61. シャイン
実のところ、この作品はいつも涙なくしては見られません。 あそこまでの抑圧を受けたわけではないけれど、私自身が親の望むコースに抗えなかった一人なので、他人ごととして受けとめられないのです。 しかも、私の涙をさらにしぼるのは、監督が、泣かせよう、という作り方をしていないから。父親の描き方があざとくなくて、父のほうもいっぱいいっぱいだったのがよくわかる。 その悲劇性も心にしみます。 でも、いくら愛情から出発したことでも、個人の人生を抑圧しちゃいけない。 そちらのメッセージのほうが上回っている。 だから、その人間理解の深さ、監督が人間に寄せる愛の深さに、余計に泣けるのです。 このストーリーを、芸術家の特異な人生、と読む人も多いかもしれないし、それも間違いではないと思いますが、普遍性をも描ききれたからこその、名作だと思います。 過去を浄化する力も持っている音楽の力にも感動しますが、それ以上に、後半、運命的に出会ったパートナーと交わす、シンプルで豊かな愛情表現に心打たれました。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-03-21 04:18:35)(良:1票) |
62. シザーハンズ
白眉は、エドワードの風貌を、異形、それも白塗りという表現にしたことでしょうね。 「あの姿はいったい?」という興味で見て、気に入った人、運がよかったですね。 あのジョニーの顔に抵抗を感じて見てないという人、損してますね。 ファンタジーもの、賛否両論作品の多いティム・バートンだから、ということで見ない人も多いかも。 まムリには薦めません。そういう人は、ずっと損しててください。 ストーリーは、気に入って連れてきたもののそれが悲しいお話の始まり、ということで、アメリカ版「かぐや姫」みたいな趣き。 でもただきれいで切ないだけじゃなく、映画という表現方法のさらなる可能性を教えてくれる作品でもあると思います。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-03-21 04:11:48) |
63. シークレット/嵐の夜に
《ネタバレ》 あらそうお? もうちょっといい映画だと思ったんだけどなあ私は、と思いました。長女役のジェシカ・ラングっていい女優さんだよ。この映画でも、わるくなかったと思う。派手さには欠けるけどね。私は次女のミッシェル・ファイファーも三女のジェニフアー・ジェイソン・リーも好きだから、それで点が甘いのかな。あと、ネタばれですみませんが、次女が乳がんになって・・といったストーリー展開も、やや唐突に思った人もいたかもしれないけれど、アメリカではすごく乳がんにかかる人が多く、9人に1人の発症率なんだそうです。だから、アメリカの女性にとっては、身近で、また切実感のある設定だったのではないでしょうか? 私としては、うもれた名作、くらいに思ってるので、特に女性にはもっと見てもらいたい作品です。(まああまり話題にならなかったのは、マスコミでもあまり評価が高くなかったのかもしませんが、映画はやっぱり自分で見てどうか、ということがほぼすべてではないでしょうか。私はやっぱりお薦めできます) 7点(2003-03-21 04:01:10) |
64. ショーシャンクの空に
ビデオ化された当時、これを見た後で「告発」を見たら、同じく監獄を舞台にした映画としては、「告発」のほうがすばらしいじゃん、と思った私。そのときの素直な気持に従って、点を下げさせていただくことにしました。よくよく振り返ると、本作のオチは、ちょっと蛇足だった気がしないでもないし。ティム・ロビンスは好きな役者だから、こう言うのはちょっと残念なのですが、優等生的、教科書的で、ラストから逆算で考えてみると「破綻が少ない」、というのも、少し物足りないんですよね・・。 9点(2003-03-21 02:55:21) |
65. シコふんじゃった。
「ファンシィ・ダンス」で周防サンに「はまった」私は、公開直後に銀座で見た。 立ち見も出る盛況ぶりはちょっと意外だったが、「みんなわかってんなー」とうれしくもなった。 で、その満員の観客が、みんな椅子からころげおちんばかりに笑っていて、映画館のたてもの全体があそこまで揺れ動いているような感覚に陥った経験は、あとにも先にも、この映画1本きり。 あー・・あのシアワセ感は、あのときあそこにいた私達だけのもんだったなー・・。 とまあつまり、こんなふうに映画にしかない醍醐味をめいっぱい味わえた私にとっては、誰が何と言おうと、この映画は10点!なのです。 10点(2003-03-20 22:27:53)(良:1票) |
66. シーズンチケット
たとえばラッセ・ハルストレムなんかが好きな人だったら、かなりはまるのでは?と思う作品です。なぜなら!・・私に本作を教えてくれたのは同僚の若い女の子なんですが、お互い共通の「my favorite」が「ギルバートグレイプ」だったんですよー。彼女の推薦だったから「見なきゃ」と思ったら、ドンピシャ、はまりました。あー、なのになのに、見た人、少なすぎ!! 私はビデオ屋に行くと、借りられてない本作に「グスン」と思って、必ず少しだけ飛び出すように置きなおしてきます。このサイトでも、ピョコンと飛び出させたいな。私の過去ベスト1は「ビッグ」ですが、本作はいわばベスト2です。今はショボく見える彼らのようなセンシティブな雑草くんたちが、実は大人になったときに、メッチャかっこよくなっていそうな気がします。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-03-20 20:47:19) |