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1.  シリアナ
平日のレイトショーに観に行ったんですが、エンドロールの後に他の観客さんにみんな「?」マークが出ていたのが印象的でした。  石油利権に絡むアメリカの思惑(CIA)と中東某国王室内の権力闘争(とコバンザメコンサルタント)、原理主義者のマインドコントロールとテロリズム、CIAを裏切ったエージェントと裏切られたエージェント…話はこれだけなんです。入り組んではいない人間関係をわざと判りづらくしている感じがしましたよ(序盤なんてぐちゃぐちゃでサッパリでした)。もっとストレートに表現した方が結果的には正解だったのかなという気がします。  ジョージ・クルーニーがアカデミー助演男優賞を受賞しましたが、誰が主役だったのかよくわかりませんでした。
[映画館(字幕)] 3点(2006-03-09 02:24:52)
2.  ジャーヘッド
ボタンひとつで都市が吹っ飛ぶ時代の狙撃兵の憂鬱をうまく表しています。戦争は勝っても負けても虚しさが残るものだと思うけど、自己完結できなければさらにその部分は増幅していくものですよ。   この作品はこれでもかというほどクライマックスは外されます。だんだん観客のフラストレーションも兵隊の下ネタやブラックジョークの頻度と共に高まっていきます。そして観客と兵隊の不満が頂点に達したとき…戦争の虚しさもまた感じることができるでしょう。兵隊はマスターベーションばっかりしているけれど、それがハイテク戦争時代の海兵隊斥候狙撃兵なんですね。実戦で使われない自分のライフル銃。戦争に行ったことのない観客をシンクロさせてしまう巧みさにはただ舌を巻くばかりです。   虚しいですよ戦争は。自慰行為を知っている人間なら誰でも共感できるんじゃないかな。ドンパチのないリアルなストーリー展開に不満を募らせていった、自分の残虐性も意図的な肩透かしのラストによって焙り出され、この映画の虚しさのリンクは完成されるのです。
[映画館(字幕)] 5点(2006-03-03 11:54:23)
3.  疾走
よかったです。SABU監督作品でタイトルが『疾走』。これは走らないはずがないと思っていたらやっぱり走っていました。オープニングタイトルで、この作品は今年観ることになる映画の中で1,2を争うだろうと感じ、それは観終わった今も変わっていません。シュールな笑いに定評があるSABU監督としては異色中の異色。何か型に当てはめようとする方が間違っているのかもしれませんけど、事前情報なしで行っていたらもっと打ちのめされていましたよ。原作は少年を題材にした作品を多く手がけている重松清です。本屋で原作を手にしたときはその表装の何とも言えぬ重々しさから購入するのが躊躇われました。干拓地を舞台に出来のいい兄とその兄を慕う弟…物語は兄の思わぬ狂行から180度変わってしまった世界が弟の視点から描かれます。生と性と暴力と人を殺すということ。映画は文章とは違った視覚からの表現がある一方で逆にそれが制約となります。傍から見れば、主人公と同じ年代の少年少女に観てもらいたいと願うであろう監督の譲歩(PG-12指定)が、そのディティールと「踏み込まない表情」でクリアされています。むしろ副産物として得られた、ジャニーズ事務所(のNEWSというグループ)に所属する主人公の手越祐也くんのキャスティングが、それを完璧に補完していると言ってもいいでしょう。手越くん目当ての10代の女の子にざらざらとしたショッキングな映像をこれでもかと浴びせ、少しでも何かが狂ったら平和な自分たちでも落ちていきそうな危うい現実を叩きつけられます。しかし…彼女たちにはその全てはわからないはずです。なぜならこれは10代を終えた人間が安心して外から眺めることのできる、また別の道なのですから。10代を脱した大人であっても「どうして人間は死ぬの?」「誰か一緒に生きて下さい」という疑問や投げ掛けに正面から向き合うことは難しいです。むしろ歳を重ねてしまったからこそ…。この作品は何もわからない10代の人にみてほしい。そしてわかったようでわかっていない大人も。小説を読んだ後であるなら映像作品としての詰めの甘さや表現の物足りなさを感じることはあるかもしれません。しかしそれまでも計算されていると思えてしまいます。
[映画館(字幕)] 10点(2006-01-31 21:20:47)(良:1票)
4.  親切なクムジャさん
監督はあの『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督です。前作でも「あれ?」って思うところがありましたが今作でもありますよね。「いくらなんでもそんな行き当たりばったりの復讐ってないだろう!もっと完璧にやれよ!!」みたいな。『オールド・ボーイ』ではガッツリ凹んだ人が続出したようでしたが、僕はあんまりダメージがなかったので今回も全然でした。前回のどんでん返しは予測できましたが、今回のそれはスンゴイ方向へ行ってしまったので、その部分が賛否分かれるところかもしれませんね…と、文句をタラタラ書いてみましたが、韓国映画のエネルギーは感じ取ることができます。日本でメジャー監督がこれをやるっていったら配給会社は確実にしり込みするでしょう。本当はじっくり観ると残虐性の内面には人間の「恨(ハン)」というどろどろした物語や、心の中で溶けていく「恨(ハン)」も丁寧に描かれていて監督の業の深さを知ることができるんだけどなぁ。そういう映画って少ないですから。日本映画ではメジャーになればなるほど万人に媚びないといけません(『TAKESHI'S』なんてどう考えてもマイナー作品扱い)。毒のあるものや「ハズレ」を作ることは許されない雰囲気があるからです。それでもカンヌ(ベネチアだっけ?)でグランプリを取ってしまう監督が、それを実践できる韓国映画社会の懐の深さを感じることができました。娯楽作品もいいけど「日本映画頑張れ!!!」のエールを強く思いましたよ。
[映画館(字幕)] 7点(2005-12-11 15:53:31)
5.  忍 SHINOBI
いやー、爽やかなクソ映画でしたね。ここまでだと爽快感を得れます。僕はオダギリジョーが好きで、出演している作品を多く観ているんだけど、彼の作品はヒットがないなぁ。(本人も試写会か何かで「僕の出演作はヒットしません」とかなんとか言ってた)(いいのか?) 予想通りかわいかったよ仲間由紀恵さんかわいかったよ。こういう不幸そうな顔をしている人はいいよね(ぇ)。あー、あとは『パッチギ』の女の子も出てた。彼女は来ると思ってたけど案の定来たよ。今連ドラに主演しているけれど彼女には映画女優になってもらいたいなぁと思います。えと、それだけの映画でした。 
[映画館(字幕)] 2点(2005-12-11 15:40:40)
6.  シークレット ウインドウ
 この手の映画はオチがわかってしまったら「何かに似てるな~」とそればっかりが頭の中をぐるぐるで全然楽しめないですよ。セクシーなジョニー・デップにだけ1点献上。
1点(2005-03-22 15:03:40)
7.  昭和歌謡大全集
映画館で観客が僕のほかに誰も居ず、ひとりで観た映画でした。“若者vsおばさん”という構図を露骨に表した、バカバカしくも、もの悲しい(ウソ)物語。ザックリ、サックリ殺しています。そして殺戮の現場に不釣合いな昭和歌謡曲。冒頭のコスプレもそうですが、おバカな『時計仕掛けのオレンジ』っていう感じなのかな? 無理やり何かに当てはめようとするならば。豪華すぎる出演陣の中でも、ちょこっとしか出てこない原田芳雄が最高です。おもしろすぎ。とってもおバカで残酷ですけど、これは観ないと損します。特に最後の樋口可南子さんのカットだけでも見る価値アリアリ。
7点(2004-02-05 18:35:21)
8.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
 観終わって5時間以上経っているのに頭の中はこの映画のことでいっぱいです。 久しぶりです、そういうの。この作品に共感できるかどうかは、おそらく男性の人なら主演の妻夫木くんに共感できるかにかかっていると思われます。映画館を出てからしばらくそのことを考えていたんですが「もう自分は主人公の妻夫木くんに共感できるようになってしまったんだ」ということですね。中高生のときの自分だったら仮にこのような作品に触れたとき主人公の「弱さ」と、誰しもが望むハッピーエンドとはならない非ハリウッド的な普通すぎるラストを見せられたら「何だこの男は!だらしがない」となっていでしょう。しかしこの作品を観ながら自分の過去の恋愛や別れと気付かぬうちに照らし合わせていて、結果的に彼女から離れた「ずるい自分」「情けない自分」を共感しないまでも許容できるようになってしまっている。男性は一度は、かよわい女性に憧れます(ちょっと変なニュアンスかもしれませんが)。「守ってあげたい」とどこかで思ってしまうのかもしれません。自分よりも弱い立場の人を守ることで自分の「弱さ」から目を背け、傲慢で臆病な自尊心を育てることができる。ジョゼは歩けないという最大のハンディキャップを持っています。そして外の世界からは隔絶した毎日を送ってきた。そこで共感できる男性の観客は自分を主人公に投影し、かつて成し得なかった「か弱き女性の王子様」へと自らに置き換える(それが最近目にする「萌え」なのかもしれません。よくわかりませんが)。しかし終劇の恒夫とジョゼのコントラスト。次へと歩き出しているのになぜか涙が止まらない恒夫とあんなに嫌がっていた車椅子(しかも電動)に乗りながら颯爽と歩道を通り抜けるジョゼ。「なにいつまでも王子様気取りの馬鹿なこと考えているの?」と自身が問いかけられているかのようです。「慈しみ」かもしれないけれど、全体を流れる障害者に対するへんてこな優越感や「守ってあげたい」という甘い感情はこのラストで否定された気がします。弱さも強さもそれは身体的なものからはこないということですね。そんな、いまさら当たり前なことを感じました。どっぷり感情移入して観た映画でしたが、作品としてもバランス感覚はピカイチです。ちょっと女性の裸が多すぎたかなとは思いますけど・・・だからそれで点数高いわけじゃないけど(ぉ。でも観終わった後にとても残る映画ですね。
9点(2004-02-04 18:15:38)(良:2票)
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