者。男と女の凝り固まった概念を取り除けば、こんなにも自然なカタチを形成できるのだ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-01-23 16:07:09)
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