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かわまりさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 298
性別 女性
ホームページ https://kawamari7.hatenadiary.com/entry/2021/09/03/221816
自己紹介 取り締まる法律が必要な(1)XX中毒。生まれた場所のせいで3歳で兆候が現れ、13歳で表彰状物の重症に、今ではより強い刺激を求め(2)X屋の中だけではなくこのサイトに出没、ネットで(3)XXXXXXがないかと探し回るのに誰も助けてくれません。KW = 「かわまり」「はてなブログ」で原子力開発関連の「プロメテウス達よ」と19世紀ヨーロッパを夢と詩で描いた「黄昏のエポック」を公開しています。  (Xの数に文字数が一致する言葉を入れてください。)

空欄の答え:(1)XX=「言語」、「活字」も可、(2)X=「本」、(3)XXXXXX=「読める外国語」、キリスト教国際病院で生まれ、宗教は仏教。

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1.  シビル・ウォー アメリカ最後の日 《ネタバレ》 
「おまえの出身地は?」「コロラド州です。」「OK。おまえは?」「⋯⋯。」「英語がわからないのか?」「⋯⋯(本当はわかっている)。」(数回の同じ質問の繰り返しの後)「香港です。」「じゃあ中国人だな。」ズドン。まあ職務とは言え、そこには何らの意思疎通も考慮もないし給水車を待つ群衆に爆弾が投げ込まれてたりとか⋯。わたしはこの作品が現在を舞台としていると知って以来、リンカーン大統領政権の1861年に始まった南北戦争(Civil War) の際にあったアメリカ北部と南部の経済発展の岐路についての希望の相違などをじっくり描いていることを期待していましたが見事に裏切られました。登場人物の一人である駆け出しのフォトジャーナリストの女の子のように凄惨な光景に傷つくだけで終わる見方もありますがわたしはかつて経済学の学徒で今でもどんな分断や闘争においてもその経済面での源泉を明らかにして対策を考える習性を発揮してしまうのです。このサイトの規約で途中で寝落ちした鑑賞者は投稿できませんが違うことを考えていた場合の投稿は禁止されていないと思うのでお付き合い願います。(以下はわたしの妄想です。)アメリカの連邦政府にたてついたのはカリフォルニア州とテキサス州ということでカリフォルニア州は財政破綻が取り沙汰されたことがある州ですがカ州が外交や通商を委任している連邦政府に反旗を翻したのは連邦税(所得税)の徴収に端を発しています。カ州政府は州内の連邦歳入庁(IRS)の職員を拘束し、データベースを改編して徴収された連邦税を州の歳入に繰入れ、更に各州に税率や課税品目の選定を一任されている売上税の税率を引き上げ、同時に州民の州境を超えた買い出し旅行を制限するために州境に越境税徴収所を設け、特にラスベガスがあるネバダ州に赴く者については苛烈な越境税に加えてロサンゼルスやサンフランシスコに到着した国際便の乗客もカリフォルニア州内のホテルに一泊した後でなければ国内線でネバダ州に行けないように連邦法である出入国管理法を改変して管理にあたる連邦公務員に遵守を強要しました。これがカリフォルニア州と連邦政府との確執の端緒となりましたがこんなことは作品中では一言も説明されていませんので期待しないでください。テキサス州では移民問題がきっかけと思われますが同州の問題と両州ー連邦政府間に生じた対立の平和的解決策はこれから考えます。ワシントンDCでの市街戦のシーンは戦前日本の226事件を想起させました。226事件で命を失って1番惜しかったのは世界大恐慌で頂点に達する4連経済パンチを受けながら他国よりも早く日本のデフレを解消させた元大蔵大臣の高橋是清でこの人を生かせていたら日本は中国に進出する必要はなかったかもなのですがそんなことを言ってもどーしょーもないのです。ただ日本の場合「(天皇陛下の)勅命下る。反乱分子は速やかに投降せよ。」というアドバルーンを東京上空に放ったことによって事態は収束しましたがアメリカの大統領には皆さんもご存知の通りそんな神通力はないですよね。まあ、いろんなことを考えたい方はこの作品を見てください。残酷シーンが苦手な方にはお勧めしません。
[映画館(字幕)] 3点(2024-10-05 20:27:58)
2.  地獄門
わたしの母が「芥川龍之介の『地獄門』の朗読を聞きたかったのにYouTubeで出んかった。何でやねん?」と言ったことから中国語字幕付廉価版値段並DVDを再度プレイヤーに……。カンヌ映画祭のグランプリ受賞ということで期待して購入したんですけれど……。アカデミー賞では美術賞か何かの受賞だけに止まったのも当然です。惜っしいです。盛遠が袈裟御前にしつこく言い寄って競馬で彼女の夫に挑むだけではなく、歌、蹴鞠、奏楽、舞踊、その他諸々の競技と学芸全てで袈裟御前の夫に挑戦して悉く打ち負かされてボコボコにされて「袈裟ちゃんなくしてまろの生きる意義はいかに?」と自問自答しながら死んでいくという日本平安時代版「若きウェルテルの悩み(ゲーテ作)」のストーリーにしていればきっとアカデミー外国語部門賞を取っていたはずです。これじゃまるで長谷川一夫と京マチ子のプロモーションビデオです。だから今後に期待します。因みに対応する芥川龍之介の作品は「袈裟と盛遠」と「地獄変」です。
[DVD(邦画)] 5点(2021-02-20 21:33:12)
3.  十戒(1956)
むかしむかしあるところに… ヘブライ人という人々が住んでいました…。とお話を始めるのが本来なら適当かと思います。本作品はエジプトナイル川のほとりで「ファラオ(王)がわたし達ヘブライ人の男の子を皆殺しにする命令を出したけれどこの子だけは。。。」と母と娘が生まれたばかりの男の子(後のモーゼ)をバスケットに入れて川に流すシーンから始まります。ヘブライ人(ユダヤ人)はナイル川の恩恵で生産性が上がったエジプトに労働力として移住してきたようですが、この民族は他民族と異なり、原始多神教ではなく唯一絶対神を信仰し、後年世界宗教となるキリスト教とイスラム教の間接的な始祖、ひいては法律や科学の基礎を築く民族になるのです。さて、お話しはほとんど終盤までユル・ブリンナー演じるファラオがこれでもかこれでもか、と言わんばかりにモーゼとヘブライ人を弾圧する内容に終始しますが、その過程でモーゼの杖が毒蛇に変わったり、モーゼが神の声に導かれたり等々、それはモーゼとヘブライ人達が「そうだ。われわれは神に選ばれている。われわれは世界の創造者たる唯一絶対神を敬う民なのだ!」と民族の自覚を獲得していく過程なのです。そして最後近くで神からの十ヶ条の戒めを与えられたモーゼが「規則なくして自由はない!」と宣言しますが、これこそ現在、宗教を問わず国家の基本となっている法治主義の起源なのです。数々の奇跡のスペクタクルが目を楽しませてくれる作品ですが、現在先進国に住むわたし達が当然と受け取っている考え方の源流を探ってみると面白いです。
[DVD(字幕)] 8点(2020-03-29 01:17:12)(良:2票)
4.  しあわせの雨傘
周囲の観客(アメリカ人)につられて久々に笑ろた。そしてカメラがすごく綺麗でした。でも設定を1977年にすることによって話をわざとらしく大げさにしたりと、ちょっと脚本に物足りなさを感じました。トップ・バッターの方がおっしゃっているように、そんじょそこらのアメリカ映画と変らないかもしれません。1977年というとドヌーブが一番綺麗だった頃ではないでしょうか?そして、1977年という映画の設定の中でドヌーブが演じるシュザンヌとドパルデユーが演じるモーリスが回想をめぐらすのはこの時点で25歳になるシュザンヌの息子の出生にまつわるロマンス・・・これだけ取ってみれば年を取ってなお美しいドヌーブとでっぷり太ったドパルデューのキス・シーンは許せるのですが、回想場面で二人の若い頃を演じる俳優さんたちが美男美女にはちがいないけれど二人に似てもいないし、この二人ほどの存在感もないし、唯一造反した娘が父親にちらっと見せた若い頃の二人の写真が入ったロケットの中のその写真がどこからか取ってきたドヌーブとドパルデユーの若い頃の本物の写真だったのが印象に残っています。フランスを代表する大俳優であることだけは間違いない二人のプロモーション映画として見て損はないということでこの点数です。邦題だけは満点かな?
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2011-05-12 11:24:12)
5.  白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々
理屈っぽくて議論好きなドイツ人の取調官と収監された政治犯の迫真のやりとりには目を見張らされるものがあります。そして主人公ゾフィー・ショルの容疑者としての弱みを決して見せない堂々たる態度と取調官に代表されるヒトラー政権を相手取った理路整然とした議論が素晴らしかったです。どうせ死ぬなら戦場で敵の弾に撃たれるよりも、空襲で焼け死ぬよりも、正義と真実の主張によって断罪されるほうがいいというゾフィーとハンス兄妹の信念と二人を誇りに思うという年老いた両親の姿も感動的でした。翻って、日本について考えてみると、ショル兄妹のような良心の囚人はいたでしょうが、本作品の取調官のように冷静に論陣を張れる取調官はいたのかどうか・・・。同じような作品(例えば小林多喜二を描いたもの)なんて陰惨極まりない、バイオレンス映画か蟹工船を上回るホラー映画になってしまうでしょう。でも、野心のある脚本化と監督に是非挑戦してもらいたいと思います。検察特捜の失態が明らかになり、取調べの可視化が取りざたされている今、そういう観点からもこの作品を鑑賞することができます。
[DVD(字幕)] 9点(2010-10-15 13:39:34)
6.  終着駅 トルストイ最後の旅
第一号の方と同じでわたしもヘレン・ミレンの演技を見たかったので見ました。何が言いたいのが、いまいちわからなかったです。ものの本によれば、トルストイはソフィーと結婚してからどんどん創作意欲がわいたとのことで、彼女との結婚がなければ後世に名を残す文豪にはならなかったようなことまで書いてありましたが、奥さんとしては許せないような不倫をして名作「クロイツェル・ソナタ」を書いたりとか、トルストイの奥さんが彼にどのように創作意欲をもたらしていたのかについては一言では言い尽くせないものがあるようです。その奥さんとトルストイを教祖様のように尊敬する一群の人々との間にトルストイ死後の著作権帰属に関して問題があったのも事実だそうですが、わたしとしてはヘレン・ミレンの名演技を見てでさえ、「それがどうした・・・。」と言った感想しかありませんでした。どうせやるなら「クロイツェル・ソナタ」執筆前後のどろどろした人間劇を脚色・映画化したほうが面白みがあるのでは・・・ただし、ヘレン・ミレンでは年取りすぎているかもしれません。
[映画館(字幕)] 5点(2010-09-25 11:19:09)
7.  四十七人の刺客
時は平成、潤沢な社内留保を誇り、社員の福利厚生にも厚いAK社はライバルYZ社の密かなロビー活動によって採用された新基準のために製品の大量リコールを余儀なくされ、さらには公聴会での社長の失言によって自らの業務の完全停止、生産ラインの他社への売却と労働者の他社への移管、経営陣とトップ技術者計約三百名の大量解雇という制裁を課されてしまった。この難局に際し、経営の実権を握る専務大石は備蓄してあった部品と原料の即時売却による収入と社内留保とを併せて解雇されたトップ社員の生活保障に充てるよう計らい、再就職先が潜在的に多数存在する某商工業都市に失業窓口を設けるなど対策に奔走した。しかし、大石ら旧AK社幹部の真の目標はライバルYZ社の意図のままに製品基準を変えるよう動いた国会議員吉良(きら)の政治資金規正法違反を暴くことだった・・・。原作を読んだ方がロジスティクスなど緻密な内容が再現されていないと指摘され、また「討ち入り場面が山場であとは平坦・・・。」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、原作未読で「討ち入り場面だけが見所なのだろう」くらいの考えで何も期待しなかったわたしは十分満足することができました。何よりも画面が美しいのが良かったです。組織のありかたなどについて学ぶべき教訓を多く含み、映画としてはこの上なく緻密に作られていると感じました。特に、解雇に伴う手当ての支給額が発表されるところなど、服装が違うだけで現代でもしばしばありそうな光景でした。美人の奥さんとの間にたくさんの子供がいて、京都にも愛人がいて、自分の死後に二人が困らないよう手配して散っていった渋いおじさん、大石内蔵助を演じているのは・・・高倉健・・・エンド・クレジットまで気がつきませんでした。わたしにとっては初めて見た高倉健のちょんまげ姿でした。
[DVD(邦画)] 8点(2010-02-12 05:09:25)
8.  真珠の耳飾りの少女 《ネタバレ》 
全編を通じてにドラマらしい波風は一切なし、17世紀のオランダの庶民生活を淡々と描いた映画と言ってもいいとも思いますが、それがやはりドラマ仕立てで映画になっているのはやはり、わたしの前の方も書いておられるような押さえたエロティシズムの表現が十分ドラマとしての要件を満たすとプロデューサーが考えたからでしょう。ハリウッドばりの派手な映画がお好きな方には必ずしもお勧めはしません。前の方が触れられた、グリーダが髪の被り物を取る時のエロティシズムが脱衣に対応するなら、フェルメールがろうそくの火で消毒した針でグリーダの耳たぶに穴を開けるのは・・・説明するまでもない、非常にきわどい内容なのです。しかもフェルメールは妻との間に多くの子供をもうけていて、それが妻に対する愛情の徴だったとするならば、通常の意味では若い女の子に普通に手を出す必要は全くないわけで、グリーダとの関係や肖像画など、妻に対する世俗的でありきたりな愛情を超越した、光を求めた画家の精神世界でのエロチシズムに昇華された美への渇望だったのかもしれません。だったらこの作品は精神世界でのエロチシズムを描いていると言っても過言ではないでしょう。ところで、フェルメールがどんな顔だちをした人だったかは知りませんが、主演のコリン・ファースの顔は同じオランダ人で銅像が残されている、奇怪な絵を描いたことで有名なヒエロニムス・ボッシュに似ています。スカーレット・ヨハンセンの抜擢は実在の真珠の耳飾りの少女に似ているからでしょうが、ファースの採用もももしかしたらボッシュと関連あるかもしれません。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-27 04:25:10)
9.  市民ケーン
つい最近デカプリオ主演でハワード・ヒューズの人生が「アビエーター」として製作されましたが、アメリカン・ドリームという言葉まで作りながら、その中身、あるいは人生の意味に鋭く問いかけるアメリカの映画界全体、そしてこの映画を優れたアメリカ映画ナンバー・ワンに指名し続けてきたアメリカの映画ファンに脱帽します。監督・主演のウェルズが製作時にまだ20代半ばだったというから正に驚異的です。確かに「薔薇の蕾」の一言でもって作品全体をミステリー仕立にしようとしたのはちょっといきすぎだという気もしますが、内容が重厚なので高い点数を献上します。(この次はビル・ゲイツじゃないかな?)
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-05 10:42:58)
10.  シンデレラマン
「ミリオン・ダラー・ベービー」がアカデミー賞をさらった後でまたボクシングものか・・・よくやるな・・・でもさすがにイーストウッドとロン・ハワードでは味つけが違うだろうし・・・とあまり期待せずに見に行きました。ロン・ハワードとラッセル・クローのコンビなら「ビューティフル。マインド」みたいなもっと凝ったストーリーを想像していたのにあまりにシンプルな出来で驚きました。アラモ(2004)が同監督の作品だということは今、知ったのですが、「アポロ13号」や「ビューティフル・マインド」を見る限りカメラ美術に凝る監督という感じは持っていませんでした。でも、この作品では薄暗がりを写すカメラワークなどで凝りまくっているようです。結論ですが、たまにはシンプルなスポコンものやサクセス・ストーリーを楽しんでみたいというぶんには良い作品です。1930年代の雰囲気もよく出ていました。(因みに時代背景はアカデミー賞の多部門にノミネートされた「アビエーター」と同じです。)陳腐な作品になってしまったかもしれないストーリーをラッセル・クローとレニー・ゼルウィガーの演技派コンビが十分に見ごたえのあるものにしています。
[映画館(字幕)] 7点(2005-08-08 00:47:29)(良:1票)
11.  シラノ・ド・ベルジュラック(1990) 《ネタバレ》 
中盤であまりにも笑ったのでこの作品を「コメディー」に分類して、私の個人的な基準である「娯楽系(含、ミュージカル)は8点が満点」を適用して8点にしようと思ったのですが、最後の哀愁、ジェラール・ドパルデューの名演、また、シラノ・ド・ベジュラックが実在の人物で、彼をモデルにしたロスタンの戯曲も古典といっていい作品なので10点を奮発することにしました。とにかく、これぞフランス映画の粋、前の方が書いていらっしゃるようにドパルデューの一世一代の演技を満喫できます。音楽も映像も満点です。いくら醜男でもこれほど屈折しているのは珍しいんじゃないかという気もしますが、そこはオハナシ・・・現実だったらどんな醜男でもいつかは「もういい加減にせーや。彼女は俺の女だ・・・。」と外見役に迫るだろうし、外見だけの男に迫られた女性もよほどのアホでない限りどこかで真実を知るはずだと思いますが、シラノ・ド・ベジュラックが死ぬまで本心を明かさない、しかも外見役が死んでもなおかつ・・・というナンセンスを表現してみせるのが文学や映画の虚構であり、それを「これが本当だったらあほらしい・・。」と観客に思わせながら感情移入させてしまうのが俳優の才能だと思うのです。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-08-01 12:19:43)(良:1票)
12.  写楽
やっぱり、みなさんがおっしゃるとおり、消化不良かな・・・。謎の浮世絵師写楽は一般的には二枚目には絶対なれないブオトコ俳優だったと言われているんですが、この作品の中では眉目秀麗の超美男で幻滅してしまいました。美男なんだから、アクロバット専門なら痛い怪我なんてものともせずに二枚目俳優として舞台に立てばいいのにと誰でも考えてしまいますよね。ダイコン役者でそんなことはできなかったって・・・歌舞伎俳優を力一杯描いた写楽の絵の数々を見れば彼が人の演技や性格を見抜く目のある天才だったことは歴然で、なおかつ俳優として大成しなかった(もしかしたら別名で成功したのかもしれないけれど)のは何か決定的な問題があったはずなんです。フランキー堺が演じた何とかというパトロンが死んでしまったなんていう単純なことではなくて・・・それが描ききれていないんですよね。まず、写楽はブオトコだった。私はそう確信しています。それから数々の繊細な美人画を描いたあの歌麿が悪役のように描かれていたのにもがっかりしました。写楽とは対照的な性格だったとは思いますがあれじゃあんまりじゃないですか・・・。作品の内容に関しては文句だらけですが、俳優さんの演技はすばらしく、それぞれ印象に残っています。因みに私がこの映画を見た時、館内は大入り満員・・・場所はワシントンDCのナショナル・ギャラリー・・・ゴッホ展と日本の江戸時代展が同時開催され、ゴッホの花魁像の模写とオリジナルが同じ美術館の東館と西館で同時に公開されたことで話題をまきました。
[映画館(字幕)] 5点(2005-07-06 12:33:11)
13.  Shall we ダンス?(1995)
アメリカ人の大家さんが「すっごく面白いんだから!」と又貸ししてくれたビデオで見ました。この事実がカルチャー・ショックだったんですね。わたしは「すっごく面白い。」とは思わなかったけれど、アメリカ人が見ると「すっごく面白い」んだな・・・というのでびっくりしました。何でも「バイオレンスもセックスもない楽しい映画をありがとう・・・。」というような映画評がアメリカであったんだそうで・・・。私にはただのホームドラマにしか見えなかったんですが・・・だったら、日本のホームドラマの製作者のみなさんはもっと自信を持ってどんどん作品を輸出するといいと思います。最初のダンス・シーンでシェークスピアの言葉が小説の巻頭引用のように出てきて英語圏の人を引き付けるのに十分・・・でも、話の展開が私としては「ホームドラマ」なので、いやはや・・・ほのぼのとしていい感じではありましたが・・・。役所広司にはもっとマッチョな役が似合うと思うのでこの点数です。竹中直人のダンスには感服しました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2005-06-29 00:30:28)
14.  シティ・オブ・エンジェル
ストーリーは度外視してカメラ・ワークを楽しみたい作品。天使の視点から見た、一般人にはめがくらむようなアングルの都会風景もよし、田園風景もよし、無表情なニコラス・ケージが天使なのもよし、心臓外科医を演じるおちゃめで真剣なメグ・ライアンもよし・・・ということで甘い点数をつけます。映画館で見た時には失敗したと思いましたが、今になって考えると「みんなのシネマレビュー」もまだ知らず、違うものを期待していったせいでがっかりしたけれどわりといい作品だったと思いなおしています。あまり考えないで気楽に見ましょうよ・・・。
[映画館(字幕)] 7点(2005-06-25 23:28:53)
15.  ジーザス・クライスト・スーパースター 《ネタバレ》 
イエス・キリストがマグダラのマリアの膝枕で寝ようが、エルサレム入城の時に「ホザンナ、ホザンナ」の歓声に包まれてまるでアイドル・スターのように笑顔をふりまこうが、(敬虔なキリスト教徒は顔をしかめるかもしれませんが)私は全くかまいません。むしろ、イエス・キリストにこういった側面がなかったら、その教えは二千年の時間と空間を越えて信じられるような一大宗教にはならなかったと思います。でもねえ・・・イエス・キリストが処刑される時の臍だしネーちゃんの踊りとか、イスカリオテのユダが戦車に惹かれそうになったりとか、サングラスをかけたおっさんが登場したりとか・・・「いい加減にしてよ。」と言いたくなってしまいます。それから、イエス・キリスト(役の俳優さん)を十字架の上にほったらかしにしたまま、他の役の俳優さんたちがロケ隊のバスに乗っていってしまうあのラスト・シーンはいったいなんなのですか・・・支離滅裂としか言いようがないです。ところどころに剽窃のような音楽が採用されていて「ロイド・ウェーバーさん一体何やってんの?」と言いたくもなり・・・。一言で言うなら、この作品はアイデア倒れなんですよね。イエス・キリストのエネルギーをロックン・ロールで表現するところまではいいんですが、やはり歴史物らしくやってほしかったです。話題をまいた例のメル・ギブソンの「パッション(‘04)」のように時代考証ばっちりで音楽と振り付けだけ現代風にしたら、もっと説得力のある作品になったと思います。
[DVD(字幕)] 2点(2005-06-13 11:42:19)
16.  始皇帝暗殺
イエス・キリストは 1. ローマに布教に行く途中で病死した。2. 磔にあって刑死した。3. 天寿をまっとうした・・・の答えと同じくらい司馬遷の史記のこのくだりは日本人の知識人、特に男性にとって長い期間、常識と言える事実だったのことです。「・・・だったとのことです。」という断定を避ける言い方をしたのは源氏物語の中で光源氏のライバルが燕の皇太子が決意に煩悶する史記のくだりをあてこすりで暗誦する場面があるのを思い出したからで、私自身は史記は「覇王別姫」の元になった「垓下の戦」を高校の漢文の時間にちょろっと舐めた程度ですが・・・。コン・リーがやはり出演していますね。この人は強い女しか演じられないと私は思っているのですが、趙夫人のような強い女の役をどんどん演じてほしいです。でも、男と言い争った後でくるっと踵を返して肩を怒らせてスタスタ歩いていくようなのは止めてほしいです。もっとも「女の三従」なんていう道徳律が一般化されたのは後世のことで、この時代の女性がシャネル、ではなくてしゃなりしゃなりと歩いた、なんていう記述が「史記」あるとは思えないので、地のままでいくしかなかったのでしょうが・・・。日本の新石器時代の年代をこの頃だったのかな・・・などと推定するのに放射性炭素のお世話にならなければならない紀元前3世紀に、お隣の国では貨幣や度量衡の制定、交通路の整備、北方民族の侵入阻止などのために強大な指導力が必要とされるほど商工業が発達し、もちろん文字もあればウーマン・リブ運動もあった・・・というのは一番最後だけ未確認です。
7点(2004-04-07 02:46:19)
17.  シュリ
冒頭だけでもいいですからアメリカの政府高官やCIAの人に是非この映画を見てほしいです。国家を最優先して指令どおりに殺戮と破壊を行うことを使命として国家とは何かなどと考えもしないような人間を養成する某国と国境で接したり大陸間弾道弾の射程距離に入っている韓国や日本のことを、イラクに行く前に考えてほしかったです。ハリウッドばりの派手なアクションや撃ち合いが見せ場ですがハリウッドがこの手の現代物の作品を作っても国家やイデオロギーの対立までは描けず、せいぜいギャングの撃ち合い程度の作品に終わるだけでしょう。貧しい北朝鮮と豊かな韓国の日本と変わらない日常生活との対比にも考えさせられました。でも北朝鮮の諜報部員が「北の人間が飢えているのに南の人間は・・・。」なんて言ったりするでしょうか・・・。北朝鮮は日本や韓国の国民は資本主義の重圧と搾取に喘いでいると頭から思い込んでいるはずなんですが・・・。(でもこれはさほど重要なことではありません。)北朝鮮よ、くやしかったら資本主義の重圧に喘ぐ人民を救済するスーパーマン映画でも作って日本やアメリカでヒットさせてみろ!韓国と朝鮮が東西ドイツのようにハッピー・エンドに終わることを願って、この悲しいストーリーは娯楽系作品に私がつけることにしている最高の8点-1点とします。
7点(2004-03-02 12:17:54)(良:2票)
18.  シビル・アクション
サクセス・ストーリーの「エリン・ブロコビッチ」とは似ても似つかない暗い映画でした。裁判過程が詳しく描かれ、そこに裁判における戦士である弁護士の本音を垣間見ることができたのが良かったです。ジョン・トラボルタは人も羨む順風満帆の人生を歩んでいるように見えますが、その彼が主演を引き受けたのは単なるエンターテイナーを超えた芸の道を追求するためでしょうか、だったら心から拍手したいです。映画にもなった小説「ペーパーチェイス」の中である法律学生が「商法でAを取らなければ僕らの未来はない。」といった意味のことを言っていました。アメリカでは読んだ契約書のページ数に応じて課金する商法専門弁護士や相談料で食べている家族法の弁護士、事件毎に請負料金を取る被告側専門弁護士などは勝訴の場合以外一切無料の損害賠償請求専門の弁護士を見下す傾向があるようですが、職業に貴賎がないのと同様、弁護士間に貴賎があるはずはありません。トラボルタ扮する弁護士がラジオ出演のシーンで語っているように「人の痛みを自分の痛みとして感じる」ことができる、つまり適性のある弁護士が損害賠償の分野を選ぶのですね。日本も法治国家の名に恥じないよう、複雑な社会に対応して弁護士も法律知識以外の適正や関心で得意分野を持つようにしてもらいたいものです。でもまちがっても「商法の成績が悪かったから・・・。」なんて理由でその他の分野を選んだりしてほしくないです
5点(2004-02-12 03:57:51)
19.  司祭
同性愛が犯罪に近い行為として非難される保守的な国でのストーリー。初老の司祭と若い司祭の二人によって運営されているカトリックの教会で初老の司祭は家政婦とできていて若いほうはゲイだという設定、もちろん教会は信者に頼られる全く普通の教会です。ローマ法王はこの映画の上演に反対したそうですが、アメリカで司教(司祭の上)を始めとする何人かのカトリックの聖職者が幼児愛で実際に告訴された時にはローマ法王は「こんなことするのはおまえらだけだ。恥を知れ!」と教会のイントラネットか何かで激怒の言葉を送ったことでしょう。神に使える聖職者が食べたり寝たりを別としてどれほど普通の人間並みの生活をしていいものかは昔から問われてきた問題で、ルネッサンス期には一時期、枢機卿(法王の下)以下に試験的に結婚(といっても内縁の)が許されていたそうです。でも教会の財産を着服したりするような者が妻子ある聖職者の中から出てきたりしてあまりいいことがなかったせいでカトリックの聖職者の結婚は結局禁じられたようです。ユダヤ教のラバイやプロテスタントの牧師は本質的には「教師」であり、清貧に徹する代わりに結婚は許されていますが、カトリックの聖職者はラバイや牧師とは大きく異なります。一般人がカトリックの聖職者のモラルについてとやかく言うのは簡単ですが、この作品を見ると、先輩の司祭の情事にはみんな薄々気づきながら目をつむり、また自分は精神的に苦しむ教区の信者を支えようと精一杯努力しているのに同性愛者として厳しく非難される若いグレッグ司祭の孤独がひしひしと伝わってきました。
9点(2004-02-07 12:02:03)(良:1票)
20.  十二人の怒れる男(1957)
ヘンリー・フォンダが壮年期だった頃のアメリカ、そして今のアメリカや日本でも共通していると思いますが、国選(アメリカでは公選)弁護人がもらえる報酬というのはすごく少ないんだそうです。特に殺人事件なんて任されたらウェイターやったほうが儲かるどころかまともに取り組んで労力と時間を費やしたら最低賃金を割ってしまうほどなんだそうです。ましてや、この映画の被告人のような英語が不自由で貧しいマイノリティーが殺人を犯したら・・・法廷では通訳がついても弁護士にはつかないでしょう。だから、調査はちゃらんぽらん、「物的証拠がない限り推定無罪」なんて刑法適用上の原則もめちゃくちゃにないがしろにされて、「こんなやつは虫けら同然。死んでも自分にとっては痛くも痒くもない。だからこいつを犠牲にして一件落着にしてやろう。」なんて弁護人も証人も思うようになってしまうのです。こんな状況において陪審員が頑張らなければ誰が無実の人を救うんでしょうか?陪審員が何とかしなければ結果は火を見るよりも明らかです。この映画は検察庁(弁護人と異なって給料をもらっている検察官や通訳者がいる)に代表される国家権力と個人が犯罪行為をめぐって対峙した場合における「疑わしきは罰せず」という刑法の大原則、あるいは法治国家の原則を示している教科書です。 なぜ十二人の陪審員が「怒れる男」なのかわかっていただけるでしょうね。
10点(2004-01-27 14:52:51)(良:1票)
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